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<インタビュー>FUNKY MONKEY BΛBY'S、10年で得た変化や技術を投影したニューアルバム『ファンキーモンキーベイビーズZ』
3月29日、FUNKY MONKEY BΛBY'Sが再始動後初となるオリジナルアルバム『ファンキーモンキーベイビーズZ』をリリースする。2月15日に先行配信されたリード曲「YOU」では、顔ジャケを務めたカンニング竹山が熱演を見せたミュージックビデオにも注目が集まり、アルバムへの期待も高まっていった。そんな最新アルバムについてはもちろん、アルバムを引っさげた全国ホールツアー【太陽の街ツアー】について、そして今のFUNKY MONKEY BΛBY'Sについて、ファンキー加藤とモン吉に語ってもらった。(Interview & Text: 高橋梓 / Photo: Yuma Totsuka)
10年以上ぶりとなるオリジナルアルバム
――『ファンキーモンキーベイビーズZ』のリリース、おめでとうございます。まず、リリースするにあたっての心境を教えてください。
ファンキー加藤:アルバム制作は基本、毎回楽しくできるんですよね。
モン吉:そうそう。
ファンキー加藤:シングルは間口の広さとか、できるだけキャッチーにたくさんの人に届くようにとか、課題があるのでスタッフさんと苦悩しながら作るんですけどね。アルバムは比較的自由に、自分たちの好きなように作れるんですよ。しかも今回は制作期間もいただけたのもあって、スタジオ作業が楽しくできました。
――そうだったのですね。シングルの時のインタビュー記事やSNSを見ると苦戦されたとお話されていることが多かったので、アルバム制作も大変なのかと思っていました。
ファンキー加藤:あはは(笑)。もちろん苦戦する時もありますけどね。
モン吉:運だよね。サクッと作れるときはサクッと作れるし、ダメな時は全然出ないね。
ファンキー加藤:僕らはちゃんとした音楽理論に基づいて作っていないので、打席に立ってバットを何回も振り続けなきゃいけない。
モン吉:「10曲作りゃ2曲くらいいい曲あんだろう」っていう(笑)。
ファンキー加藤:そうそう。そんな苦悩しているイメージあります?
――今作にも収録されている「エール」のインタビューで「生みの苦しみがあった」というお話をされていた印象が強かったので……。
ファンキー加藤:それはもう別(笑)! 打席に立っても空振り多かったよね。
モン吉:「エール」はたしかに苦戦しましたね。4~5曲くらい書き直したかも。でもさ、本当にタイミングによるよね。アルバム制作に関しては全打席ホームランみたいなときもあるし。だから流れと運。
「エール」ミュージックビデオ
――『ファンキーモンキーベイビーズZ』の流れと運はバッチリだった、と。
ファンキー加藤:そうですね。大体いつも制作期間が短いとか、曲作りへのハードルを上げすぎちゃったりとか、苦悩があるんですよ。再始動前の2枚目、3枚目のアルバムなんかだとタイトなスケジュールで制作していましたし。
モン吉:1曲3日とかで作ってたね。プリプロ、試し撮り、本チャンRec、みたいな。
ファンキー加藤:それをずっと続けていて、今みたいにインタビューを受けるのにまだ1曲もできていないっていうこともありました。インタビュアーさんも何を聞いていいかわからないし、僕らも何を答えていいのかわからない(笑)。結局僕らの構想を喋るっていう謎の1時間半がありました。
モン吉:その頃に比べたら今作はすごく楽しめています。
ファンキー加藤:やっぱり余裕があったのが大きいよね。……って思い返してみると、今回もラスト1か月はヤバかったかも。。
モン吉:そうなんだよ。俺なんか、ラップ1日で書き上げるとかあったもん。
ファンキー加藤:夏休みの宿題パターンね。
モン吉:ただ、アルバムだと「応援ソングにしなきゃいけない」、「ラブソングにしなきゃいけない」っていう縛りがないからね。「オケがこんな感じだから楽しい曲にしよう」、「オケがちょっと暗めだからエモーショナルな感じにしよう」って自由にできました。ファンちゃんは今回、単語から曲作ったりもしたもんね。
ファンキー加藤:そうね。1つの韻から曲が生まれたこともありました。「この韻を踏みたいから曲を作ろう」っていう。それを話した時、最初モンちゃんは「どういうこと?」ってポカーンとしていて(笑)。でもそういう実験的なことができて、しかも形になって世にリリースできるっていうのは、音楽を作る側からしたら喜ばしいことです。
モン吉:アルバムならではの作り方だよね。
――オリジナルアルバムとしては10年以上ぶりのリリースですが、変化を感じたりもしていますか?
