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ジャパンドロイズ 『セレブレイション・ロック』 インタビュー

ジャパンドロイズ『フレグラント・ワールド』 インタビュー

 各国の音楽メディアから称賛を浴びた1stアルバム『ポスト・ナッシング』では、23か国に渡るワールド・ツアーを行い、昨年5月にリリースされた2ndアルバム『セレブレイション・ロック』を引っさげ7月には【FUJI ROCK FESTIVAL】で初来日を果たしたカナダ・ヴァンクーヴァー発の2ピース爆音ガレージ・ロック・デュオ、ジャパンドロイズ。今年2月には初となる来日ツアーを成功させたブライアン・キングとデヴィッド・プラウズに最新作の成功、ライブ・パフォーマンスに馳せる熱い思いなどについて話をきいた。

時代が移り変わっていっても
いいロック・アルバムをつくるバンドは絶対いる

――前作『ポスト・ナッシング』でブレイクしたこともあり、最新作『セレブレイション・ロック』を制作する上で内面的、外部からのプレッシャーはありましたか?

ブライアン・キング:両方あった。1stアルバムよりいい作品に仕上げなければならないという内面的なもの。そしてレーベル、ファン、メディア、評論家など外部からの期待にもこたえなければいけなかった。だってまだ2ndアルバムなのに「そこまでいいもの作らなくていいよ。」なんて言う人はいないから(笑)。まぁでもこれはバンドをやっていく上で仕方がないことで、それに打ち勝たないとバンドとして前進出来ないからね。

デヴィッド・プラウズ:プレッシャーというよりは、「この時期までにアルバムを完成させれば、こんなツアーやフェスに出られるよ。」という空気感はバンドの周りにいる人達から伝わってきた。仮のデッドラインがいくつか設定されて、アルバムを完成した時期によって大きく今後の活動に影響してくる。だから出来るだけ一番いいオプションに合わせて完成させ、さらにいい作品に仕上げなければならなかったというのはあるね。

――今作は多くメディアによって2012年の年間ベスト・アルバムの1枚に選出されましたが、ストレートなギター・ロック・バンドが少なくなった中、選ばれたことに驚きは?たとえばヴァイオリンを弾くメンバーがいたり、著名なアーティストをフィーチャーすることを売りにしているアーティストも増えてるじゃないですか。

ブライアン:そうだね。現在の音楽シーンには、ギタリスト自体がいないバンドも多く存在してる。自分が音楽を聴き始めた頃に比べると僕達のようなギター・バンドは少なくなってきていて、"ファッショナブル"じゃなくなっているのは確かだ。でも時代が移り変わっていってもいいロック・アルバムをつくるバンドは絶対にいるし、別にリスナーがそういう音楽を嫌いになってしまったというわけでもないと思うんだ。もちろん驚いたけど、同時に驚かなかった。努力した結果いいアルバムに仕上がったと思うし、内容にもとても満足している。今まで制作した作品の中で一番だと思えなかったら、リリースするつもりはなかった。でも制作にあたって一番こだわったことは、デビュー作のファンがより気に入ってくれるようなアルバムに仕上げるということだね。

デヴィッド:『セレブレイション・ロック』が、『ポスト・ナッシング』より世間受けして成功したのは確かだけど、前作でブレイクした時の方が驚きはあったかな。あの時はヴァンクーヴァー出身のただのローカル・バンドで、アメリカやイギリスのメディアに取り上げたり、今作の順位にはかなわないけれど…色々な年間リストに選出されるなんてそれこそ思ってもいなかったから。だから今作でさらにバンドの評価が上がったことは喜ばしいことだよ。

――その反面、特にウェブ上のメディアに取り上げられることによってバンドの認知度が高まっていったにも関わらず、バンドとして積極的にSNSやウェブなどを利用しているイメージがないです。意図的に制限している部分もあるのですか?

