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<インタビュー>ボーイジーニアスが語る、全米4位獲得『ザ・レコード』と誰もが彼女たちに夢中になる理由

インタビューバナー

Interview:Lyndsey Havens / Billboard.com掲載
Photo:Emma McIntyre / Getty Images for Coachella

 フィービー・ブリジャーズ、ジュリアン・ベイカー、ルーシー・ダッカスからなるスーパーグループ、ボーイジーニアスの記念すべきデビュー・アルバム『ザ・レコード』のリリースを迎えた夜、バンドからは興奮がにじみ出ていた。「マジで楽しみだよ」とブリジャーズは語る。

 ベイカーにとっては、やや刺激が強すぎるようだが、「至福の時間にしようとしてる」と付け加えた。そして、彼女はブリジャーズに直接話しかけ、かつてのバンド仲間であるザ・スター・キラーズから届いたテキスト・メッセージについて嬉しそうに伝え、メンフィスの小さな音楽レーベルからDIYで最初のレコードをリリースしたのが、10年前の今日だったことを知らせた。これに対し、まるで漫画の一コマのように驚いたブリジャーズは「嘘でしょ?」と返答した。

 ベイカーは、「友人や自分のことを気にかけてくれる人たちと一緒に音楽を作ろうとしてきた10年間で、それを続けられていることがクールだから泣きそうになった」と述べ、「“成功した!”というような栄光を感じる瞬間にはしたくないーそれよりもっと複雑な感情だから。あの頃と同じように、今でもこれを愛しているということなんだ」と続ける。

 このお互いと作品への愛が、まさにボーイジニアスを結びつけているものだ。そしてそれは、多くの称賛を浴びた2018年のセルフ・タイトルのデビューEPに影響を与え、間違いなく彼女たちのデビュー・アルバムも繋ぎ合わせている。ブリジャーズは、「私たちのバンドのエトスと関係性が人々に伝染していくことを願ってる」と話す。バンドの魅力の一つは、ソロとして活躍する3人のミュージシャンがそれぞれ自分の時間を割いて、一緒に音楽を作りたいと望んでいることだと語るダッカスは、「そしてお互いに捧げあうことで、報われることを知ってほしい」と付け加える。

 そうすることによって、ソロとは比にならないほどの結果も得られている。<インタースコープ>より3月31日に発売された『ザ・レコード』は、4月15日付の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場4位を獲得し、3人にとって最高位をマークした。アルバムの初週セールスは、アナログ盤が67%を占めており、米ビルボード・アナログ・アルバム・チャート“Vinyl Albums”では1位を獲得した。

 「運が良ければトップ10に入るかもしれないと言われていました。それがもしかしたらトップ5に入れるかもになったんです。(4位になったという)事実はとてもクールですね」とダッカスは言い、ライブのリハーサル中にブリジャーズがみんなに順位を教えてくれたと明かした。「曲を演奏して祝いました」と彼女は続けた。

 今後、バンドは【コーチェラ】への出演とツアーでお祝いを続ける予定だが、ダッカスによると、“私たち誰もやったことのない規模”になるそうで、ベイカーは一言“ロックンロール”なライブになると予告している。

 ここではブリジャーズ、ベイカー、ダッカスが、複雑ではない愛がもたらす喜び、そして自分たちを含む誰もがボーイジーニアスに夢中になる理由について語っている。

――このバンドを取り巻くファンダムは明白ですが、その原動力は何だと思いますか?

ルーシー・ダッカス:ボーイジーニアスのファンの多くは、私たち3人のファンで、別々に追ってくれているけれども、私たちがこのために時間を割かなければならないことを理解してくれているんだと思います。珍しい活動で、今後も続くという保証はないことを、きっとわかっているんでしょう。私たちは今後もボーイジーニアスの一員、友人であり続けますが、同時にソロ活動に戻ります。今グループの活動を追うということは、実際に今この瞬間に存在しているということだという意識をどこかで持っているんだと思うんです。私たち3人はお互いにその瞬間に存在することを求めてますし、ファンたちも作品と同じ関係性を築いてくれているのではないでしょうか。この感覚は、年を重ねるごとに得がたいものだと思います。なんだか年寄りのような発言ですけど。


――以前、「バンドをまたやろう」と言い出す人がいるかどうか心配だとおっしゃっていました。その時から現在に至るまで、不安はありましたか?

