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Billboard JAPAN 2023年 年間チャート発表、YOASOBIが【JAPAN Hot 100】&【Artist 100】/King & Princeが【Hot Albums】首位に
ビルボードジャパンの2023年 年間チャートが決定した。本特集では総合ソング・チャート【JAPAN Hot 100】、総合アルバム・チャート【Hot Albums】、さらに【Hot 100】と【Hot Albums】のポイントを合算したアーティスト・チャート【Artist 100】などのチャートを解説とともに発表する。
今年はYOASOBI「アイドル」、Official髭男dism「Subtitle」の世紀の大ヒット曲がトップ2に君臨する記録的なチャート結果となった。YOASOBIや藤井 風、XG、imaseらの国外での活躍や実績が多く報じられ、2024年はよりグローバルな視点で動いていくアーティストが増えていくことだろう。パンデミック終焉により、今度は日本のアーティストが外へ出ていくことが本格化することが考えられ、2024年も国内外アーティストの音楽の進出・交流に注目だ。
※集計期間:2022年11月28日(月)~2023年11月26日(日)
▲ 「アイドル」MV / YOASOBI
2023年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、YOASOBIの「アイドル」が首位を獲得した。
TVアニメ『【推しの子】』のオープニングを飾る同曲は、4月19日公開チャートで総合首位に初登場してから、9月6日公開チャートまでの実に5か月間、そのまま21週連続で総合首位を守るという、前人未踏の記録を成し遂げた。翌9月13日公開チャートでSnow Man「Dangerholic」に首位の座を譲ることとなるが、その後も上位を守り続け、総合4位から下がったことがない、メガヒット記録を更新中だ。
「アイドル」のストリーミング数は累計527,143,965再生回数で、動画再生数は148,838,759再生、ダウンロード数は509,751DLと、いずれも1位。他指標ではラジオも1位、カラオケ3位、シングル94位と、計四冠達成の文句なしの総合首位となった。
「アイドル」同様、ロングヒットを続けているのが「祝福」(総合15位、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニング・テーマ)で、昨年10月のデジタル解禁以降、100位以下なったことがない。また「勇者」(総合81位、TVアニメ『葬送のフリーレン』オープニング・テーマ)も今年10月リリース以降、トップ10圏内を守っている。これら3曲から、ビッグタイトルのアニメタイアップのチャンスで確実にロングヒットを生み出す、彼らの楽曲創作力の高さを如実に示す結果となった。海外でもその評価は高く、来年の彼らの展開に引き続き注目したい。
▲ 「Subtitle」MV / Official髭男dism
総合2位のOfficial髭男dism「Subtitle」はフジテレビ系ドラマ『silent』との相乗効果でロングヒットとなり、今年度上半期では総合首位を獲得していた。年間で「アイドル」に逆転されたとはいえ、昨年10月のデジタル解禁以降、通算13回(集計期間内では9回)の総合首位を獲得し、トップ20を守り続けている。
今期中のストリーミング数は430,038,344再生で2位、動画再生は57,873,571再生で3位、ダウンロードは217,218DLで3位となり、他指標でもラジオ12位、カラオケ11位とバランスよくポイントを獲得している。
▲ 「怪獣の花唄」MV / Vaundy
総合3位のVaundy「怪獣の花唄」は、2020年5月にリリースされ、2021年2月10日公開チャートで90位に初登場した。2022年1月5日公開チャートで再びトップ100位圏内にチャートインしてからは右肩上がりを続け、NHK『紅白歌合戦』初出場により、2023年1月4日チャートで前週54位から27位にジャンプアップ。1月11日公開チャートで3位に到達し、それ以降はトップ20圏内を守る、超ロングヒット曲となった。
今期中のストリーミング数は343,087,857再生で3位、動画再生は41,743,578再生で9位、ダウンロードは144,598DLで6位、他指標ではラジオ39位、カラオケ1位と、こちらもバランスよい得点を挙げている。
複数指標でポイントをバランスよく獲得し続けることが上半期や年間チャートで上位チャートインの条件となって久しく、今年もその傾向が続く結果となっている。例えば、King & Prince「ツキヨミ」は今期中の動画再生で75,134,872再生と、「Subtitle」を抑えて2位となったが、他指標がふるわず76位だった。CDポイント1位のAKB48「どうしても君が好きだ」も同じく総合100位圏外となった。
活性化が続く20年代のJ-POPシーンを代表するアーティストによる楽曲が出揃った感のある今年度チャートだが、年末音楽特番によりジャンプアップを成し遂げたVaundyや、デビュー30周年を超えてなおヒット曲「美しい鰭」(10位)を生み出したスピッツのようなアーティストはまだまだいることを私たちは知っている。彼らの楽曲もヒットチャートに加わり、シーンの活性化が黄金期を迎えるビッグイヤーの到来はもう間もなくだ。
Text by 礒崎誠二
- 2023年 年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”
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#1アイドルYOASOBI
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#2SubtitleOfficial髭男dism
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#3怪獣の花唄Vaundy
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#4KICK BACK米津玄師
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#5第ゼロ感10-FEET
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#6新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)Ado
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#7ダンスホールMrs. GREEN APPLE
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#8W/X/YTani Yuuki
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#9Overdoseなとり
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#10美しい鰭スピッツ
インタビュー抜粋
「本当にうれしいです。これのために頑張ってきたと言っても過言じゃないので。もちろんチャートのために音楽を作っているわけではないけど、一昨年も去年も惜しくも2位で、敗北感みたいなものはすごく味わったし、いつの間にか“ここで1位を獲らなきゃ前に進めない”みたいな気持ちになっていて。ようやく僕の止まった歯車が動き出しそうです。」ーーAyase
「私も本当に同じ気持ちですし、3年目で1位になれたということは、YOASOBIが前に進み続けている、更新していることの結果でもあると思うので、それを実感できてうれしいです。」ーーikura
▲ 「King & Prince BEST ALBUM「Mr.5」Special Movie」
2023年の年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”で、King & Princeの『Mr.5』が首位を獲得した。
2023年4月19日にリリースされたKing & Princeの初となるベストアルバム『Mr.5』は、リリース日の19日時点で1,043,598枚を売り上げて今年最速でのミリオンを達成。同作は最終的に初週で1,220,014枚を売り上げ、総合順位とCDセールス指標の2つで首位に立った。上半期チャートでも首位を記録した同作はその後、徐々に順位を落としていったが、当チャートでは9月上旬まで20週連続、CDセールス指標のみでは10月下旬まで27週連続でチャートインし続けた。結果的に年間では、1,408,873枚でCDセールス1位を獲得した。
▲ 「オレンジkiss」MV YouTube Ver. / Snow Man
総合2位には、5月17日にリリースされたSnow Manの3rdアルバム『i DO ME』が上半期チャートに続きチャートイン。本作には、シングルとしてリリースされた「オレンジkiss」「タペストリー」「W」が収録。初週で1,072,926枚を売り上げCDセールス首位を獲得した本作は、そこから集計期間中の28週にわたってずっとチャートインし続け、年間累計ではCDセールス1,267,417枚で2位を記録している。
