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BENI 『COVERS 2』インタビュー
日本人男性ボーカリストの楽曲のみを収録した英語詞カバーアルバム『COVERS』で30万枚を突破し、レコチョクアルバムチャートの2012年上半期No.1を獲得したBENIが、11月7日にシリーズ第2弾『COVERS 2』をリリースする。
「ここで一つステップアップしたかったんです」 「“日本の素晴らしい曲を海外にも届けたい”という想いもあった」
ロングヒット中のカバー作品第2弾に込めた想いとは? 強い決意を持った歌姫が語る。
女性曲をカバーする方が難しかった気がします
--何故『COVERS』『COVERS 2』ともに日本人男性アーティストの楽曲のみを収録しようと思ったんですか?
BENI:特に“男性の曲をカバーしたい!”っていう気持ちがあったわけではないんですけど、以前ライブで日本の曲を英語詞で歌ったらおもしろいかなぁって。そのときに歌いたいと思ったのが、『COVERS』にも収録されている福山雅治さんの「桜坂」。歌ってみたら周りの反応も良かったし、それなら他の男性曲も英語詞でカバーしたら新鮮な作品が完成する気がしたんです。
--男性の楽曲を歌う難しさはなかったですか?
BENI:むしろ入り込みやすくて、男性になりきっていました。意外と女性の曲よりも男性の曲の方がセンチメンタルというか、不器用な曲が多い気がするんですけど、その世界観にどっぷりと染まることができて楽しかったです。多分、女性曲をカバーする方が難しかった気がしますね。男性曲を歌うことで、自分のオリジナル曲との差を出すことも出来たと思うし。
--ブルーノート東京で開催したプレミアムライブでも、「男性になりきって歌っている」と仰っていましたよね。
BENI:時々、女性目線に戻ってツッコミたくなります。もっとハッキリ言おうよ!みたいな(笑)。でも、実際にブースで歌っているときは男性になりきっていますね。思い浮かべる相手も女性だったりして、違う自分になれた気がします。
私より下の世代でも違和感なく格好良いと思えるように
BENI:でも、「小さな恋のうた」はバンドならではのメロディだからこそ、少し慣れなかった部分があったし、歌詞のはめ方も難しかったですね。サビの歌い出しに“ほら”って歌詞がありますよね? 全然違う英語詞だと違和感があるし、印象的な部分だったりするので、どうしようかなって。ただ、この曲は私がリクエストした曲だけに、“ちゃんと歌いたい!”っていう気持ちも強かったです。 あと、どの曲も女性が歌っている点、英語詞という点は変わっているけど、原曲の良さは消したくなかったので、オリジナルとの差を付けすぎず違和感なく聴けるように意識しました。
--『COVERS 2』の収録曲はどうやって決めたのでしょうか?
BENI:『COVERS』と同じく、スタッフと案を出し合いながら決めました。こんな曲もカバーするの!?っていう良い意味でのギャップだったり、1枚を通して聴いたときに気持ち良い流れかどうかなど、色々なバランスを考えました。 アレンジに関しては、リリース年数の古い曲ほど現代風にしてみたりしましたね。私自身リアルタイムで聴いていない曲もあるので、私より下の世代でも違和感なく格好良いと思えるようなアレンジや歌い方は意識しました。
リリース情報
COVERS 2
- 2012/11/07 RELEASE
- 初回限定盤[UPCH-29090(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤[UPCH-20298(CD)]
- 定価:¥2,800(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
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Interviewer:武川春奈|Photo:杉岡祐樹
ちょっとした親孝行ができたかなって
--20代後半のBENIさんが懐かしい曲を歌うことで、若い世代にも名曲が受け継がれていくと思います。
BENI:そういった意味では本当に聴く人を選ばない作品だと思います。良い意味で時代を感じさせない、老若男女問わず聴ける1枚。実際、おばあちゃん世代から小さい子まで、幅広い年代の方から「『COVERS』いいね」って言って頂けるので、世代を越えて人の心を掴むことができる、そういう音楽の力を実感しています。
しかも、そういった言葉は日本だけじゃなくて海外からも届いているんですよ。“日本の素晴らしい曲を海外にも届けたい”という想いもあるので、もっともっと海を越えて欲しいです。年齢や国籍問わず、多くの人たちを繋げていける作品になれたら嬉しいですね。
--また、前作に引き続き、今回もEXILEさんの楽曲をカバーしています。
BENI:「Ti Amo」もそうだったんですけど、EXILEさんの「Lovers Again」を他のアーティストがカバーするのは私が初めてなので、本当に光栄に思います。
--個人的に、「はじまりはいつも雨」や「接吻」はBENIさんの声に合っていると感じました。
BENI:「はじまりはいつも雨」はお父さんが大好きな曲で、子どもの頃からよく聴いていたんです。お父さんはアメリカ人なんですけど、娘の私が英語詞で歌うことによって、ちょっとした親孝行ができたかなって。私にとっても本当に大切な曲です。
“私らしさ”がないと全く意味の無い作品になってしまう
--『COVERS』『COVERS 2』は英語詞カバーという点も大きなポイントですけど、そもそも日本語を英語詞にしようと思った理由は何だったのでしょう?
