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FMfanのアーカイヴであの時代にタイムスリップ!タイムマシーン特集

ポップスからクラシックまで幅広いジャンルを網羅した音楽情報とオーディオ関連の記事で人気を誇ったFM情報誌「FM fan」のアーカイヴを一挙公開。伝説のライヴリポートや秘蔵インタビューなど、ここでしか見ることのできない貴重なコンテンツ満載!

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パール・ジャム 美談と泥酔事件 

どちらが本当の彼ら!?
No.1

パール・ジャム 美談と泥酔事件
Photo: Getty Images

 ニュー・アルバムがビルボードのアルバム・チャートで1位を獲得と、現在絶好調のパール・ジャム。彼らはカリフォルニアでコンサートを敢行中だが、当然全公演ソールド・アウト。そんな状況だから、チケットを入手できず涙を流しているファンは多い。そのひとりに、8歳の白血病と闘っている少年がいた。どこからかその少年の話を聞きつけてきたメンバーが、彼をコンサートに招待したばかりか、バック・ステージに招き、最後にはステージのドラムセットに座らせてあげたというサービスぶりをみせた。この美談、瞬く間に音楽業界内に広まり、生意気な行動で不評を買っていたパール・ジャムの評価も高まりをみせた。ところが、今度はフロントマン、エディ・ヴェダーの泥酔事件。ニューオーリンズでのコンサート終了後、フレンチ・クォーターで飲んでいた彼が客との口論になり、その人の顔面にパンチを一発。600ドルの保釈金で留置所から出してもらえた。

(共同)

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クラウデッド・ハウス 完全なまでの美しい歌の数々

聴く人にイマジネーションの旅をさせる音楽
No.5

クラウデッド・ハウス 完全なまでの美しい歌の数々
Photo: Redferns

 いい歌を聴きたい------そんな音楽ファンの素直な願いを、いつも叶えてくれるのがクラウデッド・ハウスだ。
 彼らの86年のデビュー・アルバムには、今も多くの人の心をとらえて離さない名曲「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」(全米2位)があった。次の年の『テンプル・オブ・ロウ・メン』では、奥行きのあるメロディと詞の、美しい共鳴を聴かせてくれた。そして91年にイギリスで大ヒットした『ウッドフェイス』ではもともとの3人------ニール・フィン(Vo&G)、ニック・セイモア(Bs)、ポール・フェスター(Ds)------に、ニールの兄ティム・フィンを加えた4人でのハーモニーの妙をたん能させてくれた。

 そうやって彼らはいつも変わることなく私たちにいい歌を聴かせてくれ、アメリカのプレスは彼らに”80年代のビートルズ”という肩書きを付けた。

 でもそんな彼らが変わるときがやってきた。ニュー・アルバム『トゥゲザー・アローン』で彼らは大きく変わったのだ。
 まず脱退したティムの後に、「ジェリー・リー・ルイスのバンドのメンバーにキーボードを教わった」というアメリカ人プレイヤーのマーク・ハートを加入させた。それからプロデューサーを、これまでの3作ともにしてきたミッチェル・フームから、ダンス系リミキサーとしてオーブらとの仕事で知られるユースへと、180度の転換をした。さらにレコーディング・スタジオもこれまでのロサンゼルスから、ニュージーランド北島の森と海に挟まれたワイルドな地、カレ・カレの一軒家に定めた。

 「長いツアー(18ヶ月!)を終えた後、レコーディングの方法をすべて変えようと思ったんだ。これまでの僕たちは神経質になりすぎていて、自然な”生”の音を失ってることに気づいたんだ」(ニール)

 彼らのこうした変化は結果として大成功となった。アルバム『トゥゲザー・アローン』は、特にイギリスで大ヒットしていて、良識ある音楽誌「Q」の”ソングライター・オブ・ジ・イヤー”をニール・フィンにもたらし、その授賞式でエルトン・ジョンが彼をたたえた。また(そろそろ結果が出るころか?)、イギリスのグラミー賞とも言える”ブリッツ・アウォード”で、U2やパール・ジャムらと並んで「インターナショナル・バンド」にノミネートされる栄誉も受けている。ずっといい歌をうたい続けてきた彼らがさらに一歩進み、より力強いものを求めた結果、傑作を生んだのだ。実際このアルバムの歌はすべて完ぺきに美しい。ニールは自らを「完ぺき主義者かもしれない」と言うが、彼の願いとおりに美しく、強く、深く、哀しい、さまざまな表情をそのサウンドとともに輝かせる歌が並んでいる。