総合3位にはStray Kidsの日本1st EP『Social Path (feat. LiSA) / Super Bowl -Japanese ver.-』がCDセールス1,089,952枚で3位を記録してチャートインしている。LiSAとのコラボ楽曲「Social Path (feat. LiSA)」などを収録した本作は9月6日にリリースされ、初週で737,965枚を売り上げてCDセールス首位を記録。翌週も198,130枚を売り上げてその座をキープするなど、好スタートを切っていた。
総合4位にはSEVENTEENの『FML』がCDセールス991,278枚で4位、ダウンロード数3,952DLで57位を記録してチャートイン。また、SEVENTEENは日本ベストアルバム『ALWAYS YOURS』がCDセールス719,306枚で5位を記録して総合5位、10月にリリースされた『SEVENTEENTH HEAVEN』がCDセールス598,373枚で8位、ダウンロード数2,712DLで100位を記録し、総合7位にチャートイン。計3作が年間トップ10に登場する結果となった。
SEVENTEENの2作に挟まれる形となったのは、Stray Kidsの日本1stアルバム『THE SOUND』。CDセールス624,173枚で6位、ダウンロード数2,754DLで96位を記録した本作は総合6位に登場している。また、ダウンロード指標で1位を記録した結束バンド『結束バンド』は惜しくもトップ10入りを逃すも11位にチャートインしている。
Text by Haruki Saito
- 2023年 年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”
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#1Mr.5King & Prince
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#2i DO MESnow Man
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#3Social Path (feat. LiSA)/Super Bowl -Japanese ver.-Stray Kids
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#4FMLSEVENTEEN
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#5ALWAYS YOURSSEVENTEEN
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#6THE SOUNDStray Kids
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#7SEVENTEENTH HEAVENSEVENTEEN
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#8声SixTONES
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#9POPMALLなにわ男子
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#10SWEETTOMORROW X TOGETHER
コメント
「King & Prince初めてのベストアルバム『Mr.5』が、Billboard JAPAN Hot Albums of the Year 2023を受賞させていただき、上半期に、このランキングで1位をいただいた時にも申し上げましたが、改めて手に取っていただいた皆様、そして関わっていただいたすべての皆様、本当にありがとうございます。
5周年の節目にあたる今年、このような大きな賞を受賞させていただけたことは、デビューしてからKing & Princeが作り上げてきた作品や活動を、たくさんの方々が観て、聴いてくださった証だと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。ティアラのみなさん、ずっと見守って下さり、ありがとうございます。
自分達の作品や活動が、聴いていただける方に喜んでいただけるものであるように、来年からも、もっと頑張っていきます。ありがとうございました。」
▲ 「祝福」MV / YOASOBI
2023年の年間Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、YOASOBIが総合首位を獲得した。
本チャートは、総合ソング“JAPAN Hot 100”と総合アルバム“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・ランキングだ。YOASOBI は、“JAPAN Hot 100”トップ100位圏内に「アイドル」(1位)、「祝福」(15位)、「群青」(32位)、「夜に駆ける」(34位)、「怪物」(51位)、「勇者」(81位)の6曲がチャートイン、全順位では総計22曲がチャートインした。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『THE BOOK 3』(30位)、『THE BOOK』(78位)、『THE BOOK 2』(82位)の3タイトルがチャートイン、全順位では『E-SIDE』『E-SIDE 2』の2作が加わり総計5タイトルがチャートインしている。これにより、ストリーミング2位、動画3位、ダウンロード1位、ラジオ3位、カラオケ6位、フィジカル36位となり、“JAPAN Hot 100”同様、危なげなく文句なしの総合首位となっている。
総合2位はMrs. GREEN APPLE。こちらは、“JAPAN Hot 100”トップ100位圏内に「ダンスホール」(7位)、「Soranji」(19位)、「青と夏」(20位)、「ケセラセラ」(23位)、「Magic」(38位)、「点描の唄 feat. 井上苑子」(43位)、「私は最強」(55位)、「僕のこと」(60位)、「インフェルノ」(63位)、「ブルーアンビエンス (feat. asmi)」(70位)の10曲がチャートインし、全順位では総計38曲がチャートインした。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『ANTENNA』(27位)の1タイトルがチャートイン、全順位では『5』『Unity』『Attitude』などが加わり総計9タイトルがチャートインしている。これにより、ストリーミング1位、動画5位、ダウンロード3位、ラジオ2位、カラオケ7位、フィジカル31位となった。曲数ではYOASOBIを上回っているMrs. GREEN APPLEだったが、動画再生とダウンロードがもうひと伸び欲しかった。
総合3位はOfficial髭男dism。こちらは、“JAPAN Hot 100”にはトップ100位圏内に「Subtitle」(2位)、「ミックスナッツ」(11位)、「TATTOO」(35位)、「Pretender」(44位)、「ホワイトノイズ」(48位)、「115万キロのフィルム」(54位)、「Cry Baby」(77位)、「I LOVE...」(79位)の8曲がチャートイン、全順位では総計22曲がチャートインした。“Hot Albums”ではトップ100位圏内には0タイトルだが、全順位では『Editorial』『Traveler』など総計5タイトルがチャートインしている。これにより、ストリーミング3位、動画6位、ダウンロード4位、ラジオ1位、カラオケ3位、フィジカル圏外となり、こちらも曲数ではYOASOBIを上回ったが、アルバムでのポイントの蓄積が今ひとつだった。
続いて今年のニュース・トピックを賑わせたグループのチャートアクションをみてみよう。
旧ジャニーズのKing & Princeは9位、Snow Manは14位でトップ20にチャートイン。前者は、“JAPAN Hot 100”にはトップ100位圏内に「ツキヨミ」(76位)の1曲がチャートイン、全順位では総計29曲がチャートインした。動画指標では「ツキヨミ」(2位)、「ichiban」(6位)、「シンデレラガール」(38位)、「Life goes on」(46位)となっている。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『Mr.5』(1位)、『ピース』(12位)の2タイトルがチャートイン、全順位では『Made in』や『Re:Sense』など4作が加わり総計6タイトルがチャートインしている。これによって、動画2位、ラジオ71位、カラオケ63位、フィジカル2位の結果に。
