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<インタビュー>山崎育三郎、等身大の姿で挑むオーケストラコンサート



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 5月~7月にかけて山崎育三郎が2年ぶりに全国5都市をめぐるコンサートツアーを開催する。ツアータイトルは【Eleganza】(伊語で“優雅さ・エレガンス”を意味する言葉)。 30代最後の歳を迎え、山崎が長年寄り添ってくれたファンに感謝の気持ちを込めて贈る極上のフルオーケストラツアー。30代を締めくくる節目のイベントに込める思いと意気込みを山崎本人に聞く。
(Interview & Text:朝岡久美子 ❘ Photo:石阪大輔)


ファンの皆様に39(サンキュー)の思いを込めて

── 2025年のツアータイトルは【Eleganza】ということですが、コンセプトについてお聞かせください。

山崎:今年ついに39歳を迎えまして30代を「サンキュー」で締めくくりたいという思いもあり、長年ともにしてきたファンの皆様に感謝の気持ちを込めて、全国5都市でのフルオーケストラツアーに加え、ディナーショーツアーやFCツアーをあわせて企画しました。 子役時代からミュージカルの世界で走り続け、29歳で転機を迎えてテレビの世界に足を踏み入れてからすでに10年。 長い間つねに自分を見守って下さったファンの皆様に支えられてこそ、ここまで突っ走ってこられたという思いが強くあり、今、少しだけ大人になった自分がファンの皆様とともに優雅に極上の時間をご一緒できたらという思いを込めて【Eleganza】というタイトルにしました。

── 今も山崎さんが20代だった頃から応援し続けているファンの皆様と交流が続いているのですね?

山崎:つねに自分の原点は舞台だと思っていますので、そこで出会ったファンの方々が現在も変わらずに応援し続けてくださっていることに感謝の気持ちでいっぱいです。 皆さん、劇場の楽屋口で毎回出待ちをしてくださっていた方々で、自分としてもお一人おひとりの顔を見ながら握手をしてサインして、ということをあたり前のようにしてきましたのでとても思い入れがありますね。 今はさまざまなかたちのエンタメにチャレンジさせて頂いている分、ミュージカルは1年に1本くらいのペースですが、それでも皆さん変わらずについてきてくださる。 もちろん、新しい環境で新たに出会ったファンの皆様も数多くいらっしゃいます。 仕事の内容や働き方のスタイルが変化しても、「応援してくださっている方々が側にいてくれる!」という思いがあってこそ自分も変わらずに歩んでこられたので、長らく寄り添ってくださった方々にも、新たにファンとして加わってくださった方々にもこのツアーを通して深い感謝の気持ちを伝えたいですね。

── 30代の10年を振り返ってみていかがですか?

山崎:本当にチャレンジの10年でしたね。自分は幸いにも早い時期から帝国劇場というすばらしい舞台で育てて頂いて、20代で自分自身が目標にし続けてきた作品で舞台に立つことができました。 ところが29歳でテレビの世界に足を踏み入れることになり、それまで少しずつ積み上げてきたもののすべてを一度手放さなくてはなりませんでした。 そこからは心機一転、ゼロからの出発で、さらなる新しい扉を開きたいという思いで全力で走ってきました。 もちろんこの10年は同時に毎日が夢のような時間でもありました。想像もしなかったような世界を体験する機会も数多く頂き、NHKの朝ドラや大河ドラマへの出演をはじめ、紅白歌合戦やバラエティ番組でMCをやり、 ディズニー映画の吹き替えもやらせて頂いたり、ロンドンでエマ・ワトソンさんと対談させて頂いたりというようなチャンスにも恵まれました。 もう一つ、忘れられないのはイチローさんの引退試合や甲子園で歌わせて頂くなど、年を追うごとに次々と新たな扉が開けていきました。 まとまった休日があったかどうか…という記憶もほとんどなく、ただただ突っ走ってきたという思いです。



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── 前回2023年開催のツアーは千秋楽が東京・サントリーホールでしたが、今回のツアーでは、キックオフがサントリーホールで、全国5都市をめぐるという行程ですね。

山崎:サントリーホールはミュージカル俳優にとっての帝劇のような特別な空間だと思います。 クラシック音楽業界の方々にとっては本当に特別なステージですよね。 自分自身も音大生時代から「いつか立ってみたいな」と思う場所でしたので今回、サントリーホールからツアーをスタートできるのは何よりも楽しみですね。 今回はサントリーホールだけでなく、大阪のフェスティバルホールやアクトシティ浜松、そして札幌文化芸術劇場hitaruなどクラシックの殿堂と言われる空間でフルオケをバックに歌えるのはアーティストとして大変名誉なことでとても嬉しく思っています。 そして千秋楽は自分にとって第二の故郷である岡山の芸術総合劇場です。

