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<インタビュー>GLAY JAY(ENHYPEN)とのコラボ含む新SG『whodunit / シェア』と、今のバンドに通底する“優しさ”というテーマ――TAKUROが語る

インタビューバナー

Interview & Text:青木優
Photo:Shintaro Oki(fort)


 愛を持ち、思いやりを忘れず、そして他者に対して寛容であること。ひさびさのTAKUROへのインタビューは、はからずもそうしたテーマが通底する話になった。

 GLAYのニューシングル「whodunit」(フーダニット)は、ENHYPENのJAYをフィーチャーしたコラボ作品。これが非常にクールで、しかも高い緊張感がみなぎる仕上がりなのだ。エレクトロかつダンサブルで、TERUとJAYとの共闘的なヴォーカルはじつに刺激的。GLAYというバンドにまたしても新風をもたらす楽曲になるのは間違いない。

 これに続いてTAKUROが語ってくれたのは、両A面シングルのもうひとつの表題曲「シェア」と、クイーン+アダム・ランバートのフロントアクトを務めた札幌公演の日のこと。さらにもうひとつ訊きたかったのは、昨年暮れの東京・日本武道館公演のMCでHISASHIが「死ぬまでGLAYをやらないか」と言ったことについてだ。そしてこれらのすべてはつながり合っていて、今のTAKUROの、それにGLAYのリアルな生き方を投射しているように感じる。

 TAKUROに、深く感謝する。GLAYに対して強い思いを抱いている方にこそ、どうか読んでいただきたい対話である。

――今回の「whodunit」、ものすごくカッコいい曲ですね。

TAKURO:カッコいい! ……それ、いちばんうれしい言葉じゃないですか。ありがとうございます! まあJAYがカッコいいんだけど(笑)、GLAYちゃんも頑張ってますよね。



whodunit / GLAY×JAY (ENHYPEN)


――(笑)もちろんです。そもそもこのコラボが生まれたのには、どんないきさつがあるんですか?

TAKURO:「30周年のタイミングで、TERUと対等に渡り合えるシンガーとぶつかり合うような、ヒリヒリするサウンドをやりたいな」というのがあって。でも4~5年、いろいろ探していたんですけど、自分の中でピンと来る人がなかなかいなかったんです。そんな時に知り合いから、ENHYPENというグローバル・グループに、ギターが好きでロックが好きで、しかもアメリカ生まれの日本語ペラペラという生まれながらのスター、JAYがいる話を聞いたんですね。これには意外性もあるし、GLAYにとっても刺激なんじゃないかなって思ったんですよ。そこでは「大丈夫なの?」っていうある種の不安も絶対に必要で、そう考えるとJAYしかいないなと思って。


――スリルがある、ということでしょうか。

TAKURO:そうですね。今まで以上に振り幅が大きくても、たぶんGLAYの誇らしい作品になりうるだろうという自信があったから「彼しかいないな!」と思っていて、それを快諾していただけてね。そこからの作業は早かったですよ。メロディ渡して、歌詞もお願いして、そこからほんとにテンポよく書いてくるんで。その姿勢もすごくうれしかったですね。



Photo: Shintaro Oki(fort)

――歌詞は、TAKUROさんのアイディアがある上でJAYさんにも書いてもらったんですか?

TAKURO:仮の歌詞を渡して、その時に「この丸で囲んでいるのはJAYが唄うところだから、君の得意な言葉……英語でも韓国語でも何でもいいから、自分の気持ちを書いてほしい」と。で、テーマは、窮地に追い込まれたふたりが力を合わせて、皮肉を言いながらも脱出するような世界観。映画で言うなら『俺たちに明日はない』みたいなフィルム・ノワール的な、ちょっとヒリヒリする感じでいきたいと伝えて。そしたら「こういう歌詞はどうですか?」「こういう唄い方どうですか?」というキャッチボールがすごくたくさんできたんです。で、レコーディングスタジオは韓国だったんですけど、その頃にはお互い初めて会った気がしない感じで。作業はスムーズに進んで、スムーズに終わりました。


――つまり歌詞に込められたメッセージ性は、まずはTAKUROさんからのものであると。

TAKURO:そうですね。イメージとしては、TERUとJAYがお互いにらみ合いながらも信頼を築いていくような、いわゆるバディもの。僕、それこそ「Buddy」って曲を書きましたけれども(『HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-』収録)、そういったイメージがありながら、JAYのところはあくまでも自分の感性で書いてくれ、と。曲としてまとめる自信だけはあったので、「大丈夫です!」ってね(笑)。


――サウンドはその時点で、ほぼできていたんですか?