後者は、“JAPAN Hot 100”のトップ100位圏内にチャートインした楽曲はなかったが、全順位では総計28曲がチャートインした。動画指標では「タペストリー」(8位)、「ブラザービート」(11位)、「JUICY」(20位)、「Dangerholic」(22位)など、トップ100に10曲がチャートインしている。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『i DO ME』(2位)、『Snow Labo. S2』(57位)の2タイトルがチャートイン、全順位では『Snow Mania S1』が加わり総計3タイトルがチャートインしている。これによって、動画1位、ラジオ51位、カラオケ100位圏外、フィジカル4位の結果となった。
▲ 『SEVENTEEN JAPAN BEST ALBUM「ALWAYS YOURS」』Highlight Medley
K-POPボーイズグループのSEVENTEENは10位、Stray Kidsは13位でトップ20にチャートインしている。前者は、“JAPAN Hot 100” トップ100位圏内にはなかったが、全順位では総計29曲がチャートインした。動画指標では「Super」が77位だった。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『FML』(4位)、『SEVENTEEN JAPAN BEST ALBUM「ALWAYS YOURS」』(5位)、『SEVENTEENTH HEAVEN』(7位)、『DREAM』(24位)の4タイトルがチャートイン、全順位では『Attacca』や『Face the Sun』など11作が加わり総計15タイトルがチャートインしている。これによって、ストリーミング44位、動画43位、ダウンロード68位、ラジオ100位圏外、カラオケ圏外、フィジカル1位の結果だった。
後者は、“JAPAN Hot 100”のトップ100位圏内に「CASE 143」(83位)がチャートイン、全順位では総計30曲がチャートインした。「CASE 143」は、動画47位、ストリーミング71位となった。“Hot Albums”ではトップ100位圏内に『Social Path (feat. LiSA)/Super Bowl -Japanese ver.-』(3位)、『THE SOUND』(6位)の2タイトルがチャートイン、全順位では『SKZ2020』など10作が加わり総計12タイトルがチャートインしている。これによって、ストリーミング26位、動画17位、ダウンロード29位、ラジオ100位圏外、カラオケ圏外、フィジカル3位の結果だった。
旧ジャニーズ、K-POPボーイズグループともに、フィジカルでポイントを積み上げて“Artist 100”にチャートインする傾向だったが、K-POPガールズグループはどうだろうか。
11位となったNewJeansは、“JAPAN Hot 100”のトップ100位圏内に「Ditto」(26位)、「OMG」(31位)、「Hype Boy」(68位)の3曲がチャートイン、全順位では総計14曲がチャートインした。 “Hot Albums”ではトップ100位圏内に『Get Up』(71位)がチャートイン、全順位では『New Jeans』が加わり総計2タイトルがチャートインしている。これによって、ストリーミング8位、動画16位、ダウンロード24位、ラジオ21位、カラオケ圏外、フィジカル91位に。
18位のLE SSERAFIMは、“JAPAN Hot 100” トップ100位圏内に「ANTIFRAGILE」(46位)と「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers)」(95位)がチャートインし、全順位では総計11曲がチャートインした。 “Hot Albums”ではトップ100位圏内に『UNFORGIVEN』(44位)がチャートイン、全順位では『ANTIFRAGILE』など2作が加わり総計3タイトルがチャートインしている。これによって、ストリーミング16位、動画20位、ダウンロード32位、ラジオ65位、カラオケ圏外、フィジカル20位だった。これらから、K-POPガールズグループは、先のYOASOBIやMrs. GREEN APPLEに似た、ソングチャートでのプレゼンスを上げて、チャートインする傾向があることがわかる。
これらから、各アーティストでプレゼンスを上げていくためには、ソングチャートに比重をかけていくか、アルバムチャートのフィジカルに比重をかけていくか、の二極に分かれつつあるようにみえる。この傾向をどう利用してアーティストのプレゼンスを上げるのか、このチャートで可視化されるトレンドにも注目だ。
Text by 礒崎誠二
- 2023年 年間Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
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#1YOASOBI
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#2Mrs. GREEN APPLE
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#3Official髭男dism
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#4Vaundy
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#5Ado
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#6back number
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#7優里
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#8米津玄師
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#9King & Prince
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#10SEVENTEEN
2023年の年間Billboard JAPAN総合アニメソング・チャート“Hot Animation”で、TVアニメ『【推しの子】』オープニング主題歌であるYOASOBI「アイドル」が1位に輝いた。
アニメ『【推しの子】』の初回放送と同時の4月12日に配信がスタートした同曲は、集計初週となる4月19日発表チャートでさっそく初登場首位を記録。その勢いは長らく衰えず、2023年9月6日発表チャートまで、21週にわたって首位をキープし続けた。なお、この記録は、本チャート上半期を制したTVアニメ『チェンソーマン』オープニング・テーマである米津玄師「KICK BACK」と並ぶ、当チャート歴代1位タイの連続首位記録となる。
さらに「アイドル」に特筆して言えるのは、登場してまもなくから“異様”と表しても過言でないほどのポイント獲得数を記録していたことだ。2023年上半期の当アニメチャートでも、当時登場から7週という短期間にもかかわらず、2位にチャートインする猛追ぶりをみせていたことからも、その勢いの凄まじさを感じられる。特に、CDシングルがリリースされ、同曲のCDセールス指標初集計の週であった6月28日発表分では、この週のみで2万4000を超えるポイント数を獲得。「KICK BACK」のCDセールス指標初集計週(22年11月30日発表分)の成績は2万ポイントであったので、その記録をさらに超えてきた形となる。
年間では、8位に落ち着いたCDセールス以外の5指標(ダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生、カラオケ)で、ダントツの成績で1位を獲得。指標別のポイントで比較しても、特にダウンロード指標では同指標2位の10-FEET「第ゼロ感」(映画『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌)と比べ2倍以上のポイントを獲得しており、まさに“最強で無敵”の成績で2023年年間アニメ首位まで走り抜けた。なお、「アイドル」は10月18日発表チャートよりふたたび当チャート首位に返り咲いており、まだまだ新記録を達成しそうな気配をみせている。
▲ 「KICK BACK」MV / 米津玄師
2位は、当チャート上半期で首位を達成していた米津玄師「KICK BACK」に。昨年2022年10月12日リリースの楽曲であるが、2023年下半期に入ってもロングヒットを記録。特にCDセールスとカラオケの2指標は、2023年に入ってもトップ10をキープし続けており、根強い支持がうかがえる。また、3位の10-FEET「第ゼロ感」は、エンディング主題歌に起用されていた映画『THE FIRST SLAM DUNK』が今年の8月31日まで、公開からじつに累計272日間にわたる超ロングラン上映を達成。そして何より、8月25日から9月10日まで日本でも開催されていた【FIBAバスケットボール ワールドカップ 2023】での大熱狂の影響も含め、集計期間中、何度も順位が浮上するという動きをみせた。
▲ 「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」MV / Ado
