FMfanのアーカイヴであの時代にタイムスリップ!タイムマシーン特集
ポップスからクラシックまで幅広いジャンルを網羅した音楽情報とオーディオ関連の記事で人気を誇ったFM情報誌「FM fan」のアーカイヴを一挙公開。伝説のライヴリポートや秘蔵インタビューなど、ここでしか見ることのできない貴重なコンテンツ満載!
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マイルス・デビス・コンボのメンバーにまたもや異動が…
リズム・セクションが強化されているのが特徴
No.1
Photo: Redferns
70年春に話題のLP「ビッチェズ・ブリュー」を放ったトランペッター、マイルス・デビス・コンボのメンバーにまたもや異動があり、早くも71年の動向が注目されている。
新コンボにはゲーリー・バーツ(as,ss)、キース・ジャレット(elec.p)、ジャック・ディジョネット(ds)、エアート・モレラ(パーカッション・笛)、ジュマ・サントス(コンガ)、マイケル・ヘンダーソン(フェンダー・ベース)といった顔ぶれで、リズム・セクションが強化されているのが特徴である。
(共同)
ブルースの王者B・B・キングが2月末に来日
東京で4回、大阪、名古屋、で各1回の公演
No.3
Photo: Redferns
ブルースの王者B・B・キングが2月末に来日する。彼は独特のスタイルを持つブルース・シンガーだが、豊かなポピュラリティーを兼ね揃えた幅広いファン層をもつ。
昨年はストリングスを入れた「スリル・イズ・ゴーン」がポップス界をゆるがす大ヒットとなり、その後も一作ごとに著しい進境をみせている。
今回の来日では東京で4回、大阪、名古屋、で各1回の公演が予定されているが、そのうち3月5日に東京・サンケイホールで行われるミッドナイト・コンサートは日本のロック・ジャズ奏者も多数出演するので期待される。なお、来日記念レコード「インディアノラ・ミシシッピー・シーズ」がキングから発売されている。
(共同)
やっと来るべきものが来る ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ
2月11日大阪・フェスティバル・ホール(昼・夜)、13日東京・日本武道館の3回
No.3
Photo: Hulton Archive
やっと来るべきものが来るという感じがする。昨年初めから日本にもニュー・ロック時代到来と騒がれながら、なぜかもうひとつ伸びを欠いていた。万国博の影響があまりにも大きすぎたためもあるが、それと同時に外国の本格的なニュー・ロック・グループの来日がほとんどなく、その源泉にジカに触れるチャンスが少なかったからである。だから、ことしこそ多くのグループのナマをききたいのがファンの心理であろう。
そういう意味でもB・S・Tの来日は大いに期待される。このグループは、ドラムスのボビー・コロムビーを中心に、デビッド・クレイトン・トーマス、スティーブ・カッツ、ジム・フィールダー、ディック・ハリガン、フレッド・リプシウス、ルー・ソルフ、チャック・ウィンフィールドの9人編成。大世帯でひとつの大きなサウンドを作るというよりは、9人がそれぞれ独特の個性をもち、それを自在にうち出しながら融合していく。だからロックばかりでなく、ブルース、フォーク、ジャズ、さらいはクラシックの要素までも兼ねそなえており、サウンド自体もあらゆる可能性を秘めている。
公演は2月11日大阪・フェスティバル・ホール(昼・夜)、13日東京・日本武道館の3回。
(共同)
グラミー賞決まる
サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」が3部門の賞を獲得
No.7
レコードのアカデミー賞といわれるグラミー賞の全43部門の各賞が3月16日ニューヨークで発表された。
サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」が最優秀シングル盤レコード賞、最優秀LPアルバム賞、最優秀歌曲賞(作曲者ポール・サイモンに対し)の3部門の賞を獲得。
グラミー賞はNARAS(アメリカ・レコード芸術協会)が年間の有終レコードに授与するもので、今度が13回目。対象は1970年にアメリカで発表されたレコードで、クラシック、ポピュラー音楽のベスト・レコード、録音技術、ジャケットのデザインなどまで幅広い。他の主要部門別受賞レコードは次の通り。
<最優秀新人賞>
バラード・シンガーのカーペンターズ兄妹。彼らは「遥かなる影」で最優秀コンテンポラリー・グループ歌手賞も受賞。
<最優秀歌唱賞>
「エブリシング・イズ・ビューティフル」のレイ・スティーブンス、「恋よさようなら」のディオンヌ・ワーウィックが受賞。ワーウィックは以前「サン・ホセへの道」で一度同賞を受賞している。
