（スヌーピーとの共演に）まさか、こんな日が来るとは

??まず最初に、ベスト盤をひっさげて行われたホール＆アリーナ・ツアーはいかがでしたか？

JUJU：非常に過酷ながらも楽しい旅でしたね。最初にスケジュールを見た時、初めての場所含め色々な所に行けて楽しいなぁと思ってたんですけど、一週間に5本とか、ライブが続くこともあって…今は、意外と体力あるんだな、私！って感じですかね（笑）。でも、本当に楽しく日本中を回らせていただきました。

??そしてJAZZアルバム第二弾『DELICIOUS～JUJU’s JAZZ 2nd Dish～』がリリースされましたが、第一弾と比較して変わった点は？

JUJU：前作は本当にストイックにジャズ・アルバムを作ろうと思って、スタンダードをメインにやることにしたんです。ジャズ・アルバムっていっても、ラテン・ジャズだったり、ポップスのジャズ・アレンジだったりと色々なアプローチがある中で、とにかくミニマムにジャズ、スタンダードに徹しました。でも今回は、よりふり幅をいっぱいに広げてラテン・ジャズやディズニーのナンバーをボサ・ノヴァ調にアレンジしたものまで、より選曲が多様化してますね。とはいえ、ジャズが身近ではない人でも聴いたことのある曲、というのは両作品共通のテーマになっています。

▲JUJU「Take Five」

??なるほど。今作のリードナンバー「Take Five」などは、まさに“誰もが知る名曲”ですが、そのミュージックビデオでついに！！スヌーピーとのステージ共演が実現しましたね。

JUJU：まさに夢の共演ですよ。まさか、こんな日が来るとは思ってなかったという。作っている時は、「スヌーピーの大きさはこの位です。」みたいな感じでやっていて、どういう風にスヌーピーが入ってくるのか全然想像もつかなかったんですけど（笑）。出来上がった作品を見た時に、あーっ、そういうことか！ってすごく感動しました。

??伝統的なジャズクラブ、スヌーピー、そして謎のロボット・ダンサーと個性的な要素が交差して、ひとつの世界観を作り上げているという印象を受けました。あのロボットたちは一体何者なんですか？

JUJU：あれは、なんだか監督の強いこだわりらしく（笑）。アール・デコ様式を表現するために出演してくれているみたいです。

??第二弾とはいえ、JUJU＝J-POPと認識しているリスナーはまだまだ多いと思います。ジャズ・プロジェクトにおいても、そういったリスナーのことは常に意識していますか？

JUJU：もちろん。JUJUとジャズがみなさんにとって、そうそう簡単に結びつくものではないと認識しているので、必ずオリジナルの日本語曲を入れて、そういうリスナーに「やっぱりJUJUだな！」って安心していただけたらいいなって思ってます。あと、先ほどの話にも通じますが、耳なじみの良い曲を選ぶようにしています。やっぱり、ジャズ＝難しいものって思っている人が多いじゃないですか。でも、私はジャズってとても庶民的で、生活に密着している音楽だと思ってるんです。「ジャズ好きなのに、この曲も知らないの？」みたいに知識で語られることが多いジャンルだからこそ、そんなことは一旦隅に置いておいて、「ジャズって楽しい！」って純粋に受けとめてもらえるような選曲を心掛けています。

ジャズクラブに行く時には絶対にドレスアップをする

??そして、そのアルバムをひっさげジャズクラブ・ツアーが行われるわけですが、JUJUさんご自身はNY生活の中でいわゆる“クラブ”ではなく、“ジャズクラブ”にも、よく足を運んでいたんですか？

JUJU：はい、よく行ってましたね。その頃も今も、ジャズクラブに行くっていうのは、私にとってものすごく“非日常”なことなんです。だから、ジャズクラブに行く時には絶対にドレスアップをする、普段着では行かない、って自分の中で決めてます。いくら寒くても、例えNYでマイナス16度だったとしても、生脚！ヒール！ドレス！毛皮！みたいな。そうやって楽しむ場所であり音楽であると思うんです。

??では、JUJUさんのジャズライブもそのような“非日常”がコンセプトなのでしょうか？

JUJU：ジャズライブに来ていただくみなさんには、『スナックJUJU』に来ていただくようなつもりで、ぜひドレスアップして遊びに来ていただけたらいいなと思っています。だから、過去にも来場者の中からベストドレッサー賞を選ぶ企画をやってみたりしたんですけど。日本ってドレスアップして遊びに行く場所が本当に少ないと感じているので「JUJUがまたジャズライブやるから、ドレスアップできるじゃん！」って喜んでもらえるライブになったらいいなって思ってます。それと、音楽に関しては、JUJUとして歌う時とジャズを歌う時、使うノドが全く違うことに最近初めて気付いたんです。だから、いつもとは違う、私がまだJUJUになる前にJUNとしてジャズを歌っていた声をぜひ聴いていただけたらなと思っています。あとは、よくしゃべります。英語の曲がメインなので、英語が分からない方のために、曲の説明をしてから歌うようにしてるんです。そうすれば英語の曲でもみんなが「分かる分かる！」って言ってくれますね。