またトップ10を見ると、10月に異例のアンコール上映が行われた映画『ONE PIECE FILM RED』より、主題歌のAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」および劇中歌のAdo「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が今年も根強く上位に残ったほか(トップ20には、もう1曲「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」も登場している)、『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』オープニング主題歌のMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」や『呪術廻戦』「懐玉・玉折」オープニング・テーマのキタニタツヤ「青のすみか」といった怒涛の勢いをみせる人気作とのタイアップ楽曲、また劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』という長寿シリーズ作のタイアップでありながら、スピッツの3年10か月ぶりのニューシングルということでファンの期待も熱かった「美しい鰭」と、大型タイアップ作とともに急上昇し、そこからも熱い楽曲支持でロングヒットを続ける楽曲が、特に2023年は多かった印象だ。タイアップ作とともに強く印象に残る楽曲が連発したからこそ、トップ10に登場した8組のうち、6組が今年の『第74回紅白歌合戦』への出場が決定するという結果になっているのだろう。
Text by Maiko Murata
10-FEET/Official髭男dismが続く
2023年の年間Billboard JAPANダウンロード・ソング・チャート“Download Songs”で、YOASOBIの「アイドル」が首位に輝いた。
本作は、2023年4月12日に配信された、TVアニメ『【推しの子】』のオープニング主題歌だ。累計509,751ダウンロード(DL)を売り上げて、上半期に続いて年間1位も獲得した。まず4月19日公開チャートで2位に初登場すると、翌週1位に浮上し通算10週首位をマーク。6月末にアニメの最終回が放送された後もその勢いは衰えることなく、リリースから半年以上が経った2023年度の最終集計週までトップ15圏内を維持した。なお、累計DL数は2位以下に倍以上の差をつけており、圧倒的な強さで年間総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”も制した。
また、YOASOBIは年間DLソング9位にTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のオープニング「祝福」(122,207DL)、12位にTVアニメ『葬送のフリーレン』のオープニング「勇者」(111,010DL)がチャートインしており、アニメタイアップでトップ20に計3曲を送り込んだ。
▲ 「第ゼロ感」MV / 10-FEET
映画『THE FIRST SLAM DUNK』のエンディング主題歌に起用された10-FEETの「第ゼロ感」は累計245,457DLを売り上げて2位を獲得。2022年11月16日公開チャートで37位に初登場すると、12月3日の映画公開とともにトップ10入りし、2023年2月1日公開チャートで首位に到達した。1位はこの週のみだったが、映画のロングヒットと相まって堅実にポイントを積み重ねていき、見事年間2位となった。
累計217,218DLを獲得したOfficial髭男dismの「Subtitle」は年間3位を記録。ドラマ『silent』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、週間では通算8週首位をマークし、そのうち5週が今年の年間チャート集計期間内だった。2022年10月12日に配信されてから1年以上が経つが、現在もDLソングのトップ100圏内をキープするヒットとなっている。
週間で通算5週1位となったAdoの「唱」は、9月6日のリリースからわずか2か月半で累計170,357DLを売り上げて年間5位となった。一方、2020年5月に配信されたVaundyの「怪獣の花唄」は遅咲きヒットとなり、累計144,598DLで6位につけた。昨年の『第73回NHK紅白歌合戦』で披露されたことに後押しされて、チャートを急上昇した同曲は現在も50位圏内をキープしている。
アニメとのタイアップの相乗効果によりヒットになるケースが顕著だった今年のチャートでは、上半期に続いてトップ10中7曲がアニメ関連曲に。『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』オープニング主題歌のMAN WITH A MISSION×miletによる「絆ノ奇跡」は累計212,057DLで4位、『呪術廻戦 懐玉・玉折』オープニングテーマであるキタニタツヤの「青のすみか」は累計137,605DLで7位、『チェンソーマン』オープニングテーマの米津玄師「KICK BACK」は累計128,583DLで8位、そして『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」オープニングテーマのKing Gnuによる「SPECIALZ」は累計116,154DLで10位となった。
また、2020年以降の年間DLソング1位の売上数は、2020年のLiSA「紅蓮華」が932,002DL、2021年の優里「ドライフラワー」が425,389DL、2022年のAimer「残響散歌」が472,826DLだったが、今年は2021年以降の最高売上を更新している。
Text by 岡田
▲ 「星座になれたら」Lyric Video / 結束バンド
2023年の年間Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で、結束バンド『結束バンド』が首位を獲得した。
結束バンドは、テレビアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の作中バンド。本作は1stアルバムで、2022年12月25日に先行配信がスタートすると初週5,877DLを売り上げ首位を獲得した。翌週も、12月28日からCD発売がスタートした影響で15,190DLを売り上げ2週連続で首位に。リリースから現在までチャートインし続け、通算首位獲得数は7回、トップ10入りは21回というロングヒットで2023年の年間チャートを制した。なお収録曲のダウンロード数を見てみると、最も順位が高かったのは第12話の劇中歌「星座になれたら」で、85位を獲得している。
続く2位はYOASOBI『THE BOOK 3』。2023年10月4日にリリースされたYOASOBIの3rd EPで、初週9,094DLを売り上げ首位を獲得した。そして、その後も通算3回首位を獲得し、チャートイン回数8回という短期間で2位に食い込んだ。なお1st EP『THE BOOK』は2023年チャートの集計期間中も9,654DLを売り上げ12位、2nd EP『THE BOOK 2』は10,292DLで11位に。トップ20以内に全作を送り込むという快挙を成し遂げた。
そして3位は昨年の年間ダウンロード・アルバム・チャートを制した『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が獲得した。各種チャート結果や、初の全国ツアー、ウタとして出場した『紅白歌合戦』など2022年末から2023年にかけて話題が続き、2023年2月までトップ10内をキープ。その後も新曲のリリースに伴い何度も再浮上し、「唱」のヒットの影響か11月8日発表のチャートでは14位に浮上するなどで、2023年度は20,469DLを売り上げている。
その他、BTSのメンバーによるソロアルバムがトップ20内に4作チャートイン。2023年11月にリリースされたばかりのJUNG KOOK『GOLDEN』が6位を獲得したほか、V『Layover』は7位、Agust D『D-DAY』は16位、JIMIN『FACE』は17位となった。また、ELLEGARDENが16年ぶりにリリースして話題となった『The End of Yesterday』は9位、松任谷由実の50周年記念ベストは15位、映画の話題で再注目された『TVアニメーション スラムダンク テーマソング集』は19位を獲得するなど、多彩な顔ぶれが並んだ2023年度年間ダウンロード・アルバム・チャートとなった。
Text by 高嶋直子
「結束バンドの音楽は原作性が存分に音に表れているなと思います。 作曲担当のキャラクターの個性や突飛な発想、作詞担当のキャラクターの等身大に生きる部分等がどの曲にも散りばめられていて、さらにそういった部分をファンの皆さんに考察していただき楽しんでいただくことができる、というところが強みだと感じております。 こんな素敵な賞をいただいて、作中のみんなだったらなんて思うかな、と考えるだけでも楽しいです。」ーー青山吉能
「様々なジャンル、多くの音楽がある中で「結束バンド」の楽曲にたどり着いた方がどれほどいるのか、想像してみてもいまいちピンときていなかったのですが、今回の受賞で舌を巻いてしまいました。私は一声優として携わらせていただいているだけですが、感謝の気持ちで一杯です。 音楽は聴いたことがあるけどまだ本編は観たことがない!という方。是非、アニメも覗いてみてください。『ぼっち・ざ・ろっく!』は音楽だけじゃなくて、作品も面白いですよっ。」ーー鈴代紗弓
