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flumpool 『experience』 インタビュー

flumpool 『experience』 インタビュー

『experience』は音楽の楽しさをより追求した大作。今度の新作は音が楽しい!

11月にリリースしたシングル『Answer』では、ストリングスの名手 弦一徹を招き、さらなる存在感を放ってバンドとしてのネクストステージを体感させてくれた。“Because... I am”と冠して全国を巡ってきた4人が今、鳴らしたかった音とは何なのか。最高傑作『experience』を完成させたflumpoolが、その全貌を語る。

今までとは違った勢いが出せた

flumpool「Answer」Music Video
▲flumpool「Answer」Music Video

--まず最初に、11月7日にリリースしたシングル『Answer』は凄かったですね! 曲が持つ熱量や迫力が今までとは段違いで、初めて聴いた時はびっくりしましたよ!

山村隆太:夏にリリースしたシングル『Because... I am』を引っ提げてのツアーが今までとは全然違って、そこで得たものをそのまま曲にしたのが「Answer」なんです。人の力になりたいって気持ちは前からあったんですけど、そのツアーを経て生半可な気持ちじゃできないって改めて思った。
ライブにしても「自分たちは大したバンドじゃないし……」なんてネガティヴな気持ちを持って、挑むことは誠意が無いと思うんです。そんな人の言葉は聞きたくないだろうし、音楽を奏でるべきじゃないと思う。そんな自分たちでも伝えたいものがあるっていう気持ちが今は強いので、是非聴いて下さいっていう自信はありますね。もう自分の身を削って伝えるべきだと思うし、生半可な気持ちではなく、精一杯やる、全てを尽くすっていう想いで臨んでいますね。

阪井一生:ツアーの延長線上で、力強くて意思のある曲を作りたいなって。前作とは違ったドラマチックさとかを意識したし、今までとは違った勢いが出せたと思います。

尼川元気:ツアーを回ってライブへの向き合い方も変わりましたし、自分に向き合う時間がいっぱいあったんですよ。足元からもう一度固めようって意識が僕にはありました。ちょっとフワッとしていた所を見直しましたね。

小倉誠司:やっぱり意識の部分が強いと思いますね。「Because... I am」以降は4人の音が強調されるようにと意識して作った部分もあるし、その延長線上に「Answer」っていう曲があって。ストリングスがここまでど真ん中で鳴っている曲ってあんまりなかったですよね? でも、この曲は4人の音を主張しながらストリングスがそこにいる。
昔だったら、意識下でバンドサウンドが負けていたような気もしていたし、ツアーを経て各々の意識が強くなってきたから「Answer」という自信の持てる楽曲ができた。そして『experience』っていうアルバムが完成したと。

flumpool 「どんな未来にも愛はある」 (Short ver.)
▲flumpool 「どんな未来にも愛はある」 (Short ver.)

--そんなアルバム『experience』ですが、1曲目の「どんな未来にも愛はある」は2011年夏にリリースされたシングル曲です。初めて詞を先に作ったんですよね?

山村隆太:それだけ強い想いがあったってことです。これは震災の後に作った曲なんですけど、「証」がNHK全国学校音楽コンクール・中学校の部課題曲になったこともあって、去年の夏に中学生が歌う「証」を被災地に聴きにいける機会があったんです。
その子たちの中には、親戚が亡くなった子もいるし、みんな辛い想いをしていたんですよね。自分たちも悲しい想いをしたけれども、もっと悲しんでいる人がいる。それに気付いて“どうにか歌を通して人に勇気を届けたい”って思った時に生まれてきた言葉が“どんな未来にも愛はある”なんです。

--実際にこの楽曲をライブで歌ってみて、観衆の反応に変化を感じた部分は?

阪井一生:やっぱり感じますよね。ツアーでは最後にやったんですけど、どれだけ伝わっているのかはお客さんの表情を見ていれば分かるし。それだけ強い楽曲なんだって、演奏していて感じますよね。

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本能的、肉体的な気持ち良さを追求しました

「Because... I am」Music Video Short ver.
▲「Because... I am」Music Video Short ver.

--5曲目「プレミアム・ガール」は今まで以上に音楽的な面白さがありながら、メロディがしっかりある。その両面を追求している楽曲ですよね。

尼川元気:それでいうと今回の『experience』には、やっぱり「Because... I am」以降の傾向を感じてもらえる曲が入ってます。具体的に言うと、例えば曲によってベースの音作りをめっちゃこだわったんですよ。それが各楽器にあって、バンドの音が抜け出てる。そういう聴こえ方になっていると思います。

阪井一生:「プレミアム・ガール」では80年代のポップスみたいな楽曲を作ろうと思って、ビリー・ジョエルやワム!をイメージして作ってみたんです。そこからみんなで面白味を作るというか、転調であったりとか変拍子だったりを加えていった流れですね。

