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<インタビュー>高井息吹と眠る星座 初のビルボードライブ公演を目前に、これまでの歩みと想いを語る「この4人で演奏することは喜びそのもの」
6月26日、高井息吹と眠る星座がビルボードライブ東京でライブを開催する。高井は今年活動10周年を迎え、今年2月に弾き語りによるEP『PIANO』を発表しているが、眠る星座とのライブは実に4年ぶり。1stアルバム『yoru wo koeru』に収録されている「きりん座」の録音を機に結成された眠る星座のメンバー、君島大空、新井和輝(King Gnu、millennium parade)、坂田航はそれぞれが個々でも活動を行いつつ、この10年間音楽活動をともにしてきた盟友のような存在だ。「見えなくても、本当はずっとそこにある」。まさにきりん座のような関係値の4人に、これまでの歩みと初のビルボードライブ公演への想いを語ってもらった。(Interview & Text:金子厚武 / Photo:Yuma Totsuka)
4人の関係性、そして「きりん座」について
――まずは改めて4人の関係性について、息吹さんを軸にお伺いできればと。
高井息吹:初めて出たライブハウスが立川のライブハウスだったんですけど、2人(君島と坂田)とはそこで知り合って。
坂田航:全員出会いが別々なんで、時系列がわかんない。
君島大空:多分俺と息吹が最初に知り合って、一緒にスタジオ入ろうってなって、デモを録音したりしてたんですよ。で、息吹はそのちょっと後に航と知り合って、俺は俺で違う線で航と知り合って。
新井和輝:2人(高井と君島)が一番最初に会ったのはどこなの?
高井:立川のHeart Beat。
君島:最初は俺が息吹のライブを見に行ったんですよ。Twitterで知って、気づかれないように見に行って。弾き語りを始めてすぐくらいのライブだったと思うんですけど。
高井:そうなの? 今初めて知った(笑)。
新井:ちゃんと会ったのはいつなの?
高井:実際に話したのは対バンだよね?「夜明けまえ」っていう初めてのライブのときからやってる曲があるんですけど、その曲のデモでギターを弾いてもらいたくて、立川のスタジオの練習室で録って。それが2013年の5月とか、ちょうど10年前。

――坂田くんと息吹さんはどうやって知り合ったんですか?
坂田:当時自分がやってたバンドで、立川で一緒にライブをして。当時10代だよね。
高井:うんうん。その当時からスタジオで即興とかで遊ぶのが好きで、同年代でそうやって遊べる人がいるのが嬉しかったので、よくスタジオに入ってた記憶がある。
――新井くんはもともと息吹さんのお兄さんと知り合いだったそうですね。
新井:国音(国立音楽大学)のビッグバンドサークルに入ってて、そのときのコンサートマスターをやってたのがいぶちゃんのお兄さんの天音さんで、僕は天音さんにずっと世話になってて。天音さんがリーダーのジャズバンドでも弾かせてもらってたし、天音さんは家が教会だから、クリスマスのコンサートにバンドとして呼んでくれて、いぶちゃんとはそこで話したのが俺的にははじめましてでした。
――4人で最初に録音したのが息吹さんの1stミニアルバム『yoru wo koeru』に収録されている「きりん座」で、そこから「眠る星座」としての活動にも繋がっていったわけですけど、当時のことを思い出しつつ話していただけますか?
高井:結構覚えてるかも。当時はピアノの弾き語りをCD-Rに焼いて、「これをやりたいんですけど」っていうのを持ってったりして。でもピアノと歌で完結しちゃってるから、「これをどうやってバンドにしていこうか?」っていうのをみんなでスタジオに入って話し合いながらやった記憶がある。
君島:かなりピンポイントで覚えてるのは、2Aのアルペジオは和輝さんが「もっとこうしたら、もっとこうしたら、もっとこうしたら」って、どんどん難しくなって、ハードルが上がって(笑)。でも「俺は弾きます」って言ってやったのを覚えてます。
新井:当時はただのビッグバンド上がりのテクニカルジャズマインドくそベーシストだったんですけど(笑)。
――君島くんはバンドをやること自体初めてだったわけですよね。
君島:そうですね。バンドなんか絶対に組まないっていうか、「人が3人以上集まっていいわけねえだろ」と思ってたんで。
――そういう意味でも、かなり手探り状態ではあった?
君島:手探りだったけど、でもみんなフィジカルが強いんで、「できなくて迷う」みたいなことはなかったです。音楽の技術的な内容に対しては。
新井:いわゆるバンド然としたバンドではないというか、各々の血筋がちゃんとあるような人の集まりではあったので。
君島:「この4人でいくぞ」っていう感じもあったけど、別にそれが100ではない。みんな各々の活動が当時からあったし。

