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<インタビュー>Jeremy Quartus×加藤真樹子(FM802) 最新作が放つ“距離の近さ”の理由、さらに“ソロの原点”にも迫る

インタビューバナー

Interview:FM802 DJ 加藤真樹子
Text:服田昌子
Photo:Shuma Yoshino

 2024年に活動を休止したNulbarichのボーカリスト・JQが、昨年、ソロプロジェクト・Jeremy Quartusを始動させた。そして今年2月11日には、6つの新曲を収めた『UP TO THE MINUTE MIXTAPE』をリリース。加えて2月24日(火)には、ビルボードライブ大阪でソロ公演を開催する。そんな今活動を加速させる彼に、今回は大阪のFM802でDJを務める加藤真樹子がインタビュー。最新作が放つ“距離の近さ”の理由、さらに“ソロの原点”にも迫った。

加藤真樹子:こうしてゆっくりしゃべるのは久しぶりなので改めて……。Jeremy Quartusの2025年の音楽生活はどうでした?

JQ:初ライブが9月だったんで上半期はゆったり制作しつつ、いろいろ考えたり。曲作りは日常というか、しんどいっちゃしんどいですけど当たり前なんで。

加藤:私は【SETOUCHI CONTEMPORARY 2025】で初めてライブを見せてもらいました。ゆるめですけど、ただゆるいだけじゃなく、音楽を楽しんでる感じがあったなって。ライブの手ごたえは?

JQ:もしかすると(観客にはJeremy Quartusに)違和感みたいなものがあるかもしんないですね。でも(Jeremy Quartusの活動は)僕らしさとはなにか?を探す旅でもあるんで、探求とか変遷を見てもらうみたいな感覚。自分でもどう変わっていくか?が楽しみかなって。でも、手ごたえはすごくあったし、変わらず音楽を楽しむこと……僕が一番楽しまないと楽しくなんないなって思うので、迷いなくJeremy Quartusの音楽に対してまっすぐ前を向くことが、今後のJeremy Quartusの拡張にもなってくるのかなと思います。

加藤:楽しそうだったよ、すごく。

JQ:めちゃめちゃ楽しいんすよ(笑)。今、悩み、ないっすね。これがこのまま広がってくれたらいいのになって。お店を開いて、どういうお客さんが来て、これからどうお店をディスプレイしていこう?みたいな感じ。

加藤:それは最初に音楽を作り始めた時と似てるんですか?

JQ:似てるかもしんないですね。ライブとか配信とか探り探りやりつつ、ちょっとした反応が自分にも影響する環境というか。Nulbarichの時はもう少し規模が大きくて、その時より繊細に感じるようになったかな。今は細かいフリケンシーを敏感にキャッチして、じゃあ次のライブではどうぶちかましてやろう?とか。

加藤:ステキ!『UP TO THE MINUTE MIXTAPE』は、聴く人と音楽の距離が近い感じがしたんですよ。繊細にいろんなことを感じているJQさんの曲だからそう感じたのかなと、今の話を聞いて腑に落ちました。

JQ:あえて近くしてるつもりはないんですけど、シンプルに一人称が“私たち”から“私”に変わって、ソロとグループでのメッセージの発し方が違う。俺たちはこういう風にやってくぜっていうNulbarichの意思表明と、僕最近こう思ってるんだよねって言うことの違いなのかな。みんなで決めて意見を発する時は、みんなで決めたことを言うじゃないですか。でも一人の時は悩んでる状態も見えちゃうし、今のモードとかも生々しく言葉になってる気がして。いろんな感情も隠れず見えちゃうからこそ、アートには落とし込みやすいし、いろんな曲ができて楽しいなと思います。

加藤:アートに落とし込む時、どの程度リアルに表現するかを考えますか?