── 予定されている楽曲のラインナップについてお聞かせください。

山崎:先ほどもお話しましたが、21歳の時に『レ・ミゼラブル』でデビューさせて頂いて、そこから毎年のようにステージに立たせて頂いた帝国劇場という場所が今年クローズしたことにとても意義深いものを感じています。 なので、まずは帝劇の舞台で自分自身が歌った数々の作品のメドレーをフルオーケストラで序曲のように演奏してもらえたらという強い思いがあり、ステージの幕開けとしたいと考えています。 前半はミュージカルナンバーが中心となる予定ですが、今回は自分自身が愛してやまない、しかし、まだステージで歌ったことのないミュージカル作品の名曲ナンバーもぜひお聴かせしたいと思っています。 コンサートでは、毎回何らかのかたちで自分自身を追い込んでみたいというような挑戦的な思いもあるので、英語のオリジナルの歌詞で歌いたいと思っています。 もちろん“旬の”ミュージカルナンバーも聴いて頂けたらと思っています。 前回までのツアーでは今までに自分自身が演じたお馴染みの作品からのナンバーがメインだったのですが、今回は少し違ったアングルからラインナップを構成しています。

── ご自身を追い込みたいというのは…。

山崎:何事も楽にできたら面白くないじゃないですか。 コンサートに限らずですが、自分自身がつねにドキドキ、ワクワクしていたい。 その気持ちがなくなったら、観客の皆様に何も伝わらないと思っていて。自分でも「一体どうなるんだろう…?」と思えるくらい、追い込んで挑まないとできないようなものを目指していきたいと思っています。



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── 後半プログラムはいつものように客席の皆さんをやさしく楽しく巻き込んでの「誰も置いていかない!皆さんご一緒に!」という山崎さんならではの、あのスタイルが期待できそうですか。

山崎:後半はそういう楽曲も多いのでぜひ、楽しみにして頂きたいですね(笑)。 加えて、今回はサラ・ブライトマンやボチェッリも愛唱している「ネッラ・ファンタジア(Nella Fantasia)」など、フルオーケストラとの共演ならではのエレガントなクラシックの楽曲にも挑戦します。 あとはディズニーのレパートリーですね。毎回多くの子どもさんたちも来て下さるので、自分自身のもう一つの原点であるディズニー作品の名曲を一堂に集めたメドレーも歌う予定です。



ステージを通して39歳の山崎育三郎の等身大の姿を感じ取って欲しい

── 昨年は【THE HANDSOME】という長いツアーを終え、その後も『トッツィー』を皮切りに、現在本番続行中の『昭和元禄落語心中』など、役者としての技量も求められる舞台にも果敢に挑戦しています。 そのようなプロセスを経てファンの皆様の前に再び姿をお見せになるにあたり、どのような思いを抱いていますか?

山崎:今現在の山崎育三郎のありのままの姿を感じ取って頂けたらと思います。 そのような意味でも、等身大の自分でいられる場が、まさにコンサートなんです。 役者として参加する舞台作品では、基本的に「いかに役として輝くか?」ということを考えて舞台に立っているのですが、コンサートは本来の自分自身の姿で立てる唯一の場所なので、皆さんがステージ上の39歳の山崎育三郎をどう感じてくださるのかということを想像するのはとてもエキサイティングなことです。 自分自身にとっても人間としての自らの変化や成長に気づける貴重な機会のように感じています。



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── そのような意味では5都市で開催されるそれぞれの舞台が一つとして同じものはなく、“一期一会”の出会いの場になりそうですね。

山崎:はい、間違いないと思います。現在ちょうど『昭和元禄落語心中』の舞台の本番中ですでに20以上の公演を終えたのですが、振り返ってみると同一の公演というのはまったく存在しないんです。 同じ内容の公演をやっていると毎日さまざまな変化が感じられ、予定調和ではなく、「その瞬間に何を感じているか?」というような独特の感覚に生きるのがまさに舞台の醍醐味であると実感しています。 特にこのフルオケのコンサートは、リハーサルの回数が基本的に1回だけなのでタイトな時間の中でオケの皆さんや指揮の先生方とその瞬間でお互いが何を感じ取って、どのように音楽を共に作り上げていくのか…ということにすべてがかかってきます。 オーケストラも都市によってそれぞれ違うので、同じ楽曲でもテンポ感だったり、持っていき方だったり、熱が高まる部分など少しずつ違うこともあります。 それぞれの現場で、リアルな空間を感じられることが、毎回とても楽しみです。 お客様にとっても、間違いなく同じものはないと感じて頂けると思いますし、絶対にそのような内容にしたいです。

── ファンの皆様にメッセージをお願いします。

山崎:かつて帝劇の楽屋口で出待ちの皆さんとお話しながら帰ったあの日々のことを思い出し、自分自身の中にある熱い思いをぜひ皆さんにこのツアーの場を通してお伝えたしたいと思います。 39(サンキュー)歳の一年もそういう年にしたいと思っています。ツアー前から本当に「皆さん、ありがとうございます!」という思いでいっぱいです。

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