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ダイド 『グレイテスト・ヒッツ』インタビュー
2900万枚のトータル・セールスを誇る、イギリスを代表する女性シンガーソングライター、ダイド。1999年のデビュー作『ノー・エンジェル』に収録された「Thank You」が、グウィネス・パルトロー主演の『スライディング・ドア』に起用され注目を浴び、その後エミネムの「Stan」にサンプリングされ、世界的にブレイク。2ndアルバム『ライフ・フォー・レント』では、17か国で1位に輝き、その人気は不動のものに。その後も、唯一無二のヴォーカルと情緒的な詞で、次々とヒット・シングルを生み出してきた。
今年4月に、母になってから初の作品『ガール・フー・ゴット・アウェイ』をリリースしたばかりの彼女が、デビューから約15年を記念してベスト・アルバム『Greatest Hits』を全米で11月25日にリリース。その内容やエミネムとの共演などについてBillboard.comに語ってくれた。
私にとって音楽と言うのは、本物の記憶や感情を呼び起こさせてくれる
??昔の写真やビデオを掘り起こしたり、過去の追憶を行っているようですね。
ダイド:そうなの!私にとって、今年の11月は過去を振り返る月になった。でも、とっても楽しいわ。今まであまりこんな事をすることはなかったけれど、この『Greatest Hits』を通して聴いてみるのは素晴らしかった。この15年間の私のクレイジーな日記を1時間に凝縮したみたいで。私にとって音楽と言うのは、本物の記憶や感情を呼び起こさせてくれる。記憶は、時が経つとあやふやになっていくけど、曲を書くことは…どこにいて、何を着ていて、何をしていて、誰といたかというのと繋がっていて…すべて憶えているの。このアルバムの曲を再び聴くことで、その時のことを鮮明に思い出した。すごくクレイジーよね。
??グレイテスト・ヒッツ・アルバムをリリースすると思っていましたか?
ダイド:全然よ(笑)!自分でもビックリしてるわ。アルバム制作中に友人に「グレイテスト・ヒッツ・アルバムを作る気はある?」と問われた時も、「本気?」って返事したぐらいだもん。こういうアルバムを作るのって、本当にクレイジーよ。でも作るのは楽しかったわ…この15年間をきちんとお祝いするみたいで。こんなことが出来るなんて、考えてもみなかったわ。
??収録された曲はどのようにセレクトしたのですか?
ダイド:大変ではなかったわ。むしろ(ボーナス・ディスクの)リミックス・アルバムを作る方が難しかった。だって気に入ったリミックスがたくさんありすぎたから、全部収録するのには苦労したわ。みんなが聴いたことがない曲も入れたかったし。まだ誰も聴いたことがなかったティンバランドのリミックスやMantronixの「Go Dreaming」、Moguaiの「Blackbird」リミックスなんかの新しいもの。すべてアルバムに入れたかった。アルバムのメイン部分はシンプルに…シングルや好きな曲を年代順に収録して、後はコラボレーションも入れて全ての時期を網羅したものにしたわ。
??息子のスタンリーが、ダイドの音楽をどのように感じるか見当がつきますか?
ダイド:彼は、私が歌うのを見て、ママはみんな歌うものだと思ってるみたい(笑)。全員よ!2歳だから、まだあまりよく理解してないみたい。毎晩眠る前に歌ってあげているの。でも数日前、いつものように歌ってあげていたら「うるさい!」って言われちゃって…。もうスタンリーの歌手としてのキャリアは終わりかしらね。
▲ 「Stan (Long Version) ft. Dido」 / Eminem MV
??今夏、エミネムがヘッドライナーを務めたイギリスのリーズ・フェスティヴァルでは、「Stan」の時にステージに参加してましたよね。
ダイド:素晴らしかったわ。とっても楽しかった。観客の反応も最高で、アガッタわ!あれは本当に楽しかったパフォーマンスね。
??今エミネムが最新作『ザ・マーシャル・マザーズLP2』でダイドを再び起用することを考えていたけれど、結局はしない方向でレコーディングを進めたと訊いたのですが、直接話はされたのですか?
ダイド:それ、最近誰かに聞いたばかりよ。彼との話では挙がらなかったわ。
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Original Text: Chris Payne / Photo: Guy Aroch
曲を書いた時にどこにいたか、何を考えていたか、
いつも記憶に留めているわ
??ダイドが書く詞はパーソナルなものが多いですが、今回のアルバムで、これまでの作品を振り返る過程で、以前とは違う風に感じるものはありましたか?「私ったら、何考えてたんだろ?」と思ったりするものだったり?
