2023年春、橋本環奈出演CMに起用されたプレデビュー曲「Step＆Step!」で注目を集め、夏に「ヨルヲカケル」でメジャーデビュー。その勢いに乗って今春話題のアニメ『姫様“拷問”の時間です』エンディングテーマ「明日は明日の風が吹く」をリリースしたLEEVELLES。今回のインタビューでは、本作についてはもちろん、昨年末のワンマンライブや『MUSIC FAIR』初出演、今現在のモードや2024年の展望までがっつり語ってもらった。

　ぜひご覧頂き、ブレイクの予感しかしない彼らのキャラクターやバンドスタイル、意気込みをぜひ感じ取ってほしい（※一部、腹が減る“拷問”描写を含みます。ご了承ください）。

Interviewer：平賀哲雄

メジャーデビューイヤー「一般道から高速道路に乗った感じ」

－－2023年はLEEVELLESのメジャーデビューイヤーでしたが、今振り返ってみるとどんな1年だったなと感じていますか？

小川紘輔：怒涛の1年でした。後半のほうはあんまり記憶にないぐらい、いろんなことがあって。例えるなら、一般道から高速道路に乗った感じ。生活サイクルが今までとすごく変わったんですよ。時間を上手く使わないとまわらなくなったというか。でも、これにどんどん慣れていかなきゃいけないし、何ひとつ取りこぼさないようにしながら、みんなで高速道路を突っ走っていきたいなと思っています。

川﨑純：去年の前半、メジャーデビュー前も新曲をどんどん作らなきゃいけないし、レベルアップもしなきゃいけなかったから大変だったんですけど、わりと自分と向き合う時間もしっかりあったんです。そこでいろいろ考えることができて、心の整理をする準備期間があった分、僕はメジャーデビューで走り出したあとがすごく楽しくて。いろんな方に関わって頂いて有難い1年でしたし、自分としてもバンドとしても今までと比にならないぐらい成長できた1年でもあったし、ちゃんと限界突破できたから。紘輔くんがさっき言った通り、スケジュールはどんどんタイトになっていったんですけど、それでもひとつひとつ細かいディテールまで拘って活動できていたので、そこは今年も変わらずやっていきたいなと思っています。

－－12月6日には、メジャーデビュー後初のワンマンライブ【地獄の沙汰もライブ次第】を開催しました。客席から観たLEEVELLESについてはレポートを書かせて頂いたんですけど、ステージに立っている側からするとどんなライブになったなと感じていますか？

宮地正明：めちゃくちゃ素敵な経験をさせて頂けたなって。それがいちばん大きいですね。インディーズ時代も「そのとき出来ることを全部やろう」と思ってライブをしていたんですけど、今回はそれに加えて関わって下さる方がすごく増えたこともあって、これまでやりたくても出来なかったことがたくさん実現できたんですよ。例えば、マニピュレーターさんを入れることもそうですし、LEDをふんだんに使うこともそうですし、自分たちだけじゃ出来ないところを形に出来たことにはとても感謝しています。めちゃくちゃ楽しかったです！

髙木皓平：あと、あの日のライブでいちばん良かったのは、2023年内で得てきた勢い、新たに身につけた自信をそのままステージに持ち込めたことで。その感覚は2022年までの自分たちとは違う。ちゃんと成長した姿を見せられたことが嬉しかったです。

小川紘輔：しかも、その先の可能性もすごく感じられたんですよ。宮地が言ってくれたように、やりたくても出来なかったことがたくさんあって。それが実現できたことで「関わってくれる人が増えた今なら、ここまで表現できるんだ！ ということは、あんなことやこんなこともやれるんじゃないか！」ってすごく未来が楽しみになったんですよね。だから、メジャーデビュー後初ワンマンライブですごく良いスタートを切れたなと思っています。

