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<対談>Superfly×福原遥 ドラマ『マル秘の密子さん』が繋いだ運命の再会/こだわりのファッションポイント
Text: Mariko Ikitake
Photos: 神谷渚
現在放送中のドラマ『マル秘の密子さん』の第7話の放送を前に、主題歌「Charade」を歌うSuperflyと主演の福原遥が朝の情報番組『ZIP!』で初対談。Billboard JAPANでは、オンエアで泣く泣くカットされてしまった部分も余すことなくお伝えする。
福原演じる謎の“トータルコーディネーター”本宮密子と、松雪泰子演じるシングルマザー、今井夏の奮闘をサスペンス要素たっぷりに描いた本作。その気になる展開と同様に、密子の華やかなファッションも見逃せない。Superflyもまた、ライブやミュージック・ビデオで見せるヴィンテージやカラフルなファッションがほかと一線を画し、注目を集めてきた。
そんなふたりには、福原が初めて出演したレギュラードラマの主題歌をSuperflyが担当していたという縁が。約16年越しに再会したふたりに、お仕事&プライベートの服のこだわりやドラマや主題歌の裏話、厳しい残暑を乗り越えるアイテムまで話を聞いた。
──撮影も終盤に近づいている頃だと思いますが、撮影の雰囲気なども含めて、どんな感じで進んでいますか?
福原遥:ドラマは結構ハラハラする展開で緊張感があるんですけど、現場は真逆で、すごく和気あいあいとした雰囲気です。笑いの絶えない、温かい現場なので、終わってしまうのが寂しいくらい。「ロスしちゃうね」ってみんなと今から言っているぐらい、楽しい現場です。
──松雪泰子さん含め、撮影の休憩中には皆さんとどんな会話をされているんですか?
福原:ご飯の話が多いかもしれないですね。休憩中に、みんなでお菓子を食べながら、おいしいご飯屋さんの話とか、本当にたわいもない会話をしています。
──最近話題になったご飯の話は?
福原:「ウナギを食べに行きたいね」ってずっと話していて、どこかのタイミングでみんなで行きたいなって思ってます。
──いいですね。Superflyの志帆さんは、密子にどんなイメージをお持ちですか?
Superfly:先ほど福原さんもおっしゃっていましたが、本当にハラハラドキドキしながら毎回見てるんですけど、ドラマは進んでいくけれど、密子がどういう人なのかが、まだつかめないところが面白いなって思ってます。曲を書かせてもらいましたけど、私も結末がどうなるのか、実は知らないんですよね。だから、「書いたはいいけど、この曲で合ってるのか」っていう、そんなドキドキもあります。最終回でちゃんとハマってるのかどうかもわからないんですけど、一人の視聴者として、すごく楽しませてもらってます。
福原:実は私も結末がわからなくて……
Superfly:そうなんですか!?
福原:そうなんです。なので、「どうなるんだろう?」ってみんなで話しながら、今までやってきてます。
Superfly:何話先まで知ってるんですか?
福原:今、9話を撮っていて、10話がどういうことになるのか、まだわからなくて。一体、誰が犯人なんだろうって。なので、自分でもやっていて楽しいですし、今回、志帆さんが主題歌を歌ってくださるって聞いて、私、運命を感じて。小学2年生ぐらいのときに、初めてドラマにレギュラー出演したときの主題歌が志帆さんの歌だったんです(2008年放送『エジソンの母』、主題歌「愛をこめて花束を」)。なので、今日もお会いできるのが本当に嬉しかったです。
Superfly:ありがとうございます。
福原:曲を聴いて、世界観を超えるような感動と鳥肌ですごくびっくりしたのを覚えています。
──主題歌を担当されると決まったとき、どんなお気持ちでしたか?
Superfly:以前ドラマで福原さんと間接的にご一緒していたと聞いて、本当に運命だなって思って、私も嬉しかったです。私もそれが初めてのドラマ主題歌だったんですよ。なので、いろんなことにドキドキしていたので、今、こうしてそのお話を聞いて、当時の自分によく頑張ったねって言いたいです。
──お互い初めての作品で、いまこうしているっていう。
福原:嬉しいですね。そのドラマの打ち上げに志帆さんが歌いに来てくださって、号泣したのを覚えてます。もう忘れられないです、あの空間が。「わぁ、本物だ!」って。
Superfly:それは嬉しい。打ち上げのこと覚えていてくださっているんですね。私はあの日、自信がなかったんです。
──こうしてしっかりお話するのは、今回が初めてですか?
