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<コラム>SixTONES、初のベスト盤『MILESixTONES -Best Tracks-』に浮かび上がる“核”と“滲み出る個性”――6年の軌跡と、その先の風景

Text:柴那典
SixTONESが、1月21日にベストアルバム『MILESixTONES -Best Tracks-』をリリースした。
デビューから6年。初のベスト盤は、彼らの歩んできた道程と、この先のさらなる可能性を詰め込んだ一枚だ。デビュー以来、筆者はSixTONESについて、グループやメンバーの人気だけでなく、その楽曲の“音楽的な面白さ”がもっと広まってほしいとたびたび書いてきた。彼らはミクスチャー・ロックやEDMやラップなど、さまざまなスタイルに意欲的に挑戦。いわゆるアイドルポップの枠にはとどまらない幅広い音楽性が、シングル曲やアルバムのリード曲として彼らの“顔”になってきた。
だからこそ、ファンのみならず幅広いオーディエンスが集うフェスの場に出ることで、グループの存在感も変わってくるのではないかと考えていた。何より彼らの楽曲にはライブでの熱狂が目に浮かぶワイルドでエネルギッシュなナンバーが多い。初めて観る人を掴んで惹き込んでいく熱量がある。そして実際、彼らは2024年の【ごぶごぶフェスティバル2024】を皮切りに、2024年から2025年にかけて【COUNTDOWN JAPAN】や【SUMMER SONIC 2025】などの大型フェスに出演。そこで新たなリスナーを掴んできた。
「WHIP THAT」from LIVE DVD/BD「VVS」(「ごぶごぶフェスティバル2024」2024.05.12)
そうした彼らの今の勢いを考えるならば、ベスト盤にはふたつの意義があると言えるだろう。ひとつは長く彼らを追ってきたファンにとって、その足跡を改めて振り返るようなアイテムになっているということ。そしてもうひとつは、最近彼らを知った人や、ライブを観てその音楽性にようやく気付いた新しいリスナーに対しての入口の役割を果たすようなアイテムにもなっている、ということだ。その内容と位置づけについて、解説していきたい。
ベストアルバムは初回盤A、初回盤B、通常盤の3形態で発売される。CD2枚組で、初回盤A/Bには映像ディスク(Blu-ray/DVD)も付属。Disc1は全形態共通で、デビューシングル「Imitation Rain」から16thシングル「Stargaze」までのシングル曲全18曲を収録。両A面シングルの『Good Luck! / ふたり』と『GONG / ここに帰ってきて』は表題曲をともに収録している。
Disc2には、これまでに彼らがリリースしたアルバムのリード曲5曲と新曲「Shine with U」の6曲を全形態共通で収録。加えて、初回盤Aにはこれまで音源化されていなかったジュニア時代の楽曲5曲、初回盤Bにはジュニア時代にカバーしていた先輩グループの楽曲5曲をボーナストラックとして収録。通常盤には各メンバーがプロデュースした“SixTONESプロデュース曲”6曲を収録している。かなり盛りだくさんの内容だ。
まず一聴した印象としては、新曲「Shine with U」がすごくいい。ファンキーなカッティングギターとダンサブルなビートに乗せて高らかなメロディを歌い上げる、軽やかなディスコポップだ。カラフルなホーンセクションも高揚感をもたらす。JR東日本のキャンペーン「Enjoy! SixTONES, Enjoy! ShinKANSEN.」CMソングとして書き下ろされたこの曲。旅に出る時のワクワクするような気持ちを表現したような一曲になっている。
こういうハッピーなディスコポップは、アイドルやダンス&ボーカルグループの楽曲としては、いわば王道のスタイルだ。ただ、これまでのSixTONESのシングル曲にはこうした音楽性の楽曲は、決して多くなかった。ベスト盤に新曲として収録したことで、そのことの持つ意味も改めて浮かび上がってくる。
