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<コラム>ラップ×メタバース。ソニーミュージックが手がける“XRライブ”プロジェクト『ReVers3:x』とは



コラム

Text:Maiko Murata

 コロナ禍以降、“配信ライブ”は音楽ファンにとってかなり身近な存在になった。最初はリアルライブが開催できない代わり、という印象が強かった配信ライブも、その進化に伴い、配信ライブならではの魅力を打ち出したものが多く見られるようになっている。

 そのひとつが“メタバース”、つまりインターネット上の3D仮想空間を用いたライブだろう。たとえば、曲ごとにステージをロケーションごと変化させたり、衣装を変えたりといった現実のライブでは実現できないような演出も、メタバースでは簡単に実現することが可能だ。また、インターネット上が会場となることで、手のひらのスマートフォンひとつで日本中、ひいては世界中のリスナーが気軽にライブを楽しむことができる。たとえば、2020年8月には、米津玄師がオンラインゲーム『フォートナイト』内にてバーチャルライブ【米津玄師 2020 Event / STRAY SHEEP in FORTNITE】を日本人として初めて開催。米津本人も、アルバム『STRAY SHEEP』のジャケットにも描かれている羊のマスクをかぶったアバターで登場したほか、全世界からファン(のアバター)が、彼のパフォーマンスを一目見ようと集まった。


米津玄師 2020 Event / STRAY SHEEP in FORTNITE


 先の『フォートナイト』の例では、アーティストもアバターで登場するので、あくまでパフォーマンスしているのは米津玄師本人ではなく、彼を模した“アバター”である。アーティストがパフォーマンスをする姿に惹かれるリスナーの中には、ここに引っかかりを持つ人も少なからずいるのではないだろうか。では、これがアバターではなく、アーティスト本人がメタバース空間内でパフォーマンスをする、というものなら? そんな、これまでのメタバース空間でのライブとリアルライブのいいとこ取りをしたようなコンテンツ——“XR”ショートライブプロジェクト『ReVers3:x』(リバースクロス)が、現在ソニー・ミュージックレーベルズの制作でリリースされている。

 「XR」(クロスリアリティ)とは、“AR”(拡張現実)、“VR”(仮想現実)、“MR”(複合現実)といった先端技術の総称。『ReVers3:x』では、ソニーグループの最新技術を活用し、360度撮影が可能なカメラで「ボリュメトリックキャプチャ」(対象を、動きや位置を含めて丸ごと3Dデータとしてキャプチャすること)を行うことで、まるで登場するアーティストが仮想空間の中で実際にライブを行っているかのような、高精細で自然なライブ映像を楽しむことができる。また、舞台となる仮想空間も、回ごとにオリジナルで制作されているのも視覚的に楽しめるポイントだ。


【Behind the scenes vol.1】 ReVers3:x KEIJU


 『ReVers3:x』の更新は不定期であるが、現時点で計4回、YouTube上の公式チャンネルにて全世界配信が行われており、その全てが同チャンネル上にてフル尺でアーカイブされている。これまではヒップホップ・アーティストが主に登場しており、コロナ禍真っ只中の2022年3月に公開された第1回には、KEIJUが抜擢。2022年5月公開の第2回には、自身もNFTアーティストとして活動するOZworldが出演し、初の生配信となった2022年9月公開の第3回は、CHEHON、呂布カルマ、CHICO CARLITOの3組によるオムニバス形式となった。

 また、2023年10月30日に配信されたばかりの第4回『BOSO TOKYO Presents 「ReVers3:x Feat. GIRL’S POWER」』は、KDDI、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会の3団体が開催したオンラインイベント【バーチャルハロウィーン2023】内で開催され、プロジェクト初のコラボ企画に。渋谷という場所から、またトレンドの“Y2K”からの連想か、今回のキーワードは「ギャル」。シンガーソングライターやコレオグラファーとして活動し、最近では『ヒプノシスマイク』への楽曲提供でも注目を集めた大門弥生と、彼女が主宰を務め、ダンサーのBROWNFISH ERI、メイクアップアーティスト/デザイナーのMARIN KADOWAKI、DJのXUNAも所属するクリエイティブチーム「Sister Hood」が中心となり、さらにABEMA『ラップスタア誕生2021』ファイナリストであるCYBER RUI、BSスカパー!『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』でちゃんみなとの“JK対決”から火がついたRei(c)hi、Awich「Bad Bitch 美学」への客演参加も記憶に新しいMaRIと、フィメールラッパー3名が揃い踏みした。また仮想空間上の会場には、観客として1万人のギャルが登場。NFTプロジェクト『BOSO TOKYO -暴走東京-』とタッグを組んだ、ハロウィーンを意識したステージセットとあいまって、画面越しながらもリアルな熱狂が感じられた。


[XR Live] BŌSŌ TOKYO Presents 「ReVers3:x Feat. GIRL’S POWER」


 なお、『ReVers3:x』はXRライブを軸に、「現実世界でのフィジカルライブの企画・プロデュース、展示イベント、NFTなど様々なものとコラボレーション(クロス)していくプロジェクト」と定義されている。公式チャンネルでは先に述べたライブ映像以外にも、収録の裏側に迫った「Behind the scenes」動画や、本プロジェクト発のバーチャルアーティストICQ(イコ)のオリジナル楽曲も公開されており、音楽面、テクノロジー面と多角的な楽しみ方ができる。


Like it or not (Official Video) / ICQ


 全世界、XR、NFT。『ReVers3:x』がキーワードにしているものは、いま日本のエンタメ・コンテンツで特に注目されているものばかりだ。ソニーグループの最新技術をもって、今後どのような作品が打ち出されていくのか、今後の更新にも注目が高まる。

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