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<対談インタビュー>佐倉綾音×相羽あいな、「BanG Dream!」で交差する二人が見据える未来とは

インタビューバナー

 次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』。同作に登場するAfterglowの2ndアルバム『STAY GLOW』と、Roseliaの13thシングル『THRONE OF ROSE』が、4月26日に同時リリースとなった。

 そこでBillboard JAPANでは、Afterglow・美竹蘭役の佐倉綾音と、Roselia・湊友希那役の相羽あいなを迎えて対談インタビューを実施。「極彩色」の歌詞についてはもちろん、ふたりがライブのステージに立つ上で意識していることやキャラクターの未来、さらには各ユニットが掲げる2023年の目標までたっぷりと語ってもらった。(Interview & Text:一条皓太 / Photo:Yuma Totsuka )

「私のなかではもう覚悟が決まっていたよ」(佐倉綾音)

――相羽さんと佐倉さんという並びを見て、バンドリーマーさんもまずは2022年11月開催の【BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022】で「競宴Red×Violet」を披露した話を聞きたいかと思います。

相羽あいな(湊友希那役):作品内では、綾音演じる蘭ちゃんが友希那を意識する仲ですが、一方で私たち自身はとても仲がよくて。それが本当によかったと感じたのが、2021年夏に放映された『劇場版「BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage」』のために「競宴Red×Violet」を制作して、私がダンスの振り付けを考えたときのことでした。私から綾音に「蘭ちゃんの振り付けも考えていい?」って連絡をしたんだよね。

佐倉綾音(美竹蘭役):私としては「そんなことまでしてくれるの?」と、かなりのサプライズで。

相羽:映画とライブ、どちらもふたつ返事で快諾してくれたよね。友希那と蘭ちゃんはもちろん、綾音と私が一緒に踊ることや、お客様の盛り上がるポイントまでイメージしながら考えた振り付けだったから、一緒にできてすごくうれしかった。

佐倉:あいなが映画のときに「いつか一緒に披露したいね」と言ってくれたあの日からずっと、私のなかではもう覚悟が決まっていたよ。だから当時は「やっとこのときが来たか」と感慨深かったし、こういう距離感だからこそ実現できたパフォーマンスだったと思った。私自身もみんなのリアルライブに混ぜてもらった感覚で、とても素敵な経験をさせてもらえました。



佐倉綾音(美竹蘭役)

相羽:改めて感じたけど、私はやっぱり綾音の歌声がカッコよくてすごく好き。昔から歌は好きだったの?

佐倉:全っ然! 家族と一緒にカラオケに行くことはあっても、むしろ仕事で歌うのは苦手な方だった。だから私の歌は『バンドリ!』に育ててもらったも同然なんだよね。

相羽:本当に佐倉綾音さんを選んで正解だったよ。

佐倉:あははっ、どういうこと!?


――『バンドリ!』の偉い人目線でのコメントでしたね。

相羽:(笑)。本当にそう! 蘭ちゃんが綾音で本当によかった。

佐倉:ちなみに私自身は最初、完全に“髪型キャスティング”だと思っていた節があって。当時の宣材写真がボブヘアだったんですよ。実は小学校時代にあった仮装大会で、ボブヘアだからという理由だけで、『千と千尋の神隠し』のハクの格好をさせられたことがあって。だから「あ、今回もボブキャスティングか……」と(笑)。私は本当はカオナシがやりたかったのに……って、この話はしなくていいね(笑)。

相羽:なんで小学生がカオナシになりたかったのかだけが気になるから、その話だけインタビューの後に聞かせて(笑)。





相羽あいな(湊友希那役)

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  1. 「なんか妄想が捗っちゃうんだよなぁ~」(佐倉綾音)
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「なんか妄想が捗っちゃうんだよなぁ~」(佐倉綾音)

――ここからは、4月26日に同時リリースとなった、Afterglowの新アルバム『STAY GLOW』と、Roseliaの新シングル『THRONE OF ROSE』について聞かせてください。まずは佐倉さんから、収録曲のなかで相羽さんにおすすめしたい一曲は?

佐倉:やはり書き下ろしの「極彩色」ですかね。メンバーの等身大や青春模様を描いてきた過去の作品と比べて、「極彩色」は少し背伸びをした、ドラマチックで歌の技術も求められる一曲で。そういえば歌詞のなかに<散れば散るほどに 華々しく燃え盛る>なんて難しい言葉選びの部分があるんだけど、どこかRoselia、そして友希那さんの影響を受けている気がする。見てほら<抗うように咲き誇れ>とかも。

相羽:もうRoseliaの薔薇じゃないけど咲いちゃってるじゃん! 友希那に影響を受けちゃってかわいい!