ブライアン:うん。自分たちのことはシンプルなバンドだと思っていて、デビュー当時から、アルバムを作って、ライブをするという2つのことを軸に活動してきた。それは僕らなりのバンドというのは、こうなんだという昔ながらの考え方に基づいている。たとえばイメージや話題性のみが先行して、ウェブ上ではカルト的な人気を誇っていてもツアーをあまりしないバンドも多くいる。何故かと言うとライブが最悪だからだ。まぁ、みんながみんなそうではないけれど。僕達が目標にしているバンドや好きなバンドは、その考え方の部分で共通していると感じるね。ある時期にネット上で"バズ"を起こしたとか、長い目で見たら忘れ去られていくことなんだ。今から10年、15年経った時に好きなバンドがtwitterでどんな面白い事をツイートしたなんて誰も憶えてないから。でもそのバンドの音楽やアルバム、ライブを観た時の思い出は一生残る。それがバンドにとって一番重要なことで、他のことには意味を感じていない。もちろんライブ日程やリリース情報など基本的な情報を配信するという当たり前なことはしてる。昔ジャック・ホワイトが、「俺が死んだ後に残るのは、作ったアルバムとバンドの写真のみだ。あとは、リスナーが自分で断片を繋いでいくものなんだ。」と言っていたけど同感だよ。

――では自分たちについて書かれた記事やレビューなどは読んだりしますか?

ブライアン:レビューと言うのは建設的な場合もあるし、その逆でもある。僕は前向きに捉えていて…ソングライティング、レコーディング、パフォーマンス、すべての面において向上心を持つことは大切なので、建設的な批評は有効だと感じている。自分の世界にとじ込もり、同じ人としか関わらないようになると自然と感覚がズレていってしまう。だから自分たちのファンを始め、積極的に色々な人の意見に耳を傾けることで偏見なく自分たちが世に出すものを評価することが出来る。そういう努力をしなくなると、エゴだけが膨張していって作品のクオリティが伴わない。作品もパフォーマンスも前作に比べて良くなっているのは、こういうことに敏感で、みんながどの部分を評価して、どの部分をあまりよく思わなかったかを真摯に受け止めているからだ。もしそれをしなかったら『セレブレイション・ロック』はまったく違うアルバムに仕上がっていた。人によって捉え方は違うと思うけど、何かしら共感できたり、意味があると感じてくれる部分は必ずある。それを意識しながら今回のアルバム制作に取り組んだのは確かだね。

――意外に真面目なんですね。二人とも地に足がついてて。

デヴィッド:カナダ人だからかな?

ブライアン:アハハ。実際はそこまで真面目じゃないけど…。

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ジャパンドロイズ「セレブレイション・ロック」

セレブレイション・ロック

2012/05/30 RELEASE
YRCG-90078 ¥ 2,365(税込)

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Disc01
  1. 01.ザ・ナイツ・オブ・ワイン・アンド・ローゼズ
  2. 02.ファイアーズ・ハイウェイ
  3. 03.イーヴルズ・スウェイ
  4. 04.フォー・ザ・ラヴ・オブ・アイヴィ
  5. 05.アドレナリン・ナイトシフト
  6. 06.ヤンガー・アス
  7. 07.ザ・ハウス・ザット・ヘヴン・ビルト
  8. 08.コンティニュアス・サンダー
  9. 09.ジャック・ザ・リッパー (日本盤ボーナス・トラック)
  10. 10.ヘヴンワード・グランド・プリックス (日本盤ボーナス・トラック)
  11. 11.シェイム (日本盤ボーナス・トラック)
  12. 12.アート・ツァーズ (日本盤ボーナス・トラック)
  13. 13.レーサーX (日本盤ボーナス・トラック)
  14. 14.ヤンガー・アス [7”ヴァージョン] (日本盤ボーナス・トラック)
  15. 15.セックス・アンド・ダイイング・イン・ハイ・ソサエティー (日本盤ボーナス・トラック)

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