「アルバム『結束バンド』が2023年年間DLアルバムチャートにて1位を獲得させて頂いたということで、信じられない嬉しさと同時に、「ぼっち・ざ・ろっく!」には驚かされてばかりだなと思いました。 こんなに沢山の経験をさせて頂けて、改めて山田リョウ役として関わることが出来てとても幸せです。皆様からの思いも十分理解していたつもりではありますが、次から次へと超えられている感覚です笑 今後ともよろしくお願い致します!Thank you!」ーー水野 朔
「アルバム『結束バンド』が世に出てから、結束バンドのアニメの枠を飛び越えた活躍に毎度驚きと嬉しさを感じています。私はボーカルとして、「ギターと孤独と蒼い惑星」の歌詞のように「聞いて、聴けよ」の気持ちで全て魂込めて歌っています。なのでたくさんの人に楽曲が届いて、DLアルバムチャート年間1位が獲得できたこと、本当に幸せです! この1枚に色んな顔の結束バンドが詰まっています。そして私はこれからももっと色んな結束バンドの音楽に出会いたい!なので引き続き応援よろしくお願いします!」ーー長谷川育美
2023年の年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、YOASOBIの「アイドル」が首位を獲得した。
「アイドル」は、TVアニメ『【推しの子】』のオープニング・テーマで、4月12日に配信開始。6月21日には英語版「Idol」を含む4曲入りのフィジカルとしてもリリースされており、今年の音楽シーンにおいて数々の記録を打ち立て、とりわけ多くの注目を集めた楽曲だ。
当チャートにおいては、4月19日に初登場して首位を獲得すると、3週目には週間2,500万回再生超えを記録し、週間再生数の歴代2位となる数字をたたき出した。その後も首位をキープしながら再生回数を積み重ねて、チャートイン5週目に2023年リリース楽曲としては初となる累計再生数1億回超え、9週目で2億回、14週目で3億回、21週目で4億回、30週目に5億回をそれぞれ史上最速で突破。年間の再生回数は527,143,965回を記録した。同曲は、SNSでのカバー動画やダンス動画をはじめとする様々な二次創作(UGC)がユーザーによって投稿されたことも話題を集め、様々なチャンネルでリスナーを獲得し、各チャートを賑わせた。アニメの最終話が放送された6月28日以降もじわじわと記録を伸ばし、9月6日公開分で21連覇を達成して通算22回目の首位を獲得した。
また同曲は、米ビルボード・グローバル・チャートにおいて、6月10日付の“Global Excl. U.S.”で首位、7月1日付の“Global 200”では自身最高位の7位をそれぞれ獲得。9月14日に初公開された、世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した“Global Japan Songs Excl. Japan”でも初代首位を獲得してから11週連続で首位を獲得するなど、J-POP史上初となる記録を次々と打ち立てており、国内外で着実にリスナー層を開拓していった結果が窺える。なおYOASOBIは、今年当チャートにおいてストリーミング累計再生回数10億回を突破し、日本初のビリオンヒットを達成した「夜に駆ける」のほか、「祝福」「群青」「怪物」の計5曲を100位圏内に送り込んだ。
続く2位は、ドラマ『silent』の主題歌として書き下ろされ、上半期に首位を獲得したOfficial髭男dism「Subtitle」。2022年10月12日に配信開始され、10月19日の当チャートで2位に初登場。ドラマのヒットと連動してピークを更新し続け、ドラマ放送終了後も順調に数字を積み重ねて、25連覇を記録して約6か月にわたり首位の座を守った。さらに、チャートイン6週目で1億回、11週目で2億回、19週目で3億回、31週目で4億回、48週目に5億回の大台を突破。年間の再生回数は430,038,344回を記録している。
そして、2022年年末の『第73回NHK紅白歌合戦』への初出場が大きな話題を呼び、ロングヒットを記録しているVaundy「怪獣の花唄」が3位をマーク。同曲は2020年5月27日にリリースした1stアルバム『strobo』の収録曲で、同作の先行シングルとして、2020年5月11日より配信がスタート。紅白出場前まで40~50位あたりを推移していたが、番組放送日を集計期間に含んだチャートで26位に浮上し、紅白放送後である2023年1月11日公開の当チャートで3位にジャンプアップ。その後も徐々に再生回数を重ねて、チャートイン141週目に自身初の累計5億回再生を突破し、年間の再生回数は343,087,857回を記録した。なお、11月15日にリリースされたアルバム『replica』には、「怪獣の花唄」のアルバムバージョンが収録されている。
▲ 「美しい鰭」MV / スピッツ
「アイドル」のヒットと同時期にチャートを賑わせたのが、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の主題歌として書き下ろされたスピッツ「美しい鰭」だ。年間チャートでは11位をマークした。映画の大ヒットと収録アルバムのリリースによる影響でロングヒットを記録し、自身初のストリーミング累計1億回再生を突破した。なおスピッツは、「美しい鰭」のヒットが後押しして、今年7月に「チェリー」も累計1億回再生を突破している。同曲はビルボードジャパンの集計で1億回再生を超えた楽曲の中で最も古い楽曲となり、90年代リリースの楽曲としては史上3曲目の1億回突破となった(※集計期間:2018年3月12日~)。
上位20曲中、2023年リリース楽曲は7曲。そして、2022年に当チャートで年間首位を獲得したTani Yuuki「W/X/Y」は、今回6位をマークし、7位のなとり「Overdose」、19位の百足 & 韻マン「君のまま」といった、ストリーミングをはじめとするデジタル領域で頭角を現してきた次世代アーティストの楽曲も数多くチャートインした。また、今年7月にリリースされた2nd EP『Get Up』が米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初の1位を獲得し、【2023 ビルボード・ミュージック・アワード presented by Marriott Bonvoy】(BBMAs)で今年新設された<トップ・グローバル・K-POP・アーティスト賞>を受賞したNewJeansの「Ditto」が17位をマーク。そして、100位圏内に最も多く楽曲がチャートインしたのはMrs. GREEN APPLEで、2023年リリースの「ケセラセラ」「Magic」を含む、最多となる計10曲を送り込んでいる。
“史上初”の記録が数多く誕生し、そして塗り替えられた2023年。ストリーミングにおけるヒットの特徴はその持続性であり、継続的なチャートインには、長きにわたって楽曲自体が聴かれていることが重要だ。そのため、タイアップやメディア露出、SNSでのバズといったタイムリーな話題性のみではなく、それらをベースとしながら楽曲と接触する機会をいかに増やし続けるか、といった連続的なアプローチがリスナー層の幅を広げ、ストリーミングにおけるヒットに繋げることができるだろう。
Text by Yuma Sakata
▲ 「Life goes on」YouTube Edit / King & Prince
2023年年間Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で、King & Princeの『Life goes on / We are young』が1,109,031枚を売り上げ首位に輝いた。
本チャートは、2022年11月28日から2023年11月26日までのサウンドスキャンジャパンの販売枚数データを累計したもの。2月22日にリリースされたKing & Princeの12thシングル『Life goes on / We are young』は、メンバーの永瀬廉出演ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』のエンディング曲「Life goes on」と、岸優太主演のドラマ『すきすきワンワン!』の主題歌「We are young」が両A面で収録されている5人体制ではラストのシングルだ。
本作は、3月1日公開のBillboard JAPAN週間シングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”にて1位にデビュー。初週での売上枚数は、1,051,909枚とミリオンを達成し、2023年度の最多初週セールスを記録。6月9日発表の2023年上半期Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”での首位に続き、2023年年間シングルのトップに立った。なお、King & Princeが年間シングル・セールス・チャートで首位を獲得するのは、今回が初めてだ。
