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<インタビュー>マルーマが初来日、世界を虜にするコロンビア出身のスターを突き動かすものは



マルーマインタビュー

 1,800万枚以上のセールスを記録する、ラテン・ミュージック界のトップスター、マルーマが10月中旬にプロモーション来日をした。バッド・バニーやロザリアなど、ラテン語圏アーティストがアメリカを中心にメインストリームを制することが珍しくない現在、コロンビア出身、現在28歳のマルーマは、マドンナやザ・ウィークエンド、シャキーラといった大物アーティストとのコラボレーションとレゲトンベースの楽曲を通して、一足先に世界中のファンを獲得してきた。

 そんなトップスターの突然の来日に、ファンは騒然。街中で遭遇したファンにハグをするなど、その神対応が話題を呼んだ。

 20分間の取材の中で、何度もコミュニティー愛を感じる瞬間があった。「すべては母国コロンビアのため」と、自分にリミットを設けない彼を突き動かすものとは。(Photo: 辰巳隆二)

――今回が初めての来日とのことですが、日本にはどのような印象を持っていましたか?

マルーマ:日本に来たことがある人々から、(日本が)美しい国でショッピングにも適しているなどとは聞いていました。ビルもたくさん建っていると聞いていたのですが、想像していたよりもはるかに多くて、ビル同士がとても近くて驚きました。世界の首都は東京なのではないのでしょうか(笑)。まだほんの少ししか観光できていませんが、故郷メデジンの次に好きな都市になりました。ちなみに3位はロンドンです(笑)。日本の皆さんは忍耐強く、とても敬意と教養があって、本当に素晴らしいと思いますし、このような体験は人生初めてです。日本の文化からは学ぶことが多いですし、人生における学校のような場所だと感じています。

――来日前から楽しみにしていたというお寿司は食べましたか?

マルーマ:はい、昨日20貫ぐらい食べました!

――気に入ったネタはありましたか?

マルーマ:トロですね。食べるのを迷ったんですが、エビもイカも美味しかったですし、試したものすべて気に入りました。

――9月末に発表した新曲「JUNIO」について教えてください。【2022 ビルボード・ラテン・ミュージック・アワード】でもパフォーマンスしていましたが、あなたのロマンチックな側面を表現した楽曲になっていますね。

マルーマ:「JUNIO」は、これまで自分が発表したことがないような楽曲になっています。人生は美しいものだと歌う、とてもポジティブな曲で、愛を表現した曲です。愛はすべての原動力であり、中核だと思います。その前に『The Love & Sex Tape』というアルバムをリリースしましたが、(アルバムは)この曲とは対照的なレゲトンやアーバンな楽曲が収録されたラテン系の若者向けの作品でした。「JUNIO」は、そのイメージを覆す、自分の新たな面を見せた曲です。ラテン系以外のファンの心をつかめるようなグローバルな作りになっていて、それもあって今回、日本に来なくてはと感じていました。この曲を足掛かりに、自分の新たな側面を表現したニュー・アルバムを制作していて、2023年の初めにはリリースできそうです。


――そして、マルーン5のアダム・レヴィーンをフィーチャーした新曲「Ojalá」もリリースされます。このコラボは、どのような経緯で実現したのでしょう?

マルーマ:この曲は、自分のキャリアをスタートした頃から一緒に仕事をしているKevin ADGとChan El Genioによるプロデューサー・ユニットRudeboyzと一緒に作りました。アルバムに収録しようと思っていたのですが、「アメリカ人のアーティストと一緒にコラボレーションするのはどう?」と二人に提案され、アダムに打診しました。簡単な仕事ではなかったですが、ゲームチェンジャーになるような楽曲だと思っています。マイアミでミュージック・ビデオ撮影も行っていて、素晴らしい作品に仕上がっています。アダムが全編スペイン語で歌うのは珍しいと思うので、リリースされるのが待ち切れないですね。

――アダムにスペイン語で歌うコツなど、何かアドバイスしましたか?

マルーマ:アダムは何度かスタジオ入りして、自分のパートをレコーディングしてくれたのですが、スペイン語なので少しやりづらそうにしていました。スペイン語の先生に指導してもらっていたのに加え、「どうかな?」って僕に録音したものを送ってきて、僕が「ここ、ちょっと直したほうがいいんじゃない?」と言うと、翌日また再録したものを送ってくれました。とても几帳面で真面目な人なんです。どの歌詞も心とエネルギーが込められているので、素晴らしい仕上がりになっています。アダムには5~6歳の娘がいるのですが、彼女のベビーシッターはメキシコの方なんです。なので、アダムの本当のスペイン語の先生は彼の娘なんです(笑)。


――『マリー・ミー』で共演したジェニファー・ロペスと約2年前に米ビルボード誌の表紙を飾った際に「現在、ラテン・コミュニティーとして歴史を作っていて、この大きなムーブメントの一部になれて誇りに思う」と話していましたが、今後さらにムーブメントを広げていくという意味で、使命感みたいなものはありますか?

マルーマ:そうですね。今も重大な責任を負っていると思っています。音楽活動をスタートさせ、そうなろうとしたわけではないのですが、私たちのコミュニティーの若者の声を代弁してきました。同時にコロンビアのイメージをポジティブなものに変えたいという思いも持っています。自分が色々な国を訪れた際に感じたのは、コロンビアのことをよく知らない人の多くが、麻薬や売春、パブロ・エスコバル(麻薬王として知られる) など、ネガティブなイメージを抱いていたということです。自分は音楽を通じて、そういった人々の考え方を変えていきたいんです。コロンビアは生命力と色彩に溢れたポジティブなアートや音楽が生まれている国です。自分の仕事は、様々な国で音楽をリリースして、コンサートを行うだけではなく、故郷であるコロンビアのイメージを変えるために、世界中の人々に種まきをすることでもあるんです。

――その他にも、俳優業、レーベル経営、ファッション・ブランドや基金の立ち上げなど精力的に活動していますが、あなたを突き動かしているものは?

マルーマ:自分の中に秘めたエネルギーと生命力だと思います。実は家族や友人ともこの話をしていたのですが、僕はとてもアクティブな人間で、エネルギーの中核となる部分が強靭なんだと思います。だから、このように多くのプロジェクトを実現させることができています。思いつきではなくて、真剣かつリアルに取り組んでいるから叶えることができました。僕のチームも、これらの夢を叶える手助けをしてくれていて、彼らなしでは到底無理です。これらの夢はそれぞれがつながっていて、そして自分の神髄や本髄ともつながっています。たくさんの不可能と思えるようなことを実現させてきましたが、今までと同様に秩序正しく、規則正しく、毎日毎日働いていけば、もっともっと色々なことが達成できると信じています。そのためには忍耐力と継続性、そして自分を制限しないことが重要だと思っています。

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