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ティーガン&サラ インタビュー
1995年にカナダ・カルガリーにて結成された双子の姉妹デュオ、ティーガン&サラ。2000年にニール・ヤングが主宰のVapor Recordsより『This Business of Art』をリリースし、本格的にデビュー。その後も着実にキャリアを伸ばし、2013年1月にリリースされた最新作『ハートスローブ』では、米ビルボード・アルバム・チャートにて3位に初登場、今や国民的スターとなった本国カナダでは2位を記録し、【NHLウィンター・クラシック】で6万人の前でパフォーマンスを披露した。
そんな彼女たちが、3月7日~11日にかけて開催されたパラモア主催の船上クルーズ【PARAHOY!】に参加、転機となった『ハートスローブ』や次回作、ゲイを公言をしている2人がファンから貰って感動したプレゼントなどについて話してくれた。
(『ハートスローブ』は、)キャリアの第2章へのステップ
となった作品だ、って自信を持って言えるわ
??2人はファンから色々なプレゼントを貰うそうですが、今回のクルーズで貰ったもので一番印象に残ったのは?
ティーガン・クイン:Tシャツよ!とにかくサイコーなの。先日(パラモアのギタリストの)テイラーとすれ違った時に、サラと私が船長帽を被って救命浮輪を首からかけてるTシャツを見て、「そのグッズのTシャツすごくイイね!僕も欲しいな。」って言われたの。だから「違うわ。グッズで作ったんじゃないの。ファンの手作りよ。」って答えたわ。
このクルーズが面白いのは、色々な場所から来てる人が多くいること。昨日は、ハワイから来たファンにご当地の食べ物やお菓子を貰って、今日は一日中部屋でそれを食べてたわ。オーストラリアのチョコがいっぱい入ったプレゼント袋も貰ったの。
後は海軍に所属している女性たちから“Don't Ask, Don't Tell.”(編注:アメリカ軍が採用した同性愛に対する政策で、軍は兵士に同性愛者であるかどうかを問わず、兵士も同性愛者と公言しなければ解雇されないというもの)が成立する前の苦難についてのとても素敵な手紙を貰った。美しい手紙と一緒に、従事した証のピンも。とても心に響いたわ。こう言った機会は、とてもコアなファンが集結するわよね―音楽が大好きな人たちはもちろんだけど、出演しているバンド周辺もカルチャー的な要素も。パラモアもそうだし、それはこのクルーズ以外の場所で一緒にツアーした時も感じたわ。それか、とても狭い環境のゆえ、より際立ってる。
??ラインアップがすごく充実した音楽フェスはありがちですが、大体出演者は男性アーティストが多いですよね。このようにシーンを代表するような女性アーティストが多く出演するフェスに参加してみてどうですか?
サラ・クイン:これはパラモア、特にヘイリーのおかげだと思うわ。彼女は、ここ数年間、私とサラのことをサポートすることに大きく貢献してくれた。私たちが、ゲイの人権や“Don't Ask, Don't Tell.”のことについて話すと、必ず一緒になって声を挙げてくれる。このクルーズに参加しているアーティストの多くが女性だというののは、驚かされないわ。多様性があることは、このクルーズにとっていいことだと思う。DJだったり、エレクトロニック・ミュージックだったり、何でもできちゃう私たちだったり。
もし私が、パラモアのようにこういったクルーズを主催するとしても、お互いまったく違うジャンルのものにしたいと思う。ヒップホップ、フォーク、ポップ、ダンスできるようなものに、イケてるDJ。
??最新作『ハートスローブ』がリリースされてから約1年経ちますね。これまでで一番成功したアルバムだとも思うのですが、この作品のことをどのように振り返ると思いますか?
ティーガン:リリースされて1年経つけど、まだ全然新鮮味がある。“グローワー”アルバムだと思う―聴いて良さが分かるいわゆる“スルメ”盤ではなくて、私たちを成長されてくれ、キャリアを次のレヴェルへ突き上げる手助けをしてくれた。アルバムを聴いて、友達に薦めたり、色々なプラットフォームやチャンネルから私たちの曲を聴いてもらえた。自分たちのキャリアの第2章へのステップとなった作品だ、って自信を持って言えるわ。私たちはこの業界に15年間いるけど、「次は何をしたらいいんだろう?ティーガン&サラが次に何をするんだろうって、どうしたら思い続けてもらえるんだろう?」って考えてた。新しいバンドは絶え間なく生まれてくるから、自分たちにずっと興味を持ってもらうのは難しいこと。『ハートスローブ』は、クロスオーヴァー、または架け橋になったアルバムだと思う。「私たちは、これまでみんなが知ってて、好きだったバンド。でも何か違うことをやってみてる。」って言ってるような感じかな。そして新たに人々を招き入れて、次に起こる何かの予兆になってる。このアルバムを出す前に感じていた躊躇を今は感じていない。このアルバムのおかげで、大分視野が広がったから、「次はクレイジーなとてつもなくポップなアルバムを作るか、まったく正反対の風変わりな路線で行くか。」って考えてて。本当に“グローワー”だと思う―リスナーが多様化して、変化して、積み上がっていく。そして与えられるチャンスも変化してきている。まるで新しいバンドになったような気がする。
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ファンも喜んで、もっとたくさんの人が聴いてくれるような
アルバムを作ることの方がエキサイティングに感じる
??じゃあ、新しいアルバムは、よりポップな方向性の作品になりそうですか?