2位は、Snow Manの8thシングル『タペストリー / W』が上半期に続きチャートイン。「タペストリー」はメンバーの目黒蓮が主演を務める映画『わたしの幸せな結婚』の主題歌、「W」はドラマ『大病院占拠』の主題歌にそれぞれ起用。本作は3月15日にリリースされ、3月22日公開の“Top Singles Sales”にて1位にデビュー。初週の売上枚数は、921,011枚を売り上げて自己最高記録を更新した。その後、4月17日~4月19日の集計時に自身5作目のミリオン突破を記録した。また、Snow Manは4位に9thシングル『Dangerholic』(982,917枚)を送り込んでいる。
▲ 「ここにはないもの」MV / 乃木坂46
続く3位には、2022年12月7日にリリースされた乃木坂46の31stシングル『ここにはないもの』がチャートイン。本作は、2022年でグループを卒業した齋藤飛鳥がセンターを担うラストシングルで、2022年12月14日公開の“Top Singles Sales”にて1位にデビュー。その後、2022年12月5日~12月7日の集計時にハーフミリオンを突破した。また、乃木坂46は、5位に33rdシングル『おひとりさま天国』(843,586枚)、6位に32ndシングル『人は夢を二度見る』(760,663枚)を送り込んでいる。
そのほか、トップ10にはAKB48や日向坂46など、上半期に続きアイドルグループが席捲する結果となった。また乃木坂46と櫻坂46は、12月31日に放送される『第74回NHK紅白歌合戦』に出場することも決定している。2024年は新たにどんな作品がヒットするのか、是非注目したい。
Text by Rumi Miyamoto
2023年年間Billboard JAPANアルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”は、King & Prince『Mr.5』が獲得した。
2023年年間Top Albums Salesは、2022年11月28日から2023年11月26日までの1年間のサウンドスキャンジャパンでの販売枚数データの累計で決定する。そして、King & Princeはベスト盤『Mr.5』が1,408,873枚を売り上げ上半期に続き首位を獲得した。
▲ 「Social Path (feat. LiSA)」MV / Stray Kids
続いて2位は1,267,417枚を売り上げたSnow Manの『i DO ME』が獲得、3位は1,089,952枚を売り上げたStray Kidsの『Social Path (feat. LiSA)/Super Bowl -Japanese ver.』、4位と5位は『FML』と『SEVENTEEN JAPAN BEST ALBUM「ALWAYS YOURS」』をそれぞれ991,278枚と719,306枚を売り上げたSEVENTEENが獲得した。
2023年は2022年と比べてトップ10の販売枚数が、5,820,863枚から8,227,186枚と1.4倍以上に増え、2022年は1枚もなかったミリオン越えのタイトルも、2023年は3作品が達成と、セールスが前年を大きく超える1年となった。
また、トップ20を見るとSEVENTEENは4作品(トップ10に3作品)が、TOMORROW X TOGETHERは3作品、King & PrinceとStray Kidsは2作品と、複数タイトルをチャートインさせるアーティストが多かったのも今年の特徴である。
そして2023年は1位から20位までを男性アーティストが占め、18位までは男性グループが独占。中でも、K-POPのアーティストはトップ10に6作、トップ20に12作とどちらも過半数を占めるなど、アルバムセールス市場をけん引する結果となった。
Text by kzskm
▲ 「ダンスホール」MV / Mrs. GREEN APPLE
2023年の年間Billboard JAPAN作詞家チャート“Top Lyricists”にて、大森元貴が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”にチャートインした楽曲を作詞家別にランキング化したもの。各指標別でみると、大森はCDセールスで100位圏外、ダウンロードとラジオで3位、ストリーミング1位、動画再生で2位、カラオケで4位を記録。特にストリーミング指標では、ポイントでみると唯一の100万ポイント超えを達成した。他で100万越えを記録した指標はないため、単一指標で最も多くのポイントを獲得したことになる。彼がフロントマンを務めるMrs. GREEN APPLEの、圧倒的なストリーミングでの強さを発揮した年となった。
今回の加算対象となった楽曲をポイント総獲得数が多い順にさらってみると、「ダンスホール」「Soranji」「青と夏」といった、“JAPAN Hot 100”常連の楽曲がずらりと並んでいることがわかる。ストリーミング・ソング・チャートは上位楽曲が何週にもわたって上位に残り続けることが多いが、先述の3曲はいずれもストリーミング指標でトップ25以内に登場しているほか、「Soranji」は累計1億再生、「ダンスホール」は累計3億再生、「青と夏」は累計4億再生を突破。またこの他にも、最新アルバム収録曲である「ケセラセラ」「Magic」も1億再生を突破しており、新旧問わずストリーミング指標で好成績を記録する楽曲を多く抱えていることや、現体制初のオリジナル・フルアルバム『ANTENNA』にアリーナツアー、そして自身初のドーム公演と、話題を振りまき続けていたのがこの結果の要因と考えられる。
2位には、「アイドル」「祝福」と大型ヒット作を連発しつつ、「群青」などロングヒット作も持つAyaseが登場。上半期に続きダウンロードで1位を獲得したほか、CDセールスで62位、ストリーミングで2位、ラジオ4位、動画再生1位、カラオケ7位と、各指標バランスよくポイントを稼いでおり、指標順位の平均では大森を超える結果をたたき出した。また、当チャートで2023年上半期の首位を獲得したOfficial髭男dismの藤原聡は、年間では3位に。3月に声帯ポリープ治療のため療養を発表し、そこからは「TATTOO」「日常」「Chessboard」とたびたび新曲は発表しつつも、2022年のようなコンスタントな活動は控えていた藤原。しかし、ラジオ1位、ダウンロードとカラオケで2位、動画再生で3位、ストリーミングは4位と、昨年からの大ヒット作「Subtitle」「ミックスナッツ」が大きく牽引する形で、年間でもトップ3をキープした。
▲ 「SPECIALZ」MV / King Gnu
また、2023年下半期で大きく追い上げをみせたのが、9位の常田大希と、10位の秋元康のふたりだ。常田大希は、9月1日にリリースしたKing Gnuの2023年第1弾楽曲「SPECIALZ」が、“JAPAN Hot 100”へ初登場以降トップ8以内をキープし続ける好成績を記録。これに加え、11月29日リリースの4年ぶりのニューアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』へ向け、同作の発売が発表された9月10日以降、「カメレオン」「一途」「逆夢」、また代表曲「白日」といった既発曲群が、ストリーミング&動画再生の2指標を中心に軒並み順位を上げる結果に。この影響で、ダウンロード6位、ストリーミングと動画再生が9位と、主にデジタル方面で好成績を記録した。
秋元康は、乃木坂46「おひとりさま天国」、AKB48「どうしても君が好きだ」、櫻坂46「承認欲求」と、いずれも週間シングル・セールス・チャート“Top Singles Sales”で1位、また“JAPAN Hot 100”でもトップ3以内に食い込む楽曲を次々と発表。CDセールス指標で1位を獲得したほか、ラジオ指標でも10位を記録し、上半期13位から年間トップ10へ浮上した。
Text by Maiko Murata
「大変光栄に思います。ありがとうございます。 これまでの自信になると同時にこれからの糧になります。 皆さんに楽しんでもらえるよう、何より僕自身が楽しめるものをこれからも作っていきたいと存じます!益々精進して参ります!」
▲ 「Magic」MV / Mrs. GREEN APPLE
2023年の年間Billboard JAPAN作曲家チャート“Top Composers”にて、大森元貴が1位に輝いた。
本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の中から作曲家にフォーカスしたランキングだ。2022年年間“TOP Composers”で9位、2023年上半期“TOP Composers”で3位とじわじわ順位を伸ばしていた大森元貴。指標別に見ると、大森元貴はストリーミング1位(上半期3位)、動画再生2位(上半期3位)、ラジオ2位(上半期8位)、ダウンロード3位(上半期4位)、カラオケ3位(上半期5位)、CDセールス100位圏外(上半期100位圏外)を獲得している。上半期と各指標を比較してみても順調に成長を見せていることが分かった。また、本チャートでは7月中旬から10月まで13週連続で1位を獲得している。
