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<インタビュー>NAQT VANE(澤野弘之&Harukaze)1stフルアルバム『Dispersion』について語る「聴いたことのない音楽=NAQT VANEを浸透させていく為の作品」



<インタビュー>NAQT VANE(澤野弘之&Harukaze)1stフルアルバム『Dispersion』について語る「聴いたことのない音楽=NAQT VANEを浸透させていく為の作品」

 様々な映像作品の音楽を手掛け、ボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキ ヌジーク)でも絶大な人気を博す澤野弘之。そんな彼が「常に夢中にさせてくれるボーカリスト」と絶賛する新人シンガー・Harukaze。さらに独創的なアートワークを手掛けるクリエイティブコレクティブ・Classic 6と、多種多様な才能の重なりによって発足したチームプロジェクト・NAQT VANE。

 その1stフルアルバム『Dispersion』がデビューから約1年4ヶ月の時を経ていよいよリリースされる。これを記念し、昨今の音楽シーンの象徴的なトピック「AIと音楽」の話~より実態と輪郭が明確化してきたNAQT VANE像について。そして、2人が「スタートライン」と称する新しい音楽の集合体とも言える本作について語ってもらったので、ぜひご覧頂きたい。

Interviewer:平賀哲雄

AI全盛時代が到来したとしても、ずっと変わらないもの

--本題に入る前に、2023年の音楽シーンの象徴的なトピックについてお話を伺わせて下さい。

澤野弘之:お、何でしょう?

--今年はユニコーンがAIを活用した作品をリリースしたり、ビートルズ最後の新曲「Now and Then」もAIを駆使して制作されたことが話題となりました。澤野さんは、音楽におけるAIの在り方についてどんな見解を持たれていますか?

澤野弘之:僕は「面白ければ良いんじゃない?」と思っているので、否定的ではないです。それが作曲家にとって脅威になるとかならないとか、みたいなところまでは今のところ考えていないですね。AIでかなりクオリティの高いものをつくれるようになっちゃったら、音楽制作の予算が削られるケースも少なくない時代ですから、AIが便利だからと作家の活躍する機会が削られてしまうかもしれない。でも、そうなったら、AIでは出来ないアプローチを模索すればいいし、逆に従来のままでいいと思っていたところを変えていく刺激になれば、それでまた面白い音楽が生まれるかもしれないし。

--たしかに。

澤野弘之:例えば、コロナ禍のときも、ライブが出来なくなっちゃってみんなあたふたしたじゃないですか。それからいろいろと模索し始めましたよね。それと同じで、今度はAIが脅威になるんだとしたら、生身の人間がどういうことをすればいいか考えて、その状況に合わせた作家の価値を自然と模索していくことになると思うんです。

--ボーカロイドが登場したときにも議論となった、生身の人間でしかエモーションを表現できないんじゃないか問題。これはAIに対してもよく語られているテーマだと思うのですが、テクノロジーを駆使しながら、Harukazeさんの歌声を要して人の心を揺さぶる音楽を届けている身からすると、そこはどう捉えていますか?

澤野弘之:これは今までもそうなんですけど、自分は変にマニアックな音楽より、単純に聴いて「格好良い、気持ち良い」と感じてもらえる音楽を制作していきたいと劇伴を始めた頃からずっと思っていて。それをHarukazeの歌声と共に追求しているのがNAQT VANE。そのうえで確かにエモーションというものは重要で、そこをめちゃくちゃ意識して制作しているわけではないんですけど、自然とエモーショナルな音楽を目指していると思うんですよね。なので、仮にAI全盛の時代が音楽シーンに到来したとしても、どんなにテクノロジーが発達して音楽のつくり方が変わっていったとしても、そこはずっと変わらないと思いますね。

--NAQT VANEは、そこを顕著に表現していけそうですよね。昨年5月のグリーティングイベント【Greetings from NAQT VANE】で初めて2人揃ってのライブを観させてもらったとき、Harukazeさんがどんな人生を歩んでいくかによって変化していく音楽をやっているんだなと強く感じましたし。

NAQT VANE【Greetings from NAQT VANE】ライブレポート
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/125585

