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<インタビュー>2023年上半期TikToker部門1位、MINAMIがデビュー曲「繋いだ手」で綴ったファンへの想い
Interview:Takuto Ueda
Photo:持田薫
山梨県出身の2006年生まれ、現在はTikTokやYouTubeを中心に活動しているインフルエンサー、MINAMI。SNSの総フォロワー数は400万人を超え、Z総研が今年6月に発表した『Z世代が選ぶ2023年上半期トレンドランキング』ではYouTuber部門6位、そしてTikToker部門1位に選ばれるなど、特に若いファン層への発信力と影響力は絶大だ。
そんな彼女がLAND MUSIC/WARNER MUSIC JAPANから1stシングル「繋いだ手」をリリース。作詞にはMINAMI自身も参加し、これまで応援してくれたファンに向けた感謝のメッセージを綴っている。7月20日に配信された同曲は早くも注目を集め、ビルボードジャパンが発表する“TikTok Weekly Top 20”に2週連続でチャートインを果たした。
先日、米LAで開催された音楽フェス【Rising Japan MusicFest】に出演し、初めてのライブ・パフォーマンスも経験。活動の幅を広げ続けるMINAMIに、デビューの経緯や楽曲制作の過程、さらにはインフルエンサー活動の歩みや印象的なバズリなどについて、振り返ってもらった。
遊びで始めたTikTokから、総フォロワー数400万人超のインフルエンサーへ
――YouTubeやTikTokを中心にインフルエンサーとして活動されているMINAMIさん。まずはそういった活動を始めた経緯について教えてください。
MINAMI:もともと事務所にも入らず、自分の好きなようにTikTokで動画を投稿していました。そしたら動画が伸びてきて、前に所属していた事務所に声をかけてもらったんです。そこからYouTubeの投稿が始まり、インフルエンサーとしての活動も本格化したと思います。今は事務所には所属せずにフリーで活動しているんですけど、活動を始めた経緯はそんな感じです。
――YouTubeをさかのぼってみたら、最初の投稿は5年前、MINAMIさんが11歳の頃でした。
MINAMI:そうです。小6の夏でした。その動画を撮影した日、実は本当は撮る予定じゃなくて。見学みたいな感じで事務所に行って、かちこちの自己紹介動画を試しに撮影してみたんです。それが最初のYouTube投稿になりました。
――もともとインフルエンサー的な活動には興味があった?
MINAMI:いや、初めはそういう存在になりたくて始めたわけではなくて。TikTokも遊び感覚でした。
――今ではSNSの総フォロワー数も400万人超。動画の視聴者や応援してくれるファンが増え、活動の規模が大きくなっていく。こういった状況の変化はどんなふうに受け止めていましたか?
MINAMI:TikTokって昔は新着欄みたいなところがあったんですけど、最初はそこでたまたま見てくれる人だけみたいな感じだったし、自分も好きな曲をリップシンクして踊っていただけだったので、誰かが見てくれるなんて思ってもいなくて。でも、私がアカウント名に使っているユニコーンと青いハートの絵文字があって、それをファンの子が同じようにアカウント名につけてくれているのを見て、「私にもファンがいるんだ」と実感するようになりました。
――何か転機になった瞬間、バズるきっかけになった動画などはありましたか?
MINAMI:今は非公開なんですけど、家族と一緒に撮った動画が伸びたんです。初めてバズって、朝起きたら通知が“99+”みたいな。家族みんなで一緒に動画を撮るようになったのは、それがきっかけかもしれないです。それ以前はママやお姉ちゃんがちょっとだけ出てくることはあったんですけど、徐々に妹も出てくれるようになったり。
――そもそも趣味で始めた発信活動も徐々に影響力を増してきたなかで、ご自身の中でもインフルエンサーとしての意識、自覚が強まってきたりしましたか?
MINAMI:最近は例えばメイクとか1週間コーデとか、自分の中でも「こういうのが撮りたい」という気持ちが出てくるようになりました。雰囲気を変えて動画を撮るのも楽しくて。ファンの方々からリクエストをいただくこともあるので、いろんな動画を載せるようになりましたね。いろんな自分を見てもらいたかったし、皆さんにも飽きられないような動画を出すように心掛けてます。
アーティスト・デビューのきっかけと、LAでの初ライブ
――新しいことにチャレンジし続ける日々ですね。そして、7月20日には1stシングル「繋いだ手」を発表。アーティストとしてメジャーデビューとなりますが、そのあたりの経緯を伺っても?
