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<インタビュー>NMB48が引き継ぐレガシー、そして13年目の挑戦を語る
NMB48がユニバーサルミュージック移籍第一弾作品となるニュー・アルバム『NMB13(なんばサーティーン)』をリリースした。グループにとって実に5年ぶりとなる本アルバムは、17thシングル「ワロタピーポー」(2017年)から最新シングル「好きだ虫」(2022年)までのヒットシングルを網羅したほか、山本望叶をセンターに据えた新曲「Done」やグループ初のオリジナル曲「青春のラップタイム」を現メンバーで再録した2023年バージョンなど、新録楽曲6曲を含むボリューミーな内容。過去5年の歴史を総括しつつも、一期生が全員卒業してから最初のアルバムということで「今のNMB48」を全力でアピールする意欲的な作品に仕上がった。
このインタビューではキャプテンの小嶋花梨、小嶋と同期の上西怜、アルバムリード曲「Done」で初めてセンターに立つ山本望叶、そして同曲で初めて選抜入りを果たした坂田心咲の4人に新曲の聞きどころや、13年目に突入した今だからこそ伝えたいこそ、見せたいものなどについてじっくり語ってもらった。(Interview & Text: 西廣智一、Photo: Yuka Totsuka)
左から:小嶋花梨、山本望叶、上西怜、坂田心咲
――アルバムが約5年ぶりという事実に驚きましたが、かなり充実した1枚に仕上がりましたね。
小嶋:ありがとうございます。5年ぶりということもあって、メンバーもその頃とはガラッと変わっていて。「2023年のNMB48ってこういう子たちがいるんだ」と目で見るだけでも伝わりますし、内容も今までなかったタイプの新曲や「青春のラップタイム」の2023年バージョンだとか、今を表現したものが揃っていると思います。
上西:『NMB13』というタイトルのとおり、13年目の私たちの決意を込めたアルバムになっていますし、だからこそ(今作のリード曲「Done」で)望叶がセンターに立っていると思うんです。特に最近のNMB48はカッコいい感じになっているので、昔とはまた違った強さが見せられたらと思っています。
小嶋花梨
――今のNMB48の魅力ってどういうところだと思いますか?
小嶋:今は若いメンバーもすごく増えていて、特にここ数年は毎年のように新しいメンバーが加入しているので、新鮮な気持ちで応援できるというのがあると同時に、長く活動してきたメンバーの軸もしっかりあるグループなので、若いメンバーも先輩も活き活きしているところが魅力なんじゃないかと思います。
上西怜
――小嶋さんが加入した頃と比べて、グループの雰囲気はだいぶ変わりましたか?
小嶋:はい。今の自分たちだからできる表現というのも増えましたし、そういう意味でも本当に変わったと思います。
上西:先輩たちが引っ張ってくださったNMB48にしか出せない魅力や個性というのは、今の私たちには出せないものだと思うんですけど、逆に今の私たちにしか出せない魅力や見せられないものもあるはずで。そうやって13年の間に変化を繰り返しているからこそ、長いこと応援してくださる方は飽きずに応援してくださっているのかなと思います。
山本望叶
――山本さんはいかがでしょう?
山本:みんなグループに対して熱い気持ちを持っていたり、常に危機感を持っていたりするメンバーもたくさんいて、劇場公演だとか普段のお仕事からもNMB48に対する真摯な思いが伝わっていると思います。
――その「危機感」というのは、具体的にどういったことでしょう?
山本:さっき怜さんが言ったみたいに、昔の先輩方がいたからこそ出せたNMB48の良さを、今はまったく同じ形では出せないので、そこで離れてしまうファンの方もいるんじゃないかと思って。だからこそ、「飽きさせないように」という危機感をみんな持っているんだと思います。
――坂田さんは外からグループを見ていたときと、実際に加入してからでは、グループに対する印象は変わりましたか?
