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<インタビュー>進藤あまね×Ayasa、4年間で培ったキャラクターたちとの共感とは――ニューシングル『Tempest/Wreath of Brave』
Interview & Text:成松哲
Photo:筒浦奨太
Morfonicaがシングル『Tempest/Wreath of Brave』を10月9日にリリースした。
ゲーム、アニメ、そしてそれらのキャラクターの担当声優らで結成された“リアルバンド”などからなる、メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(バンドリ!)の一角を担うMorfonica。そんな彼女たちが今回発表するのは両A面シングル。2023年12月のミニアルバム『forte』のセルフアンサーソングともいえるラウドロックナンバー「Tempest」と、スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』内で今夏展開された、バンドの現在地を象徴するようなイベントストーリーを彩ったジェントルな1曲「Wreath of Brave」で構成されている。
ミニアルバム『forte』でメンバーそれぞれの苦悩を歌ったMorfonicaメンバーに命を吹き込む声優陣にして“リアルバンド”のプレイヤー陣は『Tempest/Wreath of Brave』をいかに制作したのか。そして今のバンドとキャラクターの姿に思うこととは? 倉田ましろ役の進藤あまね(Vo.)と八潮瑠唯役のAyasa(Vn.)に聞いた。
「『Tempest』みたいな楽曲を歌えるボーカリストになったんだと思う」
――おふたりにBillboard JAPANにご登場いただくのはミニアルバム『forte』をリリースした(<インタビュー>進藤あまね×Ayasa、Morfonica5人の心情を汲んだミニアルバム『forte』を語る)昨年末以来となります。
Ayasa(八潮瑠唯役):『forte』からもう10か月!?
進藤あまね(倉田ましろ役):私も今聞いて驚いたんですけど、気づいたら時間が経ってたみたいです(笑)。
――その10か月ってどんな期間でした?
進藤:『forte』を発表する前、去年の夏から「forte」という名前のツアー(【Morfonica ZEPP TOUR 2023「forte」】)を開催して。今年の4月にはミニアルバム『forte』を基にしたコンセプトライブ(Morfonica Concept LIVE「forte」)をやっていて。さらに今月には『Morfonica Concept LIVE「ff」』という2回目のコンセプトライブをやる、という感じでこの1年半くらい「このライブシリーズを完成させなくては」という思いで集中して活動していて。だからあっという間に季節が変わっていた感じなのかもしれないですね。
Ayasa:それに、その間リハーサルでメンバーのみんなには定期的に会っていたし、あと『両翼のBrilliance』というシングルをリリースして(2024年5月)、そのリリースイベントがあったし、常に忙しくさせてもらっていたのもあってビックリしたんでしょうね。
――いただいた資料によると今回の両A面シングルの1つめのリード曲「Tempest」は、ミニアルバム『forte』以降のバンドのありようを描いた1曲だとあります。あらためて振り返ってみて、おふたりにとって『forte』ってどんなアルバムでした?
進藤:今まで明かされてこなかったモニカ(Morfonica)メンバーのネガティブな部分を表現した作品なんですけど、「バンドリ!」のバンドの場合、ゲーム(スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)のストーリーを使ってメンバーの内面を描くこともできたはずなのに楽曲で勝負、音楽でその思いを届けるっていうのが新しいし「モニカ、鬼カッコいいな」と思ってます(笑)。
Ayasa:それにミニアルバムだからこそメンバーそれぞれの悩みや葛藤を表現できたんだろうな、とも思っていて。もし誰かひとりの悩みをゲームで表現するとなると、それを解決するのはメンバー全員でという展開になるはずですから。
――せっかく5人もキャラクターがいるのに、そのうちのひとりに自己完結されちゃうとゲームにはならないだろうから、パーティで問題解決することになるでしょうね。ただ、それでは個人の苦悩の物語ではなく、モニカ全体の物語とも受け取られかねない、と。
Ayasa:そうなんですよね。でもミニアルバムであれば「『フレージング ミラージュ』は私が演じている八潮瑠唯の曲で、『きょうもMerry go rounD』はあまねす(進藤)が演じている倉田ましろちゃんの曲」というように、それぞれの楽曲を通じて5人のメンバーそれぞれの悩みや思いにフォーカスを当てられる。実際そうやってメンバーひとりひとりの姿をよりはっきりと浮き彫りにすることができたのが『forte』というアルバムなんだと思っています。
――そして『forte』のアンサーソングでもある「Tempest」を初めて聴いたときの印象は?
進藤:嵐のようだな、と(笑)。
――タイトル直訳だ(笑)。
進藤:さっき聴き始めたと思ったのに気づいたら終わっているような曲だったので(笑)。モニカの音楽面のプロデュースを担当しているエレガさん(音楽制作集団・Elements Garden)はライブを通じて私たちの成長を感じるたびに「じゃあ次の山を越えよう」というチャレンジを授けてくださるから「また嵐が来た」という感じでもありましたし。
Ayasa:わかる(笑)。
進藤:ただ、これは私がちょっとMになってきているとも言えるんですけど(笑)、常に新しくて難しい課題をもらって、それに挑戦できるのがすごく楽しみでもあって。曲を通じて「もっと成長できるはずだよ」って言ってくださっているのは間違いないので「この山を越えねばならぬ」とも思っていました。
――実際、山は高かった?
進藤:デモを聴いてまず思ったのは「倉田ましろとして歌えるのか?」ということでした。
――以前もおっしゃってましたもんね。ましろの歌声って進藤さん本来のキーともボーカルスタイルとも違うからタフな曲での発声に腐心するって。
進藤:私は声を前に押し出しがちなんだけど、ましろちゃんは透明感のあるふわっとした歌声の持ち主なので。ましろちゃんと私はどんなに近い存在であってもやっぱり別の人だから、進藤あまねとしてこの強い曲の中でどうやって“ましろみ”を出そうか? ということは結構悩みました。
Ayasa:確かにこういうアレンジで、しかもキーの高い曲って歌うのがすごく難しいはずなんです。キレイめな柔らかい楽曲で高音域を歌うのと、楽器隊がガツガツ弾いている中で高いキーを歌うのって使う筋肉が全然違いますから。だけどあまねすはシングルのジャケットの中のましろちゃんの表情のように、彼女や他のモニカのメンバーが自分の悩みに頑張って立ち向かう姿をちゃんと歌っていて。すごく偉そうな言い方になってしまうんですけど、デビュー曲の「Daylight -デイライト- 」のころのあまねすはこういう歌い方はしなかったはずなんです。でもこの4年間、たくさんライブをやってきたことで「Tempest」みたいな楽曲を歌えるボーカリストになったんだと思うと、一緒に活動してきた者としては本当に感動がありました。
進藤:ありがとうございますっ! でもそれはましろちゃんたちのおかげでもあるんです。
- 「物理的にも精神的にも前へ前へと背中を押してくれる曲」
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Tempest/Wreath of Brave
2024/10/09 RELEASE
BRMM-10830 ¥ 1,540(税込)
Disc01
- 01.Tempest
- 02.Wreath of Brave
- 03.Tempest -instrumental-
- 04.Wreath of Brave -instrumental-
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