BENI:単純に“私らしいカバーって何だろう?”と思ったときに、英語詞だなと。私の中に日本とアメリカ、2つのルーツがあるからこそ伝えられるものがある気がしたので。オリジナル曲を越えることなんて出来ないので、そのうえで“何故カバーアルバムを出すの?”ってなったときに、“私らしさ”がないと全く意味の無い作品になってしまいますから。
--英語詞にすることで余計にプレッシャーが増しませんでしたか?
BENI:今までにないものだからこそ、私が背負うというか、“絶対に格好いいカバーを作ってやるんだ!”くらいの覚悟で制作したので、普通にカバーした方がプレッシャーだったかもしれないです。ただ、訳詞の作業は予想以上に大変でしたね。メロディの譜割りもあるし、それを活かす英語の響きとか、かなり苦労しました。まず、どの収録曲も英語詞にすると歌詞が2~3倍増えるんです。英語の方が同じメロディにたくさんワードが入るので。それに、ネイティブな英語にしたかったので、そのまま訳すだけじゃ意味がないですし、抽象的な曲ほど難しかったかもしれない。「チェリー」とか、色々な捉え方が出来る曲ほど、落とし所をどこにしよう?って悩みましたね。そういう意味では私目線の「チェリー」になっていたりして、BENIらしさはどの曲にも入っている気がします。そうやって苦労したからこそ、英語が理解できる人にも自信を持って届けることができますね。
--歌ううえでは英語の方が歌いやすかったりします?
BENI:歌いやすいし、感情移入しやすいです。この前ゴスペラーズさんともそのことについて語っていました(笑)。日本語は一個一個カチカチと言葉が入っているイメージだけど、英語はスムーズにスラスラと入るから、色々な個所にエモーションを加えやすいんですよね。自分でも不思議なんですけど、英語だと声も変わったりしますからね。
リリース情報
COVERS 2
- 2012/11/07 RELEASE
- 初回限定盤[UPCH-29090(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
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- 通常盤[UPCH-20298(CD)]
- 定価:¥2,800(tax in.)
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Interviewer:武川春奈|Photo:杉岡祐樹
「歌うたいのバラッド」は『COVERS 2』を象徴する曲
--特に感情移入しやすかった曲などありますか?
BENI:「歌うたいのバラッド」ですね。歌詞の内容が『COVERS 2』にぴったりというか、象徴する曲だと思うんです。どうしても聴いてほしい、どうしても届けたいという想いは、ボーカリストとして色々な人の曲を届けるっていう部分と重なるので。だから、歌っていてもグっとくるし、共感できる。今までの私にはないサウンドで、聴く人には違和感を与えるんじゃないかなって心配があったんですけど、ボーカリストとして歌っていて気持ち良い曲ですね。
--ブルーノート東京でも「もっとボーカリストBENIを届けたい」と仰っていましたけど、今このタイミングでカバーアルバムを出した理由もそこにあるのでしょうか?
BENI:8年間シンガーを続けてきて、ここで一つステップアップしたかったんです。みんなに“シンガーとしてのBENI”を聴いて欲しい。それにはカバーがぴったりだと思ったんです。今回のカバーアルバムを制作したことでたくさん刺激を受けたし、引き出しも多くなった気がするので、この作品が私に成長するチャンスをくれた。さらに、それを経てのオリジナル曲が楽しみなんですよね。また新しい自分が表現できるんじゃないかなって。
この作品には今までの私が詰まっている
--8年間の中でBENIさんはミュージカルやドラマ出演など、様々なことに挑戦してきました。そこで身に付けた表現力も、カバーアルバムに反映されている気がします。
BENI:8年間の中で色々な経験もしてきたし、一人の女性としての成長もあったから、それは確実に声にも表れていると思います。そこは注目して欲しいですね。この作品には今までの私が詰まっているので。
--8年の中で成長した部分って具体的にどこだと思います?
BENI:音楽と向き合うスタンスですかね。一番最初は“歌いたい”“みんなに聴いてほしい”という想いを一方的に送っていたんですけど、今は“みんなに伝えたい”“何かを感じて欲しい”という想いで、聴いている側の気持ちも意識しながら音楽を作っている。ファンからの言葉やライブでの反応ひとつひとつが、その変化に繋がっています。
--また、11月7日にはカバーアルバムと同時にアーティストブック『COVER GIRL』も発売されます。
BENI:『COVERS 2』を色々な方向から表現している一冊なので、『COVERS 2』を聴きながら読んで欲しいですね。今まで見せてこなかった私のプライベートな部分も入っているので、オンもオフも両方味わえると思います。私に少しでも興味を持ってくださる方には是非読んでもらいたいです。
リリース情報
COVERS 2
- 2012/11/07 RELEASE
- 初回限定盤[UPCH-29090(CD+DVD)]
- 定価:¥3,500(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 通常盤[UPCH-20298(CD)]
- 定価:¥2,800(tax in.)
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Interviewer:武川春奈|Photo:杉岡祐樹
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