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マデリン・ペルー 来日記念特集
「21世紀のビリー・ホリデー」と呼ばれ、若くしてその溢れ出る才能を名門アトランティック・レコードに見い出されたシンガーソングライター、マデリン・ペルー。レイ・チャールズの金字塔的作品『モダン・サウンズ・イン・カントリー&ウエスタン』を彼女独自の解釈で再構築した最新アルバム『ブルー・ルーム 』を引っさげ、10月に来日公演を行う彼女の魅力を探る。
▲ 「Getting Some Fun Out Of Life(Billie Holiday cover)」(1991年当時の映像)
ニューヨーク、カリフォルニアを転々とし暮らした幼少期。母親の離婚とともに13歳の時にパリに移住、その母にウクレレを習い、音楽に目覚める。15歳の頃には既にパリのラテン・クォーターでストリート・ミュージシャンたちとバスキングし、翌年にはヨーロッパをツアー、主にジャズ・スタンダードを歌う。その後も様々な国を転々とし、その才能を開花させていく。そんな彼女にとって転機となったのが、アトランティック・レコードのイヴ・ボーヴェとの出会い。
彼にニューヨークのクラブで歌っているところを見いだされ、イヴ、そしてトム・ウェイツ、デヴィッド・バーン、フィオナ・アップルなどの作品への参加で知られるグレッグ・コーエンを共同プロデューサーに迎え、1996年にデビュー作『ドリームランド』をリリース。独特のハスキーな歌声でビリー・ホリディの「ゲティング・サム・ファン・アウト・オブ・ライフ」やエディット・ピアフの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」やパッツィー・クラインの「ウォーキン・アフター・ミッドナイト」などをカヴァーし、「21世紀のビリー・ホリデー」と評され、一躍その名を知らしめることとなった。だが、その後6年間ほとんど表舞台には出ず、ライブは行うものの、自身の名前で演奏すら稀で、レコーディングにおいても他のアーティストの作品に参加するまでに留まった。
2004年には、長年のブランクをものともせず、2ndアルバム『ケアレス・ラヴ』で完全復帰。その後も彼女の作品を手掛けることとなるラリー・クラインをプロデューサーに迎え、彼女が今日まで歌い続けているレナード・コーエンの「哀しみのダンス」、ボブ・ディランの「ユアー・ゴナ・メイク・ミー・ロンサム・ホエン・ユー・ゴー」やエリオット・スミスの「ビトウィーン・ザ・バーズ」などの名曲を唯一無二のスタイルとより磨きがかかったその哀愁漂うヴォーカルで取り上げ、再び注目を集めることとなる。アルバムには、1曲だけ彼女がクライン、ジェシー・ハリスと共作した曲「ドント・ウェイト・トゥー・ロング」も収録されている。
その2年後にリリースされた『ハーフ・ザ・パーフェクト・ワールド』は再びラリー・クラインをプロデューサーに起用し制作され、セルジュ・ゲンスブールの「ラ・ジャヴァネーズ」、トム・ウェイツの「 (ルッキン・フォー)ザ・ハート・オブ・サタデー・ナイト」などのカヴァーを収録。中でも一番注目を浴びたのが、k.d.ラングをフィーチャーしたジョニ・ミッチェルの「リヴァ―」のカヴァーだった。今作にはオリジナル曲が4曲収録され、ソングライターとしての才能も評価された。
2009年にリリースされた『ベア・ボーンズ』では彼女がすべての曲を共同、または自身で手掛け、その類まれなる才能はヴォーカルに留まらないことを証明し、米ビルボードのジャズ・チャートにて1位に輝く。特にジョー・ヘンリー、ラリー・クラインと共同で書かれた6曲目の「ラヴ・アンド・トレチャリー」は、“レナード・コーエンが書かなかった曲”とまで評された。2011年の『スタンディング・オン・ザ・ルーフトップ』では心機一転。プロデューサーにノラ・ジョーンズ、ミシェル・ンデゲオチェロ(ミシェルはアルバムにもベーシストとして参加している)などを手掛けたクレイグ・ストリートを起用し、長年のコラボレーター、マーク・リボー、さらにはビル・ワイマン、アラン・トゥーサンなども参加した意欲作となっている。今作では再びカヴァー・ソングを取り上げており、ビートルズ、ボブ・ディラン、そしてロバート・ジョンソンの異色のカヴァーが収録されている。
▲ 「Changing All Those Changes」 (Official Video)
今年3月には、レイ・チャールズの金字塔的作品『モダン・サウンズ・イン・カントリー&ウエスタン』を独自の解釈で再構築した最新アルバム『ブルー・ルーム 』をリリース。再びラリー・クラインとタッグを組み、完成させた彼女の真骨頂とも言える今作。ジャズ、フォーク、ブルースを自由自在に操る彼女が、レイ・チャールズの独創的な世界観にモダンなエッセンスを加えることでリリースから半世紀を経た名盤を見事に現代に蘇らせた。
SETLIST from The Historic Rialto Theatre 2013.08.03
今年8月3日にアリゾナ州トゥーソンで行われた最新ライブのセットリストをチェックして、10月のライブに挑もう!
01. Take These Chains (from The Blue Room)
►►Live at WFUV
02. Bye Bye Love (from The Blue Room)
03. Guilty (from The Blue Room)
►►Live at WFUV
04. You Don't Know Me (from The Blue Room)
05. Changing All Those Changes (from The Blue Room)
06. La Javanaise (Serge Gainsbourg cover)
►►Live on Austin City Limits
07. Half The Perfect World (from Half The Perfect World)
08. You're Gonna Make Me Lonesome (Bob Dylan cover)
10. I Can't Stop Loving You (from The Blue Room)
►►Live on CBS News
11. Bird On A Wire (from The Blue Room)
12. Dance Me To The End (Leonard Cohen cover)
►►Live @ Cully Jazz Festival 2012
13. Desperadoes Under The Eaves (from The Blue Room)
►►Live at WFUV
14. Instead (from Bare Bones)
►►Live on Austin City Limits
Encore:
15. Careless Love (from Careless Love)
16. If I Had You
来日公演情報
「大切なのは歌だけ」と言いきる
シンガーソングライター、マデリン・ペルーが初登場!
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ビルボードライブ東京:10/2(水) ~ 10/3(木)
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INFO: ビルボードライブ オフィシャルサイト
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