かつてハイロウズのライブの前に必ず「ゴー！ハイロウズ！ゴー！」と、会場中のすべてのオーディエンスが叫び続けるお約束があったが、今目の前に広がる光景は、やたら早いハンドクラップに「シャカラビッツ！」と、リズミカルに叫ぶオーディエンスの画。この開演前からのとんでもない大熱量は、決してヒロトやマーシーの信者に負けてはいない。というか、年齢層が低い分、フレッシュなエネルギーがここには充満してる。そこへさりげなくステージに現れるシャカラビッツの面々。そして、UKIが「are you ready jump？」と煽れば、横浜BLITZを激しく揺らす全力ジャンプ×2000。そして、すかさずぶちかまされるオイオイコール。さほどアッパーチューンではなくともこのテンションと熱気。テレビ露出などはあまりしないため、シャカラビッツがどれだけの実力と吸引力と爆発力を持ったバンドであるかは、ファンでないとなかなか知る由がないが、今宵初めて彼らのライブを観てる私が断言しよう。彼らがファンと共に生み出す熱量は、国内最高レベルに達している。それにしても、ベタな表現で申し訳ないが、ほんとみんな兎みたいによく跳びはねる。モッシュ・ダイブ禁止令が出ているのも納得の弾けっぷりである。で、UKIが「SO EXCITED!」と連呼すれば、客席から紙吹雪が舞い、通常おとなしめの二階席も躊躇のないはっちゃけぶり。何より驚くのが、そのグルーヴのど真ん中にいるシャカラビッツの4人が暴走したり飛び道具を用いてこの熱量を生み出しているのではなく、しっかりとした音楽で、演奏で、歌声で、これを生み出しているのが素晴らしい。

　 「喜びも悲しみもみんなのスパイスになったらいいな」そんなUKIの言葉を受けて巻き起こるフルコーラス大合唱の『SPICE!』。そこにブルースハープの音色が気持ち良く響き渡り、『COMEBACK ANYWHERE』『Pivot』と強烈なナンバーが畳み掛けられ、あまりに早すぎるスパークに凄まじい一体感が生まれ・・・今ここにいる奴全員、誰にも何にもどんな物事にも負けないと思ってるに違いない（笑）。すげぇすげぇ強い力がステージから客席から四方八方に飛び回っている。「今日はバラしてしまうと、27曲やります。武道館（公演のとき）より多い」と、UKI。「気合い見せてくれよぉ！最後まで盛り上がるぜ！」と、KING。今日はあの武道館以上の夜を魅せてやろうというシャカラビッツの意気込みに、更に豊かな表情とエネルギッシュな動きで、その27曲を飲み込んでしまおうといった様相のオーディエンス。

　突然、ステージ後方が大きなスクリーンとなり、地球上のあらゆる出来事が足早に流れてゆく。TAKE-Cの優しいギターの音色に合わせてUKIが『RECOVERY』を歌い出す。儚くも熱情的なメッセージ。シャカラビッツがただの勢い任せのバンドではないことを証明するヒューマニズム溢れる、喜怒哀楽と嘘と本当と・・・僕らをまつわるすべてが込められた歌の数々が綺麗なメロディに乗って僕らにお届けされる。 　 UKIがグロッケンをその手で奏で始めると「うぉぉ！」と、驚きの声が。しばらくその体を休め、心を歌と音に預けていたオーディエンスが再び兎のように跳ね始めたこの曲は『シルク』。そしてメンバーからペットボトルの水のプレゼント。あと、まさかのパック入りコーヒーとティッシュのプレゼント（笑）。これぞ至れり尽くせり。「まだまだまだまだ続けますわよ」、ジャジィなMAHのドラミングと共に今宵のライブは、これまで放出され続けたエネルギーを大爆発させるべく、狂喜乱舞モードへ突入。好きに歌って、好きに踊って、好きに泣いて、好きに笑って、好きに暴れて、解放されちゃって、救われちゃって、ツアーファイナルに華を飾るべく、誰もが力強く煌めいていた。そして誰もがこの煌めきを明日に結ぶべく疾走していく。

　 再び巻き起こる「シャカラビッツ！」コール。すでに22曲も披露されているのに、まだライブは開演してから僅か1時間40分。とんでもない全力疾走ぶり。が、まだこの空間と音楽の勢いは止まることを知らない。UKIがバスタオルを客席に放り投げ、「呼んでくれてありがとう！」と言うと、アンコール1曲目、やたら温かく響くみんなのハンドクラップと叫び声と共に『heads-scissors』へ。でもって『KARENA』『G★S★G』『MONSTER TREE』と、出しても出してもキラーチューンが待ってるというオシムも羨ましがるこの選手層、もとい楽曲層の厚さ。とんでもないパワーを感じながら爆発させながら見た、横浜の夜に輝いた無数のピースマークは、みんな忘れねぇんだろうなぁ。 　 「みんながたくさん愛をくれるので愛で返したい」「でっかい輪をみせてください」UKIがそう言うと、なんと！オーディエンス一同、知ってる人も知らない人も手を繋いで大きな輪を組んで、とんでもないデカい声で『ポビーとディンガン』を熱唱！こんなライブハウスの画、今まで見たことねぇ！そしてシャカラビッツの目に飛び込んでくる、ファンからの愛の限りのメッセージ！！一人一人のファンが大きな布地にビッシリ綴ったその言葉たちは、更にシャカラビッツの音楽と世界を美しく彩った。愛に熱狂する碧きパワー、そいつは何よりも強い。