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<メールインタビュー>世界屈指の名ギタリスト=ラリー・カールトン フェアウェル公演を前にこれまでの軌跡を辿る
ザ・ギタリスト。1960年代後期から西海岸のシーンでセッション・マンやリーダーとして鋭意活躍しているラリー・カールトンの活動に触れるとまさにそう言いたくなる。そのジャンルレスでスーパーなギター演奏をチェックしていくと、1970年代以降のアメリカ合衆国の多様な音楽様式を側面から見渡す思い得てしまうか。残念ながら、かような匠がしばしライヴ・ツアーから離れることがアナウンスされた。その理由や彼が長いキャリアで培ったギター哲学を、ファイナルとなる日本ツアーを前にメールで問うてみた。なお、その5月のツアーに、彼は“Salute(敬礼)”という言葉を冠している。(Text:佐藤英輔)
――今、これまでの音楽活動/生活を振り返るとどんな感想を持ちますか。
ラリー・カールトン:感謝の念しかありません。若いころにサポートしてくれた両親がいてくれたおかげで音楽で生きていくという夢を追いかけられましたし、たくさんの人が僕の才能を使いたいと言ってくれる機会に恵まれましたね。
――ジャズ・クラブで演奏できればそれで本望と思っていた無欲なあなたが、様々なスター・アーティストから求められる存在になってしまうとともに、ギター・ヒーローとして数多のアルバムを出してきました。人生って本当に面白いですよね。
ラリー・カールトン:ええ、とても面白いです。何年か前に聞いた、『人生とは計画を立てているときに実際に起こるものだ』という言葉が好きです。
――あなたのファンには熱心なジャズ・フュージョンの聴き手もいれば、ロックの愛好者もいるでしょうし、ブルース好きの聴き手もいることと思います。あなたの演奏の幅の広さには驚くばかりです。
ラリー・カールトン:情熱を多方向に向ける。というのが、僕のギター・プレイを語るには一番良い説明なのではないでしょうか。
――あなたはTak Matsumoto、スティーヴ・ルカサー、様々な個性をつギタリストとの共演作も出しています。同じ楽器の名手と重なることを避ける人もいるかと思のですが、逆にそこに誰とやっても自分を出せるといったあなたの強い自信やギター愛を感じたりもします。
ラリー・カールトン:音楽というのは、僕にとっては競争ではないんです。感謝すべき何かなんですよ。全てのミュージシャンが、ユニークなアプローチを持っていて、それは全て祝福されるべきことだと思います。
――長い活動で、座右の銘にしてきたことありますか。
ラリー・カールトン:エゴは、ドアに置いていけ。
――ところで、あなたは多々ライヴ・アルバムも出していますよね。やはり公演はあなたにとっては重要な活動の柱であったのだなと気付かされます。
ラリー・カールトン:ライヴのためにステージへと向かうと、それはすぐに聴衆と共有する経験になります。その夜のパフォーマンスの熱量は、聴衆の熱量や音楽に対するリアクションにすごく影響されますからね。
―そんなライヴ・ツアーから一旦離れると聞いています。その理由を教えていただけますか。
ラリー・カールトン:明確にしておきたいのは、今後も何かしらパフォーマンスは毎年行っていくということです。でも、ツアーに出る日数は減らしていこうと思っています。幸運なことに、僕は今とても健康なので、肉体的に疲労してしまうツアーを行わないという選択を取ることにしました。
――自分のライヴ・ミュージシャン人生に悔いはないということでしょうか?
ラリー・カールトン:はい、後悔は何もありません。
――ツアーからは離れても、創作活動は鋭意続けていくんですよね?
ラリー・カールトン:いつだってそうですが、インスピレーションがあれば常に音楽は作り続けていきますよ。
――2007年以降、あなたはビルボードライブで来日公演を行っており、デイヴィッド・T・ウォーカーとのライヴ盤『BillboardLive Tokyo』も録音しました。来日時のことやビルボードライブでのショーで印象に残っていることを教えてください。
ラリー・カールトン:日本では、ファンと一緒に年を重ねるという機会に恵まれました。いつもショーに来てくれて、40年以上僕に笑いかけてくれている方の顔も覚えています。僕にとって、それはすごく美しくてユニークな経験となっています。ビルボードライブという会場は、初めて足を踏み入れたときに美しさに圧倒されたのを覚えていますね。素晴らしい会場であり続けるビルボードライブに拍手を!
――この5月にビルボードライブ横浜、東京、大阪と回り、全14回のショーを行うことになっています。そのビルボードライブ・ツアーへの抱負を聞かせてください。
ラリー・カールトン:日本のファンの皆さんと祝福を続けるために、僕のキャリアのハイライトたちをお見せしますよ。
――今回のサポート陣には、管楽器奏者も入っていることも興味を惹かれます。
ラリー・カールトン:今回はザ・クルセイダースやスティーリー・ダン、フォープレイなど、僕のキャリアにとってハイライトとなるような楽曲を祝おうと思っています。サックスやトロンボーンも編成に入り、特にザ・クルセイダース時代の楽曲に参加してもらう予定です。もちろん、よく知られた"ラリー・ソング"たちも絶対披露しますよ。
――とにかく、あなたの長いキャリアを締め括るような選曲になるのかなと思います。
ラリー・カールトン:イエス、イエス、イエス! 一緒にお祝いしましょう!
――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
ラリー・カールトン:いつもそばにいてくださり本当にありがとう。僕に長年にわたってインスピレーションを与え続けてくれていることにも感謝します。すぐにお会いしましょうね。
公演情報
Larry Carlton
Salute Japan Tour
~The Crusaders - Steely Dan - Fourplay~
2024年5月1日(水)&8日(水)神奈川・ビルボードライブ横浜
1stステージ 開場16:00 開演17:00
2ndステージ 開場19:00 開演20:00
公演詳細
2024年5月3日(金・祝)、4(土)、5(日)、6(月・祝)東京・ビルボードライブ東京
1stステージ 開場15:00 開演16:00
2ndステージ 開場18:00 開演19:00
公演詳細
2024年5月9日(木)大阪・ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場17:00 開演18:00
2ndステージ 開場20:00 開演21:00
公演詳細
ビデオメッセージ
Larry Carlton Video Message for Billboard Live 2024
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