コンピCD『TEARS in R&B』

　『TEARS in R&B～泣いて泣いて泣いた歌の数だけきっと幸せになれるはず。』は、そのタイトル通り“泣いて幸せになろう”をテーマに掲げた2枚組のコンピ。ディスク1には女性アーティスト、ディスク2には男性アーティストによる「泣けるR&B」をそれぞれ収録。アリシア・キーズ「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」(2003)、ジェニファー・ロペスfeat. LLクールJ「オール・アイ・ハヴ」(2002)、ネリーfeat.ケリー・ローランド「ジレンマ」(2002)、キーシャ・コール「ラヴ」(2005)など、R&Bファンならずとも90～00年代を思い出すキラー・チューン全36曲、トータル158分の特大ボリューム。R&B黄金期である90～00年代の名曲コンピレーションとして、当時を知らない若い音楽ファンにもおススメしたい作品となっている。

　ジャケットのイラストを手掛けたのは、現在ビッグコミックスペリオール（小学館）で連載中の「オンナミチ」が話題になっている漫画家の北沢バンビ。「人生を変えるなら今・・・決意の三十路オンナミチ」というキャッチ・フレーズ通り、30代・働く独身女性のリアルな姿をコミカルに描いた「オンナミチ」と、このCDのコンセプトが一致することから、書き下ろしが決まった。北沢バンビさんいわく『ジェニファー・ロペスの「オール・アイ・ハヴ」を聴きながら描きました』というイラストの光輝く涙からは、ポジティブなパワーがみなぎっている。

　スウィートなR&Bのリズム浸るもよし、曲がヒットしていた当時のことを思い出すもよし、歌詞の世界に入り込むもよし…アルバム収録の“泣ける”R&Bをミュージックビデオ＆解説とともにご紹介！

“すべてをやみくもに欲しがる人たちもいる　だけど、すべてを手に入れても何の意味もないのよ　あなたを手に入れられないなら――”
昨年11月、5年ぶりの来日公演でも披露されたアリシアの超名曲。2003年末リリースの『Diary Of Alicia Keys』に収録され米国ビルボードの2004年R&B/HIPHOP年間チャートで1位に輝いた絶品バラード・クラシック。

“賢くなるの　たくましくなるの　タフになるの　強くなるの…　未来に賭けるの　いつも上を向いて生きるの――”
米国ビルボードチャートで5位を記録した、UKロンドン出身 デズリーの初期の代表曲。ポジティブな歌詞の内容から、結婚パーティーなどでもよく使われるだけでなく、クラブではリミックス・バージョン「Love Will Save The Day Mix」も人気に。

“キミさえいてくれれば金も車もいらない　キミは俺の心そのものだよ――”
最近は何かとお騒がせゴシップの多いクリス・ブラウンですが、リアーナとLove2の頃にはこんなにスウィートなラヴソングを歌い、米国ビルボードチャートで2位を記録。　爽やかなアコースティック・フレイヴァーは、Ne-Yoのヒットに貢献したスウェーデン出身 スターゲイトのプロデュース。

“あなたが心を切り開き、私は愛という名の血を流し続ける――”
英・人気オーディション番組『X FACTOR』第3回大会の優勝者、レオナ・ルイス。この曲で全英はもちろん、米国ビルボードチャートでも1位を獲得。英国出身の女性アーティストが英・米でNo.1に輝いたのは20年ぶりの快挙。翌2008年に行われた北京オリンピック閉会式では、レッド・ツェッぺリンのジミー・ペイジと共に登場して話題に。

“どんなことをすれば、君が気持ちよくなってくれるか知りたいのさ　そうすれば君の望み通りのことをしてあげるよ――”
毎年のようにビルボードライブに登場し、楽屋が花束で埋まるR&B界随一の色男、Joeの代表曲。米国ビルボードチャートで4位、年間チャートでも4位に喰い込むロング・ヒットを記録。毎回ライブでは大合唱、お馴染みのキラーチューン。

“キミみたいにいろんなことを俺に教えてくれたヒトはいないよ　キミは別格　キミのようなヒトには初めて出会ったよ――”
当時は恋人同士だったヤンチャ坊主のBow Wow君とアトランタのクランク姫Ciara嬢の甘いデュエット。米国ビルボードR&B/HIPHOPチャートでNo.1、Hot 100でも2位を記録。彼の浮気が原因でお別れした二人。Ciaraは昨年ラッパーのFutureと結婚し、年明けに妊娠も発表幸せいっぱいの模様。

“平和で心地よい日曜日の午後　7月4日の公園にはあなたも私もいたっけ――”
という歌詞で始まる、直球ラヴソング。ライヴ映像を交えたミュージックビデオからも当時の熱狂が伝わってくる。同曲収録アルバム『CrazySexyCool』で彼女たちのファンになった人も多いのでは? R&Bやヒップホップ、ファッションやダンス、全てはTLCが教えてくれた…レフトアイ亡き今も活動を続ける永遠のR&Bアイコンだ。