TAKURO:そう。去年の秋ぐらいかな……俺のデモテープがひどくて、「これじゃ伝わんねえな」と思って、HISASHIに丸投げして(笑)。「カッコいい感じで」ってお願いしたら、完成形とまったく変わらないクオリティのデモテープが上がってきて。そこにJIROが加わることによって、よりダンサブルになってね。微調整ののちにTERUが仮歌を唄って、それをJAYに送る感じでした。


――この曲調がシリアスで、しかもダンサブルで、さらには今の世相を反映している印象を受けます。そしてインターナショナルなコラボであり、インターナショナルなメッセージでもあると思うんですよ。

TAKURO:そうですね。「whodunit」には……今は、他者への寛容みたいなものがどんどん失われているような気がしていて。そういったことを念頭に置いたら、さっきおっしゃったような雰囲気が入りましたね。やはり生身の人間がやることですし、生きているだけで何かは感じるから、それがその時代時代の曲に映し出されますよね。


――はい。JAYさんもそれに共感して言葉を書いていると感じます。

TAKURO:うん。そこで日本語を選んだのか、というのも驚きでした。けっこう強い言葉が入ってくるから……〈鬼〉とか〈死神〉とかね(笑)。作詞家TAKUROが使わないであろう言葉を作詞家JAYは使うから、これは作詞家対決としても面白いなと。



Photo: Shintaro Oki(fort)

――はい。もちろんお互いにリスペクトがある上でのバトルであり、いい意味での緊張感をすごく感じます。

TAKURO:そうですね! とは言え、ワールドツアー中のJAYとのコラボレーションは、うちの会社にとってもずいぶんと勉強になりました。だってHYBEといったら、それこそアリアナ・グランデもジャスティン・ビーバーもマネジメントするようなトップ・エンタテインメント企業なわけで、そこと西麻布の一匹狼ラバーソウル(GLAYの事務所)が仕事するわけだから(笑)。うちはマネージャーひとりで行ったのに対して、相手は9人とかいるんですよ。だけどそれこそ、地域は違えど音楽で人々を楽しませたいという気持ちは一緒だろうし、ここで海外のアーティストと仕事をする意味はありましたね。相互理解とか忍耐とか、寛容さがより必要になってくる現場だったんで。


――そしてシリアスさとアガる感覚が共存しているのは、今、2024年の空気を貫いている気がします。

TAKURO:うん、去年の「THE GHOST」絡みのツアーで、リマスター盤『THE FRUSTRATED Anthology』の準備もしていて、「2024年のGLAY、こっちありだな」っていうのがあったんです。「やっぱりGLAYらしい楽曲のほうがいいのかな」とも思ったけど、去年のライブで1曲目にやった「THE FRUSTRATED」で「あ、今のGLAYにこの手の色っぽさはありだな」と……ちょっと悪い感じのね。アルバム『FREEDOM ONLY』(2021年)がわりと優等生的だったこともあって、「じゃあ反動でこっちに寄ってみよう」というのは、おぼろげながらあって。で、楽曲としては「20年前のモチーフも今なら最高の形で出せるかな」と思ったりしてね。



THE FRUSTRATED / GLAY


――たしかに、HISASHIさんがベーシックを作ったという「whodunit」のエレクトロな感覚はすごく刺さります。

TAKURO:はい。あれはいつだったかな……ロサンゼルスでロケをしている時に、ずーっとラジオでかかっていた……MGMTだっけな? やたらとポップなシンセで始まるんですけど、いちおうはロックで。


――ああ、だいぶ昔のあの曲ですね……「KIDS」(2007年)か。

TAKURO:「♪ティッティッティッティ、ティーリリッティッティ~」ってやつ。あれがもう、やたらと流れていて。でもね、これ、笑っちゃうけど、頭から離れないの。「あれを今やりたいかも」とHISASHIに投げたら、全部理解してくれて。俺が望む、ファニーなんだけどちょっと怪しい感じもする、でも忘れられないメロディのあるイントロを作ってくれて。結局そのまま、唄い出しのメロになりましたからね。



KIDS / MGMT


――言われてみたら「whodunit」のサウンドは、「KIDS」をモダンにアップデートした感じですね。そしてJAYさんとのコラボもいい雰囲気でできたわけですね。

TAKURO:そうですね。せっかく快諾してくれたんで、彼のアーティストとしてのキャリアの何かしらの役に立てればいいなと思うから、絶対に変なものは作れないという、ほどよい緊張感もあったし。しかもほんとに好青年なので人間性も好きになるし、アーティストとしてステージに立てば……22歳だったっけな? もう無敵よね! 22歳! あのまっすぐさは、今のGLAYにはめっちゃまぶしい。そのまっすぐさは時に不完全だけど、まとまろうとするGLAYをいちいち揺さぶるから、それがロックなわけです。