JQ:あまり考えないかも。私たちとして表現する時、なにかをみんなで決めようってなったら、僕っていうのは一つ前段階。答えが出る前、プレゼンする前の僕。でも、この前段階の僕が曲になっていってるみたいな感じなんで、感覚的にはこんなことがあって、こんなことを思って、こうしてみたらこうなったよ。みんなはどう思う?っていう。そういう前段階が曲になってる。Nulbarichの曲はどっちかというとみんなで話し合った結果。たとえば、Nulbarichとしてビルボードライブ大阪で何回かライブをさせてもらったんですけど、それはどっちかというとショーみたいな感覚だったんです。でも今度のライブはどうやっても僕の日常が切り取られ、それを見られているみたいなイメージ。動物園のおりの中というか、水槽の中の魚っていうか(笑)。

加藤:そのたとえであってる(笑)?

JQ:見られてるっていうことに気づき、意識しながらも、日常の僕を見てもらう以外にないなと。まあ、楽しく音楽に触れてもらえたらいいなと思ってます。鑑賞用の熱帯魚だと思ってがんばります(笑)。

加藤:魚が歌っとるわ~!言うて(笑)。

JQ:それをあてに……(笑)。

加藤:……おいしいもん食べて(笑)。

JQ:あんなの(魚)もおんねや!みたいな。やべ~、魚食ってる!とか言いながら(笑)。

加藤:テーブルに(魚料理が)あってね(笑)。

JQ:でも、そのくらいのテンションでいいかなっていう。ソロに関しては言いたいこともまとまってないし、いわゆるポップスってものに落とし込まれる前段階のごちゃごちゃしたものが曲になってる感覚なんで。だからショーだと思って見られると、もうちょいちゃんとやれよ!って言われるかもしんないけど、熱帯魚だと思っていただければ意外とやるやん!ってなると思います(笑)。



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リアルタイムでアップデートした

加藤:ショーと熱帯魚の境目ね(笑)。でもね、『UP TO THE MINUTE MIXTAPE』を聴いて、今言ったポップスの前段階っていうのはなるほどな!と。6曲はカラフルですべて違っていて今表現したいことを全部入れた!みたいな。まさにミックステープって感じでした。

JQ:ミックステープっていわゆるリリース前に関係者に配るくらいのテンションのものなんですけど、最近、海外とかでもよくやる手法で、こんな曲が最近あるよ!って最初にストリーミングとかでミックステープとして出して、そこで人気が出たらシングルでリリースし直すみたいな。

加藤:あるある。

JQ:その出し方、いいかも!って。たとえば予算をかけてミュージックビデオを撮ってもYouTube以外に届ける場所がないというか。以前(メジャーレーベルの時)は(街頭)ビジョンとかテレビ番組とか(の露出機会があり)、シングル1曲に対しての重みみたいな部分があったのに対して、せっかくって言い方もあれだけど……今はせっかくインディーでやってるから、大人たちの長い予算会議もないなかで、出したいタイミングで曲が出せる。だからSNS投稿ほどリアルタイムではないとはいえ、シンプルに今の自分をリアルタイムで出せるなら、なるべく今の自分の感覚が変わらないうちにリリースしたいって考えた時、ミックステープの手法ってめっちゃいいじゃん!って。本当はもう少しシングルリリースを重ねて……とかも考えてたんです。Jeremy Quartusっていう一つのミュージシャンの名刺となるものが3曲とかだとちょっとって。それで、まずJeremy Quartusというコンテンツの充実と、かつ今僕が考えてることっていうものをリアルタイムでアップデートしたっていうのが今回の作品ですね。

加藤:リアルタイムのJQを受け止められるのはやっぱりうれしい。しかも6曲一度に聴けるのもファンとしてうれしかったです。この曲たちのなかで、とくに食らいついて時間をかけたことはありますか?