大森元貴がフロントマンを務めるバンド、Mrs. GREEN APPLEはニューアルバム『ANTENNA』を7月にリリース。同時期に「Magic」「私は最強」「ケセラセラ」「Soranji」といった収録楽曲や、「ダンスホール」「青と夏」「僕のこと」といった旧作の総合ポイントが一気に上昇している。その後ポイントの変動はありながらも、総合順位としては上位をキープし、1年を通してリスナーの耳を飽きさせない楽曲を手掛けている大森元貴の力量が分かる結果に。また、2023年年間“JAPAN Hot 100”では、Ado「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」も含めると、作曲家としては本年度最多記録となる11曲がチャートインとなった。
続いて、2023年年間“JAPAN Hot 100”では「アイドル」が、2023年年間“Artist 100”ではYOASOBIが首位を獲るなど、目まぐるしい活躍を見せたAyaseが2位に登場。指標別に見ると、ダウンロードと動画再生で1位、ストリーミング2位、ラジオ4位、カラオケ7位、CDセールス70位を獲得している。2023年、YOASOBIは国内のグローバルな音楽フェスに出演するだけでなく、ロサンゼルス、香港、台湾など、世界をステージに戦ってきた。小説を基に描くAyaseの作曲力と波及力は年々著しく増加の傾向を辿っている。
▲ 「TATOO」MV / Official髭男dism
Official髭男dismの藤原聡は3位に登場。2022年10月にリリースされた「Subtitle」がロングヒットとなり、2023年年間“JAPAN Hot 100”で2位を獲得。「ミックスナッツ」や「Pretender」など、集計期間以前にリリースされた楽曲が続々とチャートインしている。Official髭男dismは藤原聡が療養のため、2023年3月からライブ活動を一旦休止しているが、「TATTOO」「日常」「Chessboard」と継続的に新曲をリリースしてきた。療養後初のメディア出演となる『第74回NHK紅白歌合戦』でのパフォーマンスにも期待が膨らむ。
トップ10を見てみると、2022年年間“Top Composers”にチャートインした作曲家と同じ結果に。この10者に共通することは、ロングヒットの楽曲を生み出しているのはもちろん、他楽曲のチャートを爆発的に動かす作曲力がある強者たちであること。2024年はニューカマーが現れるのか、それとも同じ顔ぶれとなるのか、注目したい。
Text by Tatsuya Tanami
▲ 「オトナブルー」MV / 新しい学校のリーダーズ
2023年の年間Billboard JAPAN“Heatseekers Songs”で、新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」が首位に輝いた。
“Heatseekers Songs”は、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”を構成するデータのうち、ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中の新人アーティストを抽出したチャートだ。
「オトナブルー」は、新しい学校のリーダーズが2020年5月1日にデジタルリリースした楽曲。2023年1月頃からTikTokで“首振りダンス”が注目され始め、3月には急遽ミュージック・ビデオが公開された。また4月に入り「THE FIRST TAKE」で本楽曲が披露されるとますます人気を集め、2023年4月19日公開の“JAPAN Hot 100”では自身初となるトップ10入りを果たした。さらに下半期は地上波音楽番組への出演が相次ぎ、動画再生を中心にポイントを伸ばし続け、見事2023年の“Heatseekers Songs”を制覇した。
▲ 「Hype Boy」MV (Performance ver.1) / NewJeans
続くNewJeans「Hype Boy」は、ストリーミング1位、動画再生6位をマークし年間2位に。NewJeansは今年「Ditto」「ETA」など複数曲が“JAPAN Hot 100”でトップ10入り。大型音楽フェス【SUMMER SONIC 2023】やNHKの音楽特番『NHK MUSIC EXPO2023』への出演を果たすなど、日本国内でも本格的なブレイクを果たした。
そして、上半期ではトップ20圏外だったシャイトープ「ランデヴー」が、年間チャートでは3位に急上昇。同曲はシャイトープが2023年4月25日にデジタルリリースした楽曲で、夏頃よりTikTokやInstagramで本楽曲を使用した動画が急増した。特にサマーシーズンは、花火大会の映像や、家族・友達・パートナーとの夏の思い出を記録したVlogのBGMとして本楽曲が使われており、学校行事や季節イベントが制限なく開催された今年だからこそヒットした楽曲とも言えるかもしれない。
「ランデヴー」の他にも、2023年はバンドの楽曲が例年にも増して上位にチャートインした。2021年および22年の“Heatseekers Songs”年間チャートでは、トップ10にバンドの楽曲がチャートインすることはなかった。しかし今年は、トップ10中4曲をバンドの楽曲が占めた。さらに、人気アニメのタイアップに抜擢されたanoや崎山蒼志、TikTokでのバズをきっかけに海外公演を成功に収めたimase、人気ラッパーとのコラボレーションが続き常に話題が絶えなかったLANAなど、ソロアーティストのブレイクパターンにバリエーションが出てきたことも、今年の特徴と言えるだろう。
加えて顕著だったのが“Heatseekers Songs”にチャートイン後“JAPAN Hot 100”の上位に急上昇するアーティストが増加したことだ。当チャートにチャートイン後“JAPAN Hot 100”のトップ20に食い込んだアーティストは、21年度は4組、22年度は2組だった。それに対し、今年度は8LOOM、NewJeans、新しい学校のリーダーズ、MAZZEL、BUDDiiS、結束バンド、Conton Candy、崎山蒼志、シャイトープ、tuki.の10組と、昨年の5倍に増えている。この結果から、1、2年前に比べ、新人アーティストでも多くのリスナーにリーチできるチャンスが増えてきていることが推測できる。2024年は、さらに多くの新人アーティストがチャートを賑わしてくれることに期待したい。
Text by Mika Fuchii
「Billboard JAPAN 2023年年間チャート“Heatseekers Songs”1位を獲得しました! ありがとうございます!日々我々の音楽を聴いてくださっていること、とても感謝いたします。 これからもよろしくお願いいたします!」
2023年の年間Billboard JAPAN UGCソングチャート“Top User Generated Songs”で、YOASOBI「アイドル」が首位を獲得した。
本チャートは「踊ってみた」動画など、YouTubeで公開されているユーザー生成コンテンツ(UGC)のみを集計したチャートだ。本作は、4月12日に公開されたアニメ『【推しの子】』のオープニング主題歌。4月19日公開のHot 100で首位を獲得すると、史上最速で6月に累計ストリーミング数が2億回、11月には5億回を突破するなど次々と記録を更新し、2023年の年間チャートでは本UGCチャートを含めて計6冠を獲得した。
週間のチャートアクションを見てみると、4月19日に3位で初登場。5月3日公開分から22週連続で首位を獲得し、5か月にわたって本チャートを制した。リリースと同時にインスト音源と歌詞が公開されたことも後押しし、UGCの再生数は のべ約6,077万回となっている。
▲ 「酔いどれ知らず」MV / Kanaria
続いて2位は、上半期に本チャートを制したKanaria「酔いどれ知らず」。自身8曲目となるVOCALOID曲で、2022年5月にリリースされた。まふまふやメガテロ・ゼロ(現在は削除)ら人気歌い手が投稿した影響で、UGC動画がのべ5,976万回再生され、僅差で2位となった。また、Kanariaはトップ20位内に3曲チャートイン。自身2作目であり代表曲の一つ「KING」は9位、「カップヌードル×プロジェクトセカイ」とのコラボレーションによって制作された「アイデンティティ」は14位となった。
そして3位はHoneyWorks「可愛くてごめん feat. ちゅーたん(早見沙織)」。feat.かぴバージョンは【2023年 年間TikTok Songs Chart】で首位を獲得するなど、TikTokとYouTubeの両方で話題となり、集計期間中は51週チャートイン。累計再生数は2,908万回を記録している。その他、5位には【ニコニコ VOCALOID SONGS of the Year 2023】で首位を獲得した、ゆこぴ「強風オールバック (feat.歌愛ユキ)」がチャートイン。2023年3月に投稿されるとオリジナル動画は12日で100万再生を突破し、がうる・ぐらのカバーは362万再生を突破している。そして年間10位のAdo「唱」は9月6日にリリースされると、9月20日公開チャートで26位に。10月11日から、6週連続で首位を獲得した。
昨年と比較すると、2022年はトップ20のうち15曲がボカロPの作品だったが、2023年は13曲と減少。TikTokでもヒットしたHoneyWorks「可愛くてごめん feat. ちゅーたん(早見沙織)」や、オリジナル曲もHot 100入りしたYOASOBI「アイドル」や、米津玄師「KICK BACK」がチャートインするなど、幅広いラインナップがトップ20を占めた。動画からのヒットは、ここ1~2年だけの特徴ではないが、ここ最近はアーティストがインスト音源を公開したり、SNSでカバーを呼びかけるなど、UGCにより積極的な印象だ。音楽は聴くだけでなく参加するという楽しみもあり、ファンと一緒に作り上げることでヒットをさらに持続させる、そんな動きが感じられた2023年となった。
