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<インタビュー>7人でやりたい音楽をやり続ける――今を自由に生きるBE:FIRSTの矜持が込められた2ndアルバム『2:BE』について【MONTHLY FEATURE】
Interview & Text: Takuto Ueda
Billboard JAPANが注目するアーティスト・作品をマンスリーでピックアップするシリーズ“MONTHLY FEATURE”。今月は、8月28日に2ndアルバム『2:BE』をリリースしたダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTのインタビューをお届けする。
SKY-HIが率いるレーベル・BMSG主催のオーディションから生まれて3年、数々の作品をヒットチャート上位に送り込み、音楽番組やフェスなどのイベントにも多数出演、2024年には東京ドーム2DAYS&京セラドーム大阪2DAYSのワンマン公演も完遂。SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOの7人組は紛うことなき超弩級のグループになりつつある。ファン層や活躍のフィールドはますます広がる一方で、歌やラップ、ダンスへのひたむきな姿勢と、作詞作曲やコレオグラフに主体的に携わる創作意欲はデビュー当初から一貫している。
そんなグループの遍歴が直に反映されているのが2ndアルバム『2:BE』。今回はその手応えについて、そしてアルバムに至るまでの歩みについて、メンバー7人に語ってもらった。
BE:FIRSTは
「ずっと音楽を楽しみながらやれているグループ」
――デビューから3年を経て、今のBE:FIRSTはどんなグループになったと感じますか?
LEO:ずっと音楽を楽しみながらやれているグループだと思います。音楽活動を仕事だと思わず、好きなままやれている感じ。個人としても、こういう活動が「なんかやりたくないな」って負担に思ったことがないのは、このチームだからなのかなって思いますね。
――メンバーが主体的にグループのクリエイションに参加していることもBE:FIRSTの特徴だと思いますが、そうなると産みの苦しみは付きまといますよね。スランプもあるだろうし。
LEO:もちろん壁にぶつかることもあるし、怖さもあるんですけど、それが“嫌い”にはつながらないというか。結局、音楽が好きだからこそここにいるし、上手くなりたいと思うんですよね。どんなに怖くても、マイクを持ってステージに立てば楽しいし、音楽を聴いている時間は幸せで。それはどんな状況下でも変わらなかったです。
SOTA:事務所も“音楽ファースト”を掲げているとおり、僕たちが音楽に集中できなくなるような稼働はないんですよ。本当にやりたいことをやり続けられる、ノンストレスな環境でやれているし、曲を出せば出すほど音楽欲が湧いてくるので、行き詰まるというより「何をやろうか」と迷う瞬間のほうが多いというか。ポジティブな悩みばかりだなって思います。本当にありがたいところで活動させてもらっているなって実感がありますね。
――まさしくBE:FIRSTの強みですよね。
SOTA:「Mainstream」を出したときも、グループをどう魅せていくか、みたいな時期ではあったんですけど。それでもやりたい音楽をやらせてくれる事務所と、やりたいことに100%で向き合える7人の統一性は今後も強みだろうし、音楽を中心にしたグループがこの3年で出来上がっているなって確信がすごくあります。
MANATO:【THE FIRST】がそれぞれの才能や個性を重視したオーディションだったので、もともと一人ひとりが強みを持ち合わせていたとは思うんですけど、この3年でそれらを“自分”というフィルターを通してアウトプットできるグループになったのかなって。最初は日髙さん(日髙光啓/SKY-HI)がグループ自体の方針を提示してくれたけど、2023年ぐらいから「自分たちがどうありたいか」みたいなことをしっかり考えられるようになって、よりクリエイティブに関わることができたり、新曲ができても「次、何をやりたいか」というマインドにすぐ持っていけたりするようになったのは大きいんじゃないかなと思います。
――前作『BE:1』から今作までの過程で、個人またはグループとして進化したと思う部分はありますか?