――うんうん、その青臭さというか、若気の至りが。

TAKURO:そうそう。まっすぐ! ここにゴールテープがあるのに、100mぐらい先を目指すように走っていくから(笑)。歌もね。自分の価値観をもう一度問い直させられたコラボでしたね。


――なるほど。でも、GLAYだって本来、まっすぐなバンドですよね。

TAKURO:そう……そうだった! 明日からベルーナドーム公演(1999年7月開催【GLAY EXPO ‘99】の再現ライブ/※取材は5月中旬に実施)のリハーサルを始めますけど、当時の音源とか聴くと、もうイカれてる!(笑) ほんとに。幕張でやったあの時のEXPOも、ムダが多いの!(笑) けど、それなくしてあの時の成功はないんだなと思うし。


――そうですか。じゃあGLAYというバンドにとっても、すごくいいものをもたらした共演になったわけですね。

TAKURO:そうですね。いちばん聴いてほしいのは、JAYが単独で唄っているところのリズム感とGLAYのグルーヴの素晴らしい化学反応です。そのリズム感はGLAYのグルーヴと全然違うんだけど、それがあるおかげでJAY色に全部染まるっていうね。


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誰かへの思いやりだったり、何かの文化だったりを
シェアできるような人でありたい

――わかりました。それからもうひとつの新曲「シェア」は一転して、すごく叙情的な歌ですね。季節感も、それに和の感じもあって。

TAKURO:そうですね。この歌詞に関しては……俺らはずっと北海道を心の拠り所にしていて、特にTERUがここ数年は北海道で歌入れをするので、そのために僕も長期、(函館に)行くんですけど、そこで感じる季節感はすごく大きいし。あとは、最近ずっと没頭しているアイヌ文化への思いですね。歌詞にある〈銀の滴降る降る〉という言葉は、知里幸恵という人が書いた『アイヌ神謡集』の序文に出てくるんです。その文には、アイヌは滅びゆく文化なのか?という問いみたいなものがあって……アイヌの人たち全員を代表して言っているようなね。で、その本に書かれているのは、真冬の北海道の、針葉樹が立ち並ぶ山の中で、電気もない時代に己の知恵と連帯で生きてきた人たちのことなんです。それが、たかだか100年とか150年ぐらい前の話なわけですよ。


――ああ、なるほど。そういう関心から生まれた歌なんですね。

TAKURO:歌詞に関してはね。で、「シェア」は、シェア……できなかったこと、できたことについて。人間って“シェア”できなかったことのほうがたぶん多いんだろうけれども、それでもそれをいつも心に留めておいて、誰かへの思いやりだったり、何かの文化だったりをシェアできるような人でありたいし、そういう国であればいいな、と思っていますね。


――そのことは「whodunit」の“寛容であること”というテーマとも関係しますよね。

TAKURO:そうですね。ここ1~2年で書いた曲に関しては、ウクライナの戦争のこととか今の中東問題とかはどうあっても反映されますね。特にLAに住んでいると身近な問題なので。



Photo: Shintaro Oki(fort)

――はい、だから「Only One,Only You」(2022年)ともつながっていますよね。そしてそこには人間に対する、世界に対する思いや愛情があって。

TAKURO:ね? 「曲書けるかもな」と思って散歩すると、メロディと歌詞が一緒に出てきたりするんですけど、そこでその時々の自分を取り巻く状況が色濃く出るのは、前々から一緒ですね。



Only One,Only You / GLAY


――わかりました。それからこのシングルのもうひとつのヤマ場はクイーンのフロントアクトを務めた時のライブ音源と映像です。札幌ドームは、めちゃめちゃ熱いパフォーマンスだったんですね。

TAKURO:ねえ? いや、ほんとに俺たちにとってホームだったのかアウェイだったのか、いまだにわからないライブだったんですけど……北海道だし、でもほかのバンドのファンの方々の前だったし……そういう意味ではかけがえのない、いい時間を過ごさせてもらったと思っています。ブライアン(・メイ)は優しいし。ロジャー(・テイラー)なんかは、俺たちがデビューしてすぐに『MUSIC STATION』に出た時にYOSHIKIさんと一緒にユニットをやっていたから、その時に会っていたりもしていて……76(歳)と74と言ってたかな。で、そこに40幾つのアダム(・ランバート)が入っていて。これ、考えてみると、メインコンポーザー、メインシンガーがいない……つまりGLAYなら、TAKUROとTERUがいないわけですよ。それでサポートボーカルとサポートミュージシャンを入れて、GLAYだと言ってツアーをやっている状態ですよね。それをファンの人たちはどう思うんだろう?と思って。