幅広いジャンルの楽曲を歌ってきたこれまでのSixTONES。シングル曲の曲調はとても多彩なのだが、それをいくつかの方向性に分類することができる。
まず一つ目は、メンバーの多様な声とテクニカルなフロウが見せ場のラップナンバー。SixTONESの“ラップ×バンドサウンド”というスタイルを決定づけた人気曲「こっから」がその代表だろう。ハードなエレクトロサウンドに攻撃的なラップが乗る「ABARERO」や、ファンキーで高揚感あふれる「バリア」などもそうだ。パワフルな「NEW ERA」など、ミクスチャー・ロックのスタイルはSixTONESにとっての最大の武器となってきた。
こっから / SixTONES
二つ目は、疾走感あふれるエモーショナルなロックナンバー。パンクやギターロックのバンドサウンドもSixTONESの強い個性となってきた。パンキッシュな「BOYZ」や四つ打ちのバンドサウンドが支える「GONG」、情感のこもったメロディを歌う「僕が僕じゃないみたいだ」などがその代表だ。「共鳴」のように一筋縄ではいかないテクニカルなバンドアンサンブルを聴かせる曲もある。
共鳴 / SixTONES
三つ目は、妖艶でスタイリッシュなダンス・ミュージックのナンバーだ。エレクトロ・ビートにセクシーな歌声が響く「NAVIGATOR」や「CREAK」がその代表。EDMのスタイルを用いつつドラマティックな曲調に仕上げているのが特徴だ。
CREAK / SixTONES
四つ目は、「わたし」「ふたり」や「ここに帰ってきて」など、ピアノやストリングスの情緒的なサウンドに乗せて切ないメロディを歌い上げるバラードナンバー。アグレッシブな楽曲が多いSixTONESの中で、歌心を伝えるタイプの楽曲だ。
わたし / SixTONES
そして最後は、楽曲提供したアーティストの強烈な個性と記名性が伝わる提供曲だ。これまでロックシーンのレジェンドや第一線のバンドマンがSixTONESの楽曲を手掛けてきた。YOSHIKI(X JAPAN / THE LAST ROCKSTARS)が書き下ろしたデビュー曲の「Imitation Rain」に始まり、常田大希(King Gnu)が作詞作曲を手掛け、ライブでのサプライズ共演も実現した「マスカラ」、そして野田洋次郎(RADWIMPS)がグループの歴史やメンバーの関係性を紐解いて書き上げた「Stargaze」と、どれもグループにとっての大事な曲になっている。
Imitation Rain / SixTONES
マスカラ / SixTONES
Stargaze / SixTONES
こうしてシングルの表題曲では全方位の曲調を展開する一方、アルバムのリード曲では“ライブで盛り上がる攻撃的なナンバー”に振り切っているのもポイントだ。「ST」や「Rosy」は、激情と疾走感が持ち味のロックナンバー。「Boom-Pow-Wow!」はライブの熱狂を呼び覚ますEDMパーティーチューンで、「アンセム」や「THE BALLERS」はブレイクビーツとファンキーなベースラインに畳み掛けるラップと歌声が興奮をもたらすナンバーだ。こうしたアグレッシブな楽曲がSixTONESの“核”となってきた。
だからこそ、ベスト盤ディスク2の冒頭5曲に並ぶこれらのアルバムリード曲に続いて6曲目に収録された「Shine with U」が、とても新鮮に響く。いわば“闘争”から“祝福”へ、グループが踏み出した新たな一歩を感じさせるナンバーだ。そういう意味でもSixTONESにとっての新たなマイルストーン(=節目)となるベスト盤だと言える。
ボーナストラックにも注目だ。初回盤Aの5曲は、いわば“過去”の象徴といえる。これまで音源化されていなかったジュニア時代の楽曲ということで、これまで解説してきたSixTONESの音楽性のプロトタイプ的な聴き応えがある。