 「音楽には感情や感覚の最も深い部分に訴える力がとてもあると思う。でもそうした音楽をいつも作れるとは限らない。でもこのアルバムではそうした感情の底に訴えるものができたと思う。多くの人にはこうした感覚を内省的でメランコリックだととらえているようで、確かにそうだとも言えるが、でもその奥にはいつも希望が込めてあるんだ」(ニール)

 そう語る彼に「今でも音楽で一番大切なものは、空をたゆたい、夢見るような感覚だと思いますか?」と、6年前に彼自身が言ったことをたずねると「その通りだよ」と答えてくれた。決して押しつけがましくなく、聴く人にイマジネーションの旅をさせる音楽------それだけはいつまでも変わることがないようだ。

( インタビュー・文/和田靜香)

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スティーリー・ダン ドナルド・フェイゲン

スティーリー・ダン再結成のいきさつと今後/新作アルバムで表現したかったもの
No.10

スティーリー・ダン ドナルド・フェイゲンPhoto: Getty Images 

●スティーリー・ダン再結成のいきさつと今後
13年ぶりの再結成、20年ぶりのライブ再開。そして初来日と、話題沸騰だったスティーリー・ダンの来日公演は、その圧倒的な技量とジャジーなエロスに浸る快感を改めて味あわせてくれた。
 考えてみると、ドナルド・フェイゲンが約10年ぶりのソロ『カマキリァド』のレコーディングで、かつての相棒ウォルター・ベッカーをプロデューサーに起用した時点で、すでに再結成の伏線は敷かれていたとも言える。フェイゲンは、91年に「ニューヨーク・ロック・アンド・ソウル・レビュー」に参加した際、スティーリー・ダン時代の曲をやったら観客の反応がものすごく、改めて当時のレパートリーをライブで演ることの重要性を認識したのがそもそものきっかけだったと言う。

●新作アルバムの中で表現したかったもの
 ところで『カマキリァド』は近未来SF的なストーリー性を持ったユニークなコンセプト・アルバムだった。
「ベーシックなアイデアは、やはりサイエンス・フィクションなんだ。SF的なストーリーを借りてインナー・トリップを描こうと思った。そういう意味ではウィリアム・バロウズにインスパイアされたところもある。今、人間は世紀末を迎えるにあたってカオス(混沌)状態に向かっていて、例えば地震であるとか、異常気象などもその現象のひとつだと思う。そんな中で主人公はある使命を感じ取って旅に出る。旅先でいろいろな困難に出会いながら、自分の内なる変化、進化みたいなものを経験していく。で、旅に出るなら、後は状況が悪くなる一方かもしれないから、せめて最初くらいはきれいな環境を保つ気持で始めようと。それで安心できる食料(カマキリ号の荷台には水栽培式の農園が乗っている)と環境にピュアでクリーンな車(動力は水蒸気)ってことにしたんだ。それに物事は何でもそうだけど、最初はだれもがものすごく純粋な気持ちで始めるけど、その後はどうなるかわからない。そんな意味でのイノセンス&ピュアを象徴していると思う。」
 それに関連して食料問題に触れると…。
「食べ物に対する不安は指摘の通り、すごく感じている。子供のころに食べた物は今よりもずっとおいしかったって印象がある。パンなんかが良い例で、昔は小麦を育てるのに農薬なんか使っていなかったからだと思う。ヨーロッパとか日本では子供のころ食べたのに近い味覚を感じるけど、アメリカのように素材そのものの味が落ちてるってことは、考えてみると人生のクオリティ自体にかかわる問題だと思うネ」

