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渡辺美里 【美里祭り2010 Song is Beautiful Party! Party!~北海道札幌ver.~】
2010.09.04(SAT) at 北海道 札幌芸術の森 野外ステージ|ライブ写真&セットリスト
大きな白いリボンがあしらわれたステージ、マイナスイオン溢れっぱなしの森林、突き抜ける青空、ブルーシートの上でお酒や食事を楽しむオーディエンス。そんなフリーダムな空間に荘厳なオーヴァーチュアが鳴り響くと、たくさんの黄色い紙がステージに向けられる。そして本日の主役 渡辺美里が青と緑と赤と黄色のド派手な衣装姿で現れ、その体をゴキゲンに揺らしながら『恋したっていいじゃない』を披露。「D!A!T!E!」とみんなで叫びながら軽快にその腕を振り上げていく。
「みんな!みんな!みんな!会いたかったよぉぉ!」今日をみんなにとって過去最大の夏祭りにしたいと意気込んだ彼女は金色のキラキラ棒を振り回したり、優しく温かいハンドクラップに包まれながら『世界で一番遠い場所』を爽やかに歌い上げたりと、とにかくみんなと一体となって心地良いライブを創り上げていく。デビューから25年経った今も、この会場での【美里祭り】が初めてであっても、変わることのないライブスタイル。無数のシャボン玉が嬉しそうに飛び交っている。
今年でデビュー25周年を迎えた渡辺美里は、その歴史を詰め込んだ「『Song is Beautiful』の中から」と『センチメンタル カンガルー』を皮切りに全25曲約38分にも及ぶメドレーを展開。ノンストップでヒット曲の数々を惜しみなく、曲を追うごとにエモーショナルになっていくバンドメンバーと響かせていく。これだけでひとつの公演が成立するかのようなボリュームとクオリティ。まさかの『ドラえもんのうた』まで飛び出し、そのポップでハッピーなグルーヴに子供たちも大はしゃぎ。フリスビーが飛び交ったり、W杯で大活躍したブブゼラの音色を甦らせたり、正しくお祭り状態だ。そんな怒涛のメドレーの最後を飾るのは『Long Night』。青空に向かって突き立てられる無数の人差し指。「素晴らしい!」という声がステージに贈られる。
「スペシャルゲストをお招きしました」とギタリスト 谷本光をステージに招き入れ『Believe』をジョイント。パーカッシヴで情熱的なアコギの音色に比例して舞い上がる美里のテンション。迷いなく真っ直ぐと歌われる「夢を夢のままでは 終わらせないでいて」というフレーズに胸が高鳴る。更には『BIG WAVEやってきた』までもまさかのアコースティックアレンジで披露し、言葉ひとつひとつに重みを感じさせるそれに心をがっつり掴まれた観客は、無数のキラキラ棒が掲げていく。綺麗な光景だ。
ギター一本で様々な世界を創造する谷本のソロアクトに誰もが酔いしれたところで、渡辺美里は赤のスパンコールをキラキラ輝かせた衣装で再登場。陽も落ちていき、かなり涼しい空気が充満し始めた会場だが、美里とバンドメンバーの熱量は凄まじい。もちろんそれを目の当たりにしている我々も。『パイナップルロマンス』ではバンド陣の超絶テクニックによるロックンロールグルーヴでもって、みんなを子供のように無邪気に飛び跳ねさせてみせる。もはや芸術の森は完全自由区域。ステージも客席も夏の終わりに汗を滲ませながら、好きなだけ踊って歌ってはしゃぎまくっている。
「北海道の夏はもうすぐ終わるけど、私たちの夏はまだまだ続くよ!」と誰もが知るあのオーケストレーションから『サマータイムブルース』が。分かってはいたが、やはり野外で鳴るこの曲はヤバイ。否応なしに鼓舞させられるメロディと、共に歌わずにはいられないフレーズ。そしてラストの「WOW WOW!WOW WOW WOW!」青春賛歌そのものと言っていい大合唱。両手を広げて鳴り止まない拍手と歓声を受け止める美里。大きなタオルを羽織って再登場した彼女は“今最も伝えたいメッセージソング”として『ニューワールド~新しい世界へと~』を歌い始める。何があっても清らかな魂は汚れたりはしない。もっともっと新しい世界へと我々は続いていく。そんな想いを凛とした表情と声で響かせた後「25年経っても“こんなもんじゃない”“もっとやりたい”“もっと自分らしく輝きたい”」と、彼女は更に『10years』を歌い始める。行きづまり うずくまり かけずりまわった25年。それでも見つけられないもの。それだから立ち向かいたい未来。彼女ほどのキャリアを持つ者が力強く歌うそれは、あまりにも美しく正しかった。すっかり暗くなった空の下で燦々と輝きを放つその声、その意志、その歴史によって、不朽の名曲がもうひとつ。ここにいるすべての人々と共に『My Revolution』を、今も変わらず人々を鼓舞させるその歌を大きな声で響かせていく。
オーディエンスの鮮やかなウェーヴに応えるように、ライブはダブルアンコールへ突入。「まだまだ行けるか!北海道!!」ド派手なバンドサウンドと共に曲は『GROWIN'UP』へ。開演から3時間近く経ったというのに、俄然パワフルに響き渡る歌声、キラッキラした表情、どこまでも舞い上がる会場のテンション。忘れてはいけない大切なもの、純粋に未来に夢見る気持ち、それらを精一杯に届け続ける彼女の姿勢に心を高ぶらせた僕らは、今日最も美しいラララの大合唱を。そしてオーラスは『マイセルフ』。文字通り、命を燃やして、魂を燃やして、これまでに出逢ったすべての人々や出来事によって湧き上がる想い。「生まれてきてよかったよ」をその声を震わせながら響かせる渡辺美里がそこにいた。
「また北海道に戻ってきたいと思います。本当にありがとう。また逢いましょう。バイバーイ!!」
ライブ写真
セットリスト
【美里祭り2010 Song is Beautiful Party! Party!~北海道札幌ver.~】
2010.09.04(SAT) at 北海道 札幌芸術の森 野外ステージ
- 00.ぼくでなくちゃ
- 01.恋したっていいじゃない
- 02.ジャングルチャイルド
- 03.世界で一番遠い場所
- 04.素顔
- 05.Song is Beautifulメドレー25
- 06.始まりの詩、あなたへ
- 07.Believe(W/谷本光)
- 08.BIG WAVEやってきた(W/谷本光)
- 09.夏空蝶(谷本光)
- 10.春の日 夏の陽 日曜日
- 11.ムーンライトダンス(うたの木ver.)
- 12.パイナップルロマンス
- 13.チェリーが3つ並ばない
- 14.すき
- 15.サマータイムブルース
- 16.ニューワールド~新しい世界へと~
- 17.10years
- 18.My Revolution
- 19.GROWIN'UP
- 20.いつかきっと
- 21.マイセルフ
Writer:平賀哲雄
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