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<CASIO×Billboard Live>サニー・コロンが語る、“ものづくり”の楽しさと奥ゆかしさ

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 「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

 LA出身のシンガーソングライター、サニー・コロンによる初来日公演が10月1日のビルボードライブ東京を皮切りに、3日のビルボードライブ横浜、そして4日のビルボードライブ大阪と3会場にて各日2回開催される。ナイジェリア人の両親のもと、米ロサンゼルスで生まれ育ったサニーはジャズ、ソウル、ファンクをベースに独自の音楽性を確立。2016年にリリースされたデビュー作『Thierry Disko』でその才能に注目が集まり、これまでに3枚のオリジナルアルバムを発表。マック・ミラーやケイトラナダとのコラボレーションも経験し、徐々に知名度と実力を高めている。今年7月には最新シングル「DISKO MUSHROOM」をリリースし、4枚目のアルバムにも期待が集まるなか来日したサニーに、ライブに向けての意気込みはもちろん、音楽に目覚めたきっかけや「ものづくり」の楽しさ、大好きだという日本文化についても話を聞いた。(Interview: 黒田隆憲)

もともと「ものづくり」は大好きだし、新しいことに常にチャレンジしたい性格

――サニーさんが、音楽を始めようと思ったきっかけは?

サニー・コロン:親や叔父が聴いている音楽やラジオから流れてくる音楽、アナログレコードならではのサウンドを聴いて育ったから、いつか自分も音楽を作りたいとずっと思っていた。ゼロからこんな美しいものが作られるなんてすごいと常に思っていたし、自分でもその美しいアートを作ってみたくてたまらなかったんだよね。


――たくさん聴いてきた音楽の中でも、特にサニーさんにインスピレーションを与えたのは?

サニー:まずはマイケル・ジャクソンの『スリラー』。マイケルからは本当に大きな影響を受けたし、他にもピーター・トッシュやフェラ・クティなどの音楽も幼い頃からずっと聴いてきた。僕の両親は移民だから、彼らにとって音楽は「追求するもの」「目指すもの」ではなく聴いて楽しむものだった。でも僕はちょっとそれに対して反抗的で、こんなに自分を良い気持ちにさせてくれる音楽というものを自分で作ってみたいとずっと思っていた。もともと「ものづくり」は大好きだし、新しいことに常にチャレンジしたい性格だからね。


――まず「音楽を作りたい」という気持ちがあり、その後に楽器を習い始めたわけですね。

サニー:そうだね。僕は作曲や楽器演奏など、音楽に関わること全てに関して正式な教育を受けたことがない。全て独学で学んだんだ。初めてギターを弾いたのも、父親の友人が実家のガレージに置いていったギターを見つけたことがきっかけだった。父親から「絶対に触るな」と言われていたのだけど、彼が仕事で家を空けたすきにこっそりガレージに忍び込んで弾いていたんだよね(笑)。ケースにも入ってなかったし、弦が一本足りなかったのだけど、それをどうにか弾いてみようと色々と自分のやり方で試しながらね。

 しかもそのギターの横には、父のレコードコレクションがあった。彼はCDを聴くようになってレコードをかけなくなっていたから、それを自分の部屋に持ち込み、埃のかぶったレコードプレーヤーで聴いていたんだ。僕はCDよりもレコードの音が好きなんだよね。ターンテーブルに乗せて針を乗せるプロセスも、独特のスクラッチノイズも好きだしね。


――サニーさんは、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で土木工学を学び、芸術やデザインだけでなく、科学や数学、建築などからもインスピレーションを得ているそうですね。

サニー:土木技師は「建築家の器」でもある。建築家が提供した設計図やデザインが、数学的、科学的に機能することを土木技師が確認しなければならない。つまり、いろいろなことが混じり合い、ひとつのものとして出来上がるための土台を作るわけだね。音楽もそれと同じく土台が必要で、それがアイディアであれ、感情であれ、その上に様々な要素を何層にも積み重ねなければならない。

