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渡辺美里 【misato watanabe live in Seibu Dome】
2001.8.11 (SAT) at 西武ドーム|セットリスト
毎年夏の恒例行事となった渡辺美里の西武ドームライブも今年でなんと16回目。今年のテーマは「TRY TRY TRY」、ズバリ新たな挑戦だ。21世紀初となるライブで渡辺美里はいったい何に挑戦するというのか。その答えはまもなく始まるライブの中で明らかになる・・・。
爆音のSEとともにステージ左袖からバンドメンバーが登場!そのまま「JUMP」のイントロが流れ出すものの、なぜか肝心の渡辺美里の姿がなかなか見当たらない!あれ、主役はどこだ?なんて思っていると、なんとステージ中央に置かれていた巨大風船を破って登場!これには大きなどよめきとも言える大歓声が巻き起こる。続けざまに演奏された序盤の3曲は、どの曲もライブ映えするような曲ばかり。まだ始まって間もないというのに、アリーナもスタンドも見えるのは3万人の手!手!手!彼女が歌い出せば、西武ドームというこの大きな器だって一瞬で支配できてしまうのだから驚きだ。ついさっきまで別々の場所にいたはずの3万人の観衆が、まるで旧知の友人のように心を1つにしているのである。もちろんそれを繋ぐのは渡辺美里の歌、そして渡辺美里そのものだろう。これだけアーティストとファンが早い段階から一体化できるライブって他にどれぐらいあるのだろうか。しかも毎年必ず行なってくれるというのだからファンにはたまらない!彼女のパワフルな歌声も、曲を追うごとに格段の力強さを備えて聴き手の心によりダイレクトに響いてくる。
「こんばんは、渡辺美里です!今夜はようこそ!みんな×4、会いたかったよォ~!待ちに待ったこの日がとうとう来てしまいました。アリーナのみんなも、スタンドのみんなも、最後まで思う存分楽しんでください!」、嬉しさが滲み出たようなMCの後も新旧織り交ぜた楽曲が次々に演奏されていく。一曲一曲に出会う度に興奮が生まれ、なんだかぐいぐいと引き寄せられているような感じだ。一度こうなってしまったらもう抜けることはできない!あとは我を忘れてただひたすら彼女の虜となっていくのみ!なかでも圧巻だったのは「My Revolution」。イントロが流れた瞬間の盛り上がりも鳥肌ものだったが、その光景がまた凄まじい!3万人が一斉に同じ動きを見せ、まさに1つの強烈なパワーとなって押し寄せてくるのである。たった1つの歌がここまで人を動かすことができるのだろうか・・・。歌の持つ限りない力を実感せずにはいられない。
今夜のゲスト、スティーブ・エトウの華麗なパフォーマンスを挟むとライブは後半戦へ。「夏灼きたまご」「ジャングル・チャイルド」とホーンセクションが巧みに絡み合う楽曲が続き、たちまちドームには妖しい雰囲気が漂い始める。「ここは密閉されたダンスホールなのか!?」と思うほどの嵐のようなグルーヴ感。今すぐにでも体を動かしたくてしょうがない気分だ!続く「スピリッツ」でもスタンドマイクをまるで体の一部のように巧みに操り、ターンを見せたり、左足を大きく上げてみたりして、ロッカー美里の真髄を見せてくれる。ドドド・・・、大揺れの西武ドーム!「虹を見たかい」では美里もさかんに観客席を煽り、「you say!」の声に3万人が叫ぶ!歌う!踊る!まるで地響きでも起こっているかのような大歓声だ!大会場ならではの思い切った演出も随所にちりばめられ、思わずニヤけたり、グッときたり、涙したりしてしまう。もはやライブの1つの完成形がここにあるといってもいい。