??普段ホールクラスの会場でライブをやっているアーティストほど、「小さな会場の方が緊張する」とおっしゃっている気がするのですが、JUJUさん的にはいかがですか？

JUJU：確かに緊張しますね。でも、ブルーノート東京に関しては、あの場所の持つ魔力なのか、とにかく楽しくて楽しくて仕方ないんです。確かに一番前のお客様なんて、スピーカーを肘置きにできる位の近さで（笑）。だから緊張ももちろんするんですけど、でもそれ以上にジャズをやれて楽しい、っていう気持ちが断然勝ってます。

??ちなみにビルボードライブ大阪の印象は？

JUJU：ビルボードライブ大阪も好きですよ！前回のジャズクラブ・ツアーが初めてのステージだったのですが、すごく特徴のある会場の造りですよね。そうそう、特に出捌けの場所が面白くて。アンコールの時にフツーにお客様の間を通って「どうもどうもー！」みたいな感じが、なんかすごく新鮮でした（笑）。

どれだけ準備をしても、当日までは不安で不安で仕方がない

??そしてジャズライブの先には、クラシック・コンサートが控えているわけですが、2013年JUJUの日（10月10日）、フルオーケストラを従えオーチャード・ホールに立つご自身のイメージというのは、すでに出来上がっていますか？

JUJU：いやぁ、もう、ただひたすら怖いですね。ツアー中やTV収録などでも、弦の方が入るだけで緊張してしまうんです。クラシックを演奏する方たちは絶対音感で生きている方たちなので、私が少しでもズレたりしたら瞬時に「うわっ！気持ち悪っ！」とか思われてるのかな、とか（笑）。以前、京都市交響楽団さんと演奏会をやらせていただいた時も、私はクラシックの作法を知らない、いわばズブの素人なので、何をどうしたらいいのか、何をしたら失礼にあたるか、一切分からなくて。あとクラシックって、すごくリズムが揺れるじゃないですか。いったい誰のどの音に合わせたら、自分の歌が遅れたり走ったりしないんだろうとか…とにかく分からないことだらけだったんですが、いざ終わってみたら、もう、すっごい楽しかったんです。それで、その時に、ひとつの場所で歌うより、ステージ上を歩き回ったほうが歌いやすいってことに気付きましたね。だから、次もそう出来たらいいんだけど…今回は動き回らせてもらえるのかな。（※スタッフが、動き回るスペースを確保します！と宣言）

??そして今回は、東名阪ツアー全て名門の日本フィルハーモニー交響楽団さんと一緒に回るということで、100人規模の大移動、日本フィルのメンバーもとても楽しみにしているみたいですよ。

JUJU：100人で移動ってなかなかないですよね、そんな大移動（笑）。新幹線ジャックですかね！楽しみです。

??アーティストとして、このような新しいプロジェクトにチャレンジする時、どういった心構えで臨みますか？じっくり考える派か、それともまず突っ走るタイプか…

JUJU：根がビビリなので、これをやるとしたらこういうリスクがあって、自分がこう動いたらどうなってとか、とにかく色んなことを、常に考えすぎてるんですけど…結局、考えているうちにその日が来るんです。ヤバイヤバイヤバイ！って言いながら、本番当日（笑）。でも、例えどんな規模であってもステージに立ったら後には引けない、やるしかない。だから、常に背中をドつかれて、ステージに立ちます。どれだけ準備をしても、当日までは不安で不安で仕方がないんです。

??ステージに立った瞬間、吹っ切れるんですね。

JUJU：一声をだしたらもう進むしかないので！でも本当に私、本番前、とにかく、すっごい緊張するんです。

??（ベスト盤ツアーのスケジュールを改めて確認して）こんなにものすごい数のライブをやっているのに。

JUJU：そうなんです、どれだけやっていても、全く関係ないみたいで（笑）。

??それは小さなクラブで歌っているときから変わらずですか？

JUJU：小学校の音楽の授業で、みんなの前で一人一曲ずつ歌う、あのテストの時の緊張と未だに一緒ですね。全然変わらない。

??そこまで遡りますか。でも、ステージでは全くそれを感じさせないですね。すごい。

JUJU：それ、みなさんに言われるんですけど、私、緊張するとふてぶてしくなるらしいんです、見た目が（笑）。MCの頃にはすでに落ち着いてるんですけどね。というか、しゃべることは全く緊張しないんですけど、歌がほんとに…緊張するなぁ。

??って、普通、逆じゃないですか？（笑）

JUJU：ですよね、だいたいそうですよね。おしゃべり家族から生まれたからですかね（笑）。

??クラシック・コンサートではマエストロ（東京：大友直人 / 愛知・大阪：山下一史）がMCのお相手もしてくれるそうです。日本のクラシック界を代表するお二人の指揮者とのトークにも期待してます。

