様々なフェスやイベントが目白押しの夏休みシーズン。 そんな中で8月11日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで行われる 【大阪交響楽団 夏休みアニメソング・オーケストラコンサート】（指揮：齋藤友香理）は、アニソンファンはもちろん、 オーケストラが奏でる音楽に触れてみたいけど、クラシックコンサートは敷居が高くて……と思っていた人にはピッタリのコンサートだ。 家族で“カジュアルに”楽しめるフルオーケストラコンサートとしても貴重なプログラムだ。

　出演はTVアニメ『ポケットモンスター』シリーズの主人公・サトシ役や 『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の獏良了（2代目）役など、人気作品のキャラクターを数多く演じている松本梨香と、 「さんぽ」「となりのトトロ」「君をのせて」など、スタジオジブリ劇場作品の楽曲を多く歌ってきた井上あずみと娘のゆーゆ。 ポケモンシリーズやジブリ作品はもちろん、アニソンの名曲の数々、オリジナル曲を披露し、さらにトークやクイズコーナーを織り交ぜ、 アニソン×オーケストラの世界を老若男女、世代関係なく楽しむことができるコンサートだ。 松本、井上、ゆーゆにこのコンサートの楽しみ方、そして改めてジブリ作品やアニソンの魅力を、さらにこれまでも共演経験がある3人に、お互いの印象を聞かせてもらった。（Interview & Text:田中久勝）

アニメソングに込める思いとオーケストラから生まれる魅力について

　松本梨香は1997年から放送がスタートした国民的TVアニメ『ポケットモンスター』の主人公サトシ役を26年間担当するなど、 もはや説明不要の、誰もが知る声優・アーティストだ。 今回のコンサートでも披露するポケモンの主題歌「めざせポケモンマスター」は、200万枚を越えるヒットを記録した。 そんな松本はオーケストラ・アンサンブル金沢との【小学生のための音楽会 「オーケストラと冒険の旅へ」】でナビゲーターを務めるなど、 オーケストラ音楽の魅力を伝える活動も精力的に行なっている。
今回のアニソン×オーケストラから生まれる面白さについて「オーケストラサウンドの魅力は、たくさんの楽器の融合、みんなでひとつの音楽を一緒に奏でるところです。 今回のコンサートはそんな楽器隊を背にアニソンを歌いますが、その世界観がさらに壮大になって、 いつもとは違う音の広がりを楽しんでもらえたら心躍ること間違いありません」と語ってくれた。

長年ジブリ音楽と向き合う井上あずみと娘のゆーゆ、互いが認める歌唱力

　今回も『となりのトトロ』の主題歌「さんぽ」や『崖の上のポニョ』、『天空の城ラピュタ』の主題歌「君をのせて」など、 ジブリの名曲の数々を娘のゆーゆ共に披露するが、長年歌ってきて、誰よりもジブリ音楽と向き合ってきた井上に、ジブリ音楽の魅力を改めて聞かせてもらった。
「ジブリ音楽はほとんどがその作品のために書き下ろされていたり、または既存の楽曲でも「ルージュの伝言」のように 宮崎駿監督が作画をする時にずーっとその歌を流しながら絵を描いていたり、常に作品と一体化しているので、 歌を聴いた瞬間に映画の色んな場面が甦るところが一番の魅力だと思います」と、ジブリ音楽が世代を超えて愛される理由を紐解いてくれた。

——井上は娘のゆーゆと親子でステージに立つ機会が多いが、今回のステージを前に、改めてそれぞれのシンガーとして魅力を聞かせてもらった。

「彼女は6歳からずっとヴォイストレーニングをやっていて、私とは違ってとても理論的に声を使っているので、体調があまり良くない時でも安定感のある歌唱ができて、 それは本当にすごいなと思います。ピッチも安定しているし。 もちろんまだまだ声は完成していないし、表現の仕方もこれからどんどん幅が広がっていくと思うので、将来にも期待しています」（井上）
「母の声と歌は神様がくれたギフトだと思います。天才タイプなので人に教えるのは苦手みたいですが（笑）、 いつも一番近くで聴いていて、遺伝子的にも世界一近いはずなので、その歌い方や声をしっかり学んで、いつかそっくりに歌えるようになりたいです」（ゆーゆ）
と、客観的かつ愛情がこもった分析をしてくれた。この2人の声とオーケストラサウンドがどう重なり、深い歌が生まれるのか楽しみだ。