－－ボーカルギターの小川さんが鍵盤を弾く場面もありましたよね。あれはこれまでのライブでもやっていたことなんですか？

小川紘輔：鍵盤はワンマンライブでしかほぼ演奏してなくて。普段のイベントライブだとセッティングとかいろいろ難しいんですよ。でも、弾けるなら弾きたいんです。なので、ワンマンでは今後も披露していきたいと思っていますし、僕だけじゃなくて、例えばドラムスの皓平くんがギター持って前に出てくる曲もあっていいし、そこで僕や宮地がドラムを叩いてもいいし、純くんがベースを弾いてもいいし、L'Arc～en～Cielさんじゃないですけど、そういう変化をこれからも見せられたらなって。

－－小川さんのピアノ弾き語りから始まり、そこにそれぞれの音を重ねていきながら披露した「Walk」。あの新曲はどんな構想のもとに生まれたんでしょうか？

川﨑純：そもそもあのワンマンライブが決まったのが、開催1ヶ月前ぐらいだったんですけど、そこからセットリストを決めていく流れの中で「新しいバラードを聴きたい」という意見が出てきまして。で、そのバラードをつくり始めて、最終的にライブで披露できる形になったのが……前日とか当日とかだったよね？

小川紘輔：前日の夜ぐらいに歌詞が完成して。LEEVELLESってバラードが少ないんですよ。だからこそバラードで新たな可能性を見せたいと思ってつくり始めたんですけど、メジャーデビュー後初ワンマンライブで披露するのであれば、ファンの方や関わって下さっている皆さんへの感謝を歌おうと。そのうえで、これからもみんなと一緒に歩んでいくイメージの前向きなバラードにしようと思ったんです。

アニメ『姫様“拷問”の時間です』EDテーマ「食いしん坊でよかったです（笑）」

－－今後も歌えば歌うほど重要な曲になっていきそうですよね。また、あの日のライブには、ジェンダーレスモデル＆タレントの井手上漠さん、女優の前野えまさんが登壇。2人ともLEEVELLESのMVに出演している縁があっての登場だったと思うのですが、熱いトークセッションになりましたね。

小川紘輔：井手上さんの僕らに向けての熱い語りには、完全に聞き入ってしまいましたね。井手上さんはメジャーデビュー曲「ヨルヲカケル」のMVに出演して下さったんですけど、あんなに歌詞までしっかり聴きこんでくれていたこと。そのうえで僕らやファンについて語って頂けたことは、すごく有難いなと思いました。

宮地正明：あの瞬間は僕らも完全にお客さんでした（笑）。

川﨑純：ちゃんと感動しました。おかげでそのあとにめちゃくちゃ熱い演奏もできましたし。

小川紘輔：MVでも作品をブーストして頂いたんですけど、ライブでもブーストして頂いて。で、前野えまさんがめちゃくちゃポップに僕らについて語ってくれた流れも良かったんですよね。おかげで、僕がどれだけ食いしん坊なのか皆さんに知られてしまったんですけど（笑）。

－－「地獄の沙汰も愛次第」MV撮影時にクレープをひたすら食べていた話ですね（笑）。

髙木皓平：緩急の素晴らしいトークコーナーだった（笑）。

川﨑純：ああいうトークコーナーをライブで出来るバンドで良かったなと思いました。演出的にあれをしないほうが良いバンドもいるじゃないですか。でも、LEEVELLESはそこが出来る余白のあるバンドなんですよね。むしろハートフルになるというか。

－－LEEVELLESはポップですからね。あらゆるものを許容できる懐の深さがある。それを改めて感じさせるシーンでもありました。で、そのライブがあった週末に『MUSIC FAIR』初出演。国民的音楽番組に出演されたわけですが、いかがでした？

小川紘輔：『MUSIC FAIR』に出られるなんて思ってもいなかったから、最初にスタッフさんから報告されたときに「ん？どの『MUSIC FAIR』？」みたいな（笑）。まさかあの番組だとは思わなかったんですよ！

川﨑純：格式が高すぎて、俺らが出ることなんて想像できなかったから。

宮地正明：関東ローカルの音楽番組に出演させて頂いたことはあったんですけど、全国区の番組に出るのは初めてのことで。なので、家族や友達から「見たよ！」っていう連絡がたくさんあって嬉しかったです。おじいちゃんも観てくれていたらしくて「頑張ってるね」って。

