「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

　2019年よりソロとしても活動を始めたKAZ。今年12月4日には、自身のルーツであるR&Bやゴスペルに向き合い、サンディエゴでの経験を活かした初のオリジナルアルバム『STYLE』のリリースを予定しており、前回の初ビルボードライブとは一味違う唯一無二のパフォーマンスが見られるはずだ。

　自身のライフワークでもあるサーフィンにインスパイアされながら作り上げたアルバム『STYLE』についてはもちろん、音楽に目覚めたきっかけや曲作りの方法、ビルボードライブに向けての意気込みなどたっぷりと語ってもらった。（Interview: 黒田隆憲）

ライフスタイルに欠かせないのが「海」

――KAZさんが、音楽に目覚めたのはどんなきっかけだったのですか？

KAZ：親がもともとEXILEの大ファンで、物心ついたときから家でずっと流れていたんです。それで小学校5年生のときにライブに連れて行ってもらい、何故かわからないけど「あそこに入りたい！」と強く思ったんですよね。「歌う人になりたい」「踊る人になりたい」とかではなく、ただただあの輪の中に入りたいという、漠然とした気持ちが芽生えたのがきっかけでした。

――そこからはどんな音楽を聴くようになっていったんですか？

KAZ：やっぱりR&Bが多かったですね。当時、EXILEの皆さんがどうしてこういう音楽を表現するのか気になって掘り下げていくと、自然とそこに辿り着く。その頃には自分自身も歌うことがすごく好きになっていて、特にボーカルのEXILE ATSUSHIさんやEXILE TAKAHIROさん、EXILE SHOKICHIさん、EXILE NESMITHさん……前のボーカルだった清木場俊介さんたちのルーツを調べるようになっていきました。

　そうすると、特にATSUSHIさんやNESMITHさんの音楽の中心にはR&Bがあることがわかって。「なるほど、こういう音楽のルーツから今の音楽が生まれているんだな」と感じながら、自分も自然とR&Bを好んで聴くようになりました。

――EXILEさんを通じて、音楽のルーツを教えていただいたという感じですね。

KAZ：はい。しかもLDH JAPANからデビューする前、今みたいに所属タレントやアーティストがまだそんなに多くなかった時期に、EXILEの先輩方が僕たちGENERATIONS全員にiPodをプレゼントしてくれたんです。その中には、EXILEのルーツになった楽曲が何千曲も入っていて。

――それは最高のプレゼントですね！

KAZ：もうめちゃくちゃ聴き込みましたし勉強になりましたね。当時から聴いていた有名な曲ももちろんあったけど、知らなかった曲やアーティストもたくさん入っていて。「そうか、あの曲もきっとここから影響を受けたんだな」などと気づくきっかけになったんです。あのiPodは、自分たちにとって勉強するための重要なアイテムだったかもしれませんね。

――曲を作るときのアイデア、インスピレーションはどうやって湧いてくるのですか？

KAZ：まず、僕のライフスタイルに欠かせないのが「海」なんですよ。海でしか得られないエネルギーやインスピレーションが本当に多いんですよね。中でもサーフィンの存在は大きい。波に乗りながら、あるいは波待ちをしながら、そこで得た感覚や思いを大事にしています。

　ビーチで見かける光景も面白いですよ。石にスマホを立ててTikTokを撮っている学生たちとか（笑）、砂に相合傘やハートを描いたり、波打ち際で追いかけっこしていたり。「なんだこれは」って思いながら（笑）、そこからインスパイアされて書いた曲もあります。今年サンディエゴに留学していたんですが、そのときにビーチで録った波の音を、先日リリースしたソロアルバム『STYLE』の曲に取り入れたりもしました。

――海と数原さんは切っても切り離せないですね。

KAZ：あと、よくやるのは車の中での作曲。車の中でメロディーや歌詞が、ふっと浮かぶことが多いですね。だからICレコーダーはいつも持ち歩いていて、思いついたらすぐ録音しておきます。それをあとでパズルのピースみたいに組み合わせて曲を仕上げていくんですよね。

――移動中の景色を見ながらだと、アイデアが湧きやすいとも言いますよね。

KAZ：本当にそうなんですよ。僕が一番自由でストレスなくできるのは車の中ですね。そうそう。サーフィンが終わった後、雲を眺めながら車の後ろでだらだらして、本を読んでいるときとかにもふと「こんな言葉どうだろう？」と思ってメモしたり、メロディーを録ったりします。解放されていると、自然とアイデアが湧いてくる気がしますね。