坂田:みんな一人ひとり性格も活躍している場面も違うんですけど、NMB48をもっと大きくしたいという気持ちを全員が持っていることに、加入してから気づきました。
坂田心咲
リリース情報
『NMB13』
2023/3/8 RELEASE
<初回限定盤Type-N(CD+DVD)>
UMCK-7204 3,850円(tax in)
<初回限定盤Type-M(CD+DVD)>
UMCK-7205 3,850円(tax in)
<初回限定盤Type-B(CD+DVD)>
UMCK-7206 3,850円(tax in)
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――ここからは新曲を中心にアルバムについて伺っていきます。リード曲「Done」は先ほど上西さんが「最近のNMB48はカッコいい感じになっている」とおっしゃったように、ミュージック・ビデオも含めて今のNMB48のカッコよさが凝縮された仕上がりですね。
小嶋:今までのNMB48のアルバムリード曲は明るい王道アイドルソングが続いていたんですが、今回は5年ぶりのアルバムということもあって、「どんな雰囲気の楽曲が届くのかな?」と思っていたら、真逆のクールなダンス曲が届いたので最初はすごく驚きました。なので、この曲を背負えるような、ちゃんと表現できるようなグループでありたいと思ったのと、そうであってほしいというメッセージも込められているのかなと私は受け取りました。
上西:これまでのリード曲は可愛い曲調だったりちょっと変わったタイトルだったりと、そういうところに“難波のアイドル”っぽさがしっかり出ていたので、今回は“カッコいい”に振り切った方向性に驚きましたが、そういう楽曲をいただけたことは素直にうれしかったです。ただ、最近は「今の私たちが作るNMB48を見てほしい」という気持ちを、作品やライブを通じて皆さんに届けようという思いが強かったので、「Done」という終わりをイメージさせるタイトルにはちょっと複雑な気持ちもあって。でも、何度も聞いているうちに「この曲をしっかり表現することができれば、ここから始まる新しいNMB48を見せられるんじゃないか」と思うようになりました。
――終わりがあれば、必ず始まりもありますし、このアルバムを区切りに新しいNMB48が見せられるようになったらベストですものね。山本さんはこの曲で初めてセンターを務めますが、どのような気持ちでこの曲と向き合いましたか?
山本:初めて聞いたときはすごくインパクトの強い曲で、歌詞もスッと入ってきて耳に残りました。ただ、今までのNMB48にはないタイプだったので、どう表現したらいいのか、センターでどんなパフォーマンスをしたらいいのか、最初は悩みました。MV撮影でソロのリップシーンで怒りや悲しみを全面に出してほしいという指示があって。今までそういった感情をあまり表に出したことがなかったので、そのシーンをやり切れたときにこの曲を掴めた気がしました。
――坂田さんはこの曲で初めて選抜入りを果たしました。
坂田:はい。選ばれたときは本当にうれしかったです。初めて曲を聞いたときに、私自身、こういうクール系の曲に苦手意識があったので、「難しそうな曲やな」とかいろいろ考えてしまったんですけど、聞いていくうちにどんどん引き込まれてしまって。気づいたらずっとリピートしていて、「この歌詞はこういう気持ちなのかな?」と考えられるようになりました。
――坂田さんがおっしゃるように、この曲って何度も繰り返し聞きたくなるような中毒性が強いですよね。皆さんが思う曲の聞きどころ、ダンスの注目ポイントはどういったところでしょう?
小嶋:「Done」はシンメ(トリー)が綺麗なダンスなので、ペアで踊るシーンは見どころかな。歌割りでもそのペアの関係性が考えられていて、そういったところが今後のグループの成長にもつながっていくと思うので、私たちもそこを意識しながらパフォーマンスしていきたいです。
上西:振付師さんが「NMB48はカッコよさの中に女性らしさもあるのが魅力」とよく言ってくださるんですが、この曲でも首筋を見せる振りが入っていたりするので、そういうところにも注目してほしいです。あと、全体としてもセンターの望叶を意識したポーズが入っているので、そこも探しながら楽しんでほしいと思います。
――MV撮影で印象に残ったエピソードはありましたか?