小川紘輔：僕ら以外のアーティストさん目当てでご覧になっていた方々が、急に出てきた僕らのパフォーマンスを観て「好きかも」みたいな感じで反応してくれていたのも嬉しかったよね。有難い経験をさせて頂きました。

髙木皓平：トークのときに出演者の皆さんと並んだんですけど、明らかに僕らと違うんですよ。和気藹藹とはしているんですけど、顔つきや覇気が違うというか。『ONE PIECE』で例えるなら四皇と対峙している感覚（笑）。皆さんが演奏している姿もモニター越しに拝見させて頂いていたんですけど、めちゃくちゃ格好良かったし。「目指すべきはここか！」と良い意味で洗礼を受けましたね。

－－また、テレビと言えば、LEEVELLESの新曲「明日は明日の風が吹く」がアニメ『姫様“拷問”の時間です』のエンディングテーマとして毎週オンエアされています。今年最も腹が減るアニメと言っても過言ではない作品ですが、ご覧になられましたか？

小川紘輔：僕は食べることが大好きなので……放送を観ていつも悶えてます（笑）。1話からトーストやたこ焼き、ラーメンと美味しそうなモノが拷問としてたくさん出てきて、それに姫様が屈して秘密を話してしまうシーンがあるんですけど、僕も一緒に屈しちゃうんですよ！

一同：（笑）

小川紘輔：ごはんの描写がすごく美味しそうなんです！ 作画もそうなんですけど、音がヤバいんですよね。トーストを裂く音とかラーメンをすする音とか。だから観ていてずっとしあわせですし、そのエンディングに僕らの新曲「明日は明日の風が吹く」が流れてきてまたしあわせな気持ちになれるし、とんでもないアニメだなと思っています（笑）。キャラクターの作画も素晴らしいし、ポップで可愛いし、こんなに素晴らしい作品に携われて本当に嬉しいです！

－－飯テロの極意を分かっている作品ですよね。トーストをビーフシチューの残りにディップして食べたり、家系ラーメンのスープが染みた海苔をライスに巻いて食べたり、そこのディテールが垂涎モノすぎる。

小川紘輔：本当にそう思います！ あれを観てヨダレ出ない人いない！

－－てか、よくよく考えたら、これだけ食いしん坊のボーカルを擁するバンドが『姫様“拷問”の時間です』のエンディングテーマを務めるって必然性を感じますよね。説得力がある（笑）。

一同：たしかに（笑）！

小川紘輔：食いしん坊でよかったです（笑）。

「これがやりたくてずっとバンドを続けてきたんだよな」

－－そのアニメのエンディングに「明日は明日の風が吹く」が流れてきたときは、どんな気持ちになりましたか？

宮地正明：めちゃくちゃ嬉しかったです。音楽をやっている中で『ジャンプ』関連の作品に関わる（※『姫様“拷問”の時間です』の原作は、少年ジャンプ＋にて連載中）というのは、夢のひとつだったので。しかも、このアニメは厳ついタイトルの印象と相反して、癒しの要素しかないじゃないですか。アニメによっては「こういう気分のときに観れない」と思う作品もありますけど、そういう部分がひとつもない。どんな気分のときでも楽しく観ることができるので、そういうアニメにLEEVELLESの楽曲を選んでもらえたこともすごく嬉しいんですよね。

－－そうしたアニメ作品に対して「明日は明日の風が吹く」は、どこを目掛けて制作していった楽曲なんでしょう？

小川紘輔：人間は誰しも煩悩を持っているじゃないですか。その誘惑に負けてもいいんだよってことを書きたかったんですよね。誘惑ってちょっと良くないイメージがあると思うんですよ。だから「誘惑に負けないように頑張ろう」みたいなことをよく言うわけで。でも、誘惑に抗い続けても負けてしまうこと＝ダメなことじゃなく、それも含めて人間らしさだよね、愛おしいよね！っていうことを描きたかったんですよね。誘惑に負けたからって世界が終わるわけじゃないし、負けてもまた明日頑張ればいい。そんな感じでちょっと肩の力を抜いて人生を楽しめるような楽曲に仕上げました。