ダイド:曲を書いた時にどこにいたか、何を考えていたか、いつも記憶に留めているわ。自分の人生にとって意味を増すものやその逆の場合もある…今ふと「White Flag」を書いた時の強い想いが蘇って来たわ。昔感じていたことを思い出すこともある。スタンリーが生まれる前に、映画の為に書いた「Everything To Lose」という曲があるけれど、彼が生まれた後に聞き返したら、とてもしっくりきた。曲を書いていた瞬間に引き戻されるのは確かね。
??では、未発曲「NYC」について教えてください。これはどこで書いたものですか?
ダイド:この曲は、(2013年に)「End of Night」、「Happy New Year」、「Let's Runaway」をグレッグ・カースティンと作った時に、書かれたもの。でも完成していなかったから、キープしていたの。私がアーティストととして出たての頃、初めてアメリカに行った時のことについて歌っているから、このアルバムにピッタリな曲よね。「上手くいくわけがない。」と言った(プロデューサーの)兄ローロ・アームストロングに、NYに行くことで、自分を証明したかった。「何かが起こるまで絶対帰らない。この街のすべての道を歩くまで帰らない。」と思いながら、NYの街を歩いた。次のアルバムに入れるより、このアルバムの方が相応しいって感じたの。
??初めてNYに来た時の印象は?
ダイド:私は、ずっとロンドンに住んでいるシティ・ガールだけど、初めて来た時はとても圧倒された。都会は慣れているけれど、その時はクリスマスで…変なタクシー運転手にあたっちゃって…。タイムズ・スクエアだったんだけど、近くにいた運転手をバールで叩き始めたの。何故もめてるのか全然わからなかったわ。クリスマスで、このタクシーのことを1時間半ぐらい待ってたから、乗らないわけにはいかなかった。「その人のこと殺しちゃマズイんじゃない?」って喧嘩を止めようとはしたわ。そしたらしばらくして車に戻って、行き先に連れて行ってくれた。料金は払わなくていいって言われたから、良かったけどね。
NYは大好きよ。私のバンドのメンバーは全員NY出身なの。すべてはNYではじまって…もう10年以上一緒に演奏してる。思い出深いことは、すべてNYで起こってる。「Stan」をはじめて聴いたのもNYのホテルでだった。手紙、そしてCDを受け取り、当時使ってた小さなCDプレイヤーで聴いた時に、とても感動したのはよく憶えてる。
??「Thank You」を使いたいというのは、手紙を通じてだったんですね。
ダイド:そう。「あなたの曲を聴いて、とても気に入りました。「Stan」という曲に使いたいのですが、聴いてもらえますか?気に入ってもらえて、曲を使わせてもらえれば嬉しいです。」と書いてあった。突然のことだったから、ビックリしたわ。元々エミネムの大ファンだったから、クールと思ったけど、まったく見当もつかないから、「どんな曲になったんだろう。」と思いながら聴いてみた。その時、何人か友人も同じホテルに泊まってて、廊下を駆け抜けながら、「今すぐこの曲を聴いて!ヤバイよ!」って大騒ぎしたから、鮮明に憶えているわ。
2013年11月15日 Billboard.com掲載
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Original Text: Chris Payne
ガール・フー・ゴット・アウェイ
2013/04/24 RELEASE
SICP-3794 ¥ 2,640(税込)
Disc01
- 01.ノー・フリーダム
- 02.ガール・フー・ゴット・アウェイ
- 03.レット・アス・ムーヴ・オン feat.ケンドリック・ラマー
- 04.ブラックバード
- 05.エンド・オブ・ナイト
- 06.シッティング・オン・ザ・ルーフ・オブ・ザ・ワールド
- 07.ラヴ・トゥ・ブレイム
- 08.ゴー・ドリーミング
- 09.ハッピー・ニュー・イヤー
- 10.ラヴレス・ハート
- 11.デイ・ビフォア・ウィ・ウェント・トゥ・ウォー
- 12.レット・アス・ムーヴ・オン feat.ケンドリック・ラマー (prod. ジェフ・バスカー・アンド・プレイン・パット) (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 13.オール・アイ・シー feat.ピート・マイザー (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 14.ジャスト・セイ・イエス (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 15.レッツ・ランナウェイ (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 16.エヴリシング・トゥ・ルーズ (アーミン・ヴァン・ブーレン・リミックス) (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 17.ロスト (UKデラックス盤ボーナス・トラック)
- 18.ノー・フリーダム (トム・スウーン・リミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
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