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<インタビュー>堂村璃羽が語る自身の持ち味、本領発揮の新曲「byebye」について



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 堂村璃羽が新曲「byebye」をリリースした。

 今年1月に5thアルバム『夜景』をリリースした堂村。本人いわく「僕の従来のヒットチューンとは違うタイプの曲を詰めた」という同作は、リリース後の反響も様々だったようで、納得と発見の両方があったという。彼自身、新たなチャレンジになったと語るアルバムを経て、今作「byebye」は改めて“堂村らしさ”が込められた、生々しく赤裸々な失恋ソングだ。

 本作の制作過程、トラックメーカーのBigDogOofに対する信頼、今後の活動に対するモチベーションなど、本人に話を訊いた。 (Interview & Text:Takuto Ueda / Photo:Yuma Totsuka)

自由に曲を作り続ける

――昨年11月に発表したシングル「そばにいる」以降、リリースはワーナーミュージックからですよね。メジャーレーベル所属アーティストとしての数か月間を振り返って、どんな変化を感じますか?

堂村:(メジャーレーベル所属に関して)メリットとデメリットの両方があると思っていて。まずデメリット的な部分、それまでずっとフリーランスでやってきたので、作品を作ったら2~3日後にはもう発表できたけど、メジャーレーベルに所属してからは1か月前ぐらいには提出しなきゃいけないので、「早く届けたい」というもどかしい気持ちはありますね。

――そうですよね。

堂村:ただ、やっぱりメリットもあって、自分が考えてこなかった商業的なこと、プロモーションの部分でいろんな大人の方が動いてくれるので、そのために必要な1か月だというのは分かっているんですよね。自分自身は音楽を仕事だとは思っていないので、その仕事という観点でサポートしてくれる人がいるというのは大きいのかなと思います。

――具体的にはどんなサポートが思い浮かびますか?

堂村:たくさんありますよ。まさに今、この取材もそうですし。楽曲に込めた気持ちを伝える場面って、昔はTwitterかYouTubeの概要欄ぐらいしかなかったけど、取材してもらうことでもっと細かく、深く掘ってもらえる。そういう恩恵は分かりやすいですよね。それに昔は「曲作ろう。作った。あ、いい感じや。出そう」みたいな感じだったけど、今はA&Rと今後1年間ぐらいのスケジュール感を話し合ったり、どういう媒体にアプローチするかみたいなプロモーションの計画も決めてもらったりしていて。そのおかげで以前のやり方だったらバズらなかった曲も、今ならバズるようになるかもしれないなって。


Photo:Yuma Totsuka

――クリエーションの面ではどんな変化を感じます?

堂村:そこは実は変わっていなくて。現時点でもストックが6~7曲ぐらいあるので、あとはその手札を切っていくだけなんですよね。最初は毎月シングル1曲は出そうという話になっていたんですけど、最近の打ち合わせで「もっと増やせないですかね?」みたいな相談もしていて。

――レーベル契約時にも堂村さん側にかなり歩み寄った提案をしてもらえたとか。

堂村:そうですね。自分が受けたくない仕事は受けなくていいし、ただただ好きなように曲を無限に作り続けるようにしてくれているので、あとはスケジュールに当てはめていくだけみたいな。やらされて音楽を作るようになってしまったら、たぶん伝わり方も悪い意味で変わると思うし、かなり自由にやらせていただくスタイルですね。

――制作プロセスもいい意味で変わらず?

堂村:はい。昔から身内だけで固めているので。もともと一緒に仕事したい人には自分からアプローチしていく単体乗り込み型なんですよね。トラックメーカーさんもイラストレーターさんも、みんな自分でコンタクトを取ってきた。会社の人にお願いすることもできるんだろうけど、僕が直接連絡して仲良くなって、お互いに気持ちよく仕事したほうが楽しいし、また一緒にやりたいと思ってもらえると思うんですよ。

――そのスタイルを尊重してくれるチームも素敵ですね。

堂村:そうですね。そういう意味では助かっています。

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手札から今出すべき曲「byebye」

――そして、1月にはフルアルバム『夜景』をリリース。反響はいかがでしたか?

