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<インタビュー>山崎育三郎が“王子”としてのすべてを出し切って創るオーケストラコンサート



インタビューバナー

ミュージカル俳優としてその地位を確立し、近年はドラマ、映画、バラエティ、アニメ主題歌など次々に活躍の幅を広げる山崎育三郎。2021年には「SFIDA(挑戦)」と題したフルオーケストラとの全国ツアーを成功させ、大きな話題を呼んだ。そんな彼が今夏、開催規模を拡大し再びフルオーケストラとの競演に臨む。「PRINCIPE(イタリア語で王子)」と付けられたツアータイトルの通り、姫を迎えに行く王子のように、全国で待つファン一人ひとりに手を差し伸べようとする山崎の想いに迫った。(Interview & Text:朝岡久美子 / Photo:石阪大輔)

「山崎育三郎―プリンス」としての集大成

――まずは昨年1年の活動を振り返ってみていかがでしょうか。

山崎:僕は寅年生まれで昨年は36歳の年男だったのですが、僕の人生は偶然にも12年ごとにめぐってくる寅年というのが一つの大きな分岐点になっているんです。12歳でミュージカルの舞台にデビューし、24歳で初めて帝国劇場で主役を演じ、36歳の昨年は自身最大規模の全国ツアー開催と、様々な経験をさせて頂き、自分自身の中でも一つの大きな節目の年になりました。


――7月からいよいよ2年前開催の前回ツアーに引き続き、全国9都市10公演で【billboard classics 山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2023】が始まります。タイトルは『PRINCIPE』。まさに“プリンス=山崎育三郎”をコンセプトとした理由をお聞かせください。

山崎:幸いにも普段からファンの皆様に“プリンス”なんて呼んで頂いていますが、年齢的にももうそろそろ上の世代に近づいてきましたので、今ここで、「山崎育三郎―プリンス」としての集大成のようなライブを創り上げたいという思いからこのようなタイトルを考えました。



――今回もフルオーケストラとの共演が予定されていますが、ラインナップ構成はどのような感じでしょうか。

山崎:後半部分で前回公演では取り上げなかったクラシックの楽曲も歌いたいと思っています。僕自身、音大の声楽科出身ということもあり、今の自分の歌声でクラシックの名曲をフルオーケストラとともにお届けしたいという思いがありました。誰もが耳にしたことのあるようなナンバーや、僕自身、思い入れの強いクラシック作品というものもいくつかありますので、そのようなレパートリーを考えています。


――ミュージカル・ナンバーについては、やはり山崎さんの十八番ともいえる数々の楽曲がハイライトとなりそうでしょうか?

山崎:今回は、むしろお馴染みではないナンバーもたくさん聴いて頂く予定です。現在、5月中旬から本番を控えている『ファインディング・ネバーランド(日本初演)』という作品の稽古中なんですが、その作品の中で出会った名曲もご紹介したいと思っていますし、今まで出演したミュージカル作品のナンバーであっても、フルオケでお届けしていない楽曲を中心にと考えています。


――オーケストラと共演する楽しさや醍醐味、あるいは難しさについてはどのように感じていますか?

山崎:オーケストラのメンバー全員が揃ってのリハーサルというのは、もちろん回数が限られていますし、何度も何度もできるわけではないのが難しいところですね。なので、自分なりのものをしっかりと作り上げた上で最終的にオケと合わせるのですが、圧倒的に醍醐味を感じるほうが多くて、メンバーの皆さんの演奏を肩越しに感じながらも、つねにお互い、会話をしているような感覚に包まれています。



山崎:もう一つは、今回も全ツアーを通して異なるいくつかの楽団と共演させて頂くのですが、それぞれの楽団によって音色であったり、ダイナミックさであったり、音楽の作り方ももちろん違い、毎回、ステージの上で耳を研ぎ澄まし、彼らの音や演奏を全身で体感しながら歌っています。もちろん緊張感もあるのですが、ライブ感があってそれが一番の醍醐味です。


――今回は全10回公演で毎回異なるゲストが登場とのことですが、全員女性のスター歌手を予定されていますね。


山崎:今まで舞台で何度となくご一緒させて頂いた方々の中からミュージカル界の“プリンセス”といえる10人をお招きしました。ステージ上にプリンス&プリンセスがいてミュージカルの名曲ラブソングなどを一緒に歌えたらいいな、と思っています。なので、今回は共演するゲストによって10公演それぞれ違う楽曲構成になっています。