MINAMI:札幌コレクションで出会ったプロデューサーの和田さんに私の歌を聴いてもらう機会があって。「いい声だから」とデビューを提案してくださったんです。もともと音楽も歌うことも好きだったし、「いつかはやってみたいな」とは思っていたんですけど、このタイミングで叶うなんて全然予想もしていませんでした。
――リスナーとしてはどんな音楽が好きなんですか?
MINAMI:特にジャンルとか関係なく、本当にいろんな曲を聴くのが好きです。踊りも幼い頃から好きだったし、やっぱりTikTokをやっているといろんな曲を耳にする機会が多いので。
――これまで歌声を人前で披露する機会はありましたか?
MINAMI:全くなくて。YouTubeで“歌ってみた”とかあるじゃないですか。それも私はやったことがなくて、みんなには鼻歌ぐらいしか聴かせたことがなかったと思います。
――でも、歌うことは好きなんですよね。それを自覚したのはいつ頃?
MINAMI:おじいちゃんが実家でカラオケボックスをやっていて、そこで小さい頃から自由に歌わせてもらっていたんです。それが小学校低学年ぐらいの頃。「歌うの楽しいな」って歌うことが好きになりました。
――その当時はどんな曲を歌っていましたか?
MINAMI:そのときの十八番は「ハナミズキ」だったんです。ずっと歌ってました。あとは「secret base~君がくれたもの~」とか。
――アーティスト・デビューの話を聞いて、逆に不安や葛藤を感じた部分はありましたか?
MINAMI:歌がめちゃくちゃ上手いというわけではないので自信はなかったけど、和田さんやエンジニアの方にアドバイスをもらいながらレコーディングは進めていきました。でも、今でも自分の歌に全然満足はしていなくて、「繋いだ手」はいい曲だしデビューもうれしいけど、自分で納得できる歌は今後うたえるようになったらいいなと思っています。
――ほかにも「今後こういうアーティストとして活動していきたい」といったような、理想のシンガー像みたいなものはありますか?
MINAMI:やっぱりライブがしたいです。自分もアーティストさんのライブに行ったとき、すごく楽しい思いをして帰ってきたので、私のファンにも同じよう体験をしてもらいたいなと思っていて。いつかそんなライブができるようなアーティストになりたいです。
――憧れているアーティストさんはいますか?
MINAMI:あいみょんさんです。すごく楽しそうに歌われるじゃないですか。そういうところが好きで、とても惹かれます。
――ライブと言えば、MINAMIさんは7月にLAで開催された音楽フェス【Rising Japan MusicFest】に出演。そこが初めてのライブでしたよね。
MINAMI:最初にお話を聞いたときは「マジで?」と思いました。語彙力がなくなってしまうんですけど(笑)。でも、【Rising Japan MusicFest】は日本の文化を広めようというイベントで、自分が出演するとか関係なく、すごく楽しそうだなと思いました。
――実際にステージに立ってみていかがでしたか?
MINAMI:楽しかったです。日本から来てくれたファンの子もいれば、現地のその場で私を知ってくれた方もいたし、ロスに住んでいながら私のことを知ってくださっていた方もいて、すごく盛り上げてくれました。本当に歌は全然まだまだなんですけど、いい経験と思い出になったなと思います。
ファンへの想いをデビュー曲に
――そのステージでも歌われた「繋いだ手」についてですが、デビューが決定した時点ではどんな楽曲を歌っていきたいと思っていましたか?