やりたいことを叶えられるような場所にしていけたら

――今回、ソロ名義“KAZ”として2度目のビルボードライブを3都市で開催することが発表されました。その意気込みを聞かせてください。

KAZ：昨年、初めてビルボードライブのステージに立たせていただいたんですが、そのときはカバー曲やEXILE、GENERATIONSの楽曲を交えた内容でした。でも、今回はソロアルバム『STYLES』をリリースしてからのステージになるので、100%自分の色、自分のスタイルで作り上げるライブになると思っています。

　ビルボードって、自分もいろんなアーティストのライブを観に行っていた大好きな場所なんです。そこでまた歌えるのは本当に嬉しいことですし、しかもクリスマスイブというホリデーシーズンに、皆さんと一緒に過ごせるなんて、こんな幸せなクリスマスはなかなかないと思います。

――今回のツアーはクリスマスイブやご自身の誕生日も重なっていますよね？

KAZ：僕の誕生日って、年間通してもっともバタバタした時期なんですよね（笑）。メンバーにも「忙しい時にごめんね」と謝るくらいで、仕事終わりに少しお祝いの時間を作ってもらっても、「早く帰ろう！」と自分から言っちゃうんです（笑）。でも今回は、思う存分自分の誕生日を楽しみながら、皆さんにお祝いしていただいて、幸せな一日になればいいなと思っています。

――ちなみにビルボードライブで何かご覧になったライブはありますか？

KAZ：前にジョーのライブを観に行きました。あと、ミュージック・ソウルチャイルドのライブも。そのときは一人で行ったんですけど、楽しみすぎてお酒をめちゃめちゃ飲んじゃって（笑）。一人でグデングデンになりながら観ていましたね（笑）。

――ビルボードライブの雰囲気や魅力については、どのように感じていますか？

KAZ：あんなラグジュアリーな空間で贅沢な音楽を聴きながら、美味しいご飯やお酒を楽しむなんて、なかなか他で味わえないですよね。僕らもあの空間をイメージしながら、アレンジの方向性を決めようかと。「ビルボードに合う雰囲気って、こんなアレンジがいいのかな？」みたいに試行錯誤しながら、大人っぽくて洗練された雰囲気が出せるように頑張ります。

――オリジナルアルバムも今回リリースされましたが、それを引っ提げてのライブですね。アルバムについて、どのようなコンセプトで制作されたのですか？

KAZ：自分が書きたいことや、思いがあふれたときに曲を作り続けていたら、気づいたらすごい曲数になっていたんです。それで「一度アルバムとしてまとめましょう」という流れになったんですよね。なので、「アルバムを作るぞ！」と思って作り始めたわけではなかったんです。

　ただ、並んだ曲のラインナップを改めて見て思いました。自分って、見た目はちょっとイカつくて（笑）、グループでは派手なパフォーマンスをしていますけど、このアルバムはすごく穏やかな一枚になったなと。ストレートなR&Bやサーフミュージックにインスパイアされた曲が中心で、ダンスミュージックは一曲もないんです（笑）。でも、それが本当に自分の好きなものを詰め込んだ結果なんですよね。

――ビルボードの雰囲気にもぴったり合いそうですね。

KAZ：自分でもそう感じています。本当に楽しみです。

――来年、新たに挑戦してみたいことはありますか？

KAZ：来年はGENERATIONSグループとして、1人ずつ半年をかけて1曲プロデュースしてリリースしていくというプロジェクト(PRODUCE 6IX COLORS)があります。それを年明けから半年間続ける、その後は「ツアーもやれたらいいよね」という話をしています。グループとして、来年も自分たちの夢を諦めることなく駆け抜けていきたいですね。

　ソロ活動の方はドームを目指すのではなく、もっと仲間を増やしていきたいという気持ちが強くなってきました。このプロジェクトの中で、やりたいことを叶えられるような場所にしていけたらなと思っています。自分としても、「次のリリースはいつまでに」とか「これを集客につなげなければ」みたいなプレッシャーではなく、自分がやりたいタイミングで、表現したいものが出てきたときにそれを形にして残していく。それに賛同してくれる仲間たちが手を挙げてくれて、「一緒にやりましょう」と言ってくれるようなプロジェクトにしていきたいです。

――KAZさんにとって、ソロプロジェクトは「場づくり」のようなものかもしれませんね。

KAZ：そうですね。新しい出会いがあったり、関わってくれたりする人たちが自分の夢を叶えられるような場所になる。それが自分のソロプロジェクトでできたら、本当に素敵だなと思っています。