Harukaze:私自身、澤野さんにつくって頂いた楽曲に命を吹き込んでいく役割だと思っているんです。澤野さんがつくった時点で命は吹き込まれているんですけど、そこにもっと感情や自分の生き様みたいなものも入れ込んで歩かせていくイメージ。なので、毎回、作詞家の方たちとミーティングもして、それをどう捉えて歌っていくか──ということを繰り返しているんですけど、たしかに私がそれを歌っている時期に何を経験しているかによって、その楽曲の印象は変わっていくと思います。NAQT VANEの音楽は明確なテーマを掲げるというよりかは、如何様にも捉えられる楽曲が多いので、例えば失恋の歌にも捉えられれば、生きていく上での葛藤の歌にも捉えられる。だから、なおさら私のそのときそのときの感情や状況によって姿を変えやすいんですよね。

--グリーティングイベント【Greetings from NAQT VANE】でのインタビューで「絶賛制作中」と語っていたフルアルバム『Dispersion』がこのたび完成しました。それによって、NAQT VANEの輪郭がくっきりしてきたと思うんですけど、改めてNAQT VANEはどんな音楽プロジェクトだなと感じていますか?

NAQT VANE『Dispersion』

▲NAQT VANE『Dispersion』通常盤

NAQT VANE(澤野弘之×Harukaze)【Greetings from NAQT VANE】公開インタビューの全貌公開
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3967

Harukaze:結成当初は手探り状態だったんですけど、NAQT VANEを聴いて下さる方が増えていくほど、届けたい想いも強くなっていって。最初は「夢が叶った。これは私の夢そのものです」みたいなところから「聴いてくれている人たちに寄り添っていきたい」という感覚に変化していったんですよね。最初は自分の中でのチャレンジでいっぱいいっぱいになっているところがあったと思うんですけど、今はまわりに目を向けられるようになってきたから。なので、デビュー当時から「私たちだけじゃなくて、聴いてくれるみんなもNAQT VANEです」と言ってはいたんですけど、その「みんなでNAQT VANE」という感覚がより明確になってきていると思いますね。

澤野弘之:僕自身もこのプロジェクトをやることによって、挑戦というテーマも掲げていた通り、音楽プロデューサーとしての自分をどう築いていくのか──といったところにチャレンジすることが出来ているんですよね。そこは本当にNAQT VANEの存在が大きい。あとは、Harukazeが話した通り、聴いてくれる人に寄り添う感情はもちろん大事だと思いますし、その人たちと目指したい場所もあるので、そこに対して自分たちがどれだけ時間を使って向き合って広げていけるかも大事にしなきゃいけないですし、それをより応援してもらえるようなプロジェクトにしていかなきゃいけないなと思っています。

--「目指したい場所」と仰っていましたが、何か具体的な目標があるんですか?

澤野弘之:「絶対にここでライブがやりたい」みたいな目標はもちろんあるんですけど、それ以前にライブは重要だと思っているので、まずはひとつひとつ会場を大きくしていきたいなと。その為に聴いてくれる人たち=VANEs(NAQT VANEファンの呼称)を多くしていきたいし、それを今応援してくれている人たちも望んでくれるような感じになっていってくれたらベストだなと思っています。

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一生忘れられないライブになりました~涙の理由

--ちなみに、アルバム『Dispersion』完成に至るまでの活動の中で、どんなところに手応えを感じたりしてきましたか?


▲NAQT VANE / Break Free (Official Music Video)

澤野弘之:制作した楽曲ひとつひとつに、Harukazeの歌声やエンジニアのミックスなども含めて「出したいものを出せている」という手応えはあります。なので、楽曲に対する手応えはあるんですけど、それを感じ取ってくれる人たちが増えている手応え、より多くの人に共感してもらえている実感を得られるように広げていきたいと思ってますね。もちろん、ライブに来てくれたお客さんたちがその曲に対して反応してくれていることには、今もすごく手応えを感じていますけど、その輪をもっともっと広げていくことがこのプロジェクトの2024年以降やるべきことだと思っています。

--Harukazeさんはいかがでしょう?

