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渡辺美里 【うたの木 2000 fragile】
2000.10.21 (SAT) at Zepp Tokyo|セットリスト
「20世紀の星くずを21世紀に伝えたい」・・・、そんな渡辺美里の意思から始まった「うたの木コンサート」。昨年はフルオーケストラとのコラボレーションで、見る者、聴く者に感動を与えた「うたの木」だが、今年はそれを「ライブハウス」に場所を変え行うことになった。彼女がオールスタンディングのライブを行うのはデビューライブ以来14年ぶり(!)。今年の「うたの木」がどんな名曲を聴かせてくれるのかも気になるところだが、それ以上に渡辺美里+ライブハウス=何なのか?一体何を生み出すのか!?開演前から楽しみで仕方がない。
突然の大きな歓声と共に巻き起こる手拍子!会場の中央に用意されたスクリーンに美里らしきシルエット!そして、それを突き破る一人の女性の姿、渡辺美里の登場である!今夜最初の名曲は「It's Tough」。かなり格好いいアダルティなロッカースタイルでオープニングから熱唱すると、その歌声はライブハウスの隅から隅まで響き渡る。今夜はライブハウスを意識してのことか、ロックアレンジの効いた構成になっており、その迫力で一気に会場の“一体化”まで持ち込む。さすがはコンサートの女王である。場所やキャパが変わっても何の気負いもなく美里節をかます姿は、見ていても、聴いていても清々しい。また、彼女ほどのアーティストを会場中の誰もがよく見れてしまうのもおいしい。
終始クライマックスのような盛り上がりを見せる今夜のライブ。世間はこの日「ON対決」とやらで騒いでいたようだが、この密着度150%空間のテンションには勝てやしない。そして、更に素敵な夜にするためのスペシャルゲストが登場!同じユニットのメンバー小室哲哉同様に美里に楽曲提供を行ってきているあのお方・・・木根尚登の突然の登場である!「すごい緊張してて・・・」と最初に口にした木根さんですが、この人のトークの右に出るアーティストは他にはいません。「TMN時代に美里に楽曲を提供した話」「美里とのレコーディングの話」そして「今のTMの話」、会場は大盛り上がり!中でも小室に対して二人が色々語るシーンは面白く、美里の「仲いいの?」という質問に対して木根が「仲は良いんですけど相変わらずリーダーが・・・二人(宇都宮隆と)とも待ち状態ばかり、最近は編み物まで始めたり」といった感じでとにかく盛り上げてくれました。木根との絡みタイムは意外と長く、トークばかりではなく、音楽でも湧かせてくれました。美里の名曲のひとつ「さくらの花の咲く頃に」を初セッション(このナンバーは木根が提供した曲)、これはプレミアもの。そして最新作に収録されている「こぶし」も一緒に披露。この曲は木根が自身のために大事に眠らせていた楽曲で、宇都宮が「くれ」と言っても断ったほどの名曲。ただ、この夜の「彼(小室)も言ってましたけど、美里に曲が書けるのが一番嬉しい」という木根の言葉に嘘はなく、“美里だから”提供したんだとか。本当に素敵な名曲セッションでした。
木根が大いに湧かせてくれた会場、彼がステージのソデに消えた後はそのままラストまで全力疾走!どんなナンバーであろうがパーフェクトに歌いこなし、その曲その曲の“一体化”を見せるライブになっていく。終盤は美里が照明を振り回しながら熱唱!この至近距離で照明を向けられるのはかなり眩しいのだが、逆にそれでテンションが上昇してしまうオーディエンス。そしてそのテンションを落とすことなくアンコールへ・・・そしてあの名曲の出番。
「1!2!3!4!」、美里の大きなカウントと共に聞こえてくるのはあのイントロ!しかもイントロまで大合唱!っていったらこれしかないでしょう?「My Revolution」!!この楽曲こそ誰もが認める20世紀から21世紀へ持って行くべきナンバーである、凄まじい楽曲自体が持つパワー、じわりじわりと心にしみこみ、気がつけば誰もが自然と歌い出している。涙腺が緩み、鳥肌が立つ。このナンバーもまた、渡辺美里と共に、そのファンたちと共に成長していたことを確信、そして先に木根が言っていた「美里は曲を大事にしてくれる」という言葉を思い出す。
「20世紀の星くずを21世紀に伝えたい」・・・、いつまで経っても歌い継がれていく“本当の名曲”なんて片手で握れるほどしかないのかもしれない。しかし、美里の名曲たちは“本当の名曲”と言える。少なくとも今夜彼女のライブを見たファン達にとってはそうだ。スタジアムだろうが、フルオーケストラだろうが、ライブハウスだろうが、渡辺美里は変わらない。どこで歌っていたって彼女が歌う“うた”はその輝きを失うことはなかった。今夜ライブハウスでの彼女のライブパフォーマンスを見てそれを感じることが出来た。やっぱり美里は凄かった。
「20世紀最後のライブ、みんなに会えて良かったです!21世紀もよろしく!じゃーね、バイバーイ!!」・・・こちらこそ(笑)。
セットリスト
【うたの木 2000 fragile】
2000.10.21 (SAT) at Zepp Tokyo
- 01.It's Tough
- 02.とびだせ青春
- 03.あなたのすきな歌
- 04.さえない20代
- 05.さくらの花の咲く頃に
- 06.こぶし
- 07.十六夜の月~izayoino tsuki~
- 08.もっと遠くへ・・・
- 09.ジャングルチャイルド
- 10.SHOUT[ココロの花びら]
- 11.I WILL BE ALRIGHT
- 12.Lovers univors
- 13.死んでるみたいに生きたくない
- 14.NEWS
- 15.ブランニューヘブン
- 16.虹をみたかい
- 17.恋するパンクス
- EC-1 荒ぶる胸のシンバル鳴らせ
- EC-2 My Revolution
- EC-3 ギフト
- EC-4 GROWIN'UP
Writer:平賀哲雄
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