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<インタビュー>オンユが届ける、“咲く”という名の幸せのメロディー 新作『SAKU』を語る

Text & Interview: Mariko Ikitake
Photos: (C)ビクターエンタテインメント
オンユの日本2ndミニアルバム『SAKU』がリリースされた。約3年ぶりとなる日本オリジナル作品には、自身が考えた“咲く”というテーマのもと、人生に彩りを添える5曲が収録されている。これまでにバラードやJ-POPカバー、ダンスポップなど幅広いジャンルに挑戦し、それらを自分のものにしてきた“ボーカル・マエストロ”が本作で掲げるテーマは「幸せ」だ。
3日間にわたって開催された日本武道館でのコンサートを前に、新作への思い、強い絆で結ばれたJJINGGUとの関係、そして音楽家として、ひとりの人間として大切にしている価値観について話を聞いた。ほぼすべて日本語で受け答えしてくれたオンユ。その高い語学力には驚かされる。最近はアニメを通して日本語に触れているそうだ。
──「(花が)咲く」から発想を得て制作されたようですが、このテーマに至った理由や思いを聞かせてください。
オンユ:「人生は花のように咲く」という表現がいいなと思ったんです。一瞬だけでも幸せな時間を過ごすことができることは美しいんじゃないかなって。集まった5曲をもとに、ベストな言葉は何かを考えて、タイトル曲が「花のように」なので、それに続く言葉としても、その意味も含めて、この言葉にしました。日本語で思いついたんですよ。公文をやってきたおかげですね(笑)。
──幸せは一瞬だけでいいんですか? 長く続くほうがよくないですか?
オンユ:でも、その幸せな一瞬はいつでも何度でも来ますし、それでもいいと思うほうです。
──なるほど。日本オリジナル作品としては2022年7月1stソロアルバム『Life goes on』以来、約3年ぶりですが、ファンの方々は韓国作品も聞いていると思います。届けたいメッセージやアーティスト像など、『PERCENT』からの流れや関連はありますか?
オンユ:僕がいつも考えていることは幸せと健康です。ファンのみなさんにはいつも「幸せでいてください」って言っていて、このアルバムでも「咲く日はいつでも来るから頑張ってください」っていう応援のメッセージを送っています。
──応援してくださる方だけでなく、ご自身もその言葉の重要性を感じていますか?
オンユ:それはあると思います。幸せを追求しながら人生を過ごせるのはすごいことですし、これは僕が出したどの作品にも共通するテーマですね。

──ライブでもこの作品でも「また会おうね」って言ってくださることで、それが希望にもなりますよね。5曲どれもキャッチーな楽曲ですが、「花のように」がタイトル曲に選ばれた理由は?
オンユ:踊るのも好きだけど、バラードやJ-POPのほうが自分の感性や歌声に似合うと思っていて、僕が望むのもそっちのほうですね。肩を張らずに気楽に自分の感性を伝えられると思うんです。
実は「花のように」を聞いたとき、音の流れから悲しいとか寂しいという印象を受けました。自分以外、この世界に誰もいないように感じる音でした。そんな状況を克服できたらかっこいいかなと思って、美しい仕上がりにするべく、チームと話し合って少しチェンジしました。
──そんな隠された心境があったんですね。最後は希望を持てる展開になっています。
オンユ:ブリッジの〈花束にして あなたに贈ろう〉に到達するまでは何もない寂寞感があるけど、最後に花が咲いて、繊細な感性を追っていくと、たくさんの幸せが訪れるっていうメッセージがあります。
──その気持ちは聞いてくださる方にしっかり届けたいですよね。先ほど「気楽に」とおっしゃいましたが、ブレスが少なくて歌うのは簡単ではない曲だと思いました。
オンユ:まあ、全曲がそうなんですけど……こういうの得意なので大丈夫です!

──1曲目「KIMI=HANA」はすごく華やかでスタートを飾るのにふさわしいナンバーです。この曲もタイトル曲にぴったりだと思いました。
オンユ:僕の目標はタイトル曲以外の曲もそれに匹敵するようにすることです。音楽のレベルを上げるために、それは努力しなければいけないことだとも思っています。オープニングを飾るのに一番いい曲だって直感しました。「KIMI=HANA」は聞くときだけでなく、ライブでもファンの方々と一緒に楽しめるような曲ですよね。掛け合いをするパートがあって、一緒に喜びを分かち合える歌なので、ライブにふさわしい曲だと思います。
──「Lily」はドライブをシチュエーションにしたナンバーです。繰り返す歌詞も少なく、テンポも速いので、ものすごく大変な作業だったのではないかと想像します。
オンユ:普段の生活で気楽に聞ける歌だと思いました。ただ歌うのがものすごく大変で、間違えるのも嫌だから、今回のライブでは残念ながらセトリにございません。申し訳ありません。いつか歌えるときが来ることを僕も願っています。
──「Beautiful Snowdrop」は、今までの日本語曲ではあまりなかったタイプですね。
オンユ:この曲を聞いてキャロルじゃないけど冬を感じてもらえるんじゃないかと思います。次の曲で春になりますよね。季節感がある並びになっています。
──そして、最後のロックナンバー「'Cause I believe in you love」は、桜が舞う頃にまた会おうと約束する曲ですね。
オンユ:サウンドを聞いたとき、日本らしさを最も表す曲だと思いました。重点を置いたのは声。声や美しい旋律、バンドサウンドが際立つメロディーのような気がします。最後に「また会える」っていう希望を与える曲で、そういう幸せを感じさせる、すごくいい曲だと思います。

──オンユさんのサウンドの特徴として、ジャンルのバリエーションの広さが挙げられると思います。本作で新たな挑戦や発見はありましたか?
オンユ:一番記憶に残っているのが「Lily」。本当に難しかったんです。この曲よりテンポが早い曲は今までにもあったんですけど、この曲はなんか「ちゃんと表現できているのかな?」って手応えを掴みきれない感じがありました。何度もレコーディングした特別な一曲でもあります。みなさんが聞く音源は、僕がそれを乗り越えた完成形です(笑)。
誰にでも大切なものはきっとあるから、そのことだけを考えてほしいです

(C) ONEW JAPAN OFFICIAL FANCLUB
──音楽面に限らず、ひとりの人間として、限られた時間の中で変わらず持ち続けたい価値観は何でしょうか?
オンユ:ずっとあるのは、小さくてもいいから、自分の心の中にささやかな幸せを持つことを大事にしています。もちろん置かれた状況によって持てないときもあるけど、誰にでも大切なものはきっとあるから、そのことだけを考えてほしいです。そして、最近の時代の流れにあまり敏感にならず、人々が幸せになってほしいと思ってます。
──それを音楽で伝えるのは難しいですか?
オンユ:はい、なかなか簡単なことではないですね。僕自身、常日頃からそういうことを考えています。毎日が幸せなことばかりではないことはもちろんだし、「辛いな」「疲れたな」っていう日々が続くときもあると思います。そういう日々を過ごしている人でも、きっと何かあるはず。自分には何があるのか、そして自分が何かと密接につながっているかもしれないと考えることで、生きる意味も変わるし、誰かの助けにもなる気もするんです。僕自身、そういう言葉をもらって助けられたことがあるので、みなさんと分かち合いたいと思っています。

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──そういった気持ちはライブで直接ファンに届くと思います。日本武道館でのライブの見どころやテーマは何ですか?
オンユ:タイトルの(%)には「考え方次第」という意味が込められています。同じことをやっていても、もしくは悲しいとか幸せといった感情になっても、人によってそれは100%かもしれないし50%かもしれません。状況に合わせて自分を合理化することが大事だと思っていて、そういうことを今回のコンサートで表現しようと思っています。同じ状況でも見方によっては幸せにも不幸にもなりますが、できる限り、幸せなほうにフォーカスできるように自分で照準を変えるんです。

──奥が深いですね。ポスタービジュアルのモザイクっぽくなっているぼかしには何か意味がありますか?
オンユ:これもパーセントと関わりがあります。100%くっきり見えるところと20〜30%くらいしか見えないところがあって、四角いピクセルの解像度を通して、あなたにはこれがどう見えるかということを表しているんです。
──なるほど。ライブ前はいつもどんなことを?
オンユ:いつもあくびが出るんですよね。ステージに上がる準備が終わったら、ほどよく緊張感があって、リラックスしているからなのかな。

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──事務所移籍後もライブ活動や新作リリースが頻繁にあり、日本のファンたちも喜んでいると思います。長年かけて築いてきた絆の強さを感じさせますが、オンユさんにとってファンの存在はどんなものですか?
オンユ:自分が表現できる原動力だと考えます。みなさんがいなかったら、自分もいなかったんじゃないかなって思うくらい僕の大きな原動力です。その自信となる原動力を絶やさないよう、頑張っています。
──ライブでファンが笑顔になっているのを見ると、やはり元気が出ますか?
オンユ:そうですね。むっちゃ幸せです!
──ファンにとっても、オンユさんが原動力になっていることもあるんじゃないですか。
オンユ:うわぁ、そうなっていたら本当に嬉しいです!
──楽曲で花にフォーカスするのは初めてだと思います。お花にまつわる思い出はありますか?
オンユ:母がお花が好きで、たまに実家に帰るときとか、お誕生日とか、記念日以外にもお花を買ってあげることがありますし、母もとても喜んでくれます。ただ、僕はですね……家にいる時間があまりないせいか枯らせちゃうことが多くて……ゾンビプランツって呼ばれるあまり水をあげなくても育つ砂漠の植物でさえ枯らしてしまうくらい。植木鉢とか色々なものは揃えているのに植物を育てる素質はないみたいです。植物さん、ごめんなさい(笑)。お花をいただく機会はいっぱいあって、でも枯らしてはいけないので、そういうときも母にあげます。
──最後に、ご自身の歌声やパフォーマンスの特徴、自信を持っている部分をひと言で表すとしたら?
オンユ:声ですね。声を使ってライブなどで自分が表現したいことをちゃんと実現させることができるところだと思います。あとは、優しいところとか(笑)?
リリース情報

ミニアルバム『SAKU』
2025/10/1 RELEASE
<初回限定盤(CD+32p Photobook)>
VIZL-2473 4,400円(tax in.)
<通常盤(CD)>
VICL-66096 3,080円(tax in.)
<VICTOR ONLINE STORE盤(CD)>
NCS-10320 3,080円(tax in.)
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