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<インタビュー>上坂すみれ、恋模様が加速したTVアニメ『イジらないで、長瀞さん 2nd Attack』新オープニングテーマを語る
上坂すみれが2月8日に発売する新シングル『LOVE CRAZY』。表題曲は、自身が長瀞さんとしてヒロインを演じるTVアニメ『イジらないで、長瀞さん 2nd Attack』オープニングテーマに。上坂は同アニメ第1期でも、オープニング主題歌「EASY LOVE」を歌唱しているが、今回はますます“ど直球”となった意中の相手へのアタック模様や、悩みながら書いては消してを繰り返す、長瀞さんを連想させる恋の“トリセツ”を描いた内容となっている。
カップリングには、“歌うこと”と“闘い”をテーマに掲げた「リベリオン」、自身の“あるある”をコミカルに描いた「道がわからないのうた」と、どちらもエッジーなサウンドの楽曲を収録。2023年は音楽活動10周年イヤーとして、さらなる飛躍を遂げるだろう上坂を存分に後押しすべく、骨太な楽曲揃いのシングルとなっている。そんな力作を作り終えての満足感について、本人に詳しく話を訊いた。(Interview & Text: 一条皓太 / Photo: 大木慎太郎)
「長瀞さんを演じた経験は歌の方面にも活きている」
―――上坂さんは2023年2月に音楽活動10周年を迎えます。とはいえ意外にも、Billboard JAPANに登場するのは今回が初めて。新たなファン、もとい“同志”を獲得すべく、まずはアーティストとして大切にしていることを教えてください。
上坂すみれ:私自身、そして同志の皆さんが“自分の好きなものを我慢しない”ことをモットーにしています。音楽面でいえば、私がまだ幼い頃から大好きなアニソンをはじめ、ロックやシティポップといった幅広いジャンルに対して、とにかく好きなように挑戦しています。こうした様々な音楽に触れられるのも、声優アーティストならではですよね。私なりの音楽活動のコンセプトにもなっていますが、同志と一緒に好きなものへの愛情を爆発させて、ずっと楽しく生きていきたいです。
――とても素敵な心構えだと思います。さて、新シングル表題曲「LOVE CRAZY」は、TVアニメ『イジらないで、長瀞さん 2nd Attack』オープニングテーマに起用されています。同アニメにて、上坂さんは長瀞さんとしてヒロインを演じていますが、第1期のアフレコ当時と比べて、演技の面で変化を感じた点などはありましたか?
上坂:“2nd Attack”のアフレコを通して、センパイ(CV:山下大輝)と長瀞さんの心が通じ合っている様子を前回以上に感じられて。第1期でのストーリーが前提にあるため、今回はある意味、お互いの絆が育まれた状態で幕開けとなるわけで。そうなると、長瀞さんがセンパイにするいつものイジりや、お互いを知ろうと努力する過程も、これまで以上に愛のあるものに思えたり、何よりラブコメ要素がパワーアップしているんですよね。そんなふたりを間違いなく応援したくなるはずです!
――今回の「LOVE CRAZY」は、上坂さんが歌う第1期オープニング主題歌「EASY LOVE」とも地続きなのだとか。
上坂:その通りですね。しかも「LOVE CRAZY」では、「EASY LOVE」の頃からさらに恋模様が加速していますよ!「EASY LOVE」はツンとデレ要素が半分ずつくらいでしたが、「LOVE CRAZY」ではもう自分の気持ちを抑えきれず、むしろどストレートにアタックしかできなくなっていて。さらにかわいく、かつ力強さを携えた一曲です。
――長瀞さんのキャラクター像と重ねて聴いてみると、乙女心がとてもわかりやすく描かれているというか。歌詞を通してのメッセージが本当にまっすぐで、なんだか恋の“トリセツ”みたいですよね。
上坂:まさしくです。長瀞さんにまつわる“トリセツ”を書いたり消したりと、少しずつ作っていく過程が描かれているようで。そんなところも含めてとってもかわいいんですよ。
――こうしたキュートさは、疾走感ある楽曲のなかで唯一、穏やかなテンポに切り替わるDメロにおいて特に表れていた気がします。長瀞さんの“デレ”な一面が表現されているのかと想像しましたがいかがでしょうか。
上坂:間違いないです。いつもは強気に見える長瀞さんですが、本当は純真な女の子そのもので(笑)。このDメロも、彼女がかわいい独り言を呟いているように解釈したので、他パートよりも落ち着いた印象になるよう、囁くようなタッチを意識して歌いました。
――ちなみに、上坂さん自身のキャラクターを演じている経験が「LOVE CRAZY」を歌唱する際に手助けになったりは?