髙木皓平：このアニメと曲のせいで……というか、自分のせいなんですけど、ちょっと食に対して甘くなりました（笑）。「明日また走ればいっか。食べちゃおう」みたいな。

－－めっちゃ分かります（笑）。演奏やサウンド面で意識したところはありますか？

髙木皓平：リズム隊で言うと、今までLEEVELLESになかった2ビートを初めて起用しているんですよ。ウチはELLEGARDENが好きなメンバーもいて、僕もメロコア上がりなんですけど、その側面をようやくアウトプットすることが出来た楽曲だから「キター！」って感じでした（笑）。

宮地正明：最初のデモの段階では、もうちょっと優しい印象の楽曲だったんですけど、プロジェクトの中で「もっと楽しい要素も入れようよ」という話になって。「じゃあ、2ビートで！」みたいな。それで、みんなで盛り上がれる楽曲に仕上げていったんです。

川﨑純：ライブでは、お客さんも一緒にサビとか歌う感じになったらいいなと思って。結果的にアニメの曲としても、ライブでも盛り上がれる曲になったんじゃないかなと。

－－今回のインタビューならではの質問をしたいんですけど、皆さんが目の前にあったら姫様のように我慢できない飲食メニューってなんですか？

一同：（笑）

髙木皓平：「今日疲れたなぁ。腹減ったなぁ……」と思いながら帰っているとき、吉野家の看板を観ちゃうとキツいっすね（笑）。店の中に吸い込まれていってしまう。吉野家って24時間営業してるから、いつ帰っても誘惑してくるんですよ。宮地と家近いから一緒に帰ることが多いんですけど、よく「宮地、寄らへん？」って誘ってます（笑）。

小川紘輔：僕はしゃぶしゃぶですね。しゃぶしゃぶが大好きで、例えば「今月、金銭的にあんまり余裕ないな」ってときでも行っちゃうんですよね、しゃぶしゃぶ温野菜に（笑）。あそこってちょっと粗めの大根おろしが出てくるんですよ。あれにポン酢を入れて、ネギを入れて。出汁はスタンダードの和牛出汁を選んで、それにしゃぶしゃぶされたあとの牛肉を目の前にしたら、我慢できないかもしれない。あと、ホルモンも好きで！

川﨑純：大体、何にでも屈しそう。

小川紘輔：食べれれば何でも屈するかもしれない。

一同：（笑）

川﨑純：僕は……姫様のように牢獄に捕らわれていたとして。ちょっと暑かったとして。そこにビールを出されたら余裕で屈します（笑）。?めるなら何でも暴露しますよ。

－－アルコールも入ってるから、なおさら喋っちゃう（笑）。

川﨑純：聞かれてないことまで話しちゃう（笑）。

－－ここまで全体的にチョイスがおじさん寄りですね。

一同：（笑）

宮地正明：じゃあ、僕は紅茶とパンケーキで（笑）！

－－さて、そろそろ〆に入っていきたいのですが、2024年のLEEVELLESの展望、抱負を聞かせてもらえますか？

髙木皓平：去年いろいろ経験させてもらった中で、たくさんヒントをもらったと思うんですよね。自分たちが成長していく為のヒントをたくさん頂いたので、2024年はソレを高い次元に昇華できる4人になっていきたいなと思っています。あと、ギラギラしたいですね！ それこそ『MUSIC FAIR』でご一緒させて頂いた先輩方のように自信を持って、顔つきからして今までと違うバンドになりたい。

川﨑純：今のLEEVELLESの状況を見ていると「これがやりたくてずっとバンドを続けてきたんだよな」って思うんですよね。この景色が見たくて、この環境に身を置きたくて頑張ってきたので、今はすごくしあわせなんです。ゆえに今年は4人でこれまで以上にひとつひとつのことに全力で取り組んでいきたいし、丁寧に細かいところまで拘って、去年以上の飛躍の年にしたいですね。