「あたりはすっかり暗くなってコンサートも終盤になりました。今夜はたくさんの声援を送ってくれて本当にありがとう!この瞬間のためにめいっぱい思いを募らせ、みんなの気持ちと私の気持ちがガッチリくっついているといいなぁと思ってきました」、本編の最後でオルガンの優しい演奏に乗せながら自分の気持ちを飾らずに話す美里。その瞬間、ふっと笑顔がこぼれ「もう、バッチリだね。・・・いうことなしだね」と涙ぐむ。そしてそのまま「My Love Your Love」のイントロへ。これで3万人の涙腺が一気に緩む!歌詞の1つ1つのフレーズが胸にずんと響き、壮大なその歌声には目頭が熱くなりっぱなしだ!これだけのものを見せられると、人間はまるで汚れのない童心に戻ったような純粋な気持ちにさせられてしまう。世の中に醜いものなど存在しないんじゃないだろうか、そう思うほどステージも観客席も最高に輝いている。できることならこの瞬間がいつまでも続いてほしい・・・。
「みんなみんなサンキュー!本当にどうもありがとう!」、鳴り止まない拍手と歓声、そしてWAVEに応えて渡辺美里が再登場!再び繰り広げられるお馴染みのナンバーの連続に会場はすっかり弾け飛び、素の自分をさらけ出してあちこちで自由奔放に飛び跳ねている!「やっぱライブは最高だ!!」、体中で幸せを表現しながら叫ぶ美里。中でも印象的だったのは「チェリーが3つ並ばない」。セットの一部だと思い込んでいた巨大な風船が空中に浮かんだとおもったら、なんと気球に変身!「もっともっとみんなの近くに行きたいんだけど、近くに行っていい?」と乗り込みながら言うから「まさか・・・?」と思ったら、本当に気球で観客席の頭上を移動!これには本当にぶったまげた!しまいにはこれまでモニターでしか顔の表情が確認できなかったスタンド席にも急接近し、目の前で渡辺美里が歌うのである!「スタンドのみんなの顔がよく見えるよー」なんて、これ以上嬉しい展開はない!その後の「Lovin' you」を紹介する際のMCでは、今年亡くなった大切な親友の話に触れ、声を上ずらせながら涙するシーンもあった。これまで、あんなに笑顔とパワーを振りまいていた彼女の涙・・・。これには衝撃とともに大きな共感がドーム中を駆け回り、感動を一層のものにしてくれた。「サンキュースタンド!サンキューアリーナ!もう1曲いってみようか!」、最後は「サマータイム・ブルース」の大合唱!!歌い終わった後のしかめたような笑顔は「やったぜ!」というような充実感で満たされていた。僕もみんなも最高に幸せだ!
全25曲という長さといい(なんと3時間半!)、斬新な演出の数々といい、今年の美里は新たな「TRY」を見事に実現してみせてくれた。アンコールで口にした「今日のコンサートが今までで一番好き!」なんて言葉も、本心でなければなかなか言えるものではあるまい。歌声、拍手、歓声、感動・・・。なにもかもスケールが大きい西武ドームで、僕らは間違いなくこの夏1番の忘れられない夜を体感したのだった。
セットリスト
【misato watanabe live in Seibu Dome】
2001.8.11 (SAT) at 西武ドーム
- 01.JUMP
- 02.ラブ・ゴーゴー!!
- 03.やるじゃん女の子
- 04.センチメンタル・カンガルー
- 05.すき
- 06.Truth
- 07.跳べ模型ヒコーキ
- 08.悲しいね
- 09.My Revolution
- 10.とびだせ青春
- 11.-INTERLUDE-(by スティーブ・エトウ)
- 12.夏灼きたまご
- 13.ジャングル・チャイルド
- 14.スピリッツ
- 15.egoizum
- 16.ムーンライト・ダンス
- 17.虹をみたかい
- 18.恋するパンクス
- 19.グッときれいになりましょう
- 20.My Love Your Love(たったひとりしかいないあなたへ)
- EC-1.Boys Kiss Girls
- EC-2.夏が来た!
- EC-3.チェリーが3つ並ばない
- EC-4.Lovin' you
- EC-5.サマータイム・ブルース
Writer:Kazuya Nakajima
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