小倉誠司:王道の頭打ちって今までのflumpoolには無かったから、ちょっと言い方が悪いですけどダサかっこいいっていうんですかね?(笑) でも、80年代の音楽ってそんな感じじゃないですか。ギターリフ一つ取ってみてもそうだし、リズムとかもダサいけどかっこいい!
それに(3曲目に)「イイじゃない?」って楽曲がありますよね? 同じ頭打ちなので、この曲との差別化は悩みましたね。どんなバンドも考えることではあると思うんですけど、より細かくこだわってアレンジやレコーディングを進めてましたね。

山村隆太:僕はサウンドで引っ張っていく曲だと思ったんですよ。ノリを意識するというか、本能的、肉体的な気持ち良さを追求しましたね。だから歌詞で変に世界を作り過ぎないようには気をつけましたね。
『experience』はさっき話したツアーを回っている中でレコーディングをしたので、ライブ感がそのまま出てきている気がします。確かにレコーディングなら明日歌い直すこともできるかもしれないけど、「ツイスト・アンド・シャウト」におけるジョン・レノンの歌い方のように、魂を乗せるっていうのはこういうことなんだなって。
で、そこにプラスして、僕だったら好きなドン・ヘンリーの表現方法を取り入れてみたりとか。ライブ感が強く出たからこそ、何がプラスできるのかは考えましたね。

--ライブ感だけに逃げないアプローチ?

山村隆太:ですね! レコーディングはレコーディングとして一番伝えやすいものを考える時間がある。インプットとアウトプットの調整具合は考えましたね。

ちょっと偏差値上がった(笑)

--6曲目「Sprechchor」は、バンドサウンドを超越した音の楽しさに挑戦している楽曲です。この曲を聴いて思い出したのが、flumpoolのプロデュースも担当するagehaspringsが手掛けるアイドル Tomato n' Pineなんですよ。

小倉誠司:あ、聞いたことありますね。

--音楽性の高さが評価されているアイドルなんですが、トマパイの音楽を好きなら「Sprechchor」は好きだと感じるハズなんですよ! 踊れる楽しさ、音の楽しさがギュッと詰め込まれている1曲だと。

尼川元気:確かにちょっと偏差値上がったな(笑)っていうのは客観的に聴いてて思いました。僕らが要求する部分を、プロデューサーのagehaspringsの方々の力も加わって、さらに音楽的に濃い作品になったと思います。制作の段階ではそんなに意識している訳ではないんですけど、相乗効果が出ていますよね。

--例えば、小倉さんが印象的だったドラムプレイを挙げるとしたら?

小倉誠司:僕は本当にドラムバカで(笑)、叩いているだけで面白いので、一つ挙げるか~……。逆の方向で10曲目の「傘の下で君は・・・」は面白かったですね。今まで打ち込みは打ち込み、生ドラムは生ドラムと分けてレコーディングしていたし、今作でも「Touch」(13曲目)とかは打ち込みなんですけど、この曲では二つを融合させてみようと思ったんですよ。
打ち込みのドラムを残しつつ、生ドラムを融合させていく。初めての試みだったので生ドラムの面白さと難しさ、打ち込みの音にも同期させなければいけないとか。難しくもありチャレンジでもあり、面白かったですね。「Sprechchor」とは違った音の楽しみ方といいますか。

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    一番いいって形になったのが『experience』
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聴き手が楽しんでくれるのが
一番いいって形になったのが『experience』

flumpool 「証」 Music Video (Full Chorus ver.)
▲flumpool 「証」 Music Video (Full Chorus ver.)

--かいつまんで色々伺ってきましたが、総じてアルバム『experience』は音楽の楽しさをより追求した大作になりました。

山村隆太:確かに、やっているより聴いてる方が楽しいこともありますよね(笑)。だから結局は聴いてくれる人が中心になった気がしますね。バンドには色んな時代があって、テクニックに走る時もあれば、歌謡曲のような歌に特化する時もある。
その中でもう一回ライブというものを原点において、目の前にいる人に対して何を伝えたいのかを突き詰めた結果、聴いてくれる人が楽しんでくれるのが一番いいって形になったのが、この『experience』だと思うんです。だからこそ自分たちも一番楽しめるというか……。でも“やっているより聴いてる方が楽しい”でいいのかな?(笑)

尼川元気:それはないけどな(笑)。絶対やってる方が楽しいと思う、申し訳ないけど。

阪井一生:手応えはありますね。この2年間で今まで以上に、1曲に対する自分の理想に近付いた。ストリングスとか打ち込みとか、今までやれなかったこともできるようになってきたし、描いているものにより明確に近付けるようになりましたね。
幅も増えたし、やりたいことも増えたし、今までにないような曲もある。2年前なら作れなかったと思う曲もあるし、今できるものを全て出せたっていう意味で、自信のあるアルバムになったと思います。

--では、そんな大作の最後を「36℃」というシンプルなバラードで締め括った意図は?