Harukaze:最近ライブが増えてきて、VANEsの方たちはもちろん、初めてNAQT VANEを観た方たちと会う機会がすごく多くなってきて。その新しい人たちから「これからNAQT VANE聴いてみます」「あれから毎日聴いてます」みたいな声を聴いたときに、NAQT VANEが浸透し始めてきたのかなと感じたりしますね。そうやって日々増えていくVANEsの声が私にとって何よりの糧になるので、澤野さんも仰っていた通り、VANEsの輪をどんどん広げていきたいですね。

--Harukazeさんは、澤野さんのつくった楽曲を歌って届けていくポジションを担っているわけですけど、それ以外で「これは私のNAQT VANEにおける役割だな」と感じるものって何かあったりします?

NAQT VANE(澤野弘之×Harukaze)独占インタビュー「子供の頃からの夢である、世界一のエンターテイナー」
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3656

Harukaze:最初のインタビューで「スタジアムでライブしたい」と話したんですけど、その規模でのVANEsたちとの全校集会みたいな空間を実現することが私の夢なんですよね。それで言うと、校長先生……いや、校長先生は澤野さんなんだよな(笑)。

--VANEsたちと寄り添いたいなら担任の先生?

Harukaze:そっか、担任か。でも、もっと上から導きたい気持ちもあるので、教頭先生。教頭と担任の兼任? 例えがヘタですみません(笑)。とにかくNAQT VANEのヴォイスとなって、歌声だけじゃなくて、MCだったり、ラジオだったりで、メッセージを伝えていくことも役割だと思っています。

--澤野さんは、近くでHarukazeさんを見てきて、今に至るまでどんなところに成長や進化を感じてきましたか?

澤野弘之:人って場数を踏んでいくことで自信が顔に表れたりするじゃないですか。もちろん過信したらよくないんですけど。いろんなところでライブを重ねたり、ラジオをやったりしてきたことによって表情も変わってきたし、最初の頃とは違った表現の仕方もできるようになってきている。それはMVの撮影でも、ステージでも感じますね。これまでいろいろ模索した結果がちゃんと表れていると思います。

NAQT VANE『Dispersion』

▲NAQT VANE

--初めてふたりでライブした【Greetings from NAQT VANE】では、隣で演奏しながらどんなことを感じました?

澤野弘之:あのときは、僕もシンセサイザーの前に立って演奏することが初めてだったりして。ふたりで一緒にステージに立つことも、お客さんの前でパフォーマンスすることも初めてだったので、とにかく「この空間を楽しみたい」と思いながら演奏していたんですけど、Harukazeの成長も感じられましたし、それを喜んでくれるお客さんの顔をダイレクトに観ることができて、本当に楽しい空間でした。で、楽しいからこそ「もっと大きくしたいな」という気持ちが強くなりましたね。日本のお客さんはもちろんなんですけど、今は海外にすぐ音楽を届けられる時代なので、海外の人たちにも楽しんでもらえるライブ活動をできるようにしたいなって。

--海外のリスナーのリアクションは増えているんですか?

澤野弘之:YouTubeのコメント欄とか見ていると、増えているとは思いますね。海外のリスナーにも刺さってほしいと思って楽曲をつくっているので、それは嬉しいです。日本より海外の音楽が絶対的に凄いと言うつもりはないんですけど、でも「常に格好良いことやってんな」と学んだりするのは海外の音楽が多いので、それをつくっている人たちやそれをメインに聴いている人たちにも「日本人、格好良いことやってんじゃん」って思ってもらえたらなって。ただ「モノマネしてんなぁ」じゃなく「日本人なりに取り入れて面白い音楽つくってるな」って思われたいですね。だからと言って「僕ら、日本人のアーティストです」というところを打ち出したいわけじゃなくて、単純に格好良いことをやっている音楽プロジェクトとして認識してもらえたらなって。

--少し話を戻しますが、Harukazeさんにとっての【Greetings from NAQT VANE】はどんなイベントになりましたか?

