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<コラム>TikTokチャート5連覇を達成、BMSG所属の高校生ラッパーedhiii boiとは――「おともだち」のヒットと彼の歩みを振り返る



コラム

Text:高木"JET"晋一郎

 SKY-HIが2020年に設立した音楽事務所BMSG。3月に東京ドーム、4月に京セラドーム大阪でのワンマンを行う所属アーティスト、BE:FIRSTの活躍や、レーベルでのフェス【BMSG FES.】の開催など、その快進撃の説明はもはや不要かもしれない。

 その中で生え抜きのソロラッパーとして活動しているのが、現在17歳のedhiii boiだ。彼が11月にリリースした「おともだち」は、Billboard JAPAN“TikTok Weekly Top 20”にて、2023年12月13日発表分から5週連続で1位を獲得。1月17日および24日発表分でも2位につけ、チャートイン記録を伸ばしている。また、1月22日にはTBS系『CDTV ライブ! ライブ!』にも登場。ソロでのライブパフォーマンスを展開し、その注目度を更に高めている。

 では、改めてTikTokにおける「おともだち」を振り返りたい。まず「おともだち」をTikTokで見て印象に残るのは、そのハンドサインや手振りなど、上半身を中心にしたキャッチーなダンスだろう。TikTokで切り取られ使われている1stヴァース〈遊んでるLife Withお友達/食べ切れない量のご飯お残し無し/カメラ目線でみんながハイチーズ/信じてるLove & Peace〉という歌詞を具体的になぞるように構成された振り付けは、とても分かりやすく楽曲の構成をダンスで説明する。そしてダンスは、TikTokで約110万のフォロワーを持つTikTokクリエイター=ローカルカンピオーネによって、誰もが真似できるようにシンプルに作られており、視聴者やユーザーへのフレンドリーさが際立っている。

@localcampione dc:@YUKI🍓【ローカルカンピオーネ】 毎日おれらのチャレンジを踊ってくれるみんな!もうおともだちになれたよな❤️‍🔥死ぬまでおともだちに囲まれてカメラにハイチーズしてたいぜ✌🏼✌🏼 #おともだち #edhiiiboi #ローカルカンピオーネ #localcampione ♬ Friends - Itsumoarigatou Version - edhiii boi

 また、TikTokで「#おともだち」と検索すれば、フォロワー200万を超えるインフルエンサーらの投稿に加え、BE:FIRSTのメンバーやNovel Core、edhiii boiとともにEP『15th Dream』を制作したトレーニーのRUI&TAIKIなど、BMSGのメンバーが「おともだち」をダンスする模様が流れ、そのバックアップの確かさと、BMSGの友情を感じさせる。中でも「SUPER IDOL」をリリースしたSKY-HI × Nissyによるダンス動画は、この楽曲の拡散に大きく寄与したことは間違いないだろう。

@sky.hidaka #D_U_N_K_ Showcase 二日間ありがとう🫶✌️ @Nissy_staff #おともだち #edhiiiboi #Nissy #SKYHI #SKYHIxNissy ♬ Friends - Itsumoarigatou Version - edhiii boi

 そういったパッケージ的な“外側”はもちろんだが、同時に楽曲の“内側”の強度がしっかりと担保されているのが、「おともだち」が人気曲となった理由だろう。

 edhiii boiのラップは「118」などでも感じられたような、喉の奥を唸らすような“いがらっぽい”発声や、それを活かしたフロウが、特にラップパートでは印象的だった。それが1stアルバム『edhiii boi is here』では、そういった“いがらっぽさ”をラップだけではなくボーカルパートに援用したり(たとえば「Only God Knows」)、そこに鼻濁音のような鼻にかかる声を乗せて、よりフリーキーな聴感にしたり(たとえば「NO」)、プレーンな声質でラップすることで曲世界を表現したり(たとえば「宇宙(ソラ)」)と、まだ荒削りな部分はあるとはいえ、その「ボーカル表現の幅の広さと、スキルへの欲求」を作品として形にした。そして、その貪欲さはニューアルバム『満身創意』でも更に強く現れ、収録曲となった「おともだち」でも、その声のバリエーションの豊かさが、聴きごたえへと繋がっている。


 また、その声質とアタックの強いラップによって、ある意味ではedhiii boiの楽曲は“生意気”な印象があるが(実際にそういう部分を現した曲もある)、今回は〈言う 愛してんぜFriends〉〈「ホンマありがとう」〉と、ティーンエイジャーならではの“友情”の感情を、撚ることなく簡潔に、直接的にしたためたリリックが記憶に残る。それはこの世代でないと書けないリリックだろうし、それが彼と同世代のTikTokユーザーに刺さったことは想像に難くない。

 サウンド性で言えば、ロッキッシュな入り口から、ほぼキックとラップで構成された削ぎ落とされた音数のTikTokで切り取られたパート、そこに音素が多重的に重なっていき、edhiii boiが歌い上げるフックに着地するという目まぐるしい展開も、非常に現代のリスニング状況とフィットしているだろう。その制作に関わったのは、1stシングルから制作に携わっているネオンジェネシスせきちゃん。レイブやベースミュージックをベースに、クレイジーな(婉曲表現)ライブパフォーマンスで、数々のライブハウスやフェスを狂乱のズンドコに巻き込んだNATURE DANGER GANGの顔役であり、現在もテクノウルフなどのユニットで活動する彼の起用は驚きであると同時に、ハードコアテクノとハイパーポップという音楽史的連綿と、それがオーバーグラウンドにまで到達している現在の音楽的な展開、そしてedhiii boiチームがそこに意識的に関わっていることを感じさせる。

 ここからは、駆け足であるが彼のキャリアを振り返ろう。BE:FIRSTを生み出したオーディション【THE FIRST】に参加し、3次審査まで進出。それとは別に自身で制作していた楽曲をSKY-HIに送ったことで、14歳にしてBMSGへの所属が決まったという経緯を持つedhiii boi。そしてSKY-HIのアルバム『八面六臂』に収録された、同じく【THE FIRST】に参加していた2007年生まれ(edhiii boiは早生まれなので学年はひとつ上)のRUI、TAIKIとともに「14th Syndrome feat. RUI, TAIKI, edhiii boi」に客演し、デビューを飾った。その後、2022年にはソロとして「NO」や、同じ1月18日生まれのSOTA(BE:FIRST)、Novel Coreと共に「118」のリリースなど、矢継ぎ早に活動を展開。2023年には1stアルバム『edhiii boi is here』、同年に2nd『満身創意』をリリース。『満身創意』には上記のネオンジェネシスせきちゃんに加え、m-floの☆Taku Takahashi、Masayoshi Iimori (TREKKIE TRAX)など名うてのクリエイターが参加し、edhiii boi自身もバラエティに富んだ現在進行系の楽曲にチャレンジした。


 そんな意味でも、ラッキーパンチではなく、BMSGの中で鍛えられ若くして確かなキャリアを作品として形にし、着実なステップの上に「おともだち」のバズがあったと言えるだろう。そして、その先にどんな光景が待っているのか、楽しみにさせられる。


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