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FMfanのアーカイヴであの時代にタイムスリップ!タイムマシーン特集

ポップスからクラシックまで幅広いジャンルを網羅した音楽情報とオーディオ関連の記事で人気を誇ったFM情報誌「FM fan」のアーカイヴを一挙公開。伝説のライヴリポートや秘蔵インタビューなど、ここでしか見ることのできない貴重なコンテンツ満載!

TOPICS - 2000※当記事の著作権は全て株式会社共同通信社に帰属します。

カーティス・メイフィールド

昨年末にジョージア州で多くの名曲を残し、他界する
No.14

カーティス・メイフィールド
Photo: WireImage

 ソウル界のパイオニアとして、アーティストからも尊敬されるカーティス・メイフィールドが昨年末に、ジョージア州の病院で他界していたことがわかった。享年57歳だった。死因について、関係者からの直接的な発表はないが、最近健康状態がかなり悪化していたことは確かなようだ。90年以降では、NYでのコンサートのリハーサル中のアクシデントで、首から下がマヒする大怪我を負い、車椅子の生活を余儀なくされていた彼だが、病院の医師の話によれば、糖尿病の進行により、昨年には片足を切断する手術を受けていたとか。
 91年にインプレッションズとして、昨年にはソロとして再度ロックン・ロール・オブ・フェイム入りを果たしたメイフィールドは、ゴスペルをバックグラウンドとし、50年代末から活動。シンガーとしてだけではなく、ソングライター、プロデューサーとしても活躍し、72年にはサントラ『スーパーフライ』を大ヒットさせている。

(共同)

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SPEECH/スピーチ 

ミレニアムのスタートにふさわしい希望と明るさに満ちた音楽
No.3

●自分の中にあるものを全部出してみた
 ライフ・ミュージック。それは、92年にデビューし、そのユニークなオーガニック・ヒップホップで一躍注目されたアレステッド・ディヴェロップメントの音楽を、リーダーのスピーチが 自ら言い表した実に的確な表現であった。日々直面する現実やそのなかで揺れ動くひとりの人間としての感情、生きることの積み重ねのなかで得た知恵……。それらを、冷静だが温もりあふれる視線を通して歌う音楽。そうしたスピーチの姿勢は、バンド解散後のソロ活動においても常に維持され強化されてきた。そして、そうした解放感と力強いポジティビティに満ちたスピーチの音楽がリスナーを優しく鼓舞してきたのも間違いない事実だ。

 約2年ぶりに発表されるニュー・アルバム『スピリチュアル・ピープル』もまた、スピーチが一貫してとってきた姿勢の延長線上にある、とても素敵なアルバムである。アトランタ市内からハイウェイを飛ばすこと1時間弱、豊かな自然のなか穏やかな時が流れるスピーチ宅を訪ねた。ちなみに、日本では98年2月に発売された『フープラ』が、ようやくアメリカでも99年夏にリリースされ好リアクションを得ているせいか、スピーチはいつも以上ににこやかであったことをお知らせしておく。「ここんとこ、すごく忙しかったねえ(笑)。というのも、『フープラ』のプロモーションやツアーをやりながら、同時に『スピリチュアル・ピープル』用の曲を書いていたからね。これって、かなり奇妙な状態でさ。だって、アメリカの人々にとっては『フープラ』が僕のニュー・アルバムだけど、僕の頭の中はその次のアルバムのことでいっぱい(笑)。おかげでアルバムの方向性が絞りづらかったんで、とにかく自分の中にあるものをすべて出して曲を作っていったんだ。結果的に、それぞれの曲がいろんな方向性をもっているという点で、最初のソロ・アルバム(『スピーチ』)を思い起こさせるアルバムになったかもしれないね」

 そうスピーチが語るように、『スピリチュアル・ピープル』は彼の音楽の幅広さがいつも以上に盛り込まれた作品だ。60~70年代のソウル・ミュージックからヒップホップ、フォーク、ジャズ、ロック、レゲエ(来日公演のアンコールでも歌われたボブ・マーリィ「レデンプション・ソング」のカバーも収録)までの多彩なサウンドが、スピ-チという歌心あふれるしなやかな触媒を通してイキイキと躍動している、なかでもヒップホップ・ビートの強化とボーカル曲におけるメロデイアスな展開が今回の特徴かな。