初回盤Bの5曲は、まさに“継承”の象徴だ。ジュニア時代にカバーしていた楽曲として、KinKi Kids「シンデレラ・クリスマス」、嵐「明日の記憶」、KAT-TUN「THE D-MOTION」、Kis-My-Ft2「Shake It Up」、SMAP「Battery」の5曲が選ばれている。ここには単なるカバーというよりも、より大きな意味が込められている。STARTO ENTERTAINMENT所属アーティストとして、先輩たちが築き上げてきた文化を受け継ぐという意思表明が強く示されている。
そして通常盤の6曲は、グループの「未来」の象徴だ。各メンバーがそれぞれの思うSixTONESをプロデュースし、楽曲制作に携わった“SixTONESプロデュース曲”。それぞれの音楽的な興味や冒険心が発揮されたナンバーが並んでいる。
「Merry-Go-Round (Prod. by Jesse)」は、ソカのビートを活かした夏らしいパーティーチューン。なのだが、ところどころで3拍子のブレイクが挟まったり、ゲームミュージック的なサウンドが差し挟まれたり、曲名通りテーマパークのアトラクションのような、自由でカラフルな曲展開が繰り広げられる。
「Violet (Prod. by Taiga Kyomoto)」は、スタイリッシュなトラックと歌謡曲の妖艶なメロディを融合させた楽曲。こういうドラマティックなテイストもSixTONESの持ち味の一つになっている。
「予知夢 (Prod. by Hokuto Matsumura)」も興味深い。海外のインディロックやアートポップに通じる先鋭的なサウンドプロダクションの一曲だ。フランシス・アンド・ザ・ライツの楽曲群や米津玄師「海の幽霊」にも顕著なPrismizer(プリズマイザー)を思わせるボーカルエフェクトが全編に使われている。研ぎ澄まされた音像の美しさを追求した、実験的な一曲だ。
「朱夏 (Prod. by Yugo Kochi)」はセンチメンタルなギターロック。ラウドやミクスチャーの迫力あるバンドサウンドとは違う、等身大でどこかノスタルジックなテイストを持っている。
「ALL STAR STATUS (Prod. by Shintaro Morimoto)」はマシュメロやアラン・ウォーカーにも通じるポップでメロディアスなEDM。笑顔で両手を挙げるフロアの光景が思い浮かぶ。
「HANDS UP (Prod. by Juri Tanaka)」もEDMだが、こちらはかなり凶暴な一曲。興奮を煽るEDMナンバーもSixTONESの武器の一つなのだが、それをさらにアンダーグラウンドでハードな方向へ先鋭化したプロダクションだ。ガバやハードテクノにも通じる狂騒のナンバーである。
SixTONES – ベストアルバム「MILESixTONES -Best Tracks-」Member-Produced Songs digeST
6曲を聴いて感じるのは、グループの“核”になっているシングルやアルバムリード曲の奥に分け入っていくと、そこに6者6様の個性が息づいているということだ。メンバー6人の音楽的な志向や探究心がグループの魅力に真っ直ぐに結びついているということも、ベスト盤からは伝わってくる。このあたりがこの先の作品にどう結実していくかも楽しみだ。
『MILESixTONES -Best Tracks-』は単に代表曲を集めたようなベスト盤ではない。そこに込められたたくさんの意味と意思を読み取ることができるような、とても考察しがいのある“作品”と言えるだろう。

リリース情報
関連リンク
MILESixTONES -Best Tracks-
2026/01/21 RELEASE
SECJ-145/6
Disc01
- 01.Imitation Rain
- 02.NAVIGATOR
- 03.NEW ERA
- 04.僕が僕じゃないみたいだ
- 05.マスカラ
- 06.共鳴
- 07.わたし
- 08.Good Luck!
- 09.ふたり
- 10.ABARERO
- 11.こっから
- 12.CREAK
- 13.音色
- 14.GONG
- 15.ここに帰ってきて
- 16.バリア
- 17.BOYZ
- 18.Stargaze
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