佐倉:咲いちゃってるの! これはもうRoseliaでしかないのよ。

相羽:この楽曲のために『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下:ガルパ)の新しいストーリーとか作ってもらえないかな。そういえば『ガルパ』で、友希那が高校を卒業するとき、蘭ちゃんにネクタイを渡したシーンがあったよね。わざわざあんなことをしているなんて!




「極彩色」リリックビデオ


佐倉:蘭も涙を堪えていたし、特別な関係性なんだよね。それこそ、蘭とAfterglowのメンバーの間にある繋がりともまた違った感覚だった。

相羽:友希那もそう。幼馴染のリサ(今井リサ/CV:中島由貴)や、ほかのメンバーへの想いともまた違う。最初なんて「意識してない」って言っていたはずなのに。

佐倉:それもネクタイなんて、ほとんど制服の第2ボタンみたいなものでしょ?

相羽:いや、ボタンはたくさんあってもネクタイは1本!ボタンよりも全然貴重じゃない!?

佐倉:たしかに!あ、洗い替え用もあるのかな。あんまりこういう話はしたくないけど、なんか妄想が捗っちゃうんだよなぁ〜(笑)。

全員:(爆笑)。

相羽:友希那と一緒に、蘭ちゃんもまた成長しているんだろうね。たくさんの人たちと出会って、これまでとは違った言葉も歌詞にするようになって。ただ等身大でいるだけじゃなくなった。

佐倉:思えば、アルバムの収録曲「SWITCH ON NOW」もそうだった。『ガルパ』のストーリーで、蘭が友希那さんに負けた後に歌った楽曲だけど、レコーディングのとき、自分の負けを清々しく受け止めて、悔しさをバネにお互いの未来を素直に願い合うイメージだとお話をされたな。この楽曲にも<伝説に今 備えろ>なんて、Roseliaが歌いそうなフレーズがあって。だから「SWITCH ON NOW」も……どうですか?(笑)。




「SWITCH ON NOW」


相羽:ありがとう(笑)。2曲ともチェックしますね。逆にRoseliaの新シングル『THRONE OF ROSE』だと、カップリング曲「一逢のFull Glory」をぜひ聴いてほしい! 表題曲と、もう1曲の「Dear Gleam」は、これまでの私たちらしい力強い楽曲だけど、これはいつもとは雰囲気が全然違っているの。

佐倉:たしか、あの友希那さんがついに“ファンサ”をした楽曲。

相羽:そう! 『ガルパ』のストーリーで、Roseliaが全国ツアーを開催して、その最後に歌ったのが「一逢のFull Glory」で。<逢いにゆくわ 今、貴方のもとへ>という歌詞の通り、ファンのみんなを意識しながら書かれていて、Roseliaの音楽に<一期一会>なんて言葉が入ってくるのも衝撃的だった。蘭ちゃんもライブを観て「湊さんってこんなライブをするんだ」って呟いていたよね。

佐倉:ちょっと突然の供給すぎません!? ファンのみんなも「友希那さん、あんなにオレたちのことを見ているかわからない感じだったのに!」って戸惑っているんじゃないかな…?

相羽:(笑)。もちろんファンのみんなのほかにも、Roseliaのメンバーや、これまでに出会った人たちを思い浮かべながら歌っているんだと思う。<愛しい瞬間重ね 何度も奏で合おう>は、Afterglowへの想いを彷彿させますね。 今度はAfterglowとも対バンライブをしてみたいな。



――「一逢のFull Glory」のほか、今回のRoseliaのシングルは引き算が上手くなされていて、全楽曲ともサウンドが洗練されている印象を受けました。

相羽:それはたぶん、メンバーの演奏技術が上がっていることが理由にあると思いますね。結成当初こそ、楽器未経験のメンバーがほとんどだったにも関わらず、演じるのは“高技術派バンド”。これまでは音楽技術の力も借りることで、ユニットの雰囲気を出せていたのかなと。


――具体的には?

