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<インタビュー>Charが語る、チャリティー・プロジェクト“PLAYING FOR CHANGE”への想い
世界中のアーティストがスタンダードナンバーを歌い繋ぎ、そのサウンドと映像を届けることで、世界の繋がりを表現してきたチャリティー・プロジェクト“PLAYING FOR CHANGE”が、東京、大阪、横浜のビルボードライブでスペシャルライブを開催する。国や人種を超えたミュージシャンたちが集まり音楽を紡いでいくその活動は、現在の世界情勢の中でより一層意義深いものに感じられる。以前から”日本代表“としてこのプロジェクトへ参加してきたのが、日本が誇るギターレジェンド・Charだ。【PLAYING FOR CHANGE with Char】と銘打たれた今回のライブに向けて、プロジェクトへの想いを語ってもらった。(Interview: 岡本貴之)
これだけのミュージシャンが集まることだけで1つのメッセージになるのかなって思う
――“PLAYING FOR CHANGE”(以下・PFC)の名称を知らない人でも、CMでCharさんが「(Sittin' on) The Dock of the Bay」に合わせてギターを弾いている映像を見れば、「ああ、観たことある」と思う人が多いと思います。まず、CharさんがPFCに関わりだしたきっかけを教えてもらえますか。
Char:PFCのスタッフが、世界中のアーティストをストリートで撮って繋いでいくという中で、日本の代表に選んでいただいたんです。なおかつ、日本っぽいところで撮影したいから京都や鎌倉で撮影するのはどうかって言われたんだけど、「いや、近所に戸越八幡神社があるから」って地元で撮影して。宮司もよく知ってるからいろんな自由もきくし、あそこだったら何やっても怒られないだろうみたいな(笑)。
――地元ということで小さい頃から顔なじみなんですね。PFCは国や文化を超えたプロジェクトですが、デビュー当時から海外のミュージシャンとアルバムを作ったりライブをしていましたし、東京で育ったCharさんにとって海外の人との交流はそれほど特別なことではないのでしょうか?
Char:東京にはインターナショナルスクールが集まっていて、高校生の頃からバンドを中心にいろんな国の人とは遊んでいたから、そういう意味では普通のことだったね。当時は色んな学校でパーティーをやるときに生バンドが演奏するから、アメリカンスクールとかジャーマンスクールのバンドが集まってきて、「こいつすごいな。今度一緒にやろうぜ」とか、そこでミュージシャンシップが形成されたというか。ドラムの(ロバート・)ブリルとかもそうだしね。あの頃、東京にいても海外に行くとか海外のアーティストが日本に来るとかっていうのは、そう頻繁にあることではなかった中で、インターナショナルスクールのやつらと情報交換できたのはラッキーだったかもしれない。今のようにオンタイムで情報を得られない時代だし、夏休みにアメリカとかイギリスに帰っていた仲間たちが「こんなバンドが出た、こんなギタリストがいる」っていう情報を持ってきたりしていたから、もしかしたらどんなミュージシャンよりも情報を得るのが早かったかもしれないね。
――そういう経験があるからこそ、PFCにも自然に携わることができているんでしょうね。
Char:そうだね。デビューしてからも、日本人以外のミュージシャンと活動することが多かったしジャンルもすごく広いところでやれたので。アマチュア時代とはレベルの違うものを経験したからこそ、各国のミュージシャンの個性を楽しめるというか。そこは「こうじゃなきゃダメ」ということはないし。それに、PFCはヒット曲を出そうとかっていう企画ではなくて、すごく純粋に世界中のミュージシャンが集まっているということだけで、「音楽の力」を出せる集まりだから、ただ外国のミュージシャンと演奏するのとはちょっと違うんだよね。前にビルボードライブでやらせていただいたときも(2017年)、10ヶ国以上のミュージシャンがいて、初対面の人と楽器で会話するみたいな感じで、実際に演奏してみないと、どんなドラムを叩くのか、どんなギターを弾くのかわからなくて面白かったね(笑)。あのときは、ハーモニカ奏者のリー・オスカーさんがたまたまプロモーションで日本に来ていて予定外にライブに参加したんだけど、彼も「これは素晴らしいプロジェクトだ」って、その後も参加するようになったんだよ。ミュージシャンとしてはある種、試される場でもあるし、良い意味で緊張感があるステージはこのセッションしかないんじゃないかな。
――2017年当時とはコロナや戦争等、世界の情勢もだいぶ変わっています。今回はどのようなお気持ちで参加されますか。
Char:もちろん、世の中がどうなっているかということは1人の人間として意識もしているから、それがプレイに何か出るんだろうなとは思うけど、「こういう時代だからこういう演奏をする」ということは構えてない。俺に限らず、そういうものは各プレイヤーの演奏に出るだろうし、それがまた会場に足を運んでくれるお客さんに何かしら伝わればいいなって。1人の力でできることは限りがあるけど、これだけのミュージシャンが集まることだけで1つのメッセージになるのかなって思う。
――昨年参加されたチャリティー・ソング「時代遅れのRock’n’Roll Band」も、そうしたメッセージを感じるものでした。
Char:いろんなレベルで、今起こっていることに対するメッセージを出している人もたくさんいると思うんだけど、あれだけ著名な桑田(佳祐)くんのような人が企画するっていうのがすごく意味のあることだと思ったし、「是非参加させていただきたい」という気持ちだった。みんな同世代でそれなりの経験をしてきた人の集まりだし、PFCと同じでみんなで集まれるということだけで1つのメッセージになれたんじゃないかなと思う。PFCも、コロナ前からそういうメッセージを持って活動しているチームだし、プロデューサー(マーク・ジョンソン)と初めてお会いしたときにもそこに賛同したんだよね。常に「音楽でできることはないか」ということを考えている姿勢が素晴らしいと思うし、それを映像で繋げるというのもすごいと思った。今の時代じゃないとできないし、素晴らしい発想だと思う。
――今回は、東京、大阪、横浜でライブが行われます。ゲストにはIchika Nitoさん、押尾コータローさん、福原みほさんが参加しますね。
Char:PFCのバンドはオリジナル曲をやるわけじゃなくて、スタンダード曲をやるのが基本なので、その枠組みの中で彼らが自分をどう表現するのか、自分も観ていたいね。フレーズって会話と一緒だから、言葉と同じようにできればフレーズにも意味を持たせたいし、自分もそこにいるミュージシャンたちで出している音の一部になりたいなと思ってる。カッティングしていてもいいし、なんなら弾かなくてもいいし、自分の個性みたいなものはギターを持っているだけでいいのかなって(笑)。
――では、ライブに向けて意気込みをお願いします。
Char:今年はまだお客さんの前でギターを弾いていないので、良い演奏ができるようにその日のためにギターを練習しておきます(笑)。楽しみにしていてください。
公演情報
PLAYING FOR CHANGE with Char
<ビルボードライブ東京>
Guest: 福原みほ
2023年4月15日(土) - 4月16日(日)
1st Stage Open 15:30 Start 16:30 / 2nd Stage Open 18:30 Start 19:30
公演詳細
<ビルボードライブ大阪>
Guest: 押尾コータロー
2023年4月18日(火)
1st Stage Open 16:30 Start 17:30 / 2nd Stage Open 19:30 Start 20:30
公演詳細
<ビルボードライブ横浜>
Guest: Ichika Nito
2023年4月20日(木)
1st Stage Open 16:30 Start 17:30 / 2nd Stage Open 19:30 Start 20:30
公演詳細
関連リンク
・PLAYING FOR CHANGE オフィシャルサイト
・Char オフィシャルサイト
・ビルボードライブ オフィシャルサイト
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