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<コラム>「愛とU」で注目、Mega Shinnosukeはどんな才能の持ち主なのか?

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Text:柴那典


 今、Mega Shinnosukeに大きな注目が集まっている。アーティストとしてさらなる飛躍を果たそうとしている。

 きっかけは今年6月にリリースした「愛とU」だ。軽快なリズムと耳馴染みのいいメロディを持つこの曲が、リリースから間もなくTikTokでバイラルヒット。SNSの再生回数は6億回を突破し、Billboard JAPANの“TikTok Weekly Top 20”では「愛とU (Sped Up Ver.)」が6週連続1位(2024/8/14~9/18公開分)を記録した。“JAPAN Hot 100”から急上昇中のアーティストの楽曲を抽出した“Heatseekers Songs”でも2位(2024/9/4公開分)となっている。

 ちなみに、2024年の“TikTok Weekly Top 20”における連続首位の記録としては、9週連続1位となったCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」に続く数字だ。「愛とU」は「2024年、最もバズった曲」のひとつになりつつある。

▲「愛とU」

 そして大きなポイントは、これが単なる1曲だけの勢いに終わらないだろうということ。

 2000年生まれ、現在23歳のMega Shinnosuke。2017年秋から楽曲制作を始め、2019年4月から東京に拠点を移し音楽活動を本格的にスタートした彼は、ここまでの数年ですでにアーティストとしての確固たるキャリアを築き上げてきている。

 そして今年も旺盛な動きを見せている。9月18日には「愛とU」も収録した自身4枚目のアルバム『君にモテたいっ!!』をリリース。11月からは初のZepp単独公演も含む全国5箇所、自身最大規模のワンマンツアーを予定している。

 さらに、10月14日にデジタルリリースされたKing & Princeの最新アルバム『Re:ERA』では、収録曲「Harajuku」を楽曲提供した。

 着実にムーブメントを巻き起こしつつあるMega Shinnosukeは、一体どんな才能の持ち主なのか。改めて紐解きたい。

 まず指摘すべきは、そのクリエイティブの幅の広さだ。作詞・作曲・編曲を全て自身で行うシンガーソングライターであり、映像やアートワークやファッションのディレクションも自ら手掛けるマルチクリエイターでもある。活動のスタンスとしては同世代のVaundyに近いようにも思うが、Mega Shinnosukeの場合は直感的なアイディアを活かしたフットワークの軽さが特性になっている感じがする。

 音楽的にも、ひとつの枠組みや方法論にはとらわれない自由な風通しの良さが持ち味になっている。代表曲「桃源郷とタクシー」のような心地よくカラフルなポップソングだけでなく、「永遠の少年」や「東京キライ☆」など疾走感あふれるエモーショナルなバンドサウンドのナンバーも得意。「Thinking Boyz!!!」などトラックメイキングやラップのスキルを活かした楽曲も多い。ロック、ヒップホップ、ハウス・ミュージックなど、様々なジャンルを自然体で横断するようなスタイルが持ち味になっている。初音ミクをフィーチャーした「アイシテル人生 feat.初音ミク」やハイパーポップに挑んだ「hello shoegaze...」など意欲的なトライの数々も見せている。

▲「桃源郷とタクシー」

▲「アイシテル人生 feat.初音ミク」

 さらに、自身の音楽活動だけでなく、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースワークも積極的に行ってきた。

 2019年、17歳の時には私立恵比寿中学にファンキーなダンス・ポップの「踊るロクデナシ」を提供。2021年には菅田将暉にドラマティックなバラードナンバー「星を仰ぐ」を提供している。ちなみに楽曲制作の際にはデモを聴かせた菅田将暉に「天才」と賞賛されたという。

 また、今年6月にリリースされた小林私「私小林 (produced by Mega Shinnosuke)」では、作詞と作曲だけでなく、ジャケットデザインやミュージック・ビデオ監督も含めたトータルプロデュースを担当。ユーモラスで中毒性の高い楽曲になっている。

▲小林私「私小林 (produced by Mega Shinnosuke)」

 King & Princeに提供した「Harajuku」も、かなり意欲的な楽曲だ。軽快なクラブ・ミュージックのビートに2人のラップと歌が乗り、一度聴くと覚えてしまうようなキャッチーなサビへと雪崩れこむ。曲名の通り「原宿」をモチーフにしたリリックも興味深い。

 こうして様々な方面に表現領域を拡張してきたMega Shinnosuke。最新アルバム『君にモテたいっ!!』は、バラエティに富んだその作家性の“核”を見せるような作品でもある。

▲『君にモテたいっ!!』

 「愛とU」からchelmicoのスムースなラップをフィーチャリングした「あの子とダンス (feat. chelmico)」や、爽やかなギターサウンドの「ふたりの映画」を聴くと、作風は様々だが、結局のところは「メロディの人懐っこさ」がMega Shinnosukeの最大の魅力なのではないかと思える。

 親交の深い崎山蒼志とコラボした「海をみにいこう(with 崎山蒼志)」も耳を惹きつける一曲だ。アコースティックギターと歌だけのシンプルな構成だからこそ、メロディの繊細さが伝わってくる。打ち込みの「ao」にしても、温かみのあるフォーキーなアンサンブルを聴かせる「ぼくの部屋においでヨ」にしても、Mega Shinnosukeなりの歌心を感じさせるナンバーだ。

 様々な音楽ジャンルを取り入れた自身のスタイルを「MEGA POP」として提唱するMega Shinnosuke。いろんなアイディアを奔放に形にしてきた彼だからこそ、ここにきて「愛とU」が大きな反響を巻き起こし多くの人に受け入れられたということは、単にひとつの曲がヒットしたという現象だけでなく、そのクリエイティブの芯の部分に作用する出来事にもなったのではないだろうか。

 きっと、この先のJ-POPを担っていく存在になりそうだ。期待したい。

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