人生と神への考えを分かち合うために
「アルバムは僕自身の延長だから、今までの作品との違いを証明するのは難しいんだよね。ただ、今回はサンプルとビートをより多く取り入れ、いろんなスタイルのグルーブやレトロな感覚も取り入れたかった。僕のなかには今でもDJとしての一面があって、タイムレスなグルーブというものを自分の音楽で実現したいといつも思ってる。それと同時にフォーク・ミュージックというか、歌詞やメロディに深みがあって、意味のある曲もね。今の音楽、とくにR&Bはとにかくタイムリーだけど、2カ月もしたら時代遅れになってしまうようなものばかりだろ? 僕は次の世代の人々が聴いても意味のある音楽が作りたいんだよ」

 こうしたトレンドやスタイルに縛られない自由な姿勢が、音楽性のみならず歌詞にも表れていることは言うまでもない。生きることの意味を優しく、しかし力強く歌いかけるスピーチの歌から僕たちが受ける示唆は、決して少なくないはずだ。

「僕がなぜ歌うかといえば、音楽を通じて人間のナチュラルでシンプルなフィーリングを引き出したいからなんだ。もし、いいお店を見つけたら友達に教えたくなるよね? それと同じで、僕は今までの人生や神との関係のなかで見出した答えをみんなに知らせ、それを分かち合いたいと思ってるんだよ」

 2000年1月。スピーチのスピリチュアル・ミュージックが優しく、高らかに響きわたるはずだ。

(インタビュー・文/染野芳輝)

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JOE/ジョー

このアルバム全体が自分のステージだと思っている
No.16

 心あるR&B愛好家たちが長きにわたって聴き続けてきたジョーの2ndアルバム『オール・ザット・アイ・アム』が世に出たのは、今からおよそ3年前。そこから今日に至るまでの間、ジョーはほとんど休みをとらず、実に多くの仕事を手掛けてきた。何組ものアーティストといくつものサントラへの曲提供。故ビッグ・パニッシャーやケイス、チコ・デバージからマライア・キャリーに至るまでの客演。XSCAPEや7マイル、プロファイルにメン・オブ・ヴィジョンといったグループのプロデュースなどなど。そんな中でも若手男性グループ、プロファイルのプロデュースは、もっとも満足度の高かった仕事であったという。

 「初めてトータルでプロデュースを手掛けたのが、彼らプロファイルだったんだ。スタジオに入った経験すらない南部生まれの男の子4人をスタジオに連れていき、アルバム1枚を作り上げるその作業は、実に達成感のあることだった。この仕事を誇りに思ってるし、やってよかったと心底思うよ」 

 さて、そんな多忙な最中にありながらも、ここにこうして圧倒的なクオリテイを誇る自身の新作を完成させたのだから、ジョーは大した男である。

「落ち着いて、純粋にアーティストとしてアルバムに取り組みたかった。歌での表現に集中したかったんだ」という思いから、前作よりも本人制作の曲を減らし、さまざまなプロデューサーたちと組んで作り終えたそのアルバム『マイ・ネーム・イズ・ジョー』。このストレートなタイトルは「これが僕なんだよと、世の人々に知らしめたくて」つけられたのだそうだ。

内容を見ていこう。アルバムと同タイトルの短い、しかしロマンチストである彼の魅力を凝縮したかのようなイントロで幕をあけ、続く「ビー・オン・トップ」でジョーはまずこう歌い始める。"ハロー、ウェルカム・トゥ・ザ.ショウ"。歌詞の全文から、これは男と女の"愛のショー"への誘いを歌ったものであることがわかるが、このアルバム1枚が一つのライブ・ショーのようなものであり、その始まりを告げる言葉のように思えなくもない。

「確かにこれはビッグ・ショーだ。このアルバム全体が自分のステージだと思っている。カメラと照明が入ったら、あとは僕がステージに出ていけばいいだけ。ようこそ、このショーへっていう感じだね(笑)」