RYUHEI:今回の『2:BE』は、社長がBE:FIRSTにやってほしい曲とか、僕らがやってみたい曲とか、いろいろ混ざったアルバムになっていて。新しい挑戦がたくさんあったので、レコーディングからの再現性はすごく高くなったんじゃないかと思います。みんな自分の歌と向き合い続けてきて、ステップアップしてきたと思うし。
JUNON:2ndアルバムは1stアルバムに比べて、ライブと音源の差が縮まったというか。あと、パフォーマンスをしたときに自分たちの意思が楽曲に乗るのが(ツアー前の)今から分かるぐらい、制作でいろいろやらせてもらったので、ライブが楽しみになるようなアルバムになったと思います。そのあたりは1stアルバムから進化した部分かなって。
――確かな手応えを感じていると。
RYOKI:すでにユニット曲もあるし、今だからこそ書けるようなリリックになっていてラフな感じのなアルバムとして捉えてもらえると思うんですけど、それはBE:FIRSTがずっと“その時その時を生きている”というか、自分たちがやりたいことをその場でやれる環境が常にあったからで。そういう“今を生きる自由”みたいなものを再認識できたのが『2:BE』なのかなって思います。「Blissful」とか、その象徴だと思いますね。デビュー当時は目の前のことをこなすみたいなことも多かったけど、徐々にいい意味で肩の力が抜けていった感じ。
Blissful / BE:FIRST
――より自然体で表現に臨めるようになった?
RYOKI:本当、そう思います。音楽的にもそうだし、たぶん日常生活でもいろんな余裕が出てきて、おかげで音楽にもさらに集中できるようになって、好循環みたいなものが生まれているなと感じるので。自由でいられる環境では、同時に責任も出てくると思うんですけど、その責任すら楽しめる環境を作っちゃえばいいのかなって。それがBE:FIRSTだったらできるのかなと思いました。
SHUNTO:わりとメッセージ性が強い曲も多かったと思うんですけど、そういうのも自分たちの強みとして置いておけるアルバムになっているし、本当に今のBE:FIRSTが詰まっているなって思います。聴きやすさのバランスもめっちゃ良いし。
――皆さんが推し曲をひとつ選ぶとしたら?
RYUHEI:僕は「Sapphire」ですね。
LEO:絶対言うと思った。
RYUHEI:曲自体がハイレベルで、とにかく技術の面でクオリティが高いと思っていて。あと、展開も好きです。ラップの前にめっちゃいかついメロディーを入れるというのが新しくて、すごく好きでしたね。
LEO:『BE:1』は何もない状態から「曲を増やそう」みたいな感じで作っていったのに対して、『2:BE』はこのアルバムに向けて頑張って制作してきた期間が長かったので、「Boom Boom Back」とか「Mainstream」とか「Masterplan」とかはめちゃくちゃ胸を張って聴かせたいですし、僕は特に「Mainstream」を推したいなって思ったりもします。
SOTA:それもマジで分かる。
LEO:「Mainstream」とかを聴いた人が「他の曲を聴いてみたい」と思ったときに、さらに重みが増すような肉付けをしようって感覚で『2:BE』を作っていったので。だからこそ以前からある曲は偉大だな、みたいなところはありますね。メインディッシュはアルバム前にもう完成していたわけで。
――なるほど。
LEO:おかげで、RYOKIがさっき言ったように、よりラフな感じで聴けるような曲も作れたし。本当は違う曲がリードになる予定だったんですけど、「がっつり系はもうよくね?」みたいな。今だからこそ表現できた、ポップで多幸感のある「Blissful」をリードにしようという話にもなったりして。
RYOKI:でも、むしろ今回は「ユニット曲を全部聴いてもらえたらBE:FIRSTが分かる」みたいな。
SHUNTO:ああ、確かにね。
――やはり全体曲とユニット曲では向き合い方が全然違いますか?
LEO:全然違います。
RYOKI:好き勝手やってやろうって。
MANATO:プレッシャーがないもんね。
SOTA:なんなら、出来上がるまでほぼ知らなかったよね、みんなの曲。
2:BE -Album Digest- / BE:FIRST
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ATEEZとの共通項、
共演者から受け取ったもの
――「Hush-Hush」はATEEZとのコラボナンバー。
SOTA:社長からけっこう前に「気になっているK-POPグループがいて」みたいな話があったんです。デビューしてちょっと経ったぐらいの頃なんですけど、「いつかコラボしたいアーティストがいる」みたいな。お互いに似ている部分もちょっとあったりして、それで相性が良いんじゃないかと思ったのかもしれない。
――どんなところに共通項を感じたんですかね?
SOTA:仲の良さとか、チーム内の雰囲気とか。地元の友達みたいな感じ。
RYOKI:なんか、人間味がありますよね。ATEEZさんは人間味から出るバイブスみたいなものがあって。それはBE:FIRSTも大事にしている部分なんです。
SOTA:ね。大事にするところが、他のK-POPのグループとは良い意味で違うというか。音楽的な部分で言うと、(自分たちで)リリックを書いていたり、クリエイティブに参加しているところとか。大事にしているコアが自分たちと重なる感じがします。
Hush-Hush / BE:FIRST X ATEEZ
――ほかに共演したアーティストなどで、皆さんが刺激をもらったり、共感をおぼえた方との出会いはありましたか?