上坂:具体的に“この部分”と挙げるのは難しいですが、長瀞さんを演じた経験が歌の方面にも活きている感覚はありますね。私自身、自覚こそしていないのですが、無意識的なフィードバックとでもいうのかな。
――となると反対に、歌の経験が演技に影響を与えてくれた可能性も?
上坂:演技も歌も声を使った表現に変わりはないですし、第1期で「EASY LOVE」も歌っているので、その可能性は大いにあると思います。もしかすると、私の演技と歌の両方を知ってくださっている方によっては、アニメでのセリフの受け止め方も変わっているかもしれませんね。長瀞さんのそっけない言葉などに「LOVE CRAZY」の面影を感じてもらえたりするのかな?
――十人十色な受け止め方ができる楽曲ということですね。レコーディングは順調でしたか?
上坂:そこまで長い時間を掛けることはなく、たしか2時間ほどで録り終えました。
―――たった2時間で!?
上坂:私はいわゆる“短期集中型”でレコーディングをするタイプなんですね。しかも「LOVE CRAZY」では、ストレートな歌詞が冴え渡っているので、私が疲れ気味に歌っても楽曲を象徴する勢いやハネ感を引き出せないなと。だからこそ、短時間で楽しく録り終えたことで、オケにもマッチする表現ができました!
――上坂さんのショートRECなスタイルが、楽曲の勢いに昇華されていると。
上坂:第一印象でこそ、ハイテンポで歌いこなすのが難しいなと感じていたものの、作詞をいただいたヨシダタクミさんが、sajiとしてバンドをされている方ということもあってか、韻の踏み方もとても心地よくて。サビでの<逃げないで 勇気出して>のように、語尾を統一しているところもあったりと、そこまで頭を悩ませる場面はありませんでした。
――—「LOVE CRAZY」では、衝撃的なミュージックビデオも制作されています。こちらもまた「EASY LOVE」と世界観が繋がっているようですね。
上坂:「EASY LOVE」ではいわゆる“夏服”の制服を着ていたのですが、今回は“2nd Attack”でのキャラクター衣装にあわせて、私も冬服にお着替えしたり、途中で白いデート服で登場したりと、「EASY LOVE」と全く同じではないものの、どちらにも共通する世界観を感じてもらえるはずです!
「LOVE CRAZY」ミュージックビデオ
――—上坂さんの肩や膝の上にハトのぬいぐるみが乗っていたのも印象的でした。
上坂:あのハトだったり、唐突にスルメが出てきたり。意味がありそうで実はないというシュールなカットの連続なんですよね。私の方から監督さんに小道具についての質問はしていないのですが、たとえハトが膝に乗っていたとしても、手を添えたりをすることはなく。むしろ、そこに何もいないかのように振る舞っていました。
――—それはなぜ?
上坂:もしかすると、あのハトにも何らかのメッセージがあったのかもしれません。でも、彼らはいわばアクセサリーなので。画面上で目立っていても、それが“扱い”として目立たない点に「LOVE CRAZY」らしいクレイジー要素を感じてもらえるはずです。
――—“不自然さが自然に映る”といったお話ですね。
上坂:そうですね。このあたりのシュールで不思議な要素については、監督さんがMVの企画当初から特にこだわっていたので、皆さまにもぜひ意識してもらえればと!