ルーシー:2年半前からこの構想を抱いていましたが、もちろん不安はありました。私たち全員不安を感じる人間です。うまくいかないことがあったとしても、全体としてはスムーズだと言えます。私たちは、まだお互いのことを好きですし、まだこのグループが好きなので。


フィービー・ブリジャーズ:お互いに素晴らしい関係を築いてるので、いとも簡単だと思わせるような否定的なレビューがありました。そんな人生だったらどんなに良かったか。私たちの関係は、自分の人生におけるどの関係よりも複雑ですよ。


ルーシー:他人にこのことについて話すのは苦手ですね。


ジュリアン・ベイカー:同感。


ルーシー:みんなには共感できないことだから。


ジュリアン:人が単純に愛し合うことができるということが、まるで嘘であるかのように、人々が受け入れたがらないのは馬鹿らしいと思う。


フィービー:オアシスのようでなければ、フェイクに違いない。オアシスはフェイクだし、あの小競り合いもフェイクだった。


ジュリアン:作曲の話に戻ると、このアルバムの大半はお互いに対話をしているんです。


フィービー:とは言え、私たちは本当に甘やかされてる。レビューは素晴らしいものばかり。私たちは一生懸命取り組んだし、嬉しいことだよね。


ルーシー:私はみんなと謙虚さを育んでいくのが好き。


フィービー:私はこのバンドに関して謙虚さはない。「ああ、いいね」ってならなければ、もういいって感じ。


ルーシー:私たちって実はめんどくさいかもね。


ジュリアン:そう思う。


フィービー:もちろんだよ。


――フィービーは、<Dead Oceans>の傘下の<Saddest Factory>というレーベルのボスでもあります。ボーイジーニアスのレーベルを探していた時、自社に契約することを考えましたか?

フィービー:全員新しい経験をしたかったんだと思う。私たちが対等であることはとても重要だから、そこに余計な要素を加えるのは変だと思った。だから、ソロとして所属しているレーベルとも契約してない。こいつらと初体験をするのはものすごくいい気分だったよ。


――アルバム・リリースをどのように祝ったのですか?

ルーシー:EPをレコーディングして以来、一緒に訪れたことがなかったサウンド・シティ・スタジオに行って、制作に携わったメンバー数名と最初から最後までアルバムを聞きました。様々な感情が込み上げてきましたね。


――『ザ・レコード』は、特にアナログ盤が売れました。なぜ発売日にこのフォーマットを用意することが重要だったのでしょうか?

ルーシー:私たちのファンは、私たちと同じように興奮しやすいので、発売日にアナログ盤も用意できたことは、記念すべき出来事のように感じられました。私もアナログ派ですし。誰でもお気に入りのレコード・ショップがあるかと思います。そのような店舗を存続させるためにできることがしたいんです。


――作曲の過程で、特にみんなに共有したいと思った歌詞や曲はありましたか?

ジュリアン: 逆に、みんなに送りたくなかった曲を考えてみたんだけど......。


ルーシー:フィービーとジュリアンに「Leonard Cohen」の歌詞を見せた時、フィービーが「ファック・ユー」って言いたそうな顔をしていたのは覚えてます。


フィービー:「ねぇ、あなたのために曲を書いたよ」って感じだったのに、ファッキン揶揄されてた。


ジュリアン:こき下ろされてた。


ルーシー:ごめんね。曲の中で、フィービーのことを文字通りバカ呼ばわりしてるんですよ。


フィービー:私と目を合わせながら、(歌いながら)“あなたはバカよ”って。


――アルバムの中で、最もタトゥーされそうな歌詞はどれですか?

フィービー:オーマイガッド、何だろう。


ルーシー:(「Letter To An Old Poet」の)“幸せになりたい”かな。


ジュリアン:それ言おうと思ってた。


フィービー:それいい、マジでいいと思う。アルバムのクライマックスになると思うし、最後に起きる大きな瞬間でもある。リリースしてきた先行シングルを含むアルバムの流れ、そしてEPに言及しながらそこで終わる......うまく言えないけど、すごくエモーショナルになる。


ジュリアン:私がエモーショナルになる理由は、不健全な思考を振り返っていて、幸せになれるのではという可能性や自覚を促してくれるから。


ルーシー:私の親友が成長を見せてるよ。


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