——さらに二人に、これまでも共演経験がある松本梨香についても聞かせてもらった。

「舞台に立つ時、作品を作る時に一切妥協しない、ストイックさがあります。見習わなきゃなって思う気持ち半分、絶対わたしには無理！　っていう気持ち半分です（笑）」 （井上）
「みんなを楽しませたいっていう気持ちが身体中の毛穴からブワーっと放出されていて、だから舞台の上とかみんなといる時にはものすごくハイテンションで、 チャキチャキの豪快なお姉さんていう感じなんですけど、おうちは綺麗に片付いているし、実は甘えん坊女子なところもあってかわいいし、母より圧倒的に女子力高いんです！　大好きです」 （ゆーゆ）
お客さんや聴き手を楽しませるためには、一切の妥協を許さないという表現者として厳しさと、繊細かつ豪快さを持ち合わせている松本の人柄を教えてくれた。

松本梨香「めざせポケモンマスター」は自分自身をも元気づけられる歌

　「松本は3月、『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』の最終回のタイミングに、一発撮りパフォーマンス映像『THE FIRST TAKE』に出演し 「めざせポケモンマスター -with my friends-」を披露し、大きな話題になった。 出演直後のSNSにはその圧巻のパフォーマンスについて「この曲が原点にして頂点」「ポケモンゲットだぜーッ！　って叫ばれた瞬間に鳥肌」等のコメントが飛び交った。

　この時のパフォーマンスについて松本は「いろいろな感情が歌っている間にフラッシュバックして、 最後には「楽しかったぁ～♪」と思わず言っていました。その言葉にすべてが集約してるように思います。 また、「めざせポケモンマスター」を歌うときは、子どもたちのリーダーのつもりで歌っていますが、 みんなを鼓舞する歌そして、実は自分自身をも元気づけられる歌であるというところが魅力です」と、 同曲が自身にとってどれほど大きな存在なのかを改めて感じたようだ。
さらに6月30日にオンエアされた『オオカミ少年・ハマダ歌謡祭』（TBS系）、 そして7月1日にオンエアされた『THE MUSIC DAY 2023』（日本テレビ系）でも同曲を披露しトレンド入りするなど、 そのパフォーマンスを心待ちにしているファンが多いことを証明した。

　井上は今年デビュー40周年を迎え、海外公演も精力的に行なうなど活動の幅を広げている。 今後の野望、展望を聞かせてもらうと「やっと海外にも行けるようになりましたので、まだ行っていないたくさんの国に歌を届けに行きたいです。 以前インドではジブリ作品は誰も知らないと聞いていたのですが、 つい先日＜最近はネットフリックスなどでみんな観ていて、大人気らしいですよ＞聞いたので、インドや中東にも行ってみたいです」と、 その勢いはとどまることを知らない。

——最後に3人からこのコンサートを楽しみにしているファンにメッセージをもらった。

「みんなの夏休みの良い思い出になれたならと思います。家族や友達を連れてぜひ会いに来てくださいね！！　」（松本）
「この3 年間なかなか自由にコンサートが出来なくて、もちろん皆さんも色々我慢することばかりで大変でしたよね。 ようやくこうやって大きなコンサートが開催できるようになり、しかも今回は大阪交響楽団のフルオーケストラ！　 私たち自身も心から楽しみにしています。家族で楽しめるオーケストラコンサートはなかなかないので、ぜひこの機会に皆さんでお越しください。 「さんぽ」や「となりのトトロ」、「君をのせて」などなど、大きな声で一緒に歌いましょう」（井上あずみ・ゆーゆ）