――坂田くんは「きりん座」を録音したときのことは覚えてますか?
坂田:もともと3人である程度固めてから和輝さんに入ってもらったと思います。
新井:ああ、そうかも。航のパターンとかもわりと決まってて、それに乗っかってったみたいな感じ。だから航に「いや和輝さん、ここのベースはキックに合わせてもらった方が」とか言われた記憶がなんとなくある。でもレコーディング自体はあんまり覚えてないなあ。(スタジオ)ペンタの2階で録ったのは覚えてるけど……。
坂田:レコーディング自体はスムーズに終わったんですよ。狭いところでパンパンになって。

高井:そうそうそう。ブースで一列で録った(笑)。
君島:すごい狭い四角ところで、足下もディレイとボリュームペダルしか置けなくて、その記憶しかない。
――「きりん座」はアウトロの演奏パートが長いのが印象的なんですけど、最初からあの形だったのか、バンドで合わせていくうちに長くなったのか、どっちでしたか?
高井:当時からみんなの演奏が好きだったから、とにかく自由にやってほしかったので、「自由にやってください、思いついたことをやってください」っていう、そんな感じでした。
――「きりん座」というモチーフはどうやって出てきたものだったのでしょうか?
高井:ファーストアルバム自体、夜をテーマにしてたんですけど、星というものに対するロマンもあって。過去の光が未来に届いたりする、そういうことに自分の中で哲学的なものを見いだして、当時から歌詞を書いたりしてたんです。きりん座は明るすぎないけど、本当はいつも日本から見える位置にある星らしくて、「見えなくても、本当はずっとそこにある」っていうのは、すごいロマンチックっていうか、いいなと思って。
――「眠る星座」というバンド名も「きりん座」からの派生ですか?
高井:「眠る星座」は1stミニアルバムの制作でお世話になった、三鷹おんがくのじかんの菊池さんがポロっと「眠る星座とかいいんじゃない?」って言ってくれて、なんかいいじゃんと思って(笑)。
新井:最初は「高井息吹とブループラム」じゃなかった?
高井:それは私のバイト先の店長が、私福生でずっとバイトしてて、そのバイト先も音楽をやるとこだったんですけど、その人が「青梅だから、ブループラムとかどう?」って。
新井:いぶちゃん当時、結構しっくりきてたのをなんか覚えてるんだよなあ。
高井:結構嬉々として、「みんな、ブループラムって店長が言ってくれたんだけどどう?」って送ったら、「それマンションの名前じゃない?」って言われて(笑)。
君島:青梅にブループラムがありすぎて。でもバンド名を考えるっていうところでね、1個テンション上がるところあるからさ。
新井:それまでは「Eveバンドセット」だったしね。
高井:そう、私も名義が違ったし。でも結局すごくいいバンド名だなとは思ってます。
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公演情報
高井息吹と眠る星座
2023年6月26日(月) ビルボードライブ東京
1st:Open 17:00 Start 18:00
2nd:Open 20:00 Start 21:00
チケット:
サービスエリア 5,400円
カジュアルエリア 4,900円(1ドリンク付)
公演詳細
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