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野宮真貴 Miss Maki Nomiya sings "Shibuya-kei Standards" インタビュー

野宮真貴インタビュー

 昨年はデビュー30周年を迎え、アルバム『30?Greatest Self Covers & More!!!?』のリリースとアニバーサリー・ライブが話題を呼んだ野宮真貴が、この秋、ビルボードライブに再び登場する。

 1981年にデビューし、90年代にはピチカート・ ファイヴで「スウィート・ソウル・レビュー」、「東京は夜の七時」などのヒットを放ち、渋谷系のアイコンとして国内外で熱烈な人気を獲得。「東洋のバービードール」と称される存在感と歌声で、ファッションやカルチャーの最前線でも常に注目を集めてきた彼女が、今年のビルボードライブではどんなステージで私たちを魅了してくれるのだろうか。

 11月1日にビルボードライブ大阪、11月3日にビルボードライブ東京での公演が控える彼女に話を聞いた。

『野宮真貴 渋谷系スタンダード化計画』

??昨年のデビュー30周年イヤーは、いま振り返ってみるといかがでしたか?

30
▲30周年を記念したアルバム『30?Greatest Self Covers & More!!!?』

野宮真貴:2012年は私にとって記念すべき年になりましたね。アルバム『30?Greatest Self Covers & More!!!?』をリリースし、沢山のゲストを迎えての30周年記念ライブや、念願だった初めてのビルボードライブのステージを実現することができて、とても充実した1年でした。

??この秋もビルボードライブでの公演が決まりましたが、今回はどのようなステージになりそうですか?

野宮真貴:去年は30年に及ぶキャリアをセルフ・カヴァーというかたちで表現してみましたが、私のキャリアの中でやはりピチカート・ファイヴはとても重要な存在なんですね。ピチカートで過ごした10年は本当に掛け替えのない時代だったし、アルバムの選曲をしているときに改めて小西康陽さんの作る曲や歌詞の素晴らしさを確認することができました。今年はさらにそれを進めて、渋谷系と呼ばれた音楽のルーツをお聴かせする『野宮真貴 渋谷系スタンダード化計画』というテーマでお届けしたいと思っています。

??『渋谷系スタンダード化計画』!?それは選曲がとても気になりますね。

野宮真貴:私は小さい頃から歌手になりたくて、子どもの時はテレビから流れてくる歌謡曲に夢中になった世代なんです。70年代のはじめはNHKの『ステージ101』という音楽番組のヤング101メンバーに憧れていました。それはオーディションで選ばれた若者たちが、洋楽を日本語の歌詞にして歌ったり、踊ったりする番組で、当時の洋楽はそこで随分知りました。あと、ここ数年、私がナレーションを務めさせていただいている音楽ドキュメンタリー番組『HIT SONG MAKERS~栄光のJ-POP伝説~』(BSフジ)で、筒美京平さん、村井邦彦さん、中村八大さん、いずみたくさんといった偉大な作曲家・作詞家の方々の作品にたくさん触れたことも大きいですね。子どもの頃から聴きなじんだヒットソングを世に送り出した先達の曲は、今聴いても本当に素晴らしくて、洋楽を歌謡曲に落とし込むセンスや巧みなアレンジは渋谷系や今のJ-POPにも脈々と継承されていますよね。

??渋谷系の頃は、DJを中心に60?70年代の隠れた名曲を掘り起こしたり、そこからインスパイアされた曲が生まれたりしましたよね。

野宮真貴:そうですね。小西(康陽)さんはその筆頭でもあったし、ピチカートもそういう先輩の影響を受けてきましたからね。同じように、90年代を彩った渋谷系ヒットナンバーも20年の月日を超えた今でも多くの人に影響を与え、愛されているものがたくさんあります。私はシンガーとして、ピチカートの曲や渋谷系ヒットナンバーをそれらのルーツとなった先輩たちの名曲とともに歌うことで「スタンダード・ナンバー」としてお届けしたい。それが『渋谷系スタンダード化計画』です。

「ぼくらが旅に出る理由」のカヴァーがひとつのきっかけに

KEITA MARUYAMA 2013-2014 AW COLLECTION
▲KEITA MARUYAMA 2013-2014 AW COLLECTION [VIDEO]

野宮真貴:Keita Maruyamaの2013 A/Wコレクションはショート・ムービーで作品を発表する形式で、デザイナーの(丸山)敬太さんが今回のコレクションのテーマに選んだのが彼の大好きな曲「ぼくらが旅に出る理由」だったんです。そのムービーの中であの曲を私に歌ってほしいというオファーをいただいて、私は歌姫の役で出演もしています。中塚武さんのアレンジで私流にカヴァーしてみましたが、今改めて聴くと、歌詞が深くて胸に沁みるんですよね。あの曲をカヴァーしたことも、今回の『渋谷系スタンダード化計画』のきっかけになりました。

??『渋谷系スタンダード化計画』は渦中にいた野宮さんが歌うことに意味があると思うのですが、今も聞き継がれていると実感されるのはどんな時ですか?

野宮真貴:若い世代の90年代を知らない人たちからライブや共演のお話をいただいたり、海外にもけっこう根強いファンがいるんですよ。2008年に“ブラジルの渋谷系”と称される人気バンド “パトフ”のヴォーカリストで、ソロでも活躍中のフェルナンダ・タカイさんにラブ・コールをいただいて、ブラジルのフェスティバルに出演したんですが、彼らもピチカートの大ファンで、渋谷系という名称は向こうのメディアのインタビューでもそのまま通じました。ブラジルはそのときが初めてだったんですけどね。

??最近ではバニラビーンズともライブで共演されたり、彼女達も「東京は夜の七時」や「ベイビィ・ポータブル・ロック」をカヴァーしているとか。

野宮真貴:そうなんですよ。ライブでは「東京は夜の七時」を一緒に歌ってとても楽しかった。彼女たちのようなアイドルの女の子たちがカヴァーしてくれるのも面白い現象だし、世代を超えて歌い継がれていくのは嬉しいことですね。今は渋谷系を懐かしく聴きかえす人もいれば、初めて聴いて新鮮に響く世代もいる時期なのかもしれませんね。

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Interviewer:佐野郷子(DO THE MONKEY)

野宮真貴「30 -Greatest Self Covers & More!!!-」

30 -Greatest Self Covers & More!!!-

2012/01/25 RELEASE
AICL-2343 ¥ 3,204(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.マキのレキシ (Produced by レキシ)
  2. 02.東京は夜の七時 (Produced by DJ FUMIYA(RIP SLYME))
  3. 03.私の知らない私 (Produced by テイ・トウワ)
  4. 04.ベイビィ・ポータブル・ロック (Produced by ヒャダイン)
  5. 05.スーパースター (Produced by 雅-MIYAVI-)
  6. 06.スウィート・ソウル・レヴュー (Produced by DAISHI DANCE)
  7. 07.マジック・カーペット・ライド (Produced by コーネリアス)
  8. 08.トゥイギー・トゥイギー (Produced by □□□)
  9. 09.皆笑った (Produced by 高橋幸宏)
  10. 10.ウサギと私 (Produced by 鈴木慶一&曽我部恵一)
  11. 11.悲しい歌 (Produced by 大橋トリオ)
  12. 12.メッセージ・ソング (Produced by カジヒデキ)
  13. 13.陽の当たる大通り (Produced by YOUR SONG IS GOOD)
  14. 14.マキのヤボウ (Produced by レキシ)
  15. 15.スウィート・ルネッサンス -BONUS TRACK-

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