Harukaze:忘れられないイベントになりました。あれから何回も動画を観返していて。数回泣いたと思うんですけど……(笑)。

--はい、泣いてました(笑)。

Harukaze:「Beautiful Mess」のシンガロングのところが今でも脳内再生できるぐらい鮮明に残っていて。で、澤野さんとの初めてのステージでもあったし、これからのNAQT VANEをどうしていきたいか改めて考えるきっかけにもなりましたし。自分の中で夢が叶ったけど、いきなり物事が怒涛のように進みすぎて、当時は気持ちが追いつけていないところが正直あったんですけど、あの日はそれがやっと追いついた瞬間でもあったんですよね。なので、一生忘れられないライブになりました。

--「Beautiful Mess」では、なんで泣いちゃったんですかね?


▲NAQT VANE / Beautiful Mess (Official Visualizer)

Harukaze:いろんな気持ちがあったんですけど、まずあの時点ではみんなが知らない曲を素晴らしく歌ってくれたこと。で、自分が先頭に立ってその合唱をリードしていると気付いたときに「あ、こういうことを自分にも出来るんだ?」と思ったこと。そして、その曲を歌ってしあわせそうにしている人たちの姿を見たら……(涙を溢れさせる)もう思い出しただけでも泣いちゃうんですよ! 本当に歌ってない人が……ま、2人ぐらいいたんですけど(笑)。

--そんなにちゃんと見てたんですか(笑)?

Harukaze:ほぼ全員歌ってたんです!

--もう全員でよくないですか(笑)。

Harukaze:全員歌ってたので! しかも知らない曲で歌ってくれていたので、もう我慢できませんでした。

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いつ聴いても「うん、格好良い」と納得できるものを追求

--それから約半年の歳月を経て完成したアルバム『Dispersion』全16曲。仕上がりにどんな印象を持たれましたか?

NAQT VANE『Dispersion』

▲NAQT VANE『Dispersion』豪華版

澤野弘之:そのときそのときに海外から影響を受けたものを作品に落とし込んでいるので、多少時間の経過を感じさせる曲もあるかもしれないんですけど、でも洋楽って時間が経っても格好良く聴けるものを追求していると思うんですよ。NAQT VANEでやっている音楽もヘンに時代を感じさせるものじゃなく、いつ聴いても「うん、格好良い」と納得できるものを追求しているので、このアルバムの楽曲群には改めてその思いを込められたと感じていますね。

Harukaze:私はこのアルバムが完成したとき、まず「これがようやく皆さんのもとへ届くんだ」と嬉しく思いました。あと、新曲たちがこれまでリリースしてきた楽曲とはまた違っていて、私もこれまで洋楽を聴いて育ってきたんですけど、そこにもない要素が入っている。だから、私的にはどの曲も「こんな曲、聴いたことない」ってデモの段階から感じていて。リファレンスはあるかもしれないけど、どれも澤野さんじゃなきゃ生み出せないサウンドだなって。ジャンルは多様ですし、それこそ私はAIに新曲たちを聴かせてジャンルを調べさせたんですよ。そしたら「シンセポップ」と出てくるものもあれば「ドリーミーバラード~~」って出てくるものもあったり、全部バラバラで。実際、本当に1曲1曲違っていて、それが今まで聴いたことのない音で構成されている。その聴いたことのない音楽=NAQT VANEを浸透させていく為にこのアルバムは存在していると思うので、これからたくさんの人に届けていきたいですね。

--制作はいかがでした?


▲NAQT VANE / NIGHTINGALE (Official Music Video)

Harukaze:楽しかったです! NAQT VANEでレギュラーラジオをやっているんですけど、そのラジオで使っているジングルがベースになっている曲とかもあって。元々自分の中で曲として捉えていなかったものを歌うことになったんですよね。それも新しい取り組みでしたし、映画『唄う六人の女』主題歌にもなっている「NIGHTINGALE」で初めて歌い方をちょっと変えたんですよ。それ以降も少しずつ声色を変えて歌った曲が今作には収録されていて。ベースにあるHarukazeの声は変えていないんですけど、伝えたいことや曲調が変わると、スタジオのマイクの前に立ったときに自然と声帯が変わるというか。それを積極的に駆使したり、すごくリズムが立っている楽曲はノリにノリまくって歌ってみたり、今までやってこなかったレコーディング方法を取り入れたアルバムでもありました。