 3曲目「スタッター」は、ジョーが「初めてラジオで彼の曲を聴いた時から、いつか一緒にやりたいと思い続けてきた」というテディ・ライリーのプロデュース曲。「一緒にいる間にいろんな話を聞くことができたよ。僕が大ファンであるガイの話なんかもね」とうれしそうに話しながら、「ブラック・ストリートのこの前のアルバムは期待されたほどは成功しなかったから、テデイにとっても今回は、健在ぶりを示すいいチャンスだったんじゃないかな」と一言加える冷静さも彼にはある。

 そこから先も、オールスター(SWV,ブラクストンズほか)や、シェイクスピア(TLC、デステイニーズ・チャイルドほか)、ジョン・ロピンソン(ローネイ、K-CI&JOJOほか)といったプロデューサーたちと組んで自らの可能性の拡大をアピールしたかのような斬新なトラックが並び、そのチャレンジ精神と仕上がりの面白さに唸らされるわけだが、一方で「オール・ザ・シングス」同様、全米のラジオでかかりまくって大ヒットに結びついた「アイ・ワナ・ノウ」のような珠玉のラブ・バラードの落ち着いた味わいにも、どうしようもなく心を動かされる。

「実は"アイ・ワナ・ノウ"は4年以上も前に書いた曲なんだ。この曲にこれほどのインパクトがあるなんて僕もわからなかったんだよ。ラジオが何回も何回もかけてくれたおかげかな。毎日のように発表されるたくさんの新曲の中から僕の曲を進んでかけてくれるラジオに、僕は本当に感謝してるんだ」

 ほかにもイン・シンクの参加など話題性の多いこの力作。初の日本公演もあり、より一層の伸びが期待できそうだ。

(インタビュー・文/内本順一)

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レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

民主党全国大会の会場外で抗議の無料コンサートを敢行
No.20

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
Photo: Redferns

 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがまたまたカッコいいことをやってくれた。8月14日にLAのステイプル・センターで行われた、民主党全国大会の会場外で、党大会に抗議するためのフリー・コンサートを敢行したのだ。後日発表したバンドの正式コメントによると、このコンサートは、米国の2つの政党、民主党と共和党に入れない、カヤの外に置かれた大勢の一般市民を代表するカタチで行った。自分たちが言いたいことは、米国には2つの政党の違い、候補者の違いを自分たちの目、耳で判断する機会を与えられていない人が大勢いる。党大会に参加できるのはほんの限られた人間だけであることに、抗議したかったと語っている。バンドは、弱者の代弁であると主張したわけで、彼らからは支持されているのは間違いないが、新作でもポリティカルな内容の歌詞が問題視され、当局のブラックリストに載ったといううわさもある。だからこそ支持もされているのではあるが。

(共同)

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ウォールフラワーズ  

今の時代は何が成功かは分からないが僕たちのようなバンドがロックを続けていることが重要
No.22

ウォールフラワーズ
Photo: Image Direct

一つのゴールを経験した後で
 2000年夏のローマは、ことのほか暑かった。それというのもミレニアムの祝賀に沸くバチカン市国を訪れようと、世界中からキリスト教徒たちが集まっていたからで、街中はカメラ片手の観光容だらけだった。

 そんなローマを見渡せるオールド・ホテル「エデン」。それこそシャンデリアの飾り一つもクリスタルというような豪華なホテルで、ウォールフラワーズは1週間に渡って、新作『ブリーチ』のヨーロッパ向けプロモーションを行っていた。ローマの高級ホテルと、オーソドックスとも言えるアメリカン・ロックを鳴らすバンド……、一見ミスマッチのようだけど、全身黒ずくめのスタイルが文句なしに似合うジェイコブ・ディランがそこに立つと、まるでスタイリッシュなファッション雑誌の1ページのようで、私は文字通り息を飲んだ(ああ、この人は生まれながらのスターだ)そう、思った。そして彼は、バンドは、前作『ブリンギング・ダウン・ザ・ホース』のヒットで、真実、スターとなったのだ。