JUJU：（写真を見ながら）こんなナイス・ジェントルマンにお相手していただけるなんて！楽しみです。

唐揚げは、もはやお守り的な感じ

??少し話は逸れますが、音楽・仕事以外で最近新たにチャレンジしたことはありますか？

JUJU：テニスはずっとやろうと思っているんですけど…かれこれ3～4年位前から（笑）。あと、フランス語に関しても小学生の頃からずっとやりたいと思ってるんですけど。

??構想期間が長すぎですよ。

JUJU：最近、周りにフランス語を話す友達が多くて、チャレンジしたいんですけど、どうしても「クマ」の発音が出来なくて。もう、クマの話をしなければいいんだ！と（笑）。そんなわけで、フランス語も進まないですね。あとは何だろう…やっぱり、ずっと仕事してますね。仕事でいうならアリーナ・ツアーが初めてのチャレンジでした。

??初のアリーナ、やっぱりいつも以上に緊張しました？

JUJU：アリーナ初日は、ここ最近無いレベルの緊張でしたね。ご飯がノドを通らないほど緊張したのは、デビュー当時のコンベンション・ライブ以来ですかね。関係者が難しい顔でじーっとこちらを見ている、あの日の悪夢再び？！みたいな（笑）。しかも、ツアーの一曲目が恐怖感を伴う演出で、当日リハーサルの時に、怖い！って思ってしまって。そうしたら、もう歌える気がしなくなって…でも結局、本番は歌えたという。

??いつも通りの展開ですね！そういえば、JUJUさんはライブ前に唐揚げを食べるというお話でしたが、それは今も変わらずですか？

JUJU：はい、変わらずですね。ライブ前やレコーディングの時に、楽屋や現場に唐揚げがないと焦ります（笑）。実際は食べない日もあるんですけど、もはやお守り的な感じで、唐揚げには常にすぐそこにあって欲しい、みたいな。

??好きなものやこだわりが、ずっと変わらないタイプなんですね。

JUJU：そうですね。基本的に同じものをずっと好きでいるタイプ。あまり冒険もせず、つまらない人間なんですよ（笑）。

??そういうのって、割と女性のほうが挑戦しますよね。新しいお店を開拓したり新メニューを注文してみたりとか。でもJUJUさんは…

JUJU：間違いなく、毎回、同じもの頼みますね。この店では必ずこれ。しかも、行く店も決まってる。だから多分、色々な店で、色々呼ばれてるんだろうなって。なんか…

??あだ名“唐揚げ”みたいな？

JUJU：そうそう「また来たよ、唐揚げ！」的な（笑）。私が店員だったら絶対そう呼ぶし。でも、唐揚げって本当にライブ前や緊張した時にぴったりのバランス栄養食なんですよ！お腹いっぱい過ぎても苦しくて歌えないし、緊張して何も食べられないっていう時でも、唐揚げなら食べられる。タンパク質がとれて、脂分で喉も潤うし、コラーゲンも豊富。一個食べるだけでけっこう持つし、しかも声もよく出るようになるんですよ。あと一歩、ここまで、っていうところのひと伸びが違う！だからカラオケにも必ず唐揚げがあるんですよ。

??なるほど。ってそういう理由ですかね、それ（笑）。ビールに合うからじゃなくて？

JUJU：歌と合うんですよ、歌と唐揚げ、カラオケと唐揚げ！

“非日常”を感じてもらえるような演出が出来たらいいなと

??さて、大いに話が逸れたところで、クラシックの話に戻りますが、選曲はこれからになるんですよね。

JUJU：そうです、まだまだこれからですね。オリジナル曲もやりますし、クラシック系のスタンダード・カバーで新たな扉を叩いてみようかな、とか。

??スタッフの間ではすでにオリジナル曲の候補があがってるみたいですよ。

JUJU：そうなんですか！で、（スタッフに向かって）どんな感じですか？

??バラード曲はもちろん、「LOVE TOGETHER」「My Life」「さよならの代わりに」あたりも有力候補のようです。

JUJU：「My Life」はカッコ良さそうだなぁ。「さよならの代わりに」もですけど、そういう攻めナンバーをフルオーケストラでやると一体どうなるのか聴いてみたいですね。日本フィルの皆様の演奏によって、自分のナンバーに新たな生命が吹き込まれる。それはもう、絶対に感動するだろうなって、今から本当にワクワクしますね。

??もしかして新曲も披露されたり？

JUJU：それも、あるかもしれませんね。

??あとは、クラシック公演ならではのアプローチ、例えばJUJUさんの曲の中にクラシックの名曲を組み込むようなアレンジも観てみたいですね。

JUJU：サンプリングってことですか？それもいいですね、楽しみです。今回は全て、クラシック音楽演奏の伝統ホールのソワレ（夜の公演）ということで、ジャズライブと同じく“非日常”を感じてもらえるような演出が出来たらいいなと思っています。