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新・名盤探検隊 その2
4月から復活した名盤探検隊、数々の名盤がリリースされて注目を既に集めていますが、6月に早くも第二弾が到着、ワーナーの特設サイト(http://wmg.jp/special/meiban/)には、既に8月のリリース・タイトルまでアナウンスされており、ますますの成果が期待出来そうです。
前回の特集では、「古くて新しいアメリカン・ロック」に焦点を当てて4月のリリース・タイトルをラインナップしました(http://www.billboard-japan.com/special/detail/566)。引き続いて今回は6月のリリース・ラインナップを紹介します。問答無用の名盤をズラリとご用意、全て2013年最新リマスター、最新書下ろしライナーノーツ、歌詞・対訳付きでスペシャルプライス1200円(税込)です。
●LAコネクションの源流にして決定盤●
名盤探検隊から、デラニー&ボニー3タイトルが同時リリースされました。この夫婦デュオ、前回紹介したドクター・ジョンやレオン・ラッセル、ジミ・ヘンドリックス、デュアン・オールマンなどなど、とにかくその時代の西海岸系重要ミュージシャンとのコネクションの要となる存在。ブラインド・フェイスのUSツアーの前座として帯同し、エリック・クラプトンと意気投合、その後~、というのは有名な話。
ここで注目すべきなのは、ボニーがデラニーと出会う前、アルバート・キングやリトル・ミルトンや、アイク&ティナ・ターナーのバッキングをしていたこと。これがブルースとソウルを感じさせる彼女のボーカル・スタイルの土台となったことは明白で、サザン・ロックをメジャー・シーンに押し上げる起爆剤となったと言えます。そう思って3タイトルを聴いてみると、実際エレクトラと契約する前に、スタックスと幻(だった)のファースト・アルバムを作っていたことも納得のソウル・アルバムにも聞こえてきます。
オリジナル・デラニー&ボニー
『オリジナル・デラニー&ボニー』
69年作。ボビー・ウィットロック(Key)、カール・レイドル(B)、ジム・ケルトナー(Ds)参加。商業的には低調だったものの、国内外のミュージシャンで注目される契機となり、ブラインド・フェイスの前座出演に繋がる、LAコネクションのアイコン的作品。
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デラニー&ボニー&フレンズ
『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』
70年作。今も売れ続ける伝説的名作。ブラインド・フェイス脱退後のエリック・クラプトンが参加、デイヴ・メイソン、リタ・クーリッジ、ジョージ・ハリスンらも加わり、欧州ツアーの熱演をパッケージ。
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デラニー&ボニー&フレンズ
『モーテル・ショット』
71年作。アンプラグドの元祖される、ドラムレスのリラックスした作品。グラム・パーソンズ、デイヴ・メイソン、デュアン・オールマン、レオン・ラッセル参加。デラボニ最大のヒット曲「愛の歌は永遠に」を含む12曲。
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●早すぎた男によるブルース・バンドの軌跡●
42年シカゴに生まれたポール・バターフィールドは、マディ・ウォーターズやリトル・ウォルターなどのシカゴ・ブルースにどっぷりと影響を受け、シカゴ大学中にマイク・ブルームフィールド、エルヴィン・ビショップらと意気投合、23歳でポール・バターフィールド・ブルース・バンドを結成しました。リヴァイヴァル・ブームに乗った、アコースティックではなくエレクトリック・ブルースを志向したこと、そして6人編成のバンドのなかで、リズム隊2名が黒人であったことが、65年どのバンドとも違う立ち位置を作ることになりました。
65年に出演したニューポート・フォーク・フェスティヴァルにて、当然のように非難を浴びた彼らでしたが、それを見ていたボブ・ディランが同フェスでのバッキングを依頼します。これが、ボブ・ディランのロック化の有名なターニング・ポイントです。
その後紆余曲折有りますが、詳細はライナーノーツに譲るとして、87年に過剰摂取によって亡くなるまで、全てにおいて早すぎた男、その初期3作をこの機会にお聞き下さい。
ポール・バターフィールド・ブルース・バンド
『ポール・バターフィールド・ブルース・バンド』
65年作。デビュー・アルバム。1曲目「ボーン・イン・シカゴ」から幕が上がる、ブルース・ロックの始まりを告げ、ブルースへの愛情と熱意溢れる名作。
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バターフィールド・ブルース・バンド
『イースト・ウェスト』
66年作。ドラマー交代を経て、バンド・アンサンブルが向上、脱退後に名作を作ることになるそれぞれ伝説のギタリスト、マイク・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップがその力量を発揮した傑作。