 「僕たちは前作がヒットする前からこのバンドをやっていたから、’’一夜にして得た成功’’ってわけじゃないんだよ。ああ、でも、ああいう形を成功と呼ぶなら、僕らはそれまでずっと不成功だったわけか(笑)。うん、それでも成功したことで、多くの人に僕らの音楽を聴いてもらえるようになったことはうれしいよ。ミュージシャンにとって、それは一つのゴールだからね」

 と、ジェイコブは少し自嘲気味に、また冷静に、自分の今いる位置を語った。そして4年ぶりとなる新作『ブリーチ』にも、その姿勢は表れていて、そこには成功による気負いとか、派手さというようなものが一切ない。これまでと変わらず、淡々と音楽が鳴らされているだけ。繊細で、陰影に富んだ 歌世界、フォークやカントリー、ブルースの色合いが濃い彼らのサウンドは、今時珍しいほどに当たり前のアメリカン・ロックだ。まあ、今回はエルヴィス・コステロやフランク・ブラックなんていう意外なケストが参加しているものの、そういうことさえひっそりとしているように感じられる。だって例えばジェイコブ自身が新作の中で最も気に入っているという曲「アップ・フロム・アンダー」は、こんなふうだ。

 ‘俺は井戸の中にいて/丘を見上げながら/落っこちたことを神に感謝している/自分のことをもっと見つめるべき時に来てたんだ/今では誰もが優しく見える’(訳:野村伸昭)

暗い井戸の底で自分を見つめて
 暗い井戸の底へと落ち、そこで自分を見つめているジェイコブ。「僕の書く歌はすべて僕自身の物語」と彼自身言っているから、これももちろん彼の物語で、本当に今はそんな心境なのだろう。この汚い世の中から逃避し、ナイーブで、同時に醒めてもいる。成功したスターとは思えない世界に、ジェイコブは生きている。

 でも彼はただのナイーブなシンガー・ソングライターじゃない。バンドの一員であり、そのことの方に重きを感じているミュージシャンだ。「僕はいつもただ頭に浮かんできたことを、うまく表現して書いていくだけ。今回もツアーを終えて家に帰ってから書き始めたけど、何の意図もイメージもないままに進めた。そしてそれをみんなでアルバムに仕上げていくわけだけど、曲のキャラクターを考えたりもせず、どのように聴こえるのかを中心とした音楽的作業を重ねていった。メンバーとはもうずっと一緒にやってきたから、音楽をまとめあげていくときに大切な’’直感’’みたいなものが、自然と理解しあえるようになってきた。ハモンドが鳴り、ピアノが響き、シンガー・ソングライターがいる、今の時代にはそう人気があるもんじゃないバンド編成が、ロックン・ロールには一番いいんだよ」

 そう、ジェィコブ・ディランはロックン・ロール・バンドの一員であり、ウォールフラワーズは、変わらずロックン・ロールを鳴らし続けるバンドである。今までも、そしてこれからもただそれだけだ。

(インタビュー・文/和田靜香)

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ディスティニーズ・チャイルド

ビヨンセがソロになる!?
No.24

ディスティニーズ・チャイルド
Photo: WireImages

 メンバーの脱退以降、ゴタゴタ続きのディスティニーズ・チャイルド。今度は、クリスティーナ・アギレラとの全米ツアー中に、ケリーが足指を骨折するケガを負い、歌は歌えるものの、ダンス・パフォーマンスが無理な状態になってしまった。4人ならまだしも、現在は3人組。ケリーが抜けたら、2人で踊らなくてはならない。それでは格好がつかないと、急きょビヨンセの妹で、14歳ソレンジが呼び寄せられ、ケリーの代役としてダンスを披露することとなった。もちろん歌はケリーが座りながらも歌う。現在デスチャは、ツアーと並行して、来年2月末にリリース予定の新作『インディペンデント・ウーマン』をレコーディング中だが、最新情報では同時にビヨンセのソロ・プロジェクトが進行中だという。このうわさをビヨンセ自身は否定しているが、プロデューサーとしても活動し始めた彼女にソロ計画があるのは当然。近い将来ソロ作品を制作するのは間違いないだろう。

(共同)

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