福原:初めてです。私はクラスメイトの一員だったんですけど、キャストの皆さんや小学1~2年生の子たちと、みんなで「え、本物だ!」って。歌声が素敵すぎて、みんなで泣きながら見ていたのを覚えてます。
──感動ですね。今回、そんな福原さんが演じられている密子は、ヴィンテージの衣装がどれも素敵でかわいらしいです。この衣装はどういうふうに決めてらっしゃるんですか?
福原:作品が始まる前に、密子はどういうキャラクターで、どういう個性を持った子かというのを、話し合う場に参加させてもらったんです。そのときに、ちょっとヴィンテージ感が入ったようなワンポイント――こういう花柄だったり、スカーフだったり――何かアクセントがある洋服がいいねって、みんなで提案しながら決めました。なので、一緒に役を作っている感覚があって嬉しかったですね。
──衣装のこだわりはありますか?
福原:ヴィンテージ感を出したいっていうのと、スカーフとか小物でアクセントを入れたいって話を最初にさせていただいたところ、本当におしゃれな衣装を用意してくださって。なので、今日もですが、毎回どういう衣装なんだろうって撮影前に楽しみになりますし、テンションが上がりながら撮影してます。
──ちなみに、今日の衣装のポイントは?
福原:密子はワンピースにパンツを合わせたりする衣装が多くて、自分だったら絶対できない組み合わせや高度なテクニックがたくさんあります。今日はブルーで色をそろえて、ピンクのカチューシャでアクセントを入れてるところがおしゃれだなって思ってます。
──勝手ながら、『ZIP!』カラーで嬉しいなって思ってました。
福原:確かにそうですね(笑)!
──Superflyさんも今回のジャケット写真もそうですが、いつも素敵な衣装でいらっしゃいますが、衣装はどこにこだわって決められているんですか?
Superfly:私もすごく古着が大好きで、毎回、必ずヴィンテージを入れているわけでもないんですけど、そういうテイストは入れてもらってます。今回、密子さんにはファッショナブルっていうキーワードがあったので、私も思い切って古着を着倒そうと思いました。
福原:すごい。
──ジャケット写真のコーディネートのポイントはどこですか?
Superfly:あれは花柄のセットアップの下にフリルのシャツを無理やり着ているんです。フリルだけが見えるように、2枚重ねていて。古着はポイントがアクセントになるところがおもしろいので、そういうところが好きですね。
──古着がお好きということですが、密子さんの衣装はどうご覧になってますか?
Superfly:色味がすごくヴィンテージっぽい。今日の衣装もビビッドで、でもちょっとくすんだようにも見える独特の色味が好きです。密子さんのテイストが詰まっていますよね。私はジャケットとかカチッとしたお洋服をあんまり着ないんですけど、茶色いニットにスカーフを付けた密子さんがすごくかわいかったです。
福原:衣装さんに感謝です。嬉しいです。
──撮影中は1日に何回くらいお着替えされるんですか?
福原:結構しますね。衣装もですし、ヘアスタイルもコロコロ変えてて。
──今日の玉ねぎヘアもリボンが付いていてかわいいです。
福原:玉ねぎヘア(笑)。かわいいですよね。アクセサリーも含めて、結び方も毎回おしゃれなんです。
──これまでいろんな衣装とヘアスタイルをされてこられましたが、特にお気に入りのものはありましたか?
福原:私もニットのワンピースにスカーフを合わせたものがすごく好きで、あの組み合わせを見たときに「これ着たいです」って言いました。
Superfly:ニットとスカートは別々のものですか? セットアップじゃないですよね?
福原:別々です。古着のもので、ニットのワンピースもスカーフもいろいろ集めてくださり、どれが合うかを一緒に選ばせていただいたんです。
──密子さんがInstagramに衣装を投稿されていて、これを見て、ヴィンテージの衣装に興味を持ってくれる人が増えそうですよね。
福原:自分も勉強になります。柄と柄を合わせられるんだって。
──なかなか勇気が必要ですよね。
福原:はい。こんなおしゃれになるんだという発見があるので、一緒に勉強してます。
──今回、密子さんはトータルコーディネーターという役柄ですが、普段のコーディネートでは何を優先されますか? 例えば着心地や、色や髪形に合わせるなど、何かこだわりがあれば教えてください。
福原:私は着心地と動きやすさ、あと、しわになりにくい服を重視しています。お仕事の時間が長かったりすると、そのまま寝られたり、動きやすかったり、走れたりするものが楽で好きです。楽だけど、おしゃれに見える服を買うようにしてます。
──カジュアルな服装が多いですか?