<最優秀R&B歌唱賞>
「スリル・イズ・ゴーン」のB・B・キングと「ドント・プレイ・ザット・シング」のアレサ・フランクリンが受賞。
<最優秀カントリー歌唱賞>
「心の想い出」のレイ・プライスと「ローズ・ガーデン」のリン・アンダーソン。
<最優秀カントリー歌曲賞>
マーティ・ロビンス作曲の「マイ・ウーマン・マイ・ウーマン・マイ・ワイフ」。マーティ・ロビンスは1960年に「エル・パソ」で最優秀カントリー・シングル盤賞を獲得している。
<最優秀コメディ録音賞>
「ザ・デビル・メイド・ミー・バイ・ジス・ドレス」のフィリップ・ウィルスン。
<最優秀ジャズ賞>
「ビッチェズ・ブリュー」のマイルス・デビス、「アローン」のビル・エバンス。
<最優秀カントリー歌唱グループ賞>
「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」のジョニー・キャッシュとジューン・カーターのコンビ。
<最優秀カントリー演奏賞>
「私とジェリー」のチェット・アトキンスとジェリー・リード。
<最優秀語録>
マーチン・ルーサー・キング・ジュニアによる「私はなぜベトナム戦争に反対するか」。
(共同)
BST、シカゴ、フリーなど本場のロック・グループがぞくぞく来日
期待の野外ロック・カーニバル
No.18
BST、シカゴ、フリーなど本場のロック・グループがぞくぞく来日、ようやく強まってきた日本のロック・イメージは、7月にグランド・ファンク・レイルロード、マッシュマッカーンを迎えて行われる野外ロック・カーニバルで最高潮に達するだろう。
このコンサート、東京では後楽園球場、大阪では大阪球場をそれぞれ借り切って行われるが、グラウンド中央にステージを組み、内野席を全部解放して3万〜4万の観客を動員するという大規模なもの。これには球場側も「若者を獲得したいという日ごろの念願がかなえられるので喜んで会場を提供する。」とペナント・レース激戦の最中にもかかわらず積極的協力の姿勢を見せているので最高のコンサートが期待される。
グランド・ファンク・レイルロードは、リード・ギターのマーク・ファーナー、ドラムスのドン・ブリュワー、ベース・ギターのメル・シャッチャーという3人だけで編成されたグループだが、ステージをフルに使ったダイナミックな演奏から爆発的なサウンドをたたき出し、観客を興奮の渦に巻き込んでしまう激しい魔力をもっている。リード・ギターのマークはハーモニカやリード・ボーカルも担当し、このグループの曲のほとんどを作曲している優秀ソング・ライターでもある。グランド・ファンクは6月中旬から、ドイツをはじめ、オランダ、フランス、ベルギー、イタリア、イギリスの各国で公演したあり、7月9日には1965年のビートルズ公演で知られるニューヨークの野球場シェア・スタジアムで演奏、その後ハワイ公演を経て来日する。一行はメンバー3人のほか、マネージャー、ミキサーなど約20人。運び込む楽器、アンプ類は4トンを軽くオーバーするだろうといわれている。来日記念盤は「サバイバル」(東芝キャピトル・レコード)。
一方、共演するマッシュマッカーンは、カナダ出身のロック・グループで、メンバーはピエール・セネカル(ボーカル、鍵盤楽器、Hrn)、ブライアン・エドワーズ(Bs、リード・ボーカル)、レイバーン・ブレイク(G、ボーカル)、ジェリー・マーサー(Ds、ボーカル)の4人。彼のロック・サウンドはグランド・ファンクと対照的に、やわらかい感じのビューティフル・ロックであり、「霧の中の2人」「水色の世界」などが人気を集めている。来日記念シングル盤は「太陽の使者」、LP盤は「ファミリー」(CBS・ソニー)。
ほかに内田裕也のプロデュースした4人編成のロック・グループ、麻生レミ&WYNDが出演する。
人気グループ レッド・ツェッペリン
広島公演は原爆被災者のチャリティー・ショウ
No.18
Photo: Redferns
英国内ではビートルズに続く人気グループといわれたレッド・ツェッペリン、ビートルズ解散後はもはや押しも押されもしないナンバー・ワンにのし上がった。1969年、ヤード・バーズの生き残りジミー・ペイジの努力で、レッド・ツェッペリンは誕生、デビュー当時からの着実な積み重ねが、このはなばなしいロック・エイジに一度に開花したといっていい。彼らのアルバムはことごとくミリオン・セラーになり、マジソン・スクエア・ガーデン、カーネギー・ホールの公演でも超満員の観客を集めている。
メンバーはリーダーのジミー・ペイジ(リードG)をはじめ、ジョン・ポール・ジョーンズ(Bs)、ジョン・ボーナム(Ds)、ロバート・プラント(ボーカル)の4人。なおこのグループからの希望で9月27日の広島公演は原爆被災者のチャリティー・ショウとなっている。
(共同)