“失恋と言葉にするのは簡単だけど　感情のうねりを自分でどうすることもできない　悲しみに沈み　自分を見失ってしまったの――”
先日のグラミー賞でもJAY-Zとの夫婦共演で華やかにオープニングを飾った歌姫 ビヨンセが在籍していたデスチャ。アコースティックなこの曲は1970年代に活躍した兄弟グループ ビー・ジーズによるもの。デスチャのメンバーは昨年のNFLスーパーボウルのハーフタイム・ショーで久しぶりに3人揃って登場し、ファンを熱狂させた。

　 泣いた曲の数だけ幸せになれる！？FM局J-WAVEを代表する女性ナビゲーターが対談。「女の涙」の意味と「泣ける音楽の効能」を語っていただきました。

「あの頃の気持ち」に戻れる　音楽はタイムマシーン

板井麻衣子：藤原さんはけっこう泣き上戸だという噂ですね（笑）

藤原恵子：そうなんですよ。最近は舞台を観に行く機会が多くて、先日もミュージカル『ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング』で泣いちゃいました。パワフルなゴスペルの歌声を聴いているとぐっときちゃって。

板井麻衣子：私は人が頑張っている姿を見た時に涙腺が緩むみたいで、この前の高校バレーと高校サッカーの決勝はうるっときましたね。あと、潤い不足の心に染みる音楽を聴いて癒されたり。

藤原恵子：音楽は過去の自分のいろんな思い出や記憶を呼び起こしてくれますよね。

板井麻衣子：そう。あの頃、あの瞬間に気持ちが戻る。あの彼は失敗だったなも含めて（笑）

藤原恵子：去年のアリシア・キーズのライブは、高校生の頃の恋や辛かった試験勉強のことを思い出して泣けましたね。あの頃はアリシアの歌にどれだけ励まされたことか。

板井麻衣子：私はライブは一音も聞き逃さないように集中しているから、泣くことは滅多にないかな。でも、それを超える圧巻なものに触れたときは思い切り泣くようにしています。

藤原恵子：思い切り泣くのって気持ちが良いですよね。ある意味で女子の特権でもあるし。

板井麻衣子：あと、美しいものや愛を感じられるものに出会ったときも心が動かされません？

藤原恵子：確かに旅先で美しい光景を目にすると、不意に感情が突き動かされますね。富士山が綺麗に見えただけで、気持ちがパーッと晴れるように。

板井麻衣子：分かる！ 私は富士山には二回登頂しましたから。

藤原恵子：私も登りました。お天気が悪くて八合目までしか行けなかったんだけど、それでもすごく達成感があったし、20代のラスト・イヤーの記念になりました。

週末の「涙活」で　明日への糧をチャージ

板井麻衣子：私が泣けるのって、心に染みること、圧倒的であること、プラス、安心させられる時ですね。東京で生きていると、常に「頑張らなくちゃ」というスイッチがオンになっているから、そこを楽にしてくれる音楽や映画に出会うと涙腺が緩みますね。

藤原恵子：それ分かります。私も育ちがタイで、東京に比べるとのんびりした環境にいたので、社会に出てからはどこか「鎧」を着ている感覚がある。その疲れを週末の「涙活（るいかつ）」で補っているところはあるかな。

板井麻衣子：「涙活」って言葉、初めて聞いた！

藤原恵子：お疲れ気味の働く女子が、鉄板の泣ける音楽や映画や海外ドラマを観たり聞いたりしてリフレッシュすることをそう呼ぶらしいですよ。私は海外ドラマも大好きで、『アグリー・ベティ』のような懸命に頑張っている主人公にはつい感情移入しちゃいますね。

板井麻衣子：私の場合は、泣くときに自分の感情に何が起きているかを知りたくなるタイプ。でも、ポジティブな涙は、精神的にすっきりして、よっしゃ、次に行こうという気になれますよね。

藤原恵子：泣くことで心のスイッチを切り替えられるのかも。20代後半ぐらいから、こういう気分の時はこんな音楽とか、そのライブラリーが増えてゆく。私のお薦めはケイティ・ペリーのドキュメンタリー映画『ケイティ・ペリー パート・オブ・ミー３Ｄ』。あの歌姫が一人の人間としての素顔をさらけ出す姿にぐっときたし、女性として共感する部分も多々ありました。

板井麻衣子：ドキュメンタリー映画なら『ビル・カニンガム&ニューヨーク』もよかった。きっと何かに感動して泣いたりすると、心がチャージされるんですよね。

藤原恵子：そう！ 女子はそれを糧に明日からも元気に生きてゆけるんですよ。