――ああ、なるほど……そうか。そうですよね。

TAKURO:でも思ったのは……自分に置き換えてみると、「フレディ(・マーキュリー)は、自分がいなくなってもバンドを続けてほしいと思っただろうな」ということなんです。そういう思いに共鳴しっぱなしですよ! だから、本当にただ尊敬するばかりだったし、背負ったものの大きさには泣けるし……フレディの代役というとんでもないものを背負うアダムの気持ちにも泣けるし、どんな批判を浴びてもクイーンを止めないロジャーとブライアンの気持ちもわかる。「フレディがいないクイーンはクイーンじゃないから」と言って参加しないジョン・ディーコンの気持ちもわかる。そんな人たちが、最後かもしれない日本ツアーで、札幌に来るのは42年ぶりということなら、俺たちの思いはひとつだけ。本当に気持ちよく過ごしてほしいし、気持ちよく演奏して帰ってほしい、そのためだったら何でもやる、ということです。クイーンのみんなが「GLAYと一緒にやって良かったね」と思ってもらえるような仕事をするのが、俺たちの与えられた使命だと思いました。


――終演後の集合写真も、みなさん、すごくいい顔をしていましたね。

TAKURO:ねえ? いやぁほんと、「俺も見習おう」と思うぐらい、みんないい人で……器がデカいですよね。アダムもロジャーもブライアンも、みんなも優しいし。「お前らのパフォーマンス、観たよ! いい音だったよ!」と言ってくれたしね。



――(笑)本当にいい話ですね。で、今回は最後にどうしても聞いておきたいことがあります。僕、去年の12月にTAKUROさんのソロライブをビルボードライブ横浜へ観に行ったんですね。それがすごくよかったんです。

TAKURO:おお、そうですか。ありがとうございます。


――で、そのアンコールで「Goodnight TOKYO」という新曲を唄う前に、TAKUROさん、直前に開催したGLAYの日本武道館公演のことを話されましたよね。ステージでHISASHIさんが「TAKURO! 死ぬまでGLAYをやらないか!」と言って、それにTAKUROさんは「はい」と答えたと。で、「彼がそういうふうに言った気持ちはすごくよくわかる。その時感じた思いを曲にしました」と話されました。そしてその歌に、すごく感動したんです。

TAKURO:(笑)……俺の歌で感動してくれるのなんて、佐久間(正英)さんと青木さんぐらいですよ。ほかには世界中探しても、誰もいないです(笑)。


――あの曲はソロの作品として書かれたんですか?

TAKURO:まあ、あれはフッと思い浮かんで書いたやつなので……いずれGLAYでもやれたらいいなと思っていますけどね。



Photo: Shintaro Oki(fort)

――そうですか。で、あの曲ができた背景には、さっきのHISASHIさんの言葉があって……つまりバンドを続けること、これからも生きてGLAYをやっていくことへの思いがあったわけですよね。これはもしかしたら、さっきのクイーンの話とも関係するのかもしれないけれど。

TAKURO:そうですね、うん。それはもちろん。


――そこで聞きたいんです。TAKUROさんは今こうやってバンドを続けていること、そしてこれからのことを……つまりGLAYのメンバーもいるわけですけど。どんなふうに考えていますか?

TAKURO:うん……去年は……自分の音楽的背景においても重要なBUCK-TICKの櫻井(敦司)さんが突然亡くなったりしたし。俺が今、発売日にCDを買うのはThe Birthdayぐらいなんですけど、そのチバ(ユウスケ)さんが亡くなって。やっぱり……みなさんも同じでしょうけど、その喪失感みたいなものがあってね。これは俺の死生観に関わることだけど、やっぱり永遠なんてないので……「いずれ同じような思いをするんだろう」とは感じています。


――はい。

TAKURO:だからそういうことは……現実的に「1年後どうなるかわからないな」なんて考えています。で、HISASHIも似たような考えではいると思うんだけど、それでも彼は公衆の面前で「死ぬまでGLAYをやらないか」と言った。そこの意味には、たぶん10年、20年という時間が含まれているような気がしているんですね。そうなると……たとえば健康面に気を遣わなければいけないし、バンドをより大事にしないといけないな、と。もう50を過ぎた頑固な4人がぶつかり合って、空中分解とかになりかねないような職業でもあるわけですよ、俺たちは。それでも、そういったことを全部引っ込めてでも「死ぬまでやろう」という思いは、彼のキャラクターとは真逆なんですよね。後から聞いたら、本人は「あれは自分流のボケだ」って言うんだけど、そう取ってもらえないってことは、まだまだだなって話じゃないですか。トーク力として。