RYUHEI:僕がうれしかったのは三浦大知さんです。小さい頃から超憧れの存在でした。昔の映像を見ても、その時代のアツい部分を攻めているし、今でも衰えとかまったくなくて、むしろ進化している。最近、テレビで一緒に歌わせてもらえる機会があって(2024年9月28日放送『MUSIC FAIR』)、めちゃくちゃうれしかったです。三浦大知さんと同じ画面にいるのがCGにしか見えなくて(笑)。
SOTA:僕らが挨拶させてもらったり、関わらせていただいたりした日本のアーティストさんは、みんな優しくて好きになりましたね。ステージ外での会話とかも、人間同士というか、人として刺激をもらえます。UVERworldさんとか本当にそうで。
――先輩の背中は大きいですか。
SOTA:フェスで自分の出番が終わったあとも帰らず、残ってステージを見たり、裏で楽しんでいたり、そういう過ごし方をする先輩たちが多くて、僕は日本の音楽がすごく好きになりました。こんな下の世代の僕らにもリスペクトをもって対応してくれる。ついていきたいと思いますし、この国で音楽をやれているのがありがたいなって思います。このバトンをつないでいきたい。
LEO:アーティストの面と人としての面、両方で勉強させてもらっています。
――アルバムについて、皆さんのもとには周りからどんな反響が届いていますか?
SOTA:個人的にすごくうれしかった反響があって。BE:FIRSTの曲は聴きたくなるタイミングがはっきりしているって言われたんですよ。僕も晴れた日はこの曲を聴きたいとか、夜はこのアーティストの音楽に浸かりたいとか思うタイプなんですけど、その“瞬間”に刺さる音楽ってけっこうあると思っていて。僕としてはそれってすごく魅力的なんですよ。
JUNON:確かに。
SOTA:そういう感じでBE:FIRSTを聴いてくれる友達がけっこういて。「通学のときは絶対にBE:FIRSTなんだよね」って言ってくれるファンの方もいたり。
RYOKI:うれしいね。
SOTA:生活のシチュエーションに当てはまる音楽になれているというのはすごくうれしかったですね。
――皆さんだったらBE:FIRSTの音楽をどんなときに聴きたいですか?
MANATO:僕は曲ごとによるかもしれない。
JUNON:逆に言えば、24時間分の曲ができたら、順番に並べて1日中ずっと聴いていられるプレイリストを作ってみたいですね。
SHUNTO:相当の曲数が……(笑)。
バイブスを仲間で楽しんでいる“姿”が大事
――では最後に、皆さんが今後、目指していきたい未来のグループ像を聞かせてください。
RYOKI:曲については、常にやりたい方向性が変わるんですよね。でも、この“アベンジャーズ感”は消したくないんです、絶対。
SHUNTO:でも、アベンジャーズ感は出そうと思って出るものじゃないと思う。それぞれの強みが集まっているから、違う色で光るわけで。
RYOKI:みんなすごいもん。みんな大好きだよ。
JUNON:「大好き」きた。
RYOKI:大好き。ありがとう。出会ってくれてありがとう。あとはSOTAが締めてくれると思います。
SOTA:でもやっぱり、7人でやる音楽を楽しめなくなったら、別に7人でやる必要がなくなるというか。僕らはシンクロダンスを見せたいとか、歌うパートを分けて色を付けたいとか、そういうグループっぽいことをあまり強みにしていないんですよ。そのバイブスを仲間で楽しんでいる“姿”が大事。ヒップホップをやるときも、ファンクをやるときだって全部そうですけど、7人でセッションしている感じというか、音楽を仲間内でただぶつけ合っている感じがグループならではの楽しさで、良さなのかなと思うんです。その感覚が途切れないように、7人でやりたい音楽をやり続けるのがいちばんかなと思います。
――“この7人”である必要性がある。
SOTA:そうですね。別にシンクロダンスだったらひとり抜けてもできますし。
一同:(笑)。
SOTA:僕らが楽しみながらやることで、見ている人にも楽しいと思ってもらえる。そういう音楽の広げ方が最大の魅力かなと思っています。
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