相羽:私の考えだと、シンセサイザーを中心に、サウンドの重なり合いによって重厚感、あるいは音楽としての説得力を生み出してきたと思うんです。それが最近では、メンバー全員がそれぞれの音色をしっかりと奏でられるようになったことで、音を重ねる必要性が少なくなってきて。いまはもう新曲のリハーサルでも、初合わせから演奏が完成しているくらい。そうした作品内のRoseliaと、リアルな世界の私たちの演奏技術がリンクすることで、Roseliaが奏でる音色の成長具合も表現されているのかな。

佐倉:以前に参加したライブで、私の前にRoseliaがリハーサルをしていたけど、みんながスタッフさんと話している言葉が呪文のようだったもん。色々な調整をしていることはわかったものの、アニメなどのアフレコ現場では使わない言語が飛び交っていてかなり衝撃を受けました。本当に楽器のプロの方々と渡り合っているんだよね。




「一逢のFull Glory」


――たとえ音楽的知識が豊富でなくとも、その空間を自然と生き抜いている佐倉さん自身も漏れなく凄い方ですよ。

佐倉:どうでしょう。何も知らないがゆえの強さなのかもしれない。みんながライブ終わりに「お客さんが入ると、音の聞こえ方も違うね」と頷きあっていたけど、私は単純にがむしゃらだったからステージでの記憶があまりないし、たぶんのびのびと歌っていたからこそ違いが全然わからず。「??……っすねー!」みたいな感じでその場を乗り切りました(笑)。

相羽:皆さんの洋服が演奏の音を吸ってくれて、もわつきが解消されるんだよね。

佐倉:RAISE A SUILENのRaychellさん(レイヤ役)なんて、「リハーサルと会場の音の聞こえ方が違ったから、すごい歌いにくかったでしょ」と褒めてさえくれたんだけど、私は「……ま、まぁね!」みたいな謎のドヤ顔しかできなかった(笑)。

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「いつかはライブ全編を通して友希那のままでいたい」(相羽あいな)

――少し話は戻りますが、先ほど相羽さんから「作品内のRoseliaと、リアルな世界の私たちの演奏技術がリンクすることで、Roseliaが奏でる音色の成長具合も表現されている」という発言がありました。声優さんからよく、キャラクターソングを歌唱する際は自身の歌唱力をフルに使って上手く歌うことも、キャラクターに寄り添うことを意識するというお話をいただくのですが『バンドリ!』ではいかがでしょう。

相羽:綾音と私には共通点があって。友希那と蘭ちゃんに課せられた、ボーカルの音がどんどん高くなっていくという試練。いわば“高音更新”です!

佐倉:そうだね。本当にそう!


――なるほど。『バンドリ!』のような長寿コンテンツだと、キャラクターの歌唱力や演奏技術の成長について、デビュー当初から相対的に向上している姿を表現するのも難しいかと思います。そのあたりは意識的に取り組んでいるものですか?

相羽:例えば、メンバーの学年が上がるごとに、歌唱スキルも自然に上がるとは思うんです。それがボーカルの高音や切なさの表現の仕方に表れている気がして。とはいえ、もしキャラクターの歌唱や演奏に成長を感じてもらえたとしたら、それは意識的なものではなく、本当に自然に出ているものですね。ボーカルでいえば、私がボイストレーニングに通って喉を枯らさないように鍛えたことで、発声の仕方を変えたからかも。



――ボーカルの高音に代表されるように、楽曲のレベルも年々難しくなっています。逆に、自身のスキルでは表現できるが、キャラクターたちの年齢的には難しいからと、あえて技術の調整を加えるときもあるものでしょうか。

相羽:意識をしないことはないですね。友希那として歌声を披露するときは、余程の場面でない限りはファルセットを使わず、地声で歌い切るようにしています。先ほど「切なさの表現」と話したのですが、ファルセットを入れると高校生らしさよりも、大人っぽさが上回ってしまって。私が個人で歌う場合はよいのですが、『バンドリ!』の音楽ではあえて表現しない部分かなと。

佐倉:私はむしろ、『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022』のときに「蘭にまったく追いついていないんだ」と自覚したんだよね。蘭の声って、実はかなり作り込んだ状態で出しているのよ。だから、あのライブではリハーサルでも、本番でも途中から喉が攣ってしまって。蘭の声を使いこなせているつもりでいたけど、そのステージでまだまだ頑張らないとなと改めて実感したな。

相羽:ライブでいえば私も経験ある。普段こそ、友希那らしくライブでの煽りはしないようにしているけど「どうしてもこの場面では!」という大一番なシーンでは、普段の友希那よりも少しだけテンションを上げて声を出しているのね。友希那としての煽りをガルパのストーリーともに変えていきたい。ライブでの立ち振る舞いもいろんな経験を得て成長してきっと変わっていくと思うんだよね。キャラクターとしてのテンションのベースラインも変わっていくのかなぁと。