――(笑)肝心なところが伝わってないと。

TAKURO:(笑)。「伝わってないじゃないか」「お前、実は泣いてんじゃねえかよ」みたいな。だけど……自分のリアリストとしての側面はとりあえず置いといて、「少なくともHISASHIが納得するまでバンドは続けたいなぁ」って思ったんです。そんなこと言う人じゃないしね。彼が「もういいよ」って言うまでやるのが、俺の人生の新たな目標みたいなことになった。この職業というか、GLAYにおいてはね。HISASHIがそう言うかぎり、ほかの3人はついていくような気もするし。今までもその時々のメンバーの発言で、バンドの未来が10年伸びるような場面をたくさん見てきたんですけど。最近で言うと、やっぱりあの武道館のHISASHIのMCですね。


――はい。で、TAKUROさんはその思いを歌にしたと。それもすごいことだと思います。

TAKURO:ああ、そうですか……うん。あれだけのことがあると、やっぱり何かしら歌は生まれますね。仕事とはまったく別の、そんな、年に何回もないことですけどね。それこそ唄わされるというか、作らされるというか、そんな感覚でした。たぶん悲しんでいるであろうみんなにも共有したいメッセージとしてね。


――はい。ここ最近、亡くなったミュージシャンの方々が多いですもんね。

TAKURO:そう、去年、坂本(龍一)さんも亡くなったし、鮎川(誠)さんもそうだし。でもね、俺はそのこと自体を悲しく捉えているわけじゃないんですよ。そんなのは人間がもう何千年とくり返してきたことだから……悲しいんじゃないんです。僕にとっては。悲しがっている人を見るのが、悲しい。


――ああー。そういうことですか。

TAKURO:うん……それこそね、死にたくて死んでいる人たちでもないし。彼らにしてみれば、自分のせいで誰かが悲しんでいるのはイヤだろうし。



Photo: Shintaro Oki(fort)

――以前もちょっとお話させてもらったことなんですけど、そこでの死生観はTAKUROさんの中にすごくありますね。幼い頃にお父さんを失われていることがあって。

TAKURO:そうですね、うん……だから言葉を変えれば、「そのおかげで一日一日を悔いなく生きている」とも言えますしね。だけど子供たちの前で「人間はいつしか死ぬから、今を大事にしなきゃいけないよ」とか言うと、「そういうこと言うな」って言われますもんね(笑)。そりゃそうだよね。あの子たちには、あと50年とか60年あるんだもん(笑)。でも、そこで見える「お父さん死なないで」感も、ちょっとうれしかったりするし。だけど、こればっかりはどうあってもね……もう何千回と考えたけど、答えはひとつ。一瞬一瞬、悔いなく生きる。それだけです。そうなってくると「ああ、素直に謝ろう」とか、「意地張るのやめよう」「ちゃんと話を聞こう」とか、「『ありがとう』と言い忘れたから、戻ってでも言おう」というふうになる。そういうことがひとつひとつ、歳をとればとるほど、リアルに感じてくる。だから俺はおすすめなんですよね、この死生観は(笑)。


――それもまた優しさであり、寛容さということにつながりますね。そして何よりも愛でもあると思います。

TAKURO:うん……最終的に風の前の塵になるのであれば、「あいつ、いい奴だったな」と思われるほうがいいじゃないですか。「死んでせいせいした」と思われるより(笑)。そんな感じで、日々生きています。


――わかりました。今日はありがとうございました。エモーショナルな話をしてもらえて、うれしいです。

TAKURO:いやいや、いつでもお話しますよ。そんな感じです(笑)。こちらこそ、ありがとうございました。


GLAY JAY「whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)-/シェア」

whodunit-GLAY × JAY(ENHYPEN)-/シェア

2024/05/29 RELEASE
PCCN-62 ¥ 1,650(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.whodunit
  2. 02.シェア
  3. 03.SOUL LOVE (QUEEN+ADAM LAMBERT 『THE RHAPSODY TOUR』 in SAPPORO DOME)
  4. 04.HOWEVER (QUEEN+ADAM LAMBERT 『THE RHAPSODY TOUR』 in SAPPORO DOME)
  5. 05.彼女の“Modern…” (QUEEN+ADAM LAMBERT 『THE RHAPSODY TOUR』 in SAPPORO DOME)
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