MINAMI:まずデビュー曲は、これまで応援してくれてきたファンの方への気持ちを書きたいなと思ったんです。なので、歌詞の1番は活動してきた自分の気持ちや心境を書いていて、2番でファンの方に向けた言葉を書きました。
――デビューシングルがバラードというのも珍しいような気がします。
MINAMI:たしかに。でも、バラード以外は考えてなかったです。
――作詞も初挑戦だったと思います。
MINAMI:やっぱり難しかったです。歌詞に<音にのせて あなたに届け この想い>というフレーズがある通り、ファンの方々に向けて届けたい気持ちはたくさんあるけど、なかなか言葉にするのが難しくて、作詞ってすごく大変なんだなと思いました。
――楽曲を作るにあたって合宿をされたんですよね。
MINAMI:はい。「この時間は歌詞を考えよう」って決めたりして、ペンを持って紙とにらめっこしながら作っていきました。楽曲のデモはあったので、そこに言葉をはめ込んでいく感じで。
――デモの第一印象はいかがでしたか?
MINAMI:「これに想いを乗せたら喜んでくれるんじゃないかな」というのは思いました。あと、初めての自分の曲なので「歌ってみたい!」みたいな好奇心もありました。レコーディングも難しかったけど、やっぱり楽しかったです。
――ちなみに、どんなところが特に難しかったですか?
MINAMI:表現ですね。例えば声の強弱で印象も変わるし、ほかにもブレスとか語尾の切り方とか、ワンフレーズごとに考えてながらやっていました。Aメロはけっこう語尾を伸ばす感じで歌っているんですけど、伸ばしすぎるとだらだら聴こえちゃうから切り方に気をつけていて。あとは私、高音が苦手で。一番伝えたかった<あなたに届け この想い>のところが一番高いんですけど、ただの高音にはならないようにしたかったんですよ。ちゃんときれいに歌えるようにしたくて。
――レコーディングって独特の緊張感があると思うのですが、そのあたりはどうやって向き合っていきましたか?
MINAMI:でも、緊張はしなかったです。早く歌詞を書いて、レコーディングして、完成した曲を聴きたくて。怖さとか緊張はなく、そういう楽しみな気持ちのほうが強かったです。
――常にわくわくしながら作業に打ち込めたんですね。楽曲は取材時点ですでに配信中ですが、反響は?
MINAMI:「ここのフレーズが好き」とか「泣けてきた」みたいなことを言ってくださるファンの方がいっぱいいて、「届いてよかったな」という気持ちです。でも、ファンではない方のコメントもあって。「あまり知らなかったけど曲を聴いてみたら感動しました」とか「病んでたけどすごく元気をもらいました」とか。私にとってはファンの方に向けた歌詞だけど、いろんな捉え方ができると思うので、たくさんの方に聴いていただけてうれしいです。
――今回の制作の経験やリスナーからの反響を受けて、今後どんな楽曲にチャレンジしていきたいですか?
MINAMI:次はラップを入れてみたり、ダンスもしてみたり、デビュー曲とは違った感じにしたいです。最初に言ったように、飽きられないようにしたいというのはあって。みんなにもびっくりしてもらいたいので、いろんな自分を見せていけたらいいなと思います。
――「繋いだ手」もTikTokで振付動画をアップしてましたね。
MINAMI:振付は私の姉に考えてもらったんですよ。
@minami.0819 デビュー曲『繋いだ手』が本日リリースされました🤝🏻振り付けはねえねが一生懸命考えてくれました(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝)沢山真似して踊ってね♪この曲はファンの方への気持ちを書きました𑁍みんないつも本当にありがとう💐#NewMusic ♬ Tsunaida Te - MINAMI
――そうだったんですね。そしてミュージック・ビデオですが、山梨の廃校で撮影されたんですよね。
MINAMI:地元の山梨で撮影したんですが、MV撮影も難しかったです。今まではTikTokしかやってこなかったので、振付がないと逆に何もできないんですよ。ちょっとした手の動きとか、全然できなくて大変でした。
――見どころを挙げるとしたら?
MINAMI:歌詞の<僕は君をつれていく>のところ、ドアを開けて光が入ってくるシーンとか。すごく素敵なMVになっていて、協力してくださった方々にはとても感謝しています。
――では最後に、MINAMIさんがアーティスト活動を通して叶えたい夢があれば教えてください。
MINAMI:夢……考えたことなかったな。でも、家族とかには「東京ドーム!」と言われたりするんですけど(笑)。全然まだまだなので、活動を続けながら探していきたいなと思います。
【MV】MINAMI - 繋いだ手