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ムック 『シャングリラ』 インタビュー
ある意味ベスト的? ムック2年ぶりのアルバム完成
今年で結成15周年と節目を迎えたヴィジュアル系ロックバンド ムック。欧米やアジア諸国からも高く評価され、近年では【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】にも出演するなど、ありがちな偏見を壊していく活躍を見せている注目バンドだ。
今回はフロントマン 逹瑯(vo)と、全楽曲の編曲を手掛けるミヤ(g)が登場。2年ぶりの新アルバムを軸に、海外との違いや志磨遼平(ドレスコーズ、ex.毛皮のマリーズ)、そしてロックレジェンドについてなど広く訊いた。
衝撃の1曲「狂乱狂唱~21st Century Baby~」
▲MUCC 『150秒で分かるニューアルバム「シャングリラ」』
--初登場の最初の質問にして何なんですが、今回のアルバム『シャングリラ』の8曲目「狂乱狂唱~21st Century Baby~」、これすっごい曲ですね!
逹瑯:そ、そスか?(笑)
--ダブステップっぽいリズムから始まって、歪んだギターにラップともお経とも言えるようなボーカルが重なる。しかも大仰なサビメロやシャウトもあって、最後は王道ロックな展開もと、時代性を超越したサウンドがクロスオーバーしまくってて、1回じゃ処理しきれなくてすぐリピートしましたよ!
逹瑯:ナハハハハ! この曲は俺が作ったんですけど、楽器ができなくて歌をメインに作っていくから、楽器やる人とは違った形になっていく気がします。
カオティックなリズムパターンのAメロはメロディが無く、その朗々としている感じにシャウトが入って。子どものコーラスのメロディがまたシャウトでかき消されて、最終的にはメタルに流れていく……。一定のリズムから最終的にドメタルになるのがいいな~って思ってたらこうなった感じで。
--そうなんですね! それにしても近年のムックは【ROCK IN JAPAN FESTIVAL】にも出演するなど、ヴィジュアル系の括りを超えた活動が目立っています。
ミヤ:それは昔から変わらないですね。ただ、日本は特にジャンルによっての偏見が強い。そう思っている人がいるのは別にいいんですけど、割と良いバンドもいるし、そういうのって海外には全然ないんですよ。偏見がない。そろそろ無くなってもいいんじゃないかなって思いますけどね。例えば自分はヴィジュアル系のライブってあんまり観に行かないし、逆に色んなバンドのライブを観に行くし。
--ムックは海外でのライブも経験していますが、違いは感じますか?
ミヤ:音に対する感覚が、海外の人って凄いフラットなんですよね。ロックバンドのライブの後にアフターパーティを開いてテクノで踊ってたりとか(笑)。それにドイツだったらテクノとか、フランスだったらパンクとかファッション寄りの音楽とか、そういう中でロックバンドのライブも文化の一つになってる。日本は集中しがちなんですよね、ロックバンドが好きならロックのライブにしか行かないとか。より楽しめるっていう意味では、海外の感じは面白いなって。
--ただ、ムックのファンは皆さんの提示する音楽に対して柔軟ですよね。
逹瑯:色んなことをやってきて、それについてきてくれる子が残ってくれてると思う。時代によって入れ替えもあるだろうから、全部合わせたらどんな感じになるんだろうって。お客さんはイーブンな関係性でいいと思うし、自分が聴く側になった時も「今回のアルバムは、まァいいか」って見送ることはありますよね。うちらも極端なことをやってるから、全部の作品で来いよって感じでもないし、ヒットしてくれた時に来てくれればって思うから。
最近、メタルと接近している
--では、最新アルバム『シャングリラ』についてですが、前作からの2年の間にムックは3枚のシングルをリリースしていました。そのイメージがあったので、1曲目「Mr.Liar」を聴いた時は度肝を抜かれました(笑)。
逹瑯:前作『カルマ』の時だとエレクトロサウンドが前に出てて、ヘヴィなギターリフやバンドサウンドがエッセンスに隠れていたと思うんですけど、その比率が逆になっているアルバムだと思うんですね。だから凄くバンドっぽく感じるし、今までの延長線上な感じもするし。
ミヤ:激しい感じの曲と、前作でやってきたアプローチをもっと混ぜてみようというコンセプトだけがあったんですよ。最近、メタルと接近しているんで、やりたいことをやったら自然とこうなった感じですね。
--踊れる要素を残しつつバンドサウンドとして、ムックの音として完成している。これは日本のオリジナルの音楽だと思います。洋楽のコピーではない、非常に日本的な音楽だと。
ミヤ:どの辺でそう思うんですか?
--一つはメロディですね。そしてもう一つが、非常に緻密なサウンドプロダクトになっている点です。細かい隙間まで意識しながら音を重ねていく手法は、日本人が得意な所だと思います。
ミヤ:あ、でも、歌詞とメロディは意識しなくてもそうなってしまいますね。逆に洋楽にはなれないというか、歌詞が日本ならではの表現。日本語には色んな表現があるので、そこは昔からやっていきたい部分というか。
元々洋楽上がりじゃないし、全員J-POPとかフォークソングとかが好きで始めたバンドなので、それが個性でもあるんですよ。フォークにある情緒だったりパンク精神だったりを感じられないと物足りないというか。
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リリース情報
シャングリラ
- 2012/11/28 RELEASE
- 完全生産限定盤
[AICL-2484/5(写真集+CD+LIVE CD[A])] - 定価:¥6,915(tax in.)
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- 初回生産限定盤[AICL-2486/7(CD+LIVE CD[B])]
- 定価:¥3,800(tax in.)
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- 通常盤[AICL-2488(CD)]
- 定価:¥3,059(tax in.)
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関連リンク
Interviewer:杉岡祐樹|Photo:佐藤恵
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