Text by 高嶋直子
▲ 「可愛くてごめん (feat. かぴ)」MV / HoneyWorks
2023年の年間Billboard JAPAN“TikTok Songs Chart”で、HoneyWorks「可愛くてごめん (feat. かぴ)」が1位に輝いた。
本楽曲は、サビ頭の<Chu!>という歌詞に合わせて投げキッスをするダンス動画から人気に火が付き、2022年10月12日公開の“TikTok Weekly Top 20”で8位に初登場。K-POPアーティスト達もダンス動画を投稿し、世界的に楽曲が認知されていくきっかけとなった。
また、TVアニメ『ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~』に登場する、中村千鶴のキャラクター・ソングとして、声優の早見沙織が歌う「可愛くてごめん feat. ちゅーたん(早見沙織)」も、同時にバイラルヒット。その後も、メイク動画や推し活を紹介する動画など、楽曲に合わせた様々な使用方法で拡散していき、12月7日時点では6週連続首位を記録した。2023年に入ってからは、写真画像をイラストにしてくれるAIエフェクト「マンガエフェクト」のBGMとしてもミーム化。2023年11月2日公開のチャートまでで通算58回のチャートインを果たし、堂々の1位獲得となった。
2023年の総合ソングスチャート“JAPAN Hot 100”を賑わせたYOASOBI「アイドル」は2位、Ado「唱」は8位という結果に。「アイドル」はインフルエンサーによる振り付けが拡散、「唱」はユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのコラボ企画【ゾンビ・デ・ダンス】のイベント開催期間を中心にダンスが拡散したが、どちらも楽曲人気がTikTok上でも広がったといえる。「アイドル」は、実際にアイドルとして活動するアーティストや、K-POPアーティスト達のダンスカバーにより視聴回数が増加。7月19日公開チャートでは12週連続で首位を獲得した。このカバー動画に対し、YOASOBIのオフィシャルからリアクションがあったことも話題となり、バズの要因のひとつになったと考えられる。
Shinonome「Athletic Meet "Heaven and Hell"」(5位)や、しゃろう「3:03 PM」(20位)などTikTokの定番曲が今年も並ぶ中、3位には2023年の“定番”として多く使用された、メイ・スティーブンス「イフ・ウィー・エヴァー・ブローク・アップ」が登場した。<ブローク・アップ>の歌詞に合わせ両手で作ったハートをパカッと開いたり、泣いてる顔文字のように指をTにして悲しさを表現するダンスが国内外で人気に。チャートイン回数は通算22回にのぼった。
ダンス動画から楽曲人気に火が付くことが一般的なTikTokだが、新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」(19位)のように、その人気を持続させTikTokやSNSという枠を超えていくには、TikTokで聴いた楽曲が気になったユーザーを、各ストリーミングサービスへ送り込むことが重要だ。
▲ 「ファジーネーブル」MV / Conton Candy
この成功例として、4位のConton Candy「ファジーネーブル」を挙げたい。6月7日公開のチャートで3位に彗星のごとく登場した「ファジーネーブル」は、画面を横向きにして撮影するダンス動画をきっかけに拡散し、Conton Candyのオフィシャルアカウントの映像も、多いもので500万回以上再生されているものもある。ここから、ストリーミングや動画での再生数が伸びたことで、6月21日公開の“Heatseekers Songs”では初めて首位を獲得。7月5日発表の“JAPAN Hot 100”では自身最高位となる17位を記録、11月には『ミュージックステーション』など、地上波への出演も果たした。
また、TikTokでは様々な音楽ジャンル、世代の楽曲がバズの可能性を秘めている部分もおもしろいところ。指で<1・0・0・1>を表現したダンス動画火付けとなった、オランダのポップ・ミュージック・グループChipz「1001 Arabian Nights」(7位)は、2005年にリリースされた楽曲ながら、TikTokでリバイバルヒットした。
サウンドクラウド・シーンからは、nyamura「you are my curse」が9位に。集計期間中には通算22回チャートインし、8月9日発表のチャートから4週連続で首位を獲得した。自撮りを中心に、動画加工アプリ「CapCut」のテンプレートを用いた写真のスライドショーに多く使用された。
TikTokでのバズをきっかけとして、今後も様々なアーティスト達に出会えることに期待したい。
Text by Yuma Totsuka
「HoneyWorksのプロジェクト「告白実行委員会~恋愛シリーズ~」のキャラクターソングなのですが、このキャラクターの考えが今の時代を生きる人達に共感してもらえたのかなと思いました。TikTokを通してたくさんの方に聞いてもらえたこととても嬉しかったです。ありがとうございました!」
▲ 「強風オールバック」MV / ゆこぴ
2023年の年間Billboard JAPAN“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”で、ゆこぴ「強風オールバック」が1位に輝いた
本チャートは、2022年12月7日からスタートしたニコニコ動画におけるVOCALOID曲の人気を測るチャートだ。オリジナル動画や二次創作動画などの動画再生数や動画総数、コメント数、いいね数などのデータにBillboard JAPANが独自開発した係数に乗じて上位20位までのランキングを生成している。
記念すべき初の年間チャートを制した「強風オールバック」は、ゆこぴがボーカルに歌愛ユキを起用した楽曲で、2023年3月15日に投稿された。12月5日時点でニコニコ動画での再生回数は365万回以上、YouTubeでの再生回数は7,490万回以上を記録しており、本チャートでは、通算13週首位という最多記録を保持している。また、7月19日から放映されている日清・カップヌードルのCMで本楽曲の替え歌が使用されたり、イー・ガーディアンが発表した【SNS流行語大賞2023】に本楽曲の歌詞の一部から派生した「○○した瞬間、終わったわ」がノミネートされたりするなど、社会的にも話題が高まっている。ポイントを見ると、オリジナル動画は僅差で2位だが、二次創作関連は1位を獲得。特に作成動画のいいね数は、2位と比較して1.7倍のポイントを獲得している。また、本チャート以外にもYouTubeのUGCを指標としている、“Top User Generated Songs”の年間チャートにもチャートインしている。「強風オールバック」は、オリジナル動画が持つ驚異的な話題性、そして多く投稿されている二次創作動画が相乗効果となり、2023年の“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”の首位を獲得した。
続く2位には、ツミキ「フォニイ」が登場。2021年6月5日に公開された本楽曲は、ツミキが初めてCeVIO AI・可不を使用した楽曲で、自身初の再生数ミリオンを達成し伝説入りを果たした楽曲だ。12月5日時点で本楽曲はニコニコ動画で投稿されたCeVIOオリジナル曲の中で最も多い約842万回の再生数と約4万回のマイリスト数を記録している。また、本楽曲の“歌ってみた”動画は多くの歌い手やバーチャルYouTuberにより公開されており、ポイントを見ると、作成動画総数は2位、作成動画再生数、マイリスト数は1位を獲得している。
そして3位には、いよわ「きゅうくらりん」がチャートイン。本楽曲は2021年8月29日にいよわが投稿した自身初のCeVIOオリジナル曲で、ニコニコ動画で最も多いいいね数を獲得しているCeVIOオリジナル曲となっている。また、本チャートが2022年12月7日にスタートして以来、2023年8月9日発表分をのぞいた全ての週でチャートインというロングヒットに。オリジナル動画関連のポイントは総合首位の「強風オールバック」を上回る1位を獲得した。
その他、ピノキオピーが上位20曲に「神っぽいな」「デビルじゃないもん」「転生林檎」の3曲をチャートインさせ、年間チャートにチャートインした楽曲が最多となった。また、2010年に投稿されたwowaka「ローリンガール」や、現在連続首位記録を更新中の原口沙輔「人マニア」もチャートインするなど、新旧織り交ざった“ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20”初の年間チャートとなった。
Text by Ian Li
「嬉しいな って 思いました。」
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