福原:そうですね。基本、パンツスタイルが多くて、シンプルなものです。バッグとか帽子、靴とか、小物で色を入れることが多いですね。
──今日のカチューシャのように小物を使うということですね。志帆さんは、いかがですか?
Superfly:私は柄がないと嫌なんですよ。なので、無地の服をあまり持ってないです。
福原:上級者ですね。憧れます。
──どんな柄がお好きですか?
Superfly:こういうちょっとレトロな色味のものやテキスタイルのものも大好きですし、「これは衣装なのかな?」って思われるような、扱いがちょっと大変そうな服も、ついつい買ってしまうんです。普段のコーディネートには柄が欲しいですね。
──レースだったり、ファーだったり、気分が上がるアイテムやものはありますか?
Superfly:さっきのジャケットの話と同じなんですけど、別にフリルを中に着なくてもいいのに、ちょっと出してみるとか、そういう応用が利くもの、個性があるものは気分が上がります。
──さり気なく入っていると、かわいいって思えますよね。福原さんは、いかがですか?
福原:私も本当はそうやっておしゃれに着たいんですけど、合わせるのが難しくて……基本、シンプルなものを選んでしまうので、シンプルでも形がアシンメトリーだったり、レースが付いていたり、ちょっと特殊な服は選びがちですね。
──密子さんの衣装から取り入れたいものはありますか?
福原:スカーフは取り入れたいなって思います。カジュアルなスタイルにも合いそうだし、スカーフだったら自分でもできるかも。首周りやバッグに付けたらかわいいと思うので、取り入れてみたいです。
──志帆さんはライブなどで差し入れをする機会もたくさんあると思うんですが、ドラマの現場でも差し入れをされる福原さんに、何かおすすめのものがあれば、ぜひ教えてください。
Superfly:例えばライブにご招待いただいたときにプレゼントに持っていくのは、はちみつですね。思えば役者さんも喉を使うので、はちみつをおすすめしたいです。
福原:すぐ買います! 今の現場ではミステリアスな空間を作るために、スモークを炊くことが多いので、はちみつをなめて喉を大事にしたいですね。
──今こそはちみつの出番かもしれないですね。福原さんが好きなものや、もらったら嬉しい差し入れはありますか?
福原:私は本当に食べることが好きなので、食べ物だったら何でも嬉しいです。
──今はウナギかもしれないですね。
福原:ウナギなんていただいたら、もう幸せです。
──ちなみに志帆さんは、はちみつをどういうふうに食べますか?
Superfly:ライブ前によくなめるんです。歌う2時間前に(スプーンですくって)ペロッとするんですけど、ライブ本番までの2時間って、何も口に入れられないんですよ。消化するほうにエネルギーを使っちゃうので、おにぎりとか食べられなくて。なので、その間だけは、はちみつだけOKなんです。
福原:そうなんですね。
Superfly:直前まで結構召し上がります?
福原:はい、もう、撮影が始まるギリギリまで食べてます(笑)。
──対照的ですね(笑)。夏の暑い時期の撮影、またはフェスなど、暑い夏を乗り切るためにやっていることを教えてください。
福原:今回、ドラマでかき氷がいっぱい出てくるので、かき氷を食べると体も冷えて最高です。スタジオもたまに暑かったりするので、かき氷があると、もう手が止まらなくて、カットがかかった後もずっと食べてます。
──ドラマではレモンのかき氷とか出てきますけど、好きな味は何ですか?
福原:桃のかき氷が出てきたんですけど、桃がフルーティーでおいしかったです。シロップもジャムみたいな高級なかき氷だったんです。それが本当においしかったので、お気に入りです。
──結構ボリューミーだった気がしますが……
福原:はい、結構大きくて、氷もふわふわで、口に入れた瞬間に溶けて、すごくおいしかったです。カットがかかった後も松雪さんと一緒に食べました。
──志帆さんはどういったことをされますか?
Superfly:私は夏でも室内が寒いので足湯をしています。
──真逆ですね。
福原:いろいろ真逆かもしれない(笑)。
Superfly:体が冷えますし、緊張して頭に血が上る癖があって、興奮しちゃうので、血液を下にちゃんと流すためにも足湯がおすすめです。夏に足湯も気持ちいいですよ。ぽかぽかしてきて、頭がすごくすっきりするんです。
福原:絶対そのほうが体によさそうですね。かき氷で体を冷やしちゃうので。
Superfly:かき氷の後の足湯は気持ちいいと思います。
福原:確かに! 私も湯船に入っているときに食べるアイスが大好きです。ちょっと違うかな。
──いいですよね。足湯はどこで教えてもらったんですか?