堂村:10曲もあれば「この曲が一番聴かれるだろう」とか「たぶん人気はないかもしれないけど俺が作りたい曲だったからいいや」みたいな曲が散らばっていて。そのなかでも「あ、意外とこの曲が聴かれるんだな」みたいな発見もありましたね。いい意味で予想していた手応えとは違った感触もありました。

――ちなみに、その発見があった曲を挙げるとすれば?

堂村:もちろん好きで作った曲なので僕自身は好きだけど、「君が愛を知りたいと言ったから」はそこまで反響はないんじゃないかなと思っていたんです。でも、みんなにSNSとかで聴きたい曲を募集してみたら、けっこう上位に入ってくることもあって。意外だなと思いました。

――前作で得た学び、反省点などは今作「byebye」に生かされていますか?

堂村:そうですね。例えば前作のリード曲「Prima Stella」は、今までとはガラッと違ってポジティブな、疾走感のある楽曲で。そういう感じで『夜景』は置きにいかなかったというか、僕の従来のヒットチューンとは違うタイプの曲を詰めたんです。でも、今回の「byebye」はかなり共感性を意識しつつ、2番では分かりやすく韻を踏んだりもしていて、キャッチーだけどラップ好きにも気に入ってもらえる、従来の僕らしい曲を作れたかなと思っています。歌詞も分かりやすいけど、あまり抽象的すぎないというか。

▲「byebye - Riu Domura (Official Music Video)」

――持ち味を活かせた実感がある?

堂村:はい。悲しい表現を綺麗なメロディーで落とし込むみたいな。もしかしたら『夜景』を聴いて、路線が変わったと思った人もいるかもしれないけど「んなことないぞ」と。それこそ手札の中から今出すべき曲は「byebye」だなと思って、このタイミングでリリースさせてもらいました。

――制作はいつ頃?

堂村:3~4か月前ですかね。たぶん『夜景』の何曲かよりは先に作っているので。

――作詞はどんなところからスタートしましたか?

堂村:多少は経験談も混ぜつつ、半分以上はフィクションですね。いろんな感情を妄想して

――ご自身で気に入っているラインは?

堂村:Aメロの<胸に空いた穴の塞ぎ方も君は言わず去ってく>からのメロディは、過去の自分の曲をサンプリングしていて。昔を忘れないスタイルというのを伝える意図も込めつつ、歌詞で言えばBメロ最後の<空を泳ぐ愛の鳥は今日も雨に打たれる>とかは、感情を景色や生き物に表現していて、こだわった部分かなと思います。

――<毎日がbad day>以降のヴァースはある意味、アフターストーリー的な時系列ですよね。

堂村:そうですね。<空いた腹を満たすのも君がいないしいっか>あたりは、自分が悪いことは分かっているけど強がっている、内面の感情と外面の言動の両極端を表現していて、ここもこだわったポイントですね。

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BigDogOofとの信頼関係

――トラックはBigDogOofさんとの共作。今ではお馴染みのタッグですが、堂村さんから見てどんなクリエーターですか?

堂村:繊細な音づくりとキャッチーなメロディー、あとは耳触りのいい音の使い方、その三つに重点を置いているイメージですね。YouTubeでフリートラックを公開しているのを見つけてコンタクトして、家が近いこともあってうちで一緒に制作するようになったんです。あまりインターネット上では分かりづらいと思うけど、本当に優しい人で。トラックの音そのままみたいな性格というか。ほんわかしている感じ。

――ひとりの友人としても信頼しているんですね。

堂村:はい。技術面でも性格面でも信頼を置いてますね。人として普通に好きです。


Photo:Yuma Totsuka

――トラックに関してはどんなオーダーを?