サラ:ポップ産業を目の当たりにするようになって、そう言ったものやラジオが私たちのバンドにもたらしてくれたものには、とてもやる気づけられてる。自分たちの音楽のリスナーが多様化して、より多くの人々に曲が届くようになった。そうすることには、とても興味がある。何故かというと、私たちは音楽以外のこともやってみたいと思ってるから。自分たちのファンが喜ぶようなアルバムを作るのは素晴らしいことだと思うけど、ファンも喜んで、もっとたくさんの人が聴いてくれるようなアルバムを作ることの方がエキサイティングに感じる。だから、様々なリスナーに届くような音楽を作りたいと思ってる。マムフォード&サンズとオブ・マイス・アンド・メンがすごくはやってるから、こんなジョークを言ってて…。
ティーガン:オブ・モンスターズ・アンド・メンよ。彼女は、すごくスタインベックが好きみたいね。
サラ:私もスタインベックが大好き。ああいう曲がまた好まれてるのよね―アヴィーチー(の「Wake Me Up」)とかですら。私たちはオーガニックな奏法に興味があるの。歌と詞、フィーリングに感情。私たちには、そういう音楽が響くし、そう言った類の音楽がポピュラーじゃない頃からそういう音楽を作ってた。だからたくさんのストーリーとたくさんの感情を伝えたいの。
私たちの曲には告白的な要素がると思うの。バンドを始めた当初、そこが私たちのバンドを差別化するポイントだった。その当時のアルバム・レビューやライブ・レポートによく書かれたのは…。
ティーガン:「日記からの1ページみたい!」
サラ:まだきちんと自分たちが確立されてない、1998年から2003年を振り返ると、そこが一番大きな批判だった。その告白的な部分を人によっては、恥ずかしいと感じていたことがあったみたいで。もし違う方向性に進んでいたら、まったく違うキャリアを歩んでいたと思う。そこを批判した人たちのいうことをなんて聞かなくて良かったわ。だってそこが人を惹きつけ、長年着いて来てくれた要因だから。
私たちの音楽は、“セルフィー(自撮り)”みたい。うぬぼれてる感じがするから、つつかれやすいのよね。でも、同時に色々なことを包み隠さないし、人は自分の内面を探究することに惹かれる。退屈でナルシストっぽくする必要はないと思う、自分が育つような方向性のものであれば。
ティーガン:マルコム・グラッドウェルみたいに。 内省的な、自己啓発本。
??それと最近行った“普通じゃない”ライブと言えば、ヴァンクーヴァーで行われた【NHLウィンター・クラシック】ですよね。あのライブはどういった経緯で実現したのですか?
サラ:今カナダで、私たちはまあまあ名が知れたバンドになったと思う、もっとメインストリームに。それにティーガンは、開催されたヴァンクーヴァーに住んでるから、「タダで入れてもらえるかな?」って聞いてみたら、「出演してくれればね。」っていう返答をもらったの。 今のアメリカに比べ、シングル・リリースのサイクルが確立されてて、「Closer」「I Was a Fool」「Goodbye, Goodbye」はどれもカナダではシングルとしてリリースされている。幅広いリスナーに認知してもらってるから、最初と2度目のインターミッションの時に「ヒット曲を演奏して!」って私たちを出演させることには納得できる。それにホッケー大好きだし。現状は、色々なことに「イエス」って言って、自分たちの認知度を高めることを務めてる。
ティーガン:【NHLウィンター・クラシック】に出演した後に、ヴァンクーヴァー島の小さな村に行ったの。フェリーで出会った多分50代か60代ぐらいの老夫婦に、「あなたたちのこと【NHLウィンター・クラシック】で観たわよ。」と言われたわ。
サラ:それと、これまで私たちが演奏してきた中で、最大の観客数だった。
6万人の前で演奏して、TVで観てた人も何百万人いたから。 すごくクレイジーな感じよ。私たちは1998年に活動を初めたけど、こういった機会が訪れるなんて考えてもみなかった。スポーツ・バーやコーヒー・ショップだったり、300人キャパのライブハウスで演奏して、それがもしかしたら売り切れるかもってぐらいだった。6万人の前で演奏して、「あ、「Closer」、この曲好きよ。」なんて言ってくれるなんて本当にクレイジー。バンドにとって重要な転機となる出来事だわ。
Q&A by Chris Payne / 2014年3月12日 Billboard.com掲載
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ハートスローブ
2014/01/22 RELEASE
WPCR-15484 ¥ 2,703(税込)
Disc01
- 01.クローサー
- 02.グッバイ、グッバイ
- 03.アイ・ワズ・ア・フール
- 04.アイム・ノット・ユア・ヒーロー
- 05.ドローヴ・ミー・ワイルド
- 06.ハウ・カム・ユー・ドント・ウォント・ミー
- 07.アイ・クドゥント・ビー・ユア・フレンド
- 08.ラヴ・ゼイ・セイ
- 09.ナウ・アイム・オール・メスド・アップ
- 10.ショック・トゥ・ユア・システム
- 11.ギルティー・アズ・チャージド (日本盤ボーナス・トラック)
- 12.アイ・ラン・エンプティ (日本盤ボーナス・トラック)
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