Superfly:ヘアメイクさんがたまたまツアーに携帯式の足湯を持ってきてくださって。それがすごくよくて、自分でも買っちゃいました。
〈私らしくあれば運命はいつか味方してくれる〉
──Superflyさんは今回、主題歌を担当されていますが、あらためてどんな曲になっていますか?
Superfly:今回はおしゃれとか優雅とか、そういうキーワードをいただいたんです。私はハイトーンで歌うことが多いんですけど、張らないでほしいっていうオーダーもいただいて。今までいろんな主題歌を書いてきましたが、そんなリクエストは今までなかったので、すごく楽しみながらも、ちょっと苦しんだりもしました。本当に謎を解くような感じで楽曲を作ったので、ちょっと新しい、今までにないSuperflyの曲になったと思ってます。
──途中でキーが変わって、すごく多面性のある曲で、いい意味で中毒性があり、何度も何度も聴いてしまいたくなるような曲です。悩まれたというお話もありましたが、どんなところを悩みながら、考えられたんですか?
Superfly:アンビバレンス(同じ対象に対して相反する感情や態度を同時に抱く心理状態)をキーワードに、陰と陽など違うものの掛け合わせを大切にされたいというご要望があったので、曲の中でそういう落差を付けたいと思ったんですね。サビはクールに、Aメロ、Bメロのところは優雅に、というのを大切にしました。ただ、それが離れすぎているとダメで、その間を埋めるような、曲の中でもスムーズに聴こえるようにするにはどう繋げればいいのかを、周りの人の力も借りながら作っていきました。
──制作にはどのくらい時間がかかったんですか?
Superfly:1か月ぐらいかな。
──それは長いほうですか?
Superfly:いえ、そんなに長くないですね。作ったことのない曲だったので、これが正解なのかわからなかったんですけど、ドラマ側の方々に聴いていただいて「バッチリです」っていう返答があったので、書き換えることもなく終えました。
──ドラマにもハマっていますよね。福原さんはこの曲を初めて聴いたとき、どう思いましたか?
福原:本当にかっこよくて、今まで聴いたことのないような曲調で、次、どういう展開になるのか予想ができない曲で、マネージャーさんと一緒に鳥肌を立てて感動しました。
──ドラマの最後に流れた瞬間は、ゾクゾク感とミステリアスさが増してぴったりですよね。
福原:この曲が最後のシーンを引っ張ってくれて、私も本当に光栄です。
──曲のタイトルが「Charade」ですが、この名前にした理由はなんですか?
Superfly:私はタイトルを決めるのがすごく苦手で、スタッフに相談してたんです。自分で考えるのは諦めようと思ってたんですけど、途中からなんとなく自分で付けたいなって思うようになって、単純に偽物とかそういう言葉を英単語で調べたんです。結局、人の力は借りてるんですけど(笑)。調べていたら、なぜかフランス語の“charade”が出てきて。私、『シャレード』(1963年)っていう映画が大好きだったんですよ。意味を調べたことがなかったんですけど言葉の雰囲気が好きで、よくよく調べたらシャレードには偽物っていう意味があるんです。映画の内容もミステリーだし、すごくおしゃれなもので。これに運命を感じて、自分でタイトルを決めました。
──そうやって決まったんですね。歌詞も本当に素敵で、特にこだわりのあるフレーズはありますか?
Superfly:このドラマのテーマは本質を問うことだと思うので、そこをすごく大切にしたいなと思ったんです。サビは最初にパッと浮かんだんですけど、〈化けの皮を剥いで〉で、自分なりの本質、その奥にある本質を表現できたかなって。あと、〈私らしくあれば運命はいつか味方してくれる〉も……
福原:私もそこにビビッときました。
Superfly:本当に言いたいことはここだって、自分でも思っています。
──福原さんもここが心に響きましたか?
福原:はい、すごく好きな歌詞です。謎が多い中で、この言葉が背中を押してくれるようで、一番印象に残ってます。
Superfly:嬉しいです。
リリース情報
「Charade」
2024/8/17 DIGITAL RELEASE
再生・ダウンロードはこちら
番組情報
日本テレビ系 土ドラ10『マル秘の密子さん』
毎週土曜22時放送
https://www.ntv.co.jp/maruhi-mitsuko/
衣装クレジット
<Superfly>
シルクトップス¥36,000、ネックレス¥14,000
(ともにLes,Miserables/03-3795-0056)
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