ファンキー加藤:僕はソロを経たことで歌詞の書き方が変わったかもしれないです。前はどストレート、ド直球な歌詞が多かったですが、今はスパイスをパラパラっと入れるようにしたり。そこまで大きく変わってはいないんですけど、ずっと聴いてくれている方からすると「あれ?」って思うかもしれないですね。良い意味で大人になるというのが自分の中でテーマとしてありました。
モン吉:僕は1枚目のアルバムと比べると、2枚目、3枚目、4枚目、5枚目って少しずつブラッシュアップされてきているので、今回もその延長だと思っています。
ファンキー加藤:でもやっぱり音とかは10年前と違くない?
モン吉:あぁ、それはあるかも。オケが今っぽくなっているのとミックスの仕方も変わってます。機材もいいし、スタッフさんの技術も上がっているし。前までだったら低音が効いている曲はキュッとなっちゃっていましたけど、今回は表現したままの感じで収録されていると思います。

――まさかの「技術面」でした(笑)。
モン吉:そうですね(笑)。10年経ったことで技術が進歩していますから。あとは、聴き方の流行り。以前は音圧を詰め込みすぎちゃってリミッターやコンプをかけていたけど、今みたいに街中で流れる時はかけない方が音量があっていい、とか。時代によって変わったこともあると思います。
――お二人自身だけでなく、時代とともに変化もあるのですね。そして、ファンモンのパッケージと言えば「顔ジャケ」が定番化していますが、今回はお二人が登場されています。
ファンキー加藤:ソロではお互い出ていましたが、ファンモンでは初めてですね。モンちゃんはケミカルに1回当たったらしいですよ。「ジャケットだけやって」って。
モン吉:渋い顔されて、普通に断られました(笑)。
ファンキー加藤:俺はもう2人になったんだから、潔く2人でやるしかないんじゃないって思っていたんです。俺らのどっちかがアルバムのジャケットをやるのもおかしな感じになっちゃうから。でもモンちゃんはワンショットにこだわってたよね。。
モン吉:うちらのジャケットって、顔がドンッと載っているワンショットのイメージじゃないですか。なので、今回もどうにかしてやりたくて。
ファンキー加藤:俺ら2人の顔をCG合成したパターンも考えたんですけど、モンちゃんが持っているアプリでやると妙に男前になっちゃって。すげぇイケメンになってた(笑)。
モン吉:これはやめとこうって話になりました。
――そのジャケットも見てみたかったです!
ファンキー加藤:恥ずかしい、恥ずかしい! TikTokerみたいになってるもん。
モン吉:加工の向こう側、みたいな(笑)。プロの方に合成をお願いしてみたりもしたんですが、それだとリアルすぎて気持ち悪くて。
ファンキー加藤:モンちゃんが最後の最後まで苦闘していたんですけど、最終的に2人で映ることになりました。
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ファンキーモンキーベイビーズZ
2023/03/29 RELEASE
MUCD-1509 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.乙Sound
- 02.ROUTE 16
- 03.YOU
- 04.君だけの歌
- 05.荒野に咲く花
- 06.エール
- 07.ほろり
- 08.ラグソング
- 09.世界一
- 10.原宿陸橋
- 11.今だってI LOVE YOU
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