山本:2サビの最後に同期の安部若菜と2人で、ほかのメンバーとはちょっと違う振りをしているんですけど、そこが「うれしいね」という話を2人でしていました(笑)。MVを観るときはそういう点にも注目してもらいたいです。
坂田:本番中はみんなクールでカッコいい表情をしているんですけど、カットがかかった瞬間に「寒いーっ!」ってニコニコしながらくっついていて(笑)。YouTubeにメイキング映像も公開されているので、そういう場面を含めMVとのギャップを楽しんでいただきたいです。
上西:NMB48は普段から誰かしらくっついているので、そういう仲良しな面も伝わったらうれしいです。
――続いて、ユニット・りぷりっぷるの「Enjoy 無礼講!」について。この曲には小嶋さん、山本さん、坂田さんが参加しています。
小嶋:このユニットの7人はそれぞれ違った可愛さを持っていると思っていて。身長もスタイルも違っていて好みも違うので、その辺りが衣装の違いにも表れているんじゃないかな。実は私、ピンクが苦手で、ピンクの衣装だと知ったときは戸惑ったんですけど(笑)、なかなか自分で選ぶことのない衣装を着て、可愛らしい王道アイドルソングを歌う機会もなかなかないので、結果的にファンの皆さんに新しい小嶋花梨を見せることができてよかったと思います。
山本:MVの作風がちょっとSNSっぽくて、文字とか細かいところも含めてかなり凝った作りなので、そういうところがお気に入りです。私はピンクが一番好きな色なので(笑)、夢のような撮影でした。
坂田:私はMVの中でメイクをしているシーンがあるんですけど、MV撮影をしているというよりもYouTubeチャンネルの動画を撮っているような気分になれて、ある意味、新しい経験ができたと思います。
――「Done」とは対照的な作風ですし、NMB48のいろいろな面が楽しめる楽曲/MVになりましたね。次は「今さら道頓堀」について。この曲には上西さんが参加しています。
上西:すごくNMB48らしい、アイドルだけどアイドルっぽくない歌謡曲風の楽曲がうれしかったですし、この1曲があるだけで『NMB13』というアルバムがNMB48らしくなったんじゃないかなと思います。道頓堀がタイトルに含まれているところや、歌詞にも久しぶりに関西弁が含まれているところにも私たちにしか歌えない感が強く出ていますし、2期生さんから9期生までの幅広いメンバーが入っているところにも今の私たちらしさが出ているんじゃないかな。レコーディングもみんなで楽しく歌うことができた結果、昭和の歌謡曲っぽさをフレッシュに表現できたと思うので、いろんな楽しみ方をしてほしいです。
リリース情報
『NMB13』
2023/3/8 RELEASE
<初回限定盤Type-N(CD+DVD)>
UMCK-7204 3,850円(tax in)
<初回限定盤Type-M(CD+DVD)>
UMCK-7205 3,850円(tax in)
<初回限定盤Type-B(CD+DVD)>
UMCK-7206 3,850円(tax in)
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――アルバムには小嶋さんの初ソロ曲「最高に下品なアタシ」も収録。楽曲自体のカッコよさもさることながら、タイトルのインパクトにまず驚かされますよね。
小嶋:最初、「これ、本当に私の曲なのかな?」と疑いました(笑)。でも、実際に聞いてみると想像していた以上に好きなジャンルで、この楽曲を今歌えるのは自分だけだと思えるぐらい、しっかり歌いたいと思いました。パッと聞いただけだとメッセージ性があまりないように聞こえるかもしれませんが、グループのキャプテンということもあってか、「あまり型にハマりすぎず下品にやってみなよ」という秋元(康)先生からのメッセージが含まれているんじゃないかなと受け取ったので、今までの自分の殻を破るつもりで歌ってみました。
――加えて、本作には全メンバー参加曲「想像のピストル」も用意されています。
小嶋:可愛らしい曲調で、素直に好きと思える1曲です。現時点(※取材は3月上旬実施)ではライブでも披露していないので、どんな振り付けになるのか楽しみです。
山本:最初に聞いたときは爽やかな曲だと思ったんですが、歌詞を読めば読むほど愛の重さや自己嫌悪のような気持ちが見えてきて。自分と重なる部分がある方もきっといる思うので、共感しながら聞いてほしいです。
坂田:望叶さんが言うように、曲調だけだと爽やかだけど歌詞はすごく深くて。ぜひ歌詞を読みながら聞いていただきたい楽曲だなと思います。