- 「どの楽曲も濃い味だけど、食べ合わせは悪くない」
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リリース情報
シングル『LOVE CRAZY』
- 2023/2/8 RELEASE
<初回限定盤>
KICM-92123 2,200円(tax in.)
<期間限定アニメ盤>
KICM-92124 1,430円(tax in.)
<通常盤>
KICM-2123 1,430円(tax in.)
配信はこちら
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「どの楽曲も濃い味だけど、食べ合わせは悪くない」
―――カップリング曲「リベリオン」は、ゲーム『マジデス壊』(4月より放送のオリジナルTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のゲームプロジェクト)の主題歌に。こちらはどういった楽曲になっていますか?
上坂すみれ:『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』は、ディストピアを生きる主人公たちが、運命に逆らって世界を“改革”していくことをテーマにした作品なんです。私の持ち歌にもいくつか“革命ソング”と呼べるものがあるし、大好きなものを守り続けていくことは、私が音楽活動を通して大切にしたいことでもあるので、内容としてもすごく共感できて。作品にも、私自身にも、こんなにまで寄り添ってくれるんだなと。
―――終盤には〈戦いの先に見える未来をこれからも 宣誓と共に描こうよ よろしくね〉というフレーズが。それこそ、仲間の肩に手を置くではないですが、この“よろしく”には音楽活動10周年以降の未来も支えてくれるだろう、同志への信頼感が込められているのでは?
上坂すみれ:まさに同志の皆さんに呼びかけたいメッセージが綴られていました。これからも見守ってほしいし、ずっと一緒にいてほしい。10周年イヤーの幕開けに相応しいフレーズですよね。この楽曲は、1stアルバムからお世話になっている作家のR・O・Nさんにプロデュースをいただいたのですが、本当に素敵に仕上げていただいて。普段から幅広い楽曲を手がけられているにも関わらず、まさに私を狙い澄ました楽曲に仕上げていただいて、本当にうれしかったです。
―――個人的にも、R・O・Nさんの手がける楽曲に裏切られた記憶は一度もないですからね。続いて、3曲目「道がわからないのうた」ですが、こちらは最早……“ボケしろ”楽曲としてお話をしてもらってよいですね?
上坂すみれ:あはははっ(笑)。私自身、端から端までかっちりとしたシングルはあまり作るタイプではなく、いつもどこかに“抜け感”を求めてしまうんですよ。要するに「道がわからないのうた」は、待ち合わせに遅れるけれども、相手から“大丈夫ですよ”と言われて胸をなでおろした。待ち合わせの場所に向かいながら“あ〜あ”と残念な気持ちになっている自虐ソングながらも、まずは相手がおおらかな性格で救われた。そんなことを歌っているネタソングなんです。だけど……やたらとオケがカッコいいんですよね。
―――なるほど、結末としては遅刻をしても許されたのですね。とはいえ、上坂さんが<池袋ふくろう探して15分>と具体的な描写のA・Bメロから、<嘘吐きな天使(エンジェル)>などと抽象的なフレーズを並べ立てるサビまで、ボキャブラリーの飛距離が物凄いなと。
上坂すみれ:世代前の“アニソンあるある”と言いますか、どんなことを歌っているのかはわからないけれども、とにかく響きとしてのカッコよさに特化した楽曲を作りたかったんですよね。なので、当時の焼き増しにならないように注意はしつつ、サビにはカッコいいアニソンに登場する言葉をたくさん集めてみて。作詞をした私が語るのもアレですが、譜割さえ合っていればきっと上手くいくはずだと(笑)。ざっと1日で歌詞を書き上げて、その後に1週間ほどかけて細かな部分を調整していきました。
―――A・Bメロで歌われるような方向音痴エピソードは実話ですか?
上坂すみれ:実話です。幼い頃から方向音痴です。でも、“方向音痴でいいや”って流しちゃうんですよ。本気で直そうと思えば、いつでも直せると強く思っています。
―――だとすると、出口を出て迷わず右に行くのは?