JQ:リリックは結構悩みましたね。いい意味でも悪い意味でもNulbarichの曲を作ることに対してのクセがついていて、それこそ(一人称が)私たちになってないか?みたいなことがよぎって、気になって、直して。でも、直す必要あんのか?とか、そもそもそれも俺じゃねえ!とか。だから曲に対して迷ったというより、Nulbarichとのバランスをうまく取るために、この6曲ができたという。


加藤:その立ち位置は、ちょっと見えました?

JQ:だいぶ見えたんじゃないですかね。(NulbarichとJeremy Quartusで)全然変わんねえなっていう部分と、無理やり分けようとしてたんだなっていう部分。一人称も、なにも気にしないで言うなら、こう言うのか……とか。自分の性格を知れたというか。俺、ここ性格悪っ!みたいな。こう思っちゃうんだみたいな(笑)。

加藤:自分というものと向き合った時間だった?

JQ:そうですね。一人でいる時の自分が曲を書くみたいな感覚だったんで。Nulbarichの時って友達とか人に(意見を)聞くのが大前提で曲が作られる。でも今回は相手がどう思うか考えずに書いたのかな。(自分の意見が)100%かっていったらそんなことはないんですけど、わりとわがままな……嫌いなら別にいいよっていう感じでした。

加藤:4曲目の「HOLY」とかの孤独……シーンとしたムードとかは今までなかったなって思ったし、2曲目の「BADASS」とかのちょっとアダルトなムードは新しいなと思ったし。なんかミニマムにもなったかもって思ったんだよなあ。

JQ:サウンドのサイズもだいぶ狭くなったというか。

加藤:気持ちいいですよ、それが。

JQ:そこが唯一のNulbarichとの対比なのかな。ステージの差がある……さいたまスーパーアリーナとか日本武道館で鳴ることは想像してないというか。そこで鳴るくらいに僕が育てば、武道館で鳴ることは想像つくんですけど、Nulbarichの時はそこで鳴らすために曲を作ってたんで、その差は大きいかも。

加藤:今はどれくらい?曲が生まれる時の規模感は自分の部屋くらい??

JQ:ソロの視野角というか……。この視野角で曲を作ってもおもしろいなって思ったのはそもそもコロナ禍で、ロックダウン中にベットの上でパソコンで曲を作って、レコーディングもハンドマイクで防音のためにこう布団を(すっぽり頭から)かぶってっていう状態で曲作った時(笑)。座って歌ってボーカルが出せる帯域もそうだし、その視野角がすべての始まりだったというか。布団をかぶって生まれたのがソロの始まり。そこからですね、僕の頭の中でソロというものがちょこっとずつ生まれ始めたのは。やっぱり、僕とは?というのを考えるようになったのはコロナ禍。自分と向き合う時間があったからかもしんない。で、それを経て思うことは、人間って暇だとろくなこと考えないなって。忙しい方がいいなって思いました(笑)。

加藤:たしかに(笑)。どんどん(精神状態が)落ちてっちゃう人もいたしなあ。

JQ:そうだと思います。僕自身も新たな道筋として、一種のメディテーションとして音楽を作ってて、そこで曲が生まれてなかったらNulbarich自体も続けられなかっただろうし。

音楽に酔いに行きます

加藤:そっか……久々にしゃべったらなかなか深い話になりましたね。さて、2月24日(火)にビルボードライブ大阪での公演があります。ま、水槽の魚かどうかはおいておいて……(笑)。

JQ:魚です(笑)。水なしで呼吸できてるところから褒めてほしいです。

加藤:それは、もう、すごいー!ってなる(笑)。

JQ:そのくらいの感覚で見てくれたらなって。やっぱりビルボードでのライブって同じ空気の中にいる感じじゃないですか。

加藤:ステージと客席の感覚が溶けてるよね。

JQ:とてつもなく境目がないというか。僕自身はあまりそういう所でやることが少ないのでワクワクするし、僕も音楽に酔いに行きますし、みんなも一つの空間の中でおいしいご飯や音を摂取していただければなと思ってます。


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