上西:これまでNMB48が全員で歌う曲って、歌詞に熱いメッセージが込められていることが多いんですが、こういう爽やかな雰囲気の楽曲をいただくことが初めてに近くて。ライブで何度も歌うことによって、歌詞が私たちとどうリンクしていくのか、今から楽しみです。
――さらに本作には、初期から歌い継いできた「青春のラップタイム」を現メンバーで再録した「青春のラップタイム 2023」も含まれています。この曲を歌唱した1期生の皆さんが全員卒業したあとに、現在のメンバーで歌うことに強い意味を感じます。
小嶋:今の自分たちの声で形に残せることがすごくうれしくて、とてもありがたく感じています。ファンの皆さんからいろんな声もあると思うんですけど、1期生さんが歌った「青春のラップタイム」を超えたいとかそういうことを言いたいわけではないですし、グループを築いてくださった先輩たちへの感謝の気持ちと、この楽曲を未来へつないでいきたいという強い意志を持って歌ったので、今後も大事な場面で、大切に歌い続けていきたいと思っています。
――13年の歴史があるからこそ、先輩たちからのバトンを未来へつないでいきたいという思いが強いと。
小嶋:そうですね。今回は2023年バージョンですが、もしかしたら5年後や10年後に新しいバージョンが生まれているかもしれませんし、その時ならではのNMB48が表現できる曲として、これからも歌い継いでいってほしいです。
上西:私がメンバーになる前から聞いていた歴史ある曲を、まさか自分たちの声で録るなんて思っていませんでしたし、何よりファンの皆さんが13年間愛してくださっている大切な曲を今のメンバーで歌うことができてすごくうれしくて。NMB48に加入したら最初に覚える曲で、メンバー全員にとっていろんな思いがある楽曲でもあるので、そんな私たちの思いが声に乗って届いたらいいなと思いますし、1期生さんが歌っていた「青春のラップタイム」との違いを見つけながら楽しんでもらえたらうれしいです。
山本:まず、今のメンバーで大切な楽曲を歌うことができたことがすごくうれしいです。根っこにあるNMB48のがむしゃらさやひたむきさは昔からまったく変わっていないはずなので、過去と比べるのではなくて純粋に“今”を感じてほしいと思います。
坂田:私は今回、NMB48の国家とも言われている楽曲で山本彩さんが歌っていたパートを任せてもらっていて。それに対していろんな声があると思うんですけど、彩さんは彩さん、私は私なので、今回の2023年バージョンでは私らしさを出したかったですし、オリジナル・バージョンのようにたくさんの方に愛される楽曲になってほしいと願いながら歌いました。
――レーベルも移籍し、この節目となるアルバムを経て、皆さんはNMB48をどんなグループにしていきたいですか?
坂田:メンバーもいろいろ変わったことで、今のNMB48にしか出せない魅力や色があると思うので、ファンの皆さんにこれからもずっとずっとついてきていただいて、いろんな姿を好きになってほしいと思います。
山本:NMB48のことをもっとたくさんの方に好きになってほしいと、私は常々思っていて。今のNMB48の良さは一生懸命、がむしゃらにできるところだと思うので、そういうところをたくさんの人に知ってもらって、好きになってもらいたいです。
上西:NMB48はどんな状況になっても挑戦し続けているグループだと思うんです。3月8日からは劇場公演のコールも解禁になりましたし、5月には7年ぶりのリクエストアワーも控えているので、いろんなNMB48を見せつつ、これまでと変わらずいろんなことに挑戦して、皆さんに応援していて楽しいと思ってもらえるグループを作っていきたいと思います。
小嶋:まだ試行錯誤することも多いですが、大きな目標を見つけて、そこに向かって全員で進んでいけるように、まずは目の前にある一つひとつのことを一生懸命に、丁寧に取り組んで、NMB48をしっかり背負っていけるように頑張っていきたいです。新しく加入してきてくれたメンバーも多いので、まずは私たちが先輩からいただいたものを若いメンバーたちにしっかりと渡して、未来を見据えた行動をしていけたらなと思います。
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『NMB13』
2023/3/8 RELEASE
<初回限定盤Type-N(CD+DVD)>
UMCK-7204 3,850円(tax in)
<初回限定盤Type-M(CD+DVD)>
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<初回限定盤Type-B(CD+DVD)>
UMCK-7206 3,850円(tax in)
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