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チャカ・カーン 来日記念特集
ファンキーなビートから、スケールの大きなバラードまで歌いこなせる圧倒的な歌唱力。チャカ・カーンほど、「ファンクの女王」の名がふさわしいシンガーは他にいないだろう。70年代に登場し、ファンクだけでなくジャズやポップスの領域でも大きな影響を与え、ホイットニー・ヒューストンやメアリー・J・ブライジなどのフォロワーを続々と生み続けている。その存在は、多くの女性シンガーが指標とするスターそのものだ。
ルーファスのヴォーカリストとして1973年にデビュー
チャカ・カーンは、本名Yvette Marie Stevens。1953年に米国のシカゴで生まれた。60年代末からコーラス・グループなどで歌い始め、徐々にシンガーとしての腕を上げる。そして、1973年にルーファスのヴォーカリストとして、アルバム『ルーファス』で華々しくデビュー。翌1974年にはスティーヴィー・ワンダーによる「テル・ミー・サムシング・グッド」が全米3位と大ヒットし、アルバム『ラグズ・トゥ・ルーファス』も全米4位を記録した。
続いて『ルーファサイズド』(1974年)、『ルーファス・フィーチャリング・チャカ・カーン』(1975年)、『アスク・ルーファス』(1977年)など、息もつかせぬ勢いでヒット・アルバムを発表していく。1982年に解散するまで、ルーファスは70年代から80年代初頭を代表するファンク・グループとなり、トニー・メイデンやボビー・ワトソンといったメンバーたちもシーンの重要なミュージシャンに成長した。
ソロとしての初ヒットはおなじみ「アイム・エヴリー・ウーマン」
ルーファスの活動と並行して、チャカは1978年にアリフ・マーディンのプロデュースによりソロ・デビュー。シングルの「アイム・エヴリー・ウーマン」が大ヒット。後に、ホイットニー・ヒューストンによってカヴァーされ、若い世代からの再評価を得るきっかけとなった曲でもある。この曲を収録したデビュー・アルバム『恋するチャカ』に続き、「ホット・バタフライ」を収めた『ノーティ(じゃじゃ馬馴らし)』(1980年)、ディジー・ガレスピーやハービー・ハンコックと共演した「チュニジアの夜」を含む『恋のハプニング』(1981年)など、傑作を次々と生み出していった。
1984年にはプリンスが手がけたシングル「フィール・フォー・ユー」が全米3位を記録する大ヒット。この曲はグランドマスター・メリー・メルのラップとスティーヴィー・ワンダーのハーモニカをフィーチャーした構成が斬新で、ヒップホップとR&Bのコラボレーションの先駆けといってもいいだろう。続いて、デイヴィッド・フォスターが手がけた美しいバラード「スルー・ザ・ファイア」も話題になり、アルバム『フィール・フォー・ユー』も彼女のアルバムでもっとも大きなセールスを記録。不動の地位を築き、最初の黄金期を迎えることになった。
不動の地位を手にした女王の快進撃
▲フィル・コリンズなど豪華ゲストが参加した『ディスティニー』
その後もチャカの快進撃は続く。『デスティニー』(1986年)、『CK』(1988年)といった傑作を立て続けに発表するだけでなく、スティーヴ・ウィンウッドやロバート・パーマーなどのアルバムにも客演。1989年にはレイ・チャールズとデュエットした「アイル・ビー・グッド・トゥ・ユー」を収めたクインシー・ジョーンズのアルバム『バック・オン・ザ・ブロック』も大ヒット。
90年代以降は、歌唱力を生かしてジャズ・シンガーとしても活動を開始。2004年にはオーケストラをバックにジャズのスタンダードを歌った『クラシカーン』を発表している。
進化し続ける歌声で再び黄金期へ
しばらくセールス的には低迷期といわれていた90年代以降だが、2007年の『ファンク・ディス』で完全復活。ジャム&ルイスとのコラボレーションや、メアリー・J・ブライジをフィーチャーしたヒット・シングル「ディスリスペクトフル」などが話題になりヒットを記録。第二期黄金期ともいえる華々しい時期を迎えている。
最近では、2010年のAIの日本武道館公演にゲスト出演したり、2012年のデイヴィッド・フォスターのワールド・ツアーに参加するなど、話題も事欠かないのが驚異的だ。
今年2013年3月で還暦を迎えたチャカ・カーン。しかし、その歌声は衰えるどころか、ますますパワフルに、そして艶やかに進化している。機会があれば、間近で彼女の音楽世界を体感してもらいたい。
text:栗本 斉
Pick Up!
▲YouTube「Gotta Get Over」
[Official Lyric Video]
エリック・クラプトンとの最新コラボ曲をチェック!
2013年はエリック・クラプトン久々の新曲「ゴッタ・ゲット・オーヴァー」(アルバム『オールド・ソック』収録)への参加で話題に。クラプトン本人が友人であるチャカに声を掛け実現したというこのコラボ。唸りをあげるクラプトンのギターと独特の伸びを持つチャカの歌声が絶妙に絡み合う、力強くソウルフルな一曲となっている。
公演情報
東京公演
日時:2013年8月26日(月)~8月29日(木)
会場:ビルボードライブ東京
大阪公演
日時:2013年8月31日(土)~9月2日(月)
会場:ビルボードライブ大阪
More Info:Billboard Live
ビルボードライブはすでにホームグラウンド!長いキャリアを誇り、現在のシーンでもトップの座を譲ることのない正真正銘の女王がビルボードライブに帰ってくる!
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