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バターフィールド・ブルース・バンド
『ライヴ』
70年作。既に2人のギタリストもバンドを離れ、ホーン・セクションを加えてよりグルーヴ感あるR&Bに傾倒していった時代のライブ・アルバム。バックは変われど、数ある伝説のフェスに参加してきた彼のブルース・ハープのアプローチは変わらずに、既に名人の域。
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●シンガー・ソングライターによる珠玉の名作●
名盤探検隊の素晴らしいところは、アーティスト名では追いにくい、ミュージック・ヒストリーに埋もれてしまった名盤達を再度発掘してくれるところでもあります。今回も、感動の隠れた名盤がたくさん紹介されました。
ダニー・オキーフ
『オキーフ』
72年作。ジャクソン・ブラウンのようなボーカル・スタイルと、カントリー・ロックをベースにしながらも音数を極力排したアレンジメントが、リラックスした雰囲気を作り出す。AORとカントリーのミッシング・リンクのようなこの後の2作をまとめてダニー・オキーフ名盤3部作として発掘する人多数。
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デヴィッド・ブルー
『ストーリーズ』
71年作。ボブ・ディランに繋がるフォーク・シンガーとして66年にデビュー。徐々にストーリー・テラーとしての才能を開花させ、その曲は豊穣な短編小説を読んでいるかのように、説得力あるボーカルを聴かせてくれる。ライ・クーダーやジャック・ニッチェが参加して名演を披露しているが、主役をあくまでデヴィッド・ブルーで押し通したからこその名盤。
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ケイト&アンナ・マッガリグル
『ケイト&アンナ・マッガリグル・ファースト』
75年作。70年代女性SSWの傑作。ファースト・アルバムにして傑作というのは、こういう作品に使いたい言葉。ローウェル・ジョージ、ラス・カンケル、スティーヴ・ガッド、エイモス・ギャレット、ジョン・ケイル参加。東西両岸の名手が華美にならずにフレンチ・カナディアンのマッガリグル姉妹のハーモニーを生かす音作りが功を奏した永遠の名盤。
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●ビルボードライブの「成果」●
ビルボードライブでは、このシーン所縁のアーティストが来日公演を行います。ここでは、それらのアーティストをご紹介します。
ディッキー・ベッツ&グレイト・サザン
フロリダ出身。マッスル・ショールズで活動していたデュアン・オールマンとともに69年にオールマン・ブラザース・バンドを結成、ソング・ライター兼ツイン・リード・ギタリストとして、サザン・ロックを牽引、デュアン死後の73年にリリースされた名盤『Brothers And Sisters』(ビルボード1位)収録の「Ramblin’ Man」は、オールマン最大のヒット曲(ビルボード2位)で、彼のボーカル曲。76年解散後、グレイト・サザンを結成、オールマンから続くスライドギターの名手として、ツイン・ドラムのサザン・ロックのスタイルを守り続けています。
ガース・ハドソン featuring シスター・モード・ハドソン
クラシック音楽の知識を生かしてザ・バンドをパワー・アップさせた功績は大きく、ボブ・ディランのバックを務めた時代でもそのオルガンは無くてはならないものでした。70年代に入って、バンドの全盛期に入ると、より様々な鍵盤楽器を使用して、バンド・アレンジの豊かな色彩を一層強める役割を果たしました。彼の伝説的なキーボード・プレイを間近に見ることができる最高の機会となることでしょう。
リッキー・リー・ジョーンズ
デビュー前からトム・ウェイツやチャックEを友とし、リトル・フィートを脱退したローウェル・ジョージに見出されて79年『浪漫』でデビューした、というのは有名な話。ジャズやブルースを生かしたストーリー・テラーたる歌詞と彼らを魅了したクールなボーカルは今も健在です。昨年出た新作『The Devil You Know』は、ベン・ハーパーを迎え、ザ・バンド「The Weight」など、60~70年代のロック名曲をシンプルにカバーして注目を集めました。
関連リンク
オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン
2013/06/12 RELEASE
WPCR-15009 ¥ 1,257(税込)
Disc01
- 01.シングス・ゲット・ベター
- 02.プアー・イライジャ~トリビュート・トゥ・ジョンソン (メドレー)
- 03.オンリー・ユー・ノウ・アンド・アイ・ノウ
- 04.ドント・ウォント・トゥ・ディスカス・イット
- 05.ザッツ・ホワット・マイ・マン・イズ・フォー
- 06.ゼアーズ・ア・ウィル,ゼアーズ・ア・ウェイ
- 07.カミン・ホーム
- 08.リトル・リチャード・メドレー
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