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「また明日が来るよね」という思いは僕の中にはない

――前回公演でも、お一人で二時間たっぷりのフルオーケストラとの共演に加え、トークもありと、数値には表せないほどの熱量が感じられました。山崎さんのポリシーとして一回一回のステージに対してどのような意識を持って取り組んでいるのでしょうか。

山崎:つねに「この公演が最後」という思いで舞台に臨んでいます。それは自分自身の生き方のようなものにもつながると思うのですが、「また明日が来るよね」という思いは僕の中にはないんです。 実際、ここ数年のコロナ禍で自分が主演をやっていた興行が急にストップして「明日からもう公演はなくなりました…」というのも経験しましたし、仮にもし、もうそこで自分のキャリアが終わったとしても、『本当に今日の公演が最後』と言えるだけのものを実際にやり通せたか?やり切れたのか?という問いがいつも自分自身の中にあって、それが山崎育三郎としての大きなモチベーションにもなっています。



――山崎さんにとってファンの存在とは?

山崎:僕は子役の頃から舞台で育ち、育てられてきましたので、「お客様やファンの皆さんの存在があるからこそ僕はステージに立てる」という思いがよりいっそう強いんですね。言い換えると「ファンの皆さんがいなければ『自分自身は存在しない』」という思いがつねに山崎育三郎を作り上げているんです。 なので、会場に集って下さったお客様を誰一人置いてけぼりにしたくない、という思いもあって、初めて会場に来られた方も、ミュージカルやクラシックが大好きな方々も、誰もが「楽しかった」、「来てよかった」という気持ちでお帰り頂けるようにしたいと思っています。皆さん、大切な時間を作って、お金をかけて、お洒落して来てくださっているわけですから絶対最高のものにしたいですね。


――コロナウィルスも第五類への移行が実現し、少しずつ以前のライフスタイルが戻ってきています。このような状況の変化はモチベーションの面などでも影響はありますか?

山崎:コロナ以前は、僕がステージから語りかけるごとに客席のファンの方々が大きな声で答えて下さったり、僕自身も客席の皆さんが楽しんでいる表情をステージから見ることが喜びであったりと、両者の交流が何よりの醍醐味でしたので、以前の状況に回復しつつあるのは本当に嬉しいことです。


 ある海外の演出家がこんなことを教えてくれました。「客席のある一人のところにしっかりと思いが届いていれば、それは何千人、何万人であろうとも全員一人ひとりに届く」と。その言葉を心に刻んで、僕もステージの上からつねにお客様一人ひとりの表情をしっかりと見ていますし、フレーズごとに絶対一人の方の目を見つめて歌っているんです。そうして思いがグッと一人に向かうとそのエネルギーは会場全体に伝わるんです。なので、今回はマスク無しで皆さんの表情を拝見できるようになったら本当に嬉しいですね。



――今後の音楽活動への展望をお聞かせください。

山崎:自分自身のオリジナル楽曲を作って、自分の音楽の世界を創っていきたいと思っています。 決まった作品や決まった脚本の中で自分自身を表現することも、もちろん続けていきたいと思っていますが、それとは別に僕の中には自分自身が創りたいと思うステージや世界観というのがあって、そういうものもこれからはかたちにしていきたいと思っています。


――その“世界観”について少しだけ教えて頂けますか?

山崎:僕がミュージカルにデビューするきっかけとなったのは、1998年に小椋佳さんが企画されたミュージカル作品で主演をやらせて頂いたことなんです。この作品は本当に完全なオリジナルと言えるもので、日本の作曲家・脚本家・演出家・振付師、そして、大道具、衣装も同じように日本人によるチームでまったくのゼロから創り上げたものでした。 そのような作品でデビューしているので、僕の中ではつねに、「日本発の完全オリジナルなミュージカル作品を創りたい」という思いが人一倍強いんです。


――それは近い将来に実現しそうでしょうか?

山崎:同時進行でいろいろと進んでいて、いいかたちに膨らみつつあります。


――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

山崎:今回のツアーでは“山崎育三郎—プリンス”のすべてを出し切れるようなナンバーをたくさん揃えています。そして、何よりも「お客様全員をプリンセスにしたい!」と思っておりますので、ぜひ会場でその思いをリアルに体感して頂きたいと思います。そして、素晴らしい歌声を持ったミュージカル界のプリンセスたちとの共演もぜひ楽しみにして頂いて、皆さんと最高の時間を一緒に過ごせればと思っています。

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