 その際、デザインがとてもシンプルになる時もある。たとえばテーブルも、車と比べたら全然シンプルな作りだけど、それでもテーブルとしてそれが機能するために様々なことを計算しなければならないよね。要するに、どれだけシンプルなアイディアであっても、どれだけ洗練されたアイディアであっても、全てのものが基礎となる土台を持ち、そのアイディアが機能するように科学を理解するということはとても重要なことなんだ。


――なるほど。

サニー:僕の音楽に対するアプローチもそれと同じ。基盤を理解できているからこそシンプルなものを作ることもできれば、ダイナミックなものを作ることもできる。さらに壮大にしたいなら、ストリングスやトランペット、管楽器、ドラムやベースを加えることもできるんだ。さらにその音を、ミキシングやマスタリングという工程を経て整えていく。僕は、「土台にレイヤーを重ねる」という観点から音楽にアプローチしている。そうすると、その音楽にはどんなものが詰まっているのかがわかるし、そのことを通じて音楽に魂がこもっていることを感じたいんだ。


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――先ほどあなたは、ものづくりが大好きだとおっしゃっていました。ご自宅でのクリエイティブな時間の過ごし方を教えてもらえますか?

サニー:その時によるかな。僕はまるでお菓子屋さんにいる子供みたいに、周りにあるもの全てに目を輝かせてしまうから(笑)。本当に色々なことを楽しんでいるよ。曲作りや楽器演奏はもちろんデザインするもの好きだし、自分の家や友達のために家具を作ったりするのも好きだし服を作るのも好き。僕が着ている服のほとんどは自分で作ったものなんだ。服作りは本当に楽しい。


――洋服まで?

サニー:うん。ヴィンテージの服やデザイナーブランドの服が好きなんだけど、そういう服ってやっぱり高いから、自分で作るようになったんだ。それだと材料費だけしかかからないね(笑)。服を作るようになってから、自分のことを自由に表現できるようになったし着たいものを着られるようになった。あと、僕は武道も好きで、練習もたくさんしている。身体の使い方を理解したり、これまでにない動き方を習得したりするのが好きなんだよね。あとは料理も楽しんでいるよ。


――今回、ビルボードライブの東京、大阪、横浜にて初の公演が開催されます。意気込みを聞かせてもらえますか?

サニー:日本で演奏する機会を与えてもらえるなんて、僕は本当に恵まれていると思う。僕は昔から日本の文化に憧れて育ってきたから、その国でパフォーマンスをすることになったと若い頃の自分に教えてあげたら、きっと興奮のあまりバク転して喜ぶと思う(笑)。僕のバンドメンバーも素晴らしいんだ。メンバーは全員日本出身で、ステージで僕と一緒に演奏してくれるんだよ。今回は新曲もたくさん演奏する予定だから、楽しみにしていてほしいな。


――ちなみに、日本文化は例えばどんなものが好きですか?

サニー:色々あるけど、まずは間違いなくファッションだね。日本のファッションは大好きだし、世界で最も大きなインスピレーションのひとつであることを、ファッションデザイナーなら誰もが同意してくれるんじゃないかな。彼らの多くも、何世代にも渡って続いている日本のファッションを常に研究しているからね。ファッション以外ではやっぱり音楽。僕は特に70年代や80年代のジャズが好きで、日本のその時代のジャズは、アメリカやヨーロッパの音楽に影響を与えてきたと思う。

 それから日本のインスタレーションアーティスト、画家、彫刻家は本当に洗練されたスタイルを持っているし、あと日本映画も大好き。素晴らしい作品や監督がたくさんいるからね。もちろん日本のテクノロジーもすごいし……もっともっと話し続けることはできるけど、これくらいにしておこうかな(笑)。あ、でももう一つだけ。日本人は本当に美しいライフスタイルと道徳心を持っているよね。少なくとも僕の理解では、日本人は「リスペクト」の精神を大切にしている。僕自身も「リスペクト」をとても大切にしているから、すごく共感するんだ。今、世界に欠けているのは「リスペクト」だとも思うし、日本にいるとその失われつつある「リスペクト」を感じたり、そのことに感謝したりすることができる。それは本当に素晴らしいことだと思うよ。


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