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<コラム>SixTONES ニューシングル『バリア』の強固な一体感と包容力で刻まれた、新たな存在証明



コラム

Text:岡本貴之

 SixTONESが、3月19日にニューシングル『バリア』をリリースする。昨年2024年には初の4大ドームツアーを大成功させ、1月15日には5thアルバム『GOLD』を発表、現在は同作を引っ提げた初の全国5大ドームツアー【YOUNG OLD】を開催中と、新年早々からロケットスタートを切ったSixTONES。

 2021年から毎年1月にコンスタントにリリースされているアルバムや、ライブパフォーマンスのクオリティの高さ、進化の速度は目覚ましいが、何よりそのアグレッシブな活動で日本を沸かせ元気づけてきたことが、彼らを特別なグループに押し上げてきたことは間違いない。ニューシングル『バリア』は、そんなSixTONESがエンターテイメントの世界に刻む、新たな存在証明ともいえる作品だ。「初回盤」「通常盤」「MTV Unplugged盤」の3形態に収録された楽曲について、それぞれ紹介したい。

 全形態共通で収録の表題曲「バリア」は、ジェシーが主演を務める映画『お嬢と番⽝くん』の主題歌に起用されている楽曲。冒頭の6人のコーラスから一気にテンションが上がるこの曲は、躍動するドラム、太いベースのビートと絡む絶妙な塩梅のワウギターのカッティング、そしてブラス・セクションの華やかな合いの手が入る、ファンキーなトラック・メイキングが際立っている。その骨太かつゴージャスなサウンドをスイスイと乗りこなして、森本慎太郎~京本大我~ジェシー~髙地優吾~田中樹~松村北斗と続くマイクリレーでSixTONESお得意の展開から、サビの〈誰ひとり触れさせやしない〉で一気にカタルシスへ。強固な一体感で、まさに6人が“バリア”となって大切な人を守るイメージ通りの、暖かい聴き心地の楽曲となっている。そこからは、メンバー間の信頼関係から滲み出る自信と包容力も感じることができる。


バリア / SixTONES


 そんなリード曲とは真逆ともいえるテイストなのが、「ABRACADABRA」(「初回盤」収録)だ。〈ABRACADABRA ...wow...〉と歌うフックのほか、ほとんどが英語のリリックで構成された無国籍なクラブ・ミュージックとなっている。息詰まる圧迫感というよりは音数の少ないビート中心のサウンドで、意外なほどに軽やかにも聴こえるところも特徴的。ライブ会場でのパフォーマンスとオーディエンスの熱狂ぶりが目に浮かぶ、新たなライブアンセムになりそうな一曲だ。「通常盤」のカップリング曲「Snooze」では、BPM90前後の緩やかでグルーヴィーなサウンドに乗せて、日常にある心象風景が描かれている。〈日曜日のMorning/君とTake it slow まだベッドでChillin’〉等、距離感の近い関係性を歌うときのSixTONESの優しい歌声は、ファンにとってはたまらない贈り物だろう。英語と日本語が混在したラップのフロウ、コーラスワーク、ファルセットボイスでの歌唱と、ボーカルグループとしてのテクニックが満載で、聴くたびに発見が多い。途中のコーラスと掛け合うパートはゴスペルチックなイメージが湧いてくるハイライトとなっている。

 同じく通常盤に収録されている「崩壊前夜」は、新進気鋭のシンガー・ソングライター、idomからの提供曲。見るからにネガティブなタイトル通り、じつに寂しげな歌い出しと冷たい音色のギター弦の響きから始まる。曲が進むにつれ、感情の昂ぶりとリズミカルなトラックがひとつになり、血が通って行くような感覚が聴きどころ。こうしたエモーショナルな歌ものを、6人グループ全員がボーカルを取って抑揚をコントロールしながら構築していくことは非常に難易度が高いと思うのだが、それを見事にやってのけるのがSixTONESだ。「初回盤」のDVDには「バリア」のミュージックビデオ・メイキング、シチュエーションの違う2種類のダンス・パフォーマンスも収録されている。


14th Single「バリア」nonSTop digeST / SixTONES


 「通常盤」には、2024年リリースの両A面シングル『GONG / ここに帰ってきて』それぞれのリミックスが収録されている。King Gnuのベーシスト・新井和輝がリミックス初参加で手掛けた「GONG ‒Kazuki Arai Remix-」は、オリジナルの「GONG」で際立っていた4つ打ちが分解され、ドラムンベースと散りばめられた装飾音、さらに後半の間奏で登場する強烈なベースソロが終盤へと誘っていく、カオティックなバージョンに変化。SixTONESとKing Gnuといえば、常田大希が5thシングル「マスカラ」(2021年)で楽曲提供(のちに「MASCARA」としてKing Gnuでセルフカバー)しただけでなく、2023年に行われたSixTONES初の東京ドーム公演にゲスト出演するなど縁深い関係だけに、今回の新井とのコラボレーションからもどんな化学反応が起こるのか注目だ。一方の「ここに帰ってきて ‒Dazzling UK Garage Remix-」は、ピアノバラード曲「ここに帰ってきて」にツーステップを導入した、まったくの新解釈によるリミックス。大胆にもほどがある変貌ぶりが、90年代から現在まで継承されるJ-POPらしさも感じさせる。

 ちなみに、SixTONESのシングルCDの「通常盤」といえば、毎回最後にリード曲のインストバージョンが入っていることもおなじみとなっている。今回も「通常盤」のCDのラストには「バリア ‒Instrumental-」が収録されているのだが、これはファンのみならず、バンドマン、DTMerも是非聴いてほしい。「君がいない」「GONG」などの作詞、作曲、編曲等も手掛けたZembnalによるサウンドメイクを深堀りすることで、“アーティスト集団”SixTONESの神髄に触れることができるはずだ(「バリア」の編曲はNaoki Itaiと共作)。

 さらに「MTV Unplugged盤」(CD+DVD)には、Billboard Live YOKOHAMAにて収録されたアコースティックライブ番組『MTV Unplugged: SixTONES』を完全パッケージ化。DVDには、放送ではカットされた未公開曲やMCを含めた全パフォーマンスが収録されており、CDには披露された全楽曲が収められている。『MTV Unplugged』といえば、1989年にMTVで放送開始され一大ブームを巻き起こした人気番組の流れを汲んだ伝統の企画。出演は一流のアーティストの証明であり、アコースティック編成で個々の実力を問われるライブだ。それだけに、今回の映像で余すところなく当日の模様を鑑賞することができ、音源を聴くことができるのは嬉しい限り。


「Strawberry Breakfast」from MTV Unplugged: SixTONES


 リード曲「バリア」を筆頭に、3形態それぞれの趣向を凝らした楽曲と映像作品によるニューシングル『バリア』。グループとその周囲のクリエイティビティが存分に発揮された今作を経て、SixTONESはまだまだ進化を遂げていきそうだ。


SixTONES「バリア」

バリア

2025/03/19 RELEASE
SECJ-109

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.バリア
  2. 02.Snooze
  3. 03.崩壊前夜
  4. 04.GONG -Kazuki Arai Remix-
  5. 05.ここに帰ってきて -Dazzling UK Garage Remix-
  6. 06.バリア -Instrumental-

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