--Harukazeさんの様々なキャラクターが楽しめるアルバムでもありますよね。あと、リズム。リズムパターンもそうなんですけど、リズムを鳴らす音自体も「聴いたことないかも」と感じる新しい音楽になっていて。

澤野弘之:そこはたしかに拘ってますね。そのリズムが楽曲のグルーヴにいちばん影響すると思っているので、自分が思い描く跳ねてる感じなどを出せるリズムはつくっています。それはパーカッションのリズムだけじゃなく、細かくフレージングで鳴ってるシーケンスの音とかも含め、かなり作り込んでいます。

--で、そのリズムとHarukazeさんが歌うリズムはまた違ったりするじゃないですか。よくこれだけ歌えているなと驚かされる楽曲がたくさんあって。

Harukaze:いや、難しいですよ!

澤野弘之:ハハハ!

Harukaze:まだ歌が入っていない、シンセの音だけのデモをまず聴き込むじゃないですか。で、自分が歌うとなったら乗らなきゃいけないリズムがまた別にあって。しかも私はレイドバックに歌っちゃうところがあるから「あれ、私ズレてんのかな?」って不安になるときもあるんですよ。だから、いろいろ苦戦したんですけど……大丈夫でしたか?

澤野弘之:大丈夫だからリリースするんだよ(笑)。たしかに、僕はあたりまえのようにそのリズムをつくっちゃってるんで、歌ってもらったときにそれがどれだけ大変か気付くんですよね。こっちはわざと「こうしたらヘンだろ」とか思ってつくってなくて、それが気持ち良いだろうと思って自然とつくっているので。

NAQT VANE『Dispersion』

▲NAQT VANE

--アルバム『Dispersion』のリードトラックとも言える、映画『唄う六人の女』主題歌「NIGHTINGALE」。この楽曲はどんなイメージを膨らませながら完成させたんでしょう?

澤野弘之:映画主題歌にNAQT VANEを選んで頂いて、リクエストがバラードだったんですけど、NAQT VANEで純粋なバラードをつくれる初めての機会だったんですね。前回のEPにも収録されている「Reminiscing」がバラード的な位置付けになっているんですけど、僕的にはバラードと思ってつくった曲じゃないんですよ。なので、NAQT VANEらしい完全なるバラードとして「NIGHTINGALE」をつくれたのは嬉しかったですね。

Harukaze:本当にNAQT VANEらしいバラードだと思います。そこに込めるメッセージも自分と通ずる部分があって。私はずっと自然に囲まれて育ってきたので、そこで学んだことだったり、感じたことをファイブセンスで表そうと思いながら歌わせてもらいました。スタジオというよりは、森の中で光を浴びながら歌っているイメージでレコーディングしたんですけど、それを映画『唄う六人の女』のスペシャルライブとして京都南丹市の自然の中で歌わせてもらったときに「すごい合ってる!」と思って。風が吹いていたり、目を閉じて感じられる自然のひとつひとつが音になって出ていく感じがしたので、映画の世界観にも通ずる曲だなと思いましたし、これから先も歌い続けていきたい曲だなと思っています。

--そんな「NIGHTINGALE」も収録されているアルバム『Dispersion』ですが、NAQT VANEとそのリスナーにとってどんな作品になっていってほしいと思いますか?

澤野弘之:このアルバムがスタートラインって感じはするよね。

Harukaze:そうですね。これで初めてNAQT VANEを知ってくれる人も多いと思いますし、これからNAQT VANEがもっともっと世に出て行くうえでの「私たちはこういう者です」という名刺代わりになるアルバムだと思うので、まずは受け取ってもらいたいですね。そして、自分の好きなように聴いて、好きなように輝かせていってほしいなと思います。

澤野弘之:あと、これが名刺代わりなんですけど、これがNAQT VANEの完全体というよりは、このアルバムがあったうえでよりいろんなモノを取り入れていくプロジェクトになるので、その未来も期待してもらえるアルバムになればいいなと思っています。そういう意味では、僕らの基盤的な重要なアルバムなので、ぜひ多くの人に聴いてもらいたいです!

Interviewer:平賀哲雄

NAQT VANE 1st Full Album「Dispersion」(ディスパージョン) DIGEST

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