山村隆太:ライブの中での心境の変化が大きいですね。各会場で何千人、総数で言えば何万人ですけど、だけどやっぱり伝えたいのは一人に対してだと。たくさんの人が目の前にいても、例え全員に響かなくても一人の人生を変えられるような曲を歌えたら僕は満足できるし、一つの理想だなって思ったんです。
始まりを告げる「どんな未来にも愛はある」は、どちらかといえば広い愛だと思うんですね。弾き語りの生々しさを持って、もっと小さな世界を歌った曲で締め括りたかったんです。こういう曲は今までなかったし、自分で書いてみたいと思って作曲も自分でしました。

このライブがよくなかったら、これからはない

flumpool 「36℃」Music Video(Full ver.)
▲flumpool 「36℃」Music Video(Full ver.)

--最後に今後の予定ですが、年末には神戸でレーベル主催のカウントダウンライブに出演します。flumpoolはこれまで現レーベルA-Sketchのトップランナーとして、常にレーベルを引っ張り続けてきました。

山村隆太:引っ張ってきたのか、引っ張ってもらっていたのか……(笑)。

--いやいやいや(笑)。レーベルの第1弾ミュージシャンとして活躍してきたという自負はありますか?

小倉誠司:感じないといけない部分もあるけど、自分たちではまだまだだと思っています。ただ、それでもこうやって4年間やってきて、後輩もどんどん入ってきてますから自覚しなければいけないと思う所もあります。

山村隆太:自負はあります。でも凄いとは思ってないです、良い意味で自分たちの身の丈を分かっている所はあるので。これまではできることをやろうって気持ちだったんですけど、今はやりたいことをやろうって気持ちの方が強いです。

--NICO Touches the Walls、WEAVERとの共演も楽しみですね?

山村隆太:これは仲間との2012年の最後であり2013年の最初のパーティーって感じですよね(笑)。貴重な機会なので、そこはみんなと一緒にパーティーを楽しんで、しっかり次に繋げたいと思います。

--次というのは、来年1月に横浜アリーナと大阪城ホールで行う【flumpool Special Live 2013“experience”at YOKOHAMA ARENA / OSAKA-JO HALL】ですね。

山村隆太:自分たちがこの2年の中で経験してきたことを、アルバム『experience』で全て音楽にした。その経験は僕たちだけじゃなくて、スタッフもそうですし、何より僕らの音楽を支えてきてくれた人との経験が一番の基になっていると思う。そうしてできた音楽を、再びその人たちへ還元するように鳴らせるのは身が引き締まるというか。集大成になると思います。
ホールライブだと最前列から最後列まで、長い距離がありますよね。だけど一番後ろにいる人も「自分が一番楽しんだ」と思ってもらえる。何処にいる人も自分が一番楽しめたと感じてもらえたら、ライブは成功だと思ってて。それが実現できなければ失敗だって気持ちはますます強くなってます。

--また一つのキーになりそうですね。

山村隆太:『experience』は正に写真を収めるアルバムのように、今という瞬間を刻んできた作品だと思うんですね。だからこそ、その4日間でも瞬間を刻めなければダメと思うし、2013年の自分たちにしか刻めないライブとして、何ができるか、何をやりたいのかだけを考えてます。
そこが中途半端なら、いつやっても中途半端だと思う。来てくれる人もそんな気持ちになってもらいたいなって。それぞれに大変な想いをして生きてると思うし、だけど乗り越えてそこに来たんだから、その過去にも胸を張って今しかないものを刻んで欲しいと思いますね。

横浜、大阪でのスペシャル4Days Live開催決定!

【flumpool Special Live 2013“experience”】
<2013年>
1月11日(金) 横浜アリーナ
OPEN 17:30 / START 18:30
1月12日(土) 横浜アリーナ
OPEN 16:30 / START 17:30
info:キョードー横浜 045-671-9911(月~土 10:00~18:00)
1月16日(水) 大阪城ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
1月17日(木) 大阪城ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
info:キョードーインフォメーション 06-7732-8888(全日10:00~19:00)

一般発売日(横浜、大阪共通):2012年12月15日(土)

Music Video

flumpool「experience」

experience

2012/12/12 RELEASE
AZCS-1020 ¥ 2,934(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.どんな未来にも愛はある
  2. 02.Answer
  3. 03.イイじゃない?
  4. 04.Across the Times
  5. 05.プレミアム・ガール
  6. 06.Sprechchor
  7. 07.Because... I am
  8. 08.証
  9. 09.Natural Venus
  10. 10.傘の下で君は…
  11. 11.覚醒アイデンティティ
  12. 12.The great escape
  13. 13.Touch
  14. 14.36℃

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