上坂すみれ:それも実話です。というか、私の“あるあるネタ”ですね。もちろん、方向音痴にも色々なタイプがあるので、もしかすると左に行く方々もいるかもしれませんが。
―――上坂さんは左には行かないんですか?
上坂すみれ:“左に行こう!”という意志が強いときには左に曲がります。ただ、本を読んでいたり、誰かと会話をしたりといったときは、大体は右に行く習性の持ち主です。
―――目的地が左方向にあったときは、もう目も当てられなさそうですね。上坂さんの“あるあるネタ”は、レイザーラモンRGさんばりに今後のシリーズ化を期待したいです。
上坂すみれ:今回がもし好評ならば(笑)。でも、自分の“こうしたい”を余すことなく表現できるので、作詞はやはり楽しいですね。「道がわからないのうた」は出来栄えも大満足でしたし、それこそ音楽活動10周年を迎えて、ある意味で肩の力が抜けたいまだからこそ遊べる楽曲になったのかなと。
―――どの楽曲もカオティックでありながら、シングル全体としての統一感は間違いないものでした。改めて、今作についての総評をお願いします。
上坂すみれ:どの楽曲も濃い味だけど、食べ合わせは悪くない。とても不思議な魅力のシングルを生み出せました。ポジティブな気持ちになれる楽曲揃いなので、今年3月に開催する『SUMIRE UESAKA LIVE 2023 TALES OF SUMIPE 運命の書/同人の書』に向けても、毎日のように聴いて、当日への気持ちを高めてほしいです!
―――それでは最後に「LOVE CRAZY」になぞらえて、上坂さんがここ最近で“ラヴな女性声優さん”について語ってもらえますか?
上坂すみれ:いや〜、たくさんいるので迷っちゃいますね。『イジらないで、長瀞さん』キャストでいえば、“2nd Attack”からの新キャラクター・姉瀞を演じる南條愛乃さんと、昨年12月の先行試写イベントでご一緒したのですが、南條さんは翌日に京都で別のお仕事があり、昼公演のみの出演でしたが、それにも関わらず、京都土産のお醤油を後日、ご丁寧にくださって。なんて素晴らしいお人なのだろうと。。
―――さすが気遣い上手な南條さん。
上坂すみれ:私と同じ事務所の井澤詩織さんも! 井澤さんはお酒を飲まない方なのに、私と一緒にお酒を楽しんでくれるし、しかも先日は2軒目のバーにまで付き合っていただいて。本当に色々なことを話せて充実した時間を過ごせました。もう本当に……井澤詩織さん、めちゃラブです。
―――周囲に素敵な先輩がたくさんいるのですね。
上坂すみれ:あとは、鈴木愛奈さんですかね。第1期で人気だったラジオ番組『イジらじ!』(上坂すみれ×鈴木愛奈のTVアニメ「イジらないで、長瀞さん」らじお~イジらじ!~)が今回も実現しまして。そのお話を聞いて、私以上にあいにゃさん(鈴木愛奈さんの愛称)が喜んでいて、本当に心が優しいお人なのだろうなと。肝心のラジオも、あいにゃさんが絶好調なのでぜひお聞きください!
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・応募締め切り:2023年2月22日(水)23:59
・当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMをお送りします。当選時に@Billboard_JAPANをフォローされていない場合、当選は無効となります。
・チェキは選べません。ご了承ください。
リリース情報
シングル『LOVE CRAZY』
- 2023/2/8 RELEASE
<初回限定盤>
KICM-92123 2,200円(tax in.)
<期間限定アニメ盤>
KICM-92124 1,430円(tax in.)
<通常盤>
KICM-2123 1,430円(tax in.)
配信はこちら
関連リンク
LOVE CRAZY
2023/02/08 RELEASE
KICM-2123 ¥ 1,430(税込)
Disc01
- 01.LOVE CRAZY
- 02.リベリオン
- 03.道がわからないのうた
- 04.LOVE CRAZY (off vocal ver.)
- 05.リベリオン (off vocal ver.)
- 06.道がわからないのうた (off vocal ver.)
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