堂村:あ、トラックについては2パターンのやり方があって、ひとつは「こんな感じのビート作ってよ」とお願いするパターン。もうひとつは、BigDogくんがYouTubeで公開しているフリートラックを買わせてもらうパターンで、今回はそっちでした。

――ビビッときた感じ?

堂村:けっこう気を抜いてると他の人が買っちゃうんですよ。なので、上がった瞬間に聴いて、気に入ったら「これは誰にも取らせねぇ!」みたいな感じですぐ買わせてもらいます。

――「byebye」もそうやってビート先行で用意して、そこからリリックを乗せていった感じですか?

堂村:はい。YouTubeで流しながら、すぐにサビは出始めて。最初に<Good bye bye baby>のフレーズが一発目で出てきて、そこからフリースタイルで言葉を乗せながら、数十秒とかでサビの作詞は終わりましたね。

――サウンドから言葉が引き出される感覚もあったのでしょうか?

堂村:めっちゃありましたね。基本的にビートを3~4回、フリースタイルしながらループしていくんですけど、その中から気に入ったメロディを残して、頭の中で言葉と一緒に繋ぎ合わせていく、みたいな作業を2~3時間ずっとやるような感じです。

――堂村さんの表現したい言葉やメロディとBigDogさんのサウンドセンスに重なる部分があるんでしょうね。

堂村:そうですね。僕的にはかなりシンパシーを感じています。あと、僕って別に音楽理論を分かっているわけではないし、ぽっと出てきて一人で曲を作り始めただけの人間なので、どちらかといえばリスナー寄りの感覚なんだけど、たぶんそれがよくて。歌なしでも僕が「これ、めっちゃええわ」と思ったビートなら、きっとリスナーさんも同じように感じてくれると思うんです。そういう音をめっちゃ上手に作るのがBigDogくんなのかなって。


Photo:Yuma Totsuka

――「byebye」ではストリングスの音色も印象的でした。

堂村:綺麗ですよね。BigDogくんは基本的に打ち込みなので、逆に生音にはない、打ち込みならではの綺麗な処理の仕方がいい感じに聴こえているというか。空間を彩って声を殺さないみたいな。

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ギターがメインの楽曲をオートチューンなしで歌ってみようかな

――改めて、この「byebye」を客観視したときにどんな曲だと思いますか?

堂村:やっぱり分かりやすいし、いろんな人に寄り添える楽曲なのかなって。人によっては背中を押す形になるかもしれないし。人それぞれの背景に合わせて聴いてもらえる曲になったんじゃないかなと思います。

――先ほど月一以上のペースでリリースしていきたいと仰っていましたが、今後どんな楽曲を発表していくつもりですか?

堂村:僕はオートチューンを使う曲が多いんですけど、そうではなく肉声のラップ寄りな楽曲も作るし、たぶん待ってくれている人も多いであろう、性的描写が多い男女関係の歌もリリース予定ですね。新しいことに挑戦した楽曲もあれば、自分のヒットチューンに近いタイプの楽曲もあるので、いろんな人に届けられればいいなと思います。

――サウンド面でチャレンジしたいことがあれば。

堂村:ああ、イメージとしてはカフェとかで流れているような、ローファイとまでいかなくともゆったりめで、ギターがメインの楽曲をオートチューンなしで歌ってみようかなって。

――『夜景』もギターサウンドが多めでしたよね。

堂村:そうですね。『夜景』の曲は夜のバーのイメージだけど、今後挑戦したいのは昼の表参道にあるカフェのテラスみたいな(笑)。

――2023年、ますます音楽活動が活発化していきそうですね。

堂村:メジャーに入ったからには今後どんどん大きくなっていきたいので、ワーナーさんにもしっかりプロモーションを頑張っていただいて(笑)。それに去年、個人事務所として<BLUE MOON MUSIC>を立ち上げたので、そこのメンバーもフックアップしていきながら、僕自身は楽曲提供もしたりして、全員で大きくなっていけたらなと思います。あと、夏にはツアーもやりたいですね。


Photo:Yuma Totsuka

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