――となると、そのベースラインが上がりきったところが、Roseliaらしさ、あるいはAfterglowらしさを表現する上での理想やゴールなのでしょうか。

相羽:そこは未知数ですね。もちろんどこまで描かれるのかはわからないですが、私たちが10代、20代と時間を経験してきたように、キャラクターたちにも人生があり、成長の過程があると思うので。だからこそ、表現のゴールなどは考えたことがなかったかも。それこそ老後も『バンドリ!』をしていたり(笑)。

佐倉:老後だと“おばンドリ!”になるのかな。

相羽:“おばンドリ!”はちょっと笑っちゃう(笑)。

佐倉:とりあえずは“社会人バンドリ!”。もしくは“ママンドリ!”

相羽:そんなコンテンツないし、あったとしたらめっちゃ奇跡だよー!

佐倉:墓場まで一緒に『バンドリ!』しようね。



――(笑)。それでは最後に、RoseliaとAfterglowそれぞれで、2023年の目標を教えてください。

相羽:決まっているフェスと単独ライブがあるので、そこで今ある全てを出してどんどん実力をつけたいです。Roseliaに出会ってよかったとそう思ってもらえるようなライブにしたい。そして、Roseliaは『ガルパ』のストーリーで開催していたように、全国ツアーを開催したいです。キャラクターたちと同い年くらいだろう学生のバンドリーマーさんから「私の住むところにも来てください!」というお声をよくいただいて。私も大阪出身だから、ライブを観るために東京に行く難しさがよくわかるんです。その子たちに早く生のステージを届けたいなと。

佐倉:あいなは優しいね。Afterglowは2024年に単独ライブを控えているので、その目標に向けて頑張ります。いまはメンバー間で本番でしたいことを考えている状況です。ただ、2020年2月に『Afterglowスペシャルイベント いつも通りの放課後デイズ』を開催してから4年。当時、あんなに楽しい時間を経験したからこそ、コロナ禍を経て時間も経った私たちが、あの頃よりも凄いステージを作れるのか、本当にプレッシャーを感じていて。バンドリーマーさんももしかすると、Afterglowのライブの楽しみ方を忘れかけているかもしれないし。


――メンバーの皆さんからはどんなアイデアが?

佐倉:全員が全員、もう好き勝手に挙げたものばかりなので、ユニットのセンターに立つ者としてまとめあげられるのか大いに不安が(笑)。例えば「トランポリンをしたい!」とか。

相羽:トランポリンでなにするの?

佐倉:私も「なんで?」と聞いたら「理由はない」って返ってきた。ひーさん(金元寿子/羽沢つぐみ役)の意見なんだよね。

相羽:こわいこわい(笑)。でもすごく言いそう。

佐倉:そこに乗っかるひよさん(日笠陽子/宇田川巴役)も怖い。「コーヒー屋さんをしたい!」と言い出す英美里さん(加藤英美里/上原ひまり役)さんも怖いし、私はコーヒーも飲めないし。三澤さん(三澤紗千香/青葉モカ役)からはもちろん、彼女の大好きな「パン食い競争を!」と言われたけど、顔が粉で真っ白になった後のメイク直しはどうするんだと。私は私で、関係者席に蘭のパパのパネルを置いてもらいたい。ステージからの「今日はパパが来てます!」の合図でスポットライトを当ててもらって。

相羽:それは素敵なアイデアだ。

佐倉:どの声優さんに声を当ててもらおうかな。



――先ほどのお話は、ほとんどステージ演出以外のお話でしたが、もはやライブというより“フェス”に近いような。

相羽:そうだね。規模感がフェス並み。

佐倉:ほとんどがホットミールの話だもんね……。そんなアイデアをどれくらい拾い上げてもらえるのかが楽しみです。採用数ゼロの可能性も全然あるけど! 4年越しのイベントなのにSNSで賛否両論が巻き起こったら困っちゃうな(笑)。


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Afterglow「STAY GLOW」

STAY GLOW

2023/04/26 RELEASE
BRMM-10630 ¥ 4,400(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Scarlet Sky
  2. 02.Off we go.
  3. 03.いつも通りのBrand new days
  4. 04.SWITCH ON NOW
  5. 05.ランブリングメモリー
  6. 06.COMIC PANIC!!!
  7. 07.Trouble Joyful!!
  8. 08.Jamboree!Journey!
  9. 09.カナユメ
  10. 10.独創収差
  11. 11.極彩色
  12. 12.サクラゼンセン
  13. 13.True color

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