●ウォルター・ベッカーのソロのプロデュースも
 来日公演ではウォルター・ベッカーの新曲"Fall of '92"が披露されたが、聴いた限りではブッシュの名前も出るくだらいだから相当に社会性の強い曲だと思われる。
「僕は曲を書いただけで、詩を書いたのはベッカーだから・・・・・。でも自分の理解としては、主人公はあるシンガーで、身の回りの問題、トラブルをすべて外になすりつけて責任転嫁するタイプなんだ。」
 それってアメリカの対外経済政策そっくりだけど、と言うと。「その通り、本当にアメリカっていうのは利己的で、自国の利益しか考えていない、困ったもんだよ(笑)アメリカの変な所はネ、そのひどさに対してまだアメリカ人自身が自覚していないってことだ」
 アメリカを醒めた視点でとらえたシニカルな語り口は、そのまま彼の詞の世界ともダブる。それでいて、接していると妙に温かみを感じさせるのは、彼の内に秘めたイノセンスな部分なのだろうか。
 現在ウォルター・ベッカーのソロをプロデュース中で、自らのソロに関してもすでに何曲か出来上がっているという。目下の関心はときくと、「ツアーはまた夏から始まるし、昨年結婚(リビー・アイタスと)して子供(連れ子らしい)もいるから頑張らなくちゃ」
 とすっかり父親の顔になっていた。

(インタビュー・文/増渕英紀)

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カート・コバーン ショットガンで自殺を

全世界に衝撃が走る
No.10

カート・コバーン ショットガンで自殺をPhoto: Getty Images

 4月8日の朝シアトルの自宅で、自殺したカート・コバーンが発見された。彼の遺体を発見したのは、偶然アパートを訪れた電気工。彼のそばに遺書が残されていたことから、自殺と判断されたが、遺書の最後には妻のコートニー・ラヴと娘宛に「I LOVE YOU」と3回書かれていたそうだ。

 自殺の動機について詳しいことは発表されていないが、夫婦ともに重度の麻薬中毒だったため、幼い娘をソーシャル・ワーカーが矯正保護してしまうのではと最近恐れていたことや、大成功のあとのバンド・リーダーとしてのプレッシャーなどが、原因として考えられる。また、今年の初めには「ニルヴァーナの寿命は終わった」などとも発言していた。

 彼は自殺を図る前の6日間、行方不明になっていたが、遺体が発見された当初、妻の姿は自宅にはなかった。カート・コバーン享年27歳。あまりに早く訪れたスターの最期だった。

(共同)

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ジョン・ゾーン 東京の夏「音楽祭'94」の10周年に委嘱作を発表

東京・グローブ座で初演される
No.15

 ネイキッド・シティなどのグループやアバンなどのレーベルを使って、フレキシブルな活動をし、常にその動向が注目されているジョン・ゾーンが、今年10周年目を迎える、東京の夏「音楽祭’94」で、委嘱された作品「砂の分与」を発表する。

 この作品は作曲委嘱「シリーズ2」として7月14日に東京・グローブ座で初演されるもので、自身の作品も演奏しハーモニュームを操るアンソニー・コールマンなど5人の演奏で楽しむ。また、このイベントの中でジャズ・ファンが興味を持ちそうなものとしてクリスチャンセンの「パンドラの新しい箱」(7月21~25日)がある。クリスチャンセンは、ヨゼフ・ボイスらと活動をともにしてきた作曲家で、今回は、インプロバイザーとして名高いデヴィッド・モスらとともに最先端のサウンド・インスタレーションを見せてくれる。

(共同)

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クインシー・ジョーンズ レア・グルーヴ・ブームの中 本命“ミスターQ”に脚光

1960年代マーキュリーの作品が一挙にCD化
No.20

 ロンドンのアシッド・ジャズに端を発した“クラブ・ジャズ”ムーブメントは、ますます広がりをみせている。これまでは1960~70年代のジャズ、ソウルが元ネタだったが、最近ではブラジリアン・ポップスの人気が高まっている様子だ。しかし、レア・グルーヴ、ヒップ・サウンドといえばこの人、クインシー。いよいよ1960年代マーキュリーの作品が一挙にCD化される。タイトルは『ソウル・ボッサ』『ジャズ・ジューク・ボックス』『クインシーのニュー・バッグ』『ノン・ストップ・トゥ・ブラジル』『サイドワインダー』位以上5作品。9月24日に日本フォノグラムより各1,800円で発売される。天性のアレンジでジャズ、ロック、ボサノバをカバーした駄作のない“ミスターQ”の隠れた名作群だ。

(共同)

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