＜コラム＞「革命道中 – On The Way」がチャート大躍進中のアイナ・ジ・エンド、グローバルヒットの可能性を秘めた楽曲／ソロアーティストへの足跡を振り返る | Special

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＜コラム＞「革命道中 – On The Way」がチャート大躍進中のアイナ・ジ・エンド、グローバルヒットの可能性を秘めた楽曲／ソロアーティストへの足跡を振り返る

アイナ・ジ・エンド

コラム

Text：柴那典

　アイナ・ジ・エンドの「革命道中 – On The Way」がロングヒットの兆しを見せている。

　TVアニメ『ダンダダン』の第2期オープニングテーマとして2025年7月2日に配信リリースされたこの楽曲。Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”ではリリースから7週連続でチャートインを果たし、2025年8月20日公開の最新週では5位と過去最高位を記録した。

　好調なチャート推移を支えているのがストリーミング数の伸びだ。Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では51位→43位→41位→37位→20位と徐々に順位を上げ、2025年8月20日公開分では11位と、トップ10圏内をうかがう動きを見せている。

　国内のみならず海外でも人気に火がつきはじめている。“Global Japan Songs Excl. Japan”チャートでは7月17日公開で7位にチャートイン。8月21日公開の最新週では2位と過去最高位を記録している。

　日本人女性シンガーソングライターとして久々のグローバルヒットになりそうなこの曲。その魅力はどこにあるのか、アイナ・ジ・エンドはどのように現在までの歩みを進めてきたのか、改めて紐解きたい。

アイナ・ジ・エンド / 革命道中 - On The Way [Official Music Video]（TVアニメ『ダンダダン』第2期オープニングテーマ）

　2015年、BiSHのメンバーとして活動を始めたアイナ・ジ・エンド。まず求められたのはその唯一無二のハスキーボイスだった。グループ外でもMONDO GROSSOやDISH//やジェニーハイなど様々なアーティストから声をかけられフィーチャリングに参加した。

　ROTH BART BARONとのユニットA_oによるポカリスエットCM曲「BLUE SOULS」や、米津玄師とのコラボ「マルゲリータ」など、その天性の歌声の響きを活かした楽曲は他にも少なくない。

A_o - BLUE SOULS [Music Video]

　そしてもうひとつ、アイナには“表現者”としての側面が根強くあった。その魅力は声だけではなく、自身のクリエイティビティも早くから発揮されていた。

　アイナのアーティストとしての原点はダンスにある。子どもの頃からダンスを始め、10代の時にはコンテンポラリーダンスの世界でストイックに鍛錬していたという。BiSH時代にもほぼ全曲でダンスの振り付けを手掛けている。

　歌うようになったきっかけは高校生のときに親友に勧められたこと。高校を卒業して大阪から上京し、BiSHのオーディションを受ける前にはライブハウスでソロシンガーとしてステージに立っていた。作詞作曲を始めたのもその頃だ。

　BiSHのブレイク真っ最中の2018年9月にリリースしたソロデビュー曲「きえないで」は、アイナが18歳の頃に人生で初めて作曲したというナンバー。プロデュースは亀田誠治だ。2021年2月にリリースされた初ソロアルバム『THE END』ではアイナ自身が全曲の作詞作曲を手掛け、亀田がほぼ全曲の編曲とサウンドプロデュースを担当している。

アイナ・ジ・エンド (BiSH) / きえないで [OFFiCiAL ViDEO]

　アイナ・ジ・エンドの楽曲の核の部分には独特の繊細さがある。擦り切れそうな叙情性を醸し出すその歌声の表現力だけでなく、ソングライターとしての感性の根っこの部分に、孤独をイメージさせるようなものがある。

　2023年6月にBiSHが解散し、アイナは本格的にソロアーティストの道を歩み始める。そこからも様々な出会いがその才能を開花させていった。

　2022年にはブロードウェイミュージカル『ジャニス』の主演に抜擢。ミュージカル作品への初出演となった。27歳で命を絶ったジャニス・ジョプリン役を同い年（当時）のアイナが演じ、圧巻の歌声を披露した。この時の経験も、今のグローバルヒットへの布石になったかもしれない。

　映画監督の岩井俊二もアイナを見初めたクリエイターの一人だ。2023年10月公開の音楽映画『キリエのうた』では主演に抜擢。映画の音楽は小林武史が手掛け、Kyrie名義でのアルバム『DEBUT』もリリースされた。

Kyrie（アイナ・ジ・エンド）- キリエ・憐れみの讃歌 [Official Music Video]（映画『キリエのうた』主題歌）

　2023年11月リリースの「アイコトバ」もターニングポイントになった曲のひとつだろう。石崎ひゅーいが作詞作曲、トオミヨウが編曲を担当したこの曲は、TVアニメ『薬屋のひとりごと』エンディングテーマとしてより幅広い層のリスナーを獲得するきっかけになったはずだ。

　2024年11月リリースの3rdアルバム『RUBY POP』にはこの「アイコトバ」やTK from 凛として時雨が作詞作曲とプロデュースを手掛けた『機動戦士ガンダム水星の魔女』Season2のEDテーマ「Red:birthmark」などアニメ主題歌タイアップ曲が並ぶ。

アイナ・ジ・エンド - アイコトバ [Official Music Video]（TVアニメ『薬屋のひとりごと』エンディングテーマ）

　様々なアーティストとタッグを組んできたアイナだが、その中でも「革命道中」のヒットに至る最も重要な存在がShin Sakiuraだ。『RUBY POP』収録の「Frail」はアイナが作詞、Shin Sakiuraが作曲を手掛けたナンバー。SIRUPやiriなどを手掛けR&Bやダンスミュージックの曲調を得意とするShin Sakiuraらしい、チルなビートとギターサウンドが融合したナンバーとなっている。

アイナ・ジ・エンド - Frail [Official Music Video]（映画『変な家』主題歌）

　アイナにとってShin SakiuraはBiSH加入前から親交の深い10年来の友人でもあるという。『THE END』収録の楽曲においてもデモ制作のサポートをするなど長らくクリエイティブなパートナーとなってきた。

アイナ・ジ・エンド - STEP by STEP [AiNA with Shin Sakiura]

　2025年4月にリリースされた「Aria」、そして「革命道中」と、ここ最近のシングル曲はアイナとShin Sakiuraが共作。エモーショナルなメロディとダンサブルなビートが融合した曲調は、今のアイナ・ジ・エンドを象徴するサウンドシグネチャーと言えるだろう。

アイナ・ジ・エンド - Aria [Official Music Video]

　海外人気も高い『ダンダダン』第2期オープニング主題歌とあって、「革命道中」の反響は発表時から大きかった。5月にはTikTokで先行配信をスタートし、海外ユーザーによるダンス動画やアニメのコスプレ動画などの投稿が増加。7月3日に楽曲がリリースされると2週間でストリーミング再生回数は1,000万回を突破。さらに8月6日には＜THE